「嘘ッ、そこはやっとけよこのクソ……」
男はパソコンの画面を見ながらそう罵倒しようとしたが直ぐに右手で口をふさいだ。続けて言おうとした言葉は飲み込んで言わないようにする。それを後ろで見ていた長波も思わず苦笑した。
「いやぁ……提督、今のはあたしでも愚痴を言ってしまうよ……」
「まぁそれでもだよ。言わないようにするのが提督というもんだよ」
長波の言葉に男はそう言いながら金麦の缶ビールに口を付ける。男は長波達とパソコンを開いて艦これのイベントの真っ最中だったのだ。なお、ネルソンはまたしてもラム酒を3本空けて現在は爆睡中である。
「ありゃ、Jマスの敵は意外と強い……」
「ぜかまし見てなかったか?」
「基地航空無くても問題無しと書いてたからつい……」
パソコンの画面では江風が大破した場面が流れていた。更に続いて三日月も中破したのであった。なお、Jマスは夜戦に持ち込んで扶桑が連撃でS勝利で倒したのである。
「あー、もう寝るか」
時間を見れば夜中の12時を指して明日も仕事がある男は起きるのが早かったのだ。
「じゃあ閉じて寝るか」
長波も同意した事で遠征を出してからパソコンを閉じて布団を敷いて寝るのである。なお、寝る場所は男が真ん中でその左右に長波とネルソン(爆睡)である。
「「お休み」」
電気を消して寝る二人であった。翌朝の0600、男は目覚ましの音とその時計を叩こうとして間違ってネルソンの右手が男の顔に直撃した痛みで目覚めた。
「コイツ……」
艦娘であるから力は人間以上にあるので注意しておかないと男も骨折してしまう可能性は大であるが骨は折れていなかった。ただし鼻血は出たが……。
「じゃあ行ってくるから騒がしくしないようにな」
「任せとけって。ほら提督……」
0730、玄関で男を見送ろうとしていた長波は目を閉じて顎を出す。それの意味を理解した男はスッと………頬にキスをするのである。
「えー……唇じゃないのかよ……」
「後ろにいる者がいなければな」
「………………………」
男の言葉に長波が振り返るとジト目で二人を見ているネルソンが腕を組んで仁王立ちをしていた。
「あれ、ネルソンじゃん。起きたのか」
「起きたのかではないナガナミ。抜け駆けは許されないな」
「……今日の昼は野菜炒めだけな」
「まぁ頬なら許すかな、うん!!」
(掌クルーが激しいな……)
ハッハッハと笑うネルソンにそう思う男であり、そのまま仕事に出掛けるのであった。
「今日はもう上がっていいよー」
「あざす店長」
1900、後二時間もすれば閉店だが男は朝の0800から働いているので店長はいつものように上がりを出した。男はスーパー指定の服から私服に着替え店内に戻ると値引きした惣菜や乳製品やらを買い込んでレジに向かう。
「最近買う量が増えましたねー」
「まぁ作り置きとかも必要だかんな」
レジにいたバイトの子が精算しつつそう男と話す。
「おつりです、お疲れ様でしたー」
「お疲れー」
バイトの子に言われながら男はスーパーを出る。スーパーの裏口に置いてあるチャリの前かごに荷物を入れて男は漕ぎ出して一路帰宅する。
(さーて……帰ったらメシを食いつつE-2の攻略でもするかな。てか長波らがE-2を終わらせてそうだな……)
田舎ではないが都市部の近郊も意外と田んぼが多く、その田んぼ道が続く歩道をコキコキとチャリを漕ぎながら男は帰宅するのであった。
「お帰り提督ー」
扉を開けると長波が出迎えてきた。荷物の半分を長波に渡してリビングに入るとテーブルに意気消沈しているネルソンがいた。口から魂が出そうな表情である。
「長波? ネルソンはどうしたんだ? 魂が抜けかけているぞ?」
「あー……それがな……ラム酒が全部無くなったみたいでな……」
「……俺、先日の休みの時にある分だけ買ったよな?」
「昨日の3本が最後だよ」
「……明日は休みだから買いに行くか」
「ッ!?」
男の言葉にネルソンの眼がカッと光って男に視線を向ける。
「ならば余も買いに行こう!! いいや、絶対に余も買いに行くぞ!!」
「お、おぅ……」
顔と顔がギリギリくっつきそうなところまで気迫があるネルソンに思わず引きをする男である。
「よし、今日は仕方ないからアサヒィィィィィスゥゥパァァァァァァァドラァァァァァァァイで我慢しよう」
「ドライは無くなったからクリアアサヒだぞ」
「何とォ!?」
男のツッコミに驚くネルソンであった。なお、イベントのE-2は長波がクリアしていた模様である。そして翌日、三人は買い出しのために家を出る。
「さて、燃料は先週入れたから問題ないか」
近くの駐車場を借りてる男は軽の車をアパート前に持ってくる。ちなみに車輪はマツダのAZワゴンである。
「乗ったかー?」
「ウム!!」
「シートベルトもOKだぞ」
「おけ、なら出るぞー」
そして車は走り出す。目的地はアパートから車で約15分にある『リカーマウンテン』である。
「よーし、着いたぞ」
「ではラム酒に行くぞ!! CHARGER!!」
「ちょ、こら……」
車が駐車場に着いた瞬間、ネルソンは一気に扉を開けて店内に走る。そして後から店内に入ってきた男と長波はラム酒があるコーナーで灰化しているネルソンがいた。
「あー……無かったか……」
「……次……次に行く……」
「はいはい」
なお、これの繰り返しは四回も続けられ五軒目の『リカーマウンテン』で漸く発見されたのである。
「あった……あったぞォォォォォォォォ!?」
「ちょっとあれは近づけない」
「同意するなぁ」
歓喜の涙を流すネルソンに引いている二人である。なお、店に残っていた全て(5本)を買い込むネルソンだがそのお金は男から出しているのである。
「ネルソン」
「何だ?」
「飲むなとは言わん。飲んでも良いが量を控えろ。ラム酒の出費が多くなる」
「な、何ッ!? 余に酒を控えろと言うのか!?」
帰る途中、助手席に座るネルソンにそう通告をする男に男の通告に驚愕するネルソンである。
「出費が痛いんだって。そこは理解してくれ」
「し、しかしだなAdmiral……」
「唯でさえ、二人は戸籍が無いんだ。無理矢理遣り繰りをしている俺の身にもなってくれ」
「ヌゥ……分かった……」
「………………はぁ………」
(´・c_・`)ショボンするネルソンに男は溜め息を吐く。すると赤信号で車を止めると男はネルソンに視線を向ける。
「ネルソン」
「何だアドミ……ッ!?」
男はネルソンの唇にフレンチではあるがキスをする。そして青信号になると再び車を走らせる。
「……今はこれで我慢しろ」
「……ウム……」
男の言葉にネルソンは頬を紅く染めながらも嬉しそうに頷くのである。
「……ところであたしが後ろにいる事を忘れていないよな二人とも?」
「わ、わ、わ、忘れてなんかないぞ!! うん!!」
「そ、そ、そ、そうだな!! 勿論忘れていないぞ!!」
ジト目で二人の行為を後ろから見ていた長波に男とネルソンはそう取り繕うのであった。
なお、その後のネルソンはラム酒の量を少しは控えるのである。
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