あるトレーナーの話   作:撹拌された抹茶

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おはようといってらっしゃい

翌日の午前6時頃。まだちらほらと人が起き出すであろう時刻に少女は身支度を既に済ませ冷蔵庫にあった昨日のサンドイッチを取り出して朝ごはんとして食べていた。

 

昨日は遅めのお昼ご飯を食べたあと、ナナカマドへ今日の一日の報告書を書くとベッドに倒れ込み、そのまま眠りについてしまった少女は午前4時半というまだ空は暗く太陽の光もうっすらとしか見えない時間帯に起きてしまった。それに加えて今日は一段と天候が荒れ少女があの日テンガン山に登った時を思い出すほどの悪天候で、外は真夜中のように暗い。

起きた少女はまず最初に夜ご飯を食べ損ねたポケモン達へ謝罪し、いつもより少し多めにご飯を用意した。ポケモン達がご飯を食べ終わるのを見届けたあと、お風呂に入り身なりを整える。体がさっぱりした後は汚れたままダイブしてしまったベッドのシーツを取り替え洗濯機を回し、旅で愛用している折りたたみのタオルハンガーにシーツを通し窓辺に引っ掛けておく。気づくと6時前で朝のニュースがやっている頃だろうとリビングへ向かった。冷蔵庫を開けると昨日のサンドイッチの上に食べていいというメモがあったため有難く頂くことにした。

そして冒頭に戻る。

 

サンドイッチを食べながら久しぶりにニュースくらい見ようとテレビをつける。ニュースでは天気予報士が今日1日の天気について話しており、曰くこの悪天候も昼には回復するだろうという事だった。サンドイッチを食べ終わった少女は再び冷蔵庫に入れながら、天気がお昼頃に回復するなら正午くらいから外に出ようかなと1度考える。だが空から行かずとも海からならまだ安全だろうかと思い直し、最終的にはポケモンと1度相談しようと決めた。

少女はカバンの中の薬やいざと言う時の道具がちゃんと入っているか確認したあと、そろそろ出ようかと立ち上がる。テレビも忘れずに消そうとリモコンを手に取りテレビへ向けると、丁度今日のトピックスとしてニュースの内容が一覧になって映し出されていた。そこには新たな遺跡が発見され、それが歴史的大発見かもしれないということや、ある調査員が緑の大きな宝石を発掘しただとかダイゴならば食いつくであろうニュースも少女は興味がそれ程持てず、リモコンを操作してテレビを消す。リモコンを元の場所に戻したあと、カバンを背負い玄関へ向かう。

すると同じタイミングでミクリが起き来ていたようで廊下で鉢合わせになった。起きたばかりなのか部屋で少し時間を過ごしていたのかはわからないが、身なりはやはり整っていて朝からキラキラとしたオーラを放っていて少女は眩しそうに目を細め、軽く会釈し挨拶した。

 

「おはようございます、朝お早いんですね。」

 

「はは、お嬢さんには敵わなかったけどね。早寝早起きは美しさを保つのに大切なのさ。」

 

軽くウィンクするミクリに苦笑する。

 

「それで、君はこんな早い時間から何処に行くのかな?」

 

外もかなり悪天候だけど?とニコニコとするミクリに少女は居心地悪そうに歯切れの悪い反応をするとミクリは笑顔のまま図星を突いてくる。

 

「そらのはしらに行くんだろう?」

 

「、、、はい。」

 

「そうだろうね。でも別に止めようとしている訳じゃないよ?トレーナーというものは道が土砂降りであろうとも風が吹き荒れていようとも、自分たちの目的のために進む物さ。それが茨の道だと分かっていてもね。それがトレーナーの性だと思うよ。」

 

ミクリは少女にも優しい目を向けるとまたニコニコと笑う。少女はどう反応していいか分からず兎に角笑っとけ精神で引きつった笑いをミクリに向けた。

 

「それでどうやってそらのはしらまで行くのかな?」

 

「それなら海上を泳げるポケモンがいますので、その子に乗って行くつもりです。」

 

「そうかい。でもこのルネは空を飛ぶか、海を潜るしか外へ出る方法はないよ?」

 

「え。」

 

少女はそれは予想外で、どうしようかと悩んでいるとミクリは得意げに笑う。

 

「では特別にルネの住民も知らない秘密の抜け道を教えてあげよう。というか、私しか知らないのだけどね。」

 

ははと笑うミクリに有難いとは思うがやはりどう反応したら良いのか分からず、少し口角を上げておくしかなかった。

少女はいたたまれなくなり、足早に玄関に向かうとドアノブを捻り扉を開けた。酷い態度を取ったかと出る直前に振り向くが、ミクリは眩しい笑みを絶やすことなくそこに立っていた。

 

「行ってらっしゃい、お嬢さん。」

 

そう笑うミクリに、少女は何も言わず会釈だけで返す。

バタンと音を立てて閉じた扉は、いつもと違って随分と重々しかった気がした。

 

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