あるトレーナーの話   作:撹拌された抹茶

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これより第2章開幕します。いつも通りシリアス調でお送りしていますので、ご注意ください。
(ほのぼのを書きたい…)


第一章より1ヶ月ほど後のお話で、少女がホウエンに永住済みです。少女の新たなポケモンたちも登場します。楽しんでいただけると嬉しいな。




第2章 少女と人工ポケモンを愛した少年
はじまり


 

 

 

【緊急警報、緊急警報。施設内にいる職員は直ちに屋外へ避難してください。繰り返します。施設内にいる職員は直ちに屋外へ避難してください。】

 

 無機質な警報音が鳴り響く。

 後ろを振り向くと数時間前まで白い清潔な外見を保っていた研究施設は今や炎の赤にライトアップされていて、ガラスが割れる音や人の怒号がより一層事態異常さを引き立ててくれた。

 

「お兄ちゃん!!こっち!!」

 

「!!

ごめんな、もう少しの間我慢してくれ。」

 

 腕の中にいる小さな存在がもぞりと動く。火の煙から守るように布で身体を隠しながら、一分一秒でも早くこの存在をここから遠ざけるために走る。

 

「絶対、絶対、助けてやるからな。」

 

 けたたましい警報音を背に受けて、少年は森の奥へ消えていった。

 

 

………

 

「ご飯だよー!皆んな来てー!」

 

 白いカルデラに囲まれた街、ルネシティ。美しい外見から観光客も多いこの街の一角、生垣に囲まれた大きな一軒家の庭で女の子の声が響いた。

 少女の声に反応したポケモンたちが、少し離れたところにいた子たちすらあっという間に集まった。

 

「あらら、ばてちゃってる。サンド、大丈夫?」

 

 膝に登って涼みだしたアローラサンドを撫でながら、モスノウに優しい吹雪をお願いする。ひんやりとした風が身体に溜まった熱を冷やし、可哀想なくらい赤くなっていた彼女の身体がいつも通りの白いツヤっとした輝きを放った。

 膝の上から降りて、てってってーと他の子たちと並んでご飯を食べ初めてた彼女を見て可愛いなんて思いながら、生まれたばかりの赤ちゃんポケモンと共に縁側に座る。

 

「ほらダンバル、あーん」

 

 ダンバル用に作ったポケモンフーズを1粒1粒手で食べさせる。あー、可愛い。美味しそうに食べてくれるダンバルににこにこと微笑んでいると、ポケットに入ったスマホロトムが着信を伝える。

 

「珍しい、ダイゴさんだ。」

 

彼の名前を聞いた瞬間、ダンバルは食べることをやめて周囲を飛び回り始める。流石にご飯は食べてもらわないと困るのでボーマンダに捕まえてもらい、腕で抱え直しながら通話ボタンを押す。

 

『あ、お嬢さん。すまない、何か用事でもあったかな?』

「電話取るの遅くなってすみません。ダンバルが少し興奮してしまって…この子ダイゴさんのこと好きですから。」

『ふふ、それは嬉しいね。なら丁度良かったよ、今日はそっちに帰ろうと思っていたんだ。』

「本当ですか?」

 

 本当だよとダイゴから返事が返ってくると、腕の中のダンバルがくるくると回る。どうやら嬉しいらしい。

 

『帰るのはいつも通り、夕方くらいになると思う。』

「わかりました。夕食はどうします?」

『そっちで食べるよ。久しぶりにお嬢さんの料理も食べたかったからね。』

「なら頑張らないとですね。」

 

 楽しみにしているよという言葉を最後に通話が切れてしまう。

 腕のなかで興奮するダンバルを撫でながら何を作れば喜んで貰えるかな、なんて考えてボーマンダに寄りかかった。

 

 ふと目を開けると、通話が切れたはずのスマホロトムから再び着信音が鳴る。

 

「なんだろう…?」

 

 手に取って画面を見ると、そこには思わぬ人の名前。

 少し訝しみながら通話ボタンを押す。

 

「はい…もしもし、」

 

 

 

この時はまだ知らなかった。

この先に待っている出会いを。

人の悪意を。

正義を。

 

 

 

 

 

 

 

絶望を。

 

 

 

 

これは愛を知る物語。

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 

 

 

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