あるトレーナーの話   作:撹拌された抹茶

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レックウザ編の書き直しもしてたので時間かかりました。
あっちも修正順次かけようと思います。


ポリゴンというポケモン

 

 

「出てこい!!俺の、ポリゴン軍団!!!」

 

「は…?」

 

 ぽぽーん!と投げられた5つのモンスターボール。

 

 まさか…と思う少女の思いも虚しく、モンスターボールの赤い光から姿を現したのは、ポリゴンZたちの姿。本当に勘弁して欲しい。生き生きと飛び回るポリゴンZたちの姿に少女は再び目頭を抑えた。

 1VS1のバトルに複数、しかも手持ち全員を出してくることも、しかもなぜ全員がポリゴンZなのかということも、色々と言いたいことがありすぎる。だがどこから突っ込めばいいのか、基本穏やかな性格の少女には自身が声を荒らげそうになることも相まって、もうどうすればいいのか分からなくなっていた。

 

 とにかく、彼に勝ってポリゴンZたちを取り返そう。それ以外はその後だ。そう思うことで少女は心を落ち着けるしかなかったのだった。

 

「…言いたいことは、色々あるけど、さすがに6対1はモスノウに負担がかかりすぎる。」

「あ、おネーサンもポケモン出す?良いよ〜!」

 

 良いよ〜、じゃない。自分はポリゴンZ六匹も出しているくせに。何てやつだ。

 眉が怒りでピクつくが平常心を保とうと少女は精一杯深呼吸したのだった。

 

 モンスターボールをひとつ投げる。

 

「ウルガモス、お願いね。」

 

 六枚の赤い紅葉の様な羽をはためかせる。

 モスノウの周りをぐるりと飛び周り、彼女が無事であることを確かめる。高い鳴き声を出したあたりどうやら無事であることに満足したようだ。

 

「その子たち、仲良いね。」

 

 少年が微笑ましそうに笑った気がした。

 

「さぁ行くよおネーサン!!

 みんな、回れ〜!」

「?」

 

 ポリゴンZたちが輪っかを作りながらぐるぐると時計のように回転し始める。

 一糸乱れぬ動きに拍手を送りたくなるが多分そういうことでは無いのだろう。

 

「秘技!ポリゴントレイン!!」

「意味がわからない。」

「ふっふっふ。ポリゴンたちが一糸乱れぬ動きで円を描く姿を、ポリゴントレインというのだ!」

「見たままってことね。」

「かっこいいでしょ?」

「まぁ…そうだね。」

 

 どんな場面でもポケモンが好きなことには抗えない。どれだけ危ない場面でも微妙な場面でも、好きなものは好きなのだった。

 

「よしよし、掴みは上場…」

「なんの掴み…何もしてこないやら今度は私から攻めるよ!ウルガモス、“虫のさざめき”!」

(しの)、“サイコキネシス”!(こく)、“悪の波動”で迎え撃て!」

 

 羽を震わせ音波を発生させる。

 紫、黒と呼ばれたポリゴンZたちは輪を抜け出して、技を発動させると虫のさざめきを相殺してきた。

 

「さっきから思っていたけど、ポリゴンZたちにニックネーム付けているんだね。」

「お〜、さすが!よく気づいてくれたね!

 じゃぁ、折角だから紹介してあげるよ!」

 

 このタイミングで?

