あるトレーナーの話   作:撹拌された抹茶

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第2章はオリキャラ多めになるかと思いますので、ご注意ください。





会合

 

「どうも改めまして、エネルギー資源開発イム・エネゼータの社長をしている、エゴムと申します。」

「ご丁寧に有難うございます。私はツワブキ・ムクゲ。デボンコーポレーションの社長を務めさせて頂いております。

そしてこちらが、倅の代理の者です。」

 

 ムクゲに促されるままお辞儀をする。

 ダイゴの代理など恐れ多いが、引き受けたものは仕方ない。幸いなことに、依頼主は驚きつつも憤慨する様子もなくにこやかに受け入れてくれた。彼の横にいる女の子を覗いて。

 

「あぁ、失礼しました。この子は私の娘、ネリアでございます。」

 

 少し仏頂面の彼女は、そんな姿も整って見えるほどの可憐な女の子だった。

 花柄のワンピースに髪を綺麗に結んだ彼女は誰がどう見ても可憐なお嬢様だ。髪に咲く桃色の花が彼女のホワイトブロンドによく映える。

 

(可愛らしい子…。)

 

 憧れているカルネやシロナとはまた違った雰囲気を纏う女の子に、少女はほうっと息をつきそうになる。

 

「ムクゲ様、失礼を承知で申し上げます。」

「どうしたのかな?」

「お父様がご依頼申し上げたのは、ご子息であるダイゴ様のはず。そちらの彼女ではありません。」

 

 背筋が伸びる。

 彼女の意見が最もだ。依頼した人物とは違う人、それも見ず知らずの者を差し出されて、はいそうですかと納得できるわけがない。

 軽率に引き受けてしまった自分にも非があるが、それにしても急すぎる。まずは先方に伝えるべきだろうとムクゲを責めたくなった。

 

「確かに仰る通りです。

しかし、今、倅は少々多忙にしておりまして、依頼を引き受けることは不可能。そして彼女は倅が自身と同等の強さがあると言ったほどです。彼女の腕は折り紙付きですのでどうぞご安心ください。

それに今回の件については倅より彼女の方が適任かと存じます。」

 

 ムクゲの言うとおり、少女のポケモンたちは強い。だが、ダイゴの代わりになるかと言われれば話は別だ。知識も経験も、判断力も何もかもが彼に比べて未熟。バトルの実力を買ってくれているのは嬉しいが、過大評価が過ぎると思う。

 

(ダイゴさんがムクゲさんにそんな風に私を紹介してるなんてことも知らかなった…)

 

「彼女の人間性も保証しましょう。なにせ、この私が彼女を実の娘のように思ってしまう程ですから。

彼女が何か過ちを冒したのであればすべての責任は私が取りましょう。」

 

 言い切ったムクゲにエゴムは、それは素晴らしいと高い声を上げ感心を表す。対するネリアは更に顔を顰めるが、依頼主である自身の父が少女に興味を持ってしまったので難色を示すことが叶わない。

 押し黙った娘を一瞥し、エゴムは少女の手を徐に取る。腕の中のダンバルは頭にハテナを浮かべているが、頭のモスノウがお尻を上げて警戒し出す。

 

「そんな素晴らしいトレーナーの貴女にお願いできるのなら、是非私の依頼を引き受け頂きたい!

どうです、引き受けては下さいますかな?」

「え、っと…」

 

 エゴムの勢いに圧倒されて上手く言葉が出てこない。助けを求めてムクゲを見るが、彼は期待するようにこちらをにこにこと笑ってみているだけで当てにならない。早く答えを出さなければ、モスノウが目の前の彼に何をするのか分からない。

 

(ええいままよ!!)

 

「わ、分かりました。謹んでお引き受け致します…。」

「本当ですか!それは有難い!」

 

 パッと手を離されて、ほっとする。頭のモスノウに大丈夫だと撫でて警戒を解かせてあげた。

 

「それでお前も不満はないな?」

「…勿論ですわ。」

「娘も異論はないということで、改めてお願い申し上げます。」

「は、はい。」

 

 にこにこと人好きする笑みに押されて返事を返す。

 ソファに腰を深くかけて身を少しでも隠すようにムクゲの傍による。おかしい。自分はこんなに男性が苦手だっただろうか。

 これは前途多難かもしれないな、なんて思いながら腕の中のダンバルを撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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