あるトレーナーの話   作:撹拌された抹茶

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最初、わたしはあなたのことがわからなかった。

わたしを見て酷く驚いて萎縮するような態度を取るものだから、あなたはわたしのことが怖いのだろうかと思った。バトルを忌避しているのだ、わたしなどトラウマを呼び起こす起爆剤にしかならないだろう。でも、あなたのパートナーは一目見てわかるほど強くて、あなたを愛していて何故バトルを恐がのかがわからなかった。あなたは独りで矛盾しているような子だった。

 

翌日、主人が慌ててわたしをモンスターボール出したかと思えば、目の前に広がったのはあなたが知らない男性に首を絞められている姿。訳が分からなった。何をしているんだと呆れた。とにかく言われた通り、あなたを助けるためにあの男の上に落ちた。あなたはあの黒い龍を見上げて意識を飛ばし、その時の主人の慌てようと言ったら、、、いつもクールな彼らしくない。

 

その日の夕暮れ主人と何やら話したあなたは今度はこちらが驚くほど穏やかな表情を作るようになった。本当に不思議な子だと驚愕したのを覚えている。

あの時の主人の言葉もあなたに見せる信頼も全て虚偽だと知りながらあなたは鈍感な人間を演じ続けた。単刀直入に言うと愚かだとも思った。

あなたに変化が起きてからもわたしたちはお互いに近づくことはなく、これからもずっと関わることはないと思っていた。今思うとあなたなりの気遣いだったのか。チャンピオンのパートナーという威厳を保つための。

あなたへの見方が変わったのはやはり飛行船での出来事だ。バイバニラやチラチーノの攻撃からパートナーを守る姿にも吃驚だが、それよりも団の長に啖呵を切ったときは戦慄いた。

主人たちの行いはとても褒められたことではないけれど、あなたはそれを良しとし尊んでくれていた。

あなたが投げ落とされて主人の指示通りに助けたのは、もうその時からあなたを好いてしまったのだろう。

 

目覚めたあなたは自分の傷も死にかけたのも忘れてわたしを心配をした。少し驚いた、私にあんな顔を向けるなんて思っていなかったから。わたしがそうだったように、あなたもわたしのことが苦手だと思っていたんだよ。

それからあなたは主人から託されたものを持って、団を追うためのデータを集め、レックウザを助け出すための宝玉を求め、無力ながら右往左往しながらも東奔西走。少しハラハラしたのを覚えているよ。

あなたと短い旅をするなかで一番驚いたことは広い研究所であたながわたしのことを大事だと言ったこと。主人のパートナーポケモンだからじゃなく、私自身を好きと言った。本当に不思議な子だと思ったし、何よりその言葉が純粋に嬉しいと思った自分にも驚いた。

それに加えて、あなたは自分の意思でわたしを主人の元に返してくれると言った。推薦を蹴ってまでレックウザを助けると言った。

 

キーストーンから流れてくる私たちへの無償の愛が、わたしを宥めた。あなたのポケモンが泣き叫ぶほど、あなたを心配していて、昔の主人と私たちを見ているようだったよ。

 

理解させられたよ。甘く見ていた、あなたの揺るぎない決意も誰にも知らず心に宿した覚悟の強さも、ポケモンへの愛も何もかも。

そしてそのとき決めたよ。あの器用で不器用な主人を信じるあなたに力を貸すと、主人たちの意志を守るあなたをパートナーたちの代わりに守ると。あなたと共に彼らに勝ちたい、そう強く願ったのはわたしの意思だ。

これを絆と呼ばずして何と呼ぶ。

 

さぁ、石よ繋げ。わたしとあなたの絆を、ここに。

 

 

……………

 

あの子を利用していることはわかっていた。あの子を見る貴方たちの目が時折見るに堪えないほど悲しそうに辛そうに歪むから。

私の大切なあの子を利用することに怒りを覚えたけど、同時に哀しい役目を背負った人たちだとも思った。そして、優しい人だとも。

だって、利用しているわりにはあの子を危険から遠ざけたり、あの子がカレーを作ることを楽しみにしていたり、不自由なく過ごせるように気を使ったりしていたの。矛盾したその姿に私は何も言えなくなっちゃった、不器用だけど酷く優しい人たちなんだと思ったから。だから、あの子もあなたに利用されることを嬉々として受け入れたのだと。

 

私もあの子の心を救ってくれたことにはとても感謝しています。建前だと分かっていても、その中にでも本音は確かにあって、あの子にとってそれが何よりの救いだったから。

 

貴方たちとあの子の行く末がどうなるのか恐ろしく、危うい貴方たちは見るに絶えなかったけど貴方たちはあの子を信じると言ってくれた。意志を尊重してくれた。

あの子の同じ道を歩み、見守ると言った。あの子が信じ続けた【仲間】になってくれた。

ならば私も貴方たちを信じましょう。あの子が守りたかった貴方たちを守りましょう。

だから、どうか私の力を使ってください。

あの人たちを倒すために。

愛するあの子にまた会うために。

 

私の大好きな貴方たちがまた笑ってくれるように。

 

 

 

今、絆は結ばれたり。

絆よ、私に、私たちに大いなる力を齎せ。

 

 

 

………

 

 

「石よ、絆よ、道を示せ」

 

「石の煌めき、絆となれ」

 

 

「メタグロス/ボーマンダ!!」

 

 

「「メガシンカ!!」」

 

 

 

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