 そう思った少女だが、口に出す前に既に少年は意気揚々とポリゴンZを呼びつけていた。

 やっぱり彼はポリゴンZたちを大切にしているようで、好きが故にポリゴンZを盗み出したのか、それともなにか事情があって保護しただけなのか。

 

(本当に、調子が狂う…)

 

「じゃ、紹介していくね。

 上から(はく)、黒、黄、氷、(すい)、紫だよ!ちなみにリーダーは白!!」

 

 わかるかんなもん。見た目全員一緒なんだぞ。

 普通のポケモンならまだしも、ポリゴンは作られたポケモン。その姿はコピペされたかのように全員が同じなのだ。それを見分けるなど無理難題がすぎる。

 

「じゃ、ポリゴントレイン再開!行けー!奥義、“破壊光線”ガトリング!!!」

「名前安直なのに内容が鬼畜すぎる!!!」

 

 和の頂点に達したポリゴンZから“破壊光線”が発射され、技を放った後はは円を一周するまでにその反動を回復する。そのサイクルを回す様子は名の通り、ガトリングの給弾・装填・発射・排莢の仕組みと酷似していた。

 

(そもそも“破壊光線”自体が強力だって言うのに、それを連射って…戦いずらいことこの上ないなぁ。しかもあの威力、レベルが同じくらいならメガボーマンダの“ギガインパクト”よりも上かもしれない。)

 

 “蝶の舞”で避け続ける二匹を見上げながら、少女はちらりとポリゴンZたちを見る。

 

(やっぱり、あの子だけ…)

 

 “破壊光線”を打ち続けるポリゴンZたちの中で、一匹だけ他と違う子が居る。その子が頂点に来るタイミング、そこが彼らの一番の弱点。あのサイクルを壊す、急所だ。

 

「モスノウ、“吹雪”!ウルガモス、接近して!」

 

 モスノウが身体を翻してポリゴンZたちへ“吹雪”を放つ。“蝶の舞”で高まった攻撃力は圧倒的で、意図も簡単に“破壊光線”を打ち消した。

 吹雪の威力に驚いているポリゴンZたちの隙をつき、ウルガモスはその懐へ入り込んだ。

 

「“炎の舞”」

 

 炎を身にまとい羽ばたいてポリゴンZの身を焼いていく。

 ウルガモス、太陽ポケモンと謳われる通り、その姿は太陽の化身。暖かくも力強い。

 

 崩れるポリゴンZをモスノウが受け止め、公園の草むらへ横たえてやる。

 まさか自慢の“破壊光線”ガトリングが突破されるとは思っていなかったのだろう。少年はぽかんとしていて固まったままだ。

 

「確かに、ガトリングを真似た動きは悪くなかった。でも体勢を崩すのは簡単だし、隙が多いよ。 

 特に、黄。

 その子だけ“破壊光線”の威力が低い。さっきの、“テクスチャー”って技の影響だよね?その子だけレベルが低いってことはないだろうし、突如として“雷”の威力があがって“破壊光線”の威力が低いってことは、技の効果は【タイプ】を変える、かな?

 タイミング、間違えたね。」

 

 淡々と話す少女はやはり歴戦をくぐり抜けたトレーナーのそれで、少年はさらに面食らった表情を見せた。

 大方、少女の“テクスチャー”への見解は合っていて、技も戦法もこんなに早く看破されるとは思っていなかったのだろう。

 少年は俯いて方を震わせた。

 

「へへへ…やっぱり凄いね、おネーサン。うん…もう十分だね。」

「十分…?いったい何を」

 

  いったい何を言っているのか。そう聞きたかった少女の言葉は言い終えることなく、空から降ってきた岩石に阻まれてしまった。

 どこからともなく次々と飛んでくるいくつもの岩石。気づいた頃には少女は岩石に囲まれていて、身動きが取れない状態になっていた。

 

「なっ!これは、“岩石封じ”!?」

「お見事っ!!またまた1ポイント獲得だよおネーサン。さすがだね。」

「いやそんなことはどうでも…って、ポリゴンZを離して!!モスノウ、ウルガモス!!」

 

 少年は草むらへ寝かせたポリゴンZを抱えて少女に背を向ける。

 まずい、あれではポリゴンZたちを連れて行かれてしまう。

 少女の声に反応したウルガモスもモスノウは少年の行く手を阻むために彼のもとへ接近する。ポリゴンZは陣形を崩されておろおろしている。二匹に反応できていない、奪還するなら今しかない。

 

「!?ウルガモス、モスノウ、止まって!!」

 

 ウルガモスとモスノウに影がかかる。

 岩石ではない、何かが空から落ちてくる。ドスン!と大きな音と砂埃を上げてそれは着地した。

 胸部に渦巻きの紋章。青いごつごつとした岩のような体躯、ロボットのようにも見えるポケモン。

 

「ゴビット…!?」

「兄さん、もう十分でしょう。」

「あぁ、ナイスタイミングだよ我が妹。」

「こら!!無視しないで!!」

 

 こちらを一切見ようとしない少年たちに少女は珍しく怒りを抱いた。

 

(というかあの子誰?!今妹って…)

 

 また謎の人物が増えたことに少女は頭を抱えたくなった。兄妹で研究所を襲ったということだろうか。というかあの子妹いたんだ、そんな風には見えないんだけど。いやそんなことはこの際どうでもいい。

 目眩がしそうな情報に頭がクラクラする。

 

「モスノウ、ウルガモス彼らを逃がさないで!」

 

 モスノウが“吹雪”、ウルガモスが“虫のさざめき”で足止めをする。

 

「わー、強いねぇ」

「ゴビット、穴を掘る。」

「またねーおネーサン」

「っ!!サンド、彼らを追って!」

 

 サンドのモンスターボールを投げて彼らの後を追ってもらう。“転がる”で穴に飛び込むサンドに続いてモスノウも穴へ入る。

 穴に入るのを確認してから、岩石の山を超えて地上に飛び降りる。穴の中を覗き込むが中はやっぱり暗くて全く様子が分からない。

 彼女たちだけを危険に晒す訳にはいかないと、穴に飛び込もうとしたところで中からモスノウが現れ、続いてサンドがうるうるとした顔で穴から顔を覗かせる。

 

「サンド、モスノウ!」

 

 中で彼らを見失ったのだろう、申し訳なさそうに俯くサンドを抱き上げて大丈夫だよ、ありがとうとその背中を撫でる。

 

(まんまと逃げられた…いったい何者なんだ、彼らは…!)

 

 がりっと唇を噛む。悔しい。折角、犯人である可能性の少年に出会い、ポリゴンたちを助け出すチャンスだったというのに。モスノウたちだって、頑張ってくれたというのに!

 あわあわと慌て出した彼らを、このなんとも言えない感情を誤魔化すように抱きしめて、少女は空を仰いだ。

 

(ポリゴンZ…いや、ポリゴンというポケモンを、私は知らなさすぎる…)

 

 知らなければならない。ポリゴンを、ポリゴンZという存在を。彼が、本当に悪なのかを。

 

(彼なら知っている…きっと、いや絶対。)

 

 沈む太陽を眺める瞳は煌々と輝いたのだった。

 

 

───────

 

 

「まさかお前から早々に連絡が来るとは思わなかったよ。」

 

 こちらを見ながら澄まし顔の女性は、レッドバイオレットを旎かせる。

 

「突然ごめんね、ヘレン。明後日の面会、今日にしてもらって。」

「いや、気にしなくていい。何とかすると言ったのは私だからな。」

「うん…ありがとう。」

 

 少年を逃した昨日の夕方。少女は直ぐに警察署、厳密にはヘレンに連絡をした。

 要件はただひとつ、

 

「明後日の面会を明日にして欲しい。ダイゴさんには内緒で」

 

 突然の連絡だったにも関わらず、ヘレンは二つ返事で了承した。

 

 彼女は行こう、と言って歩き出す。

 

「それにしても何があった?ツワブキさんにも内緒にしてくれ、なんて只事じゃないんだろう?」

 

 ヘレンは少女の一歩前を歩いていて表情は見えないが、横目でじっと見られていることは、感覚でわかった。

 少女は視線から逃げるように肩を縮こませる。

 

 ダイゴに内緒にして欲しいと言ったのは、それがダイゴに伝われば芋づる式にポリゴンのことが知られると思ったからだ。

 彼に問い詰められた場合、少女は彼を誤魔化す自信が無い。

 ヘレンがダイゴに連絡する可能性もあったが、少女は彼女ならそんなことはしないだろうと思った。そこに理由などなかったが。

 

「…言いたくないなら言わなくていい。お前が理由もなくそんなことを言うようには思えないからな。」

「…ごめん。」

「謝るな。お前に謝られるために私はここにいるわけじゃ無い。」

「じゃぁ…ありがとう。」

「それでいい。」

 

 詮索をしてこない彼女に安心して、同時に申し訳ない気持ちが溢れた。

 

 コツコツと静かな廊下にヘレンのパンプスの音が響く。その音に従って彼女の背中を追いかけていると、ピタリと音が止まった。幾つもある扉が並ぶ廊下の、奥から二番目の扉の前。

 

「ここだ。

 お前と彼の関係は大体ツワブキさんから聞いている。無理はするなよ。」

 

 少女が頷いたのを合図に扉が開かれる。促されるままに扉の向こうへ入ると、そこはテレビをあまり見ない少女も知っているような無機質な内装に、部屋を半分にするガラスの隔たり。

 ドラマと同じなんだ、なんて場違いな感想を抱く少女をヘレンが呼びかける。

 

 私は扉の前にいる、何かあったら呼べ。そう言った彼女本来の優しさが垣間見えて、少女はここに来て初めて笑うことができた。

 

「…久しぶりだね。」

 

 ガラスの向こう側。少しくぐもった声が部屋に響く。

 

「シュオウ…」

 

 かつての敵。理解できないと拒絶した、相容れない存在。

 スペース団ボス、シュオウ。

 

 あの日、ジュンサーたちに連行されていく後ろ姿を見てから一度も会うことはなかった。

 ここに来てから、いやあの事件の日から何かがあったのか、彼の表情は柔らかいものになっている気がした。

 

 部屋に備え付けられている椅子に腰掛け、ガラスの向こうのシュオウと対面する。

 

「元気そうでなによりだ…あの時の背中の傷は…あぁ、いや、そんなことを話すために来たのではないね。すまない」

 

 視線が下に向けられていて目線が合わない。

 謝意の心があるのだろう、ここに来た少女と同じように、彼も少女とどう接するがいいか分からなかった。

 居心地が悪いこの空間を切り裂くように少女が訥々と喋り出す。

 

「今は、ホウエンに住んでいて、知っていると思うけど、フーディンたちは私が、預かってる。

 傷はもう、何ともない、です。」

「…そうか。前も思っていたが、私に敬語は必要ない。ふ…っ…」

 

 少女がもじもじと居た堪れないとばかりに身じろぐので、シュオウはついふっと目尻を下げて笑ってしまった。

 

 初めて合間見えたときの伽藍堂のような目が、こんなふうに緩むようになったんだ。

 目元に薄らとシワがよって、眉もへたりと下がっている。いつかの日に見た、あの写真のような顔。

 少女は少し胸がつきりとした。

 

「今日はいつもの報告だろう?犯罪者にそんなことをする必要は無いというのに。」

「それは貴方がダイゴさんにしか事件のこと話さないからでしょう…」

「はは、そうだね。」

 

 くつくつと笑うシュオウにむっと頬が膨らんだ。

 

 シュオウにとって少女は自身の企みを邪魔した恨めしい存在。本来はそうであるはず。しかし、彼は少女に負の感情を持ち合わせていなかった。勿論、ダイゴにも。

 特に少女は自身のポケモンだけでなく、少女と火花を散らしていたカマスミのポケモン、そしてキレイハナを大切に保護してくれている。その礼としてダイゴや少女には事件のことを包み隠さないと彼は決めているのだ。

 

 少女は基本穏やかな娘である。人へ負の感情を抱くことも少なく、引きずることもない。そのためシュオウやカマスミに害を及ぼされていても、少女はポケモンたちが無事なら何でも良い。だから彼らとのにどれだけの角質があろうと、彼女にとって些細なこと。かつての敵であろうとなかろうと彼女にとってポケモンという存在が幸せならそれで良い。

 

 少女は話した。フーディンやキレイハナたちが今どんな生活をしているのか。どこいて、何を食べ、何をして過ごしているのか。勿論、カマスミのポケモンたちのことも包み隠さず。

 ダイゴからの又聞きではなく、彼らを一番近くで見ている少女の言葉は、鮮明でかつポケモンたちを大切してくれていることがよく分かった。

 

「そっちは、どう?」

「そうだね…彼女とは、あまり話せていないんだ。避けられているようでね。」

「そっか…」

 

 彼に異様な執着を見せていたカマスミ。

 あの一件以降、彼女はダイゴの面会にも応じず、彼とも接触をしていない。刑務官から話を聞くに、刑務所の中でも誰かに関わることもせず、ただひとりで与えられた作業を黙々とこなしているらしい。

 いじめが起きていないことが不幸中の幸いだと、刑務官は言っていた。

 

「それで?」

「?」

「態々面会を今日に早めた理由を知りたくてね。」

 

 やっぱり気づかれていたらしい。

 ヘレンだけでなく、シュオウにさえも訝しまれていることに自嘲してしまった。

 まぁ、自分は人を騙すことに長けている訳でもない。隠せるかどうかなど、最初から答えは決まっていたようなものだ。

 

「ポリゴン、のことを教えて欲しくて。」

「ポリゴン?」

「もしかして、知らない?」

 

 もともと研究者であった彼ならば知っているかと思ったのだが、考えが甘すぎただろうか。

 

「いや、知っている。スペース団を作った時にその存在を知ることがあったが…あのポケモンは一般的には知られないはずだ。それなのに何故?」

「…そのポケモンを助けたくて。」

「と、いうと?」

 

 少女は少し悩みながらも、シュオウに事件のことや、 犯人と思わしき少年に出会ったこと、ポリゴンZと戦ったことを話した。シュオウは手に顎を置き、考える仕草をしながら少女の話を黙って聞いていた。

 

「ポリゴンというポケモンが人に作られた存在、ということは知っているね?

 ポリゴンの能力は?…知らないのか」

 

「ポリゴンは摩訶不思議な存在でね、人やポケモンが必要とする呼吸すら必要としていない。だから酸素がない場所でも生命活動が可能だ。今は人工衛星や宇宙探索機として打ち上げられることもあると聞く。そして何より、彼らの一番の特徴は、」

 

「電脳世界に入れることだ。」

「電脳世界?」

 

 電脳世界、またの名をサイバースペース。コンピュータやネットワークを物理的に例えた仮想空間のことを云う。

 現代では買い物から仕事など、生活の営みの一部を行う場所にまで発展している。

 この電脳世界を三次元的に捉えた空間に街や風景をインプットし、あたかも現実かのように見せる世界をバーチャルリアリティと呼んでいる。

 

「……へぇ。」

「……特に複雑な内容では無いのだが、分かりにくかったかな?」

「自慢じゃないけど、ポケモンセンターの通話機器を使うのに二時間かかったよ。」

「機械音痴にも程がある。」

 

 ポケモンセンターの通信機器なんて幼児でも使える設定にされているはずだ。それに二時間、とは。よく今まで生きてこれたなと言えるレベルだった。

 シュオウは目頭を抑え始めた。

 

「そうだな…我々は遠く離れた誰かに連絡を取るときにスマホロトムを使うだろう?送られたメッセージはデータとして、ネットワークを介して相手のスマホロトムに送られる。

 自分と相手のスマホロトムの間を我々が住む世界のように見立てたものが電脳世界だ。」

「ネットワーク」

「…もうやめておこう。

 ええっと、そうだな…ロトム、と似たような感じだ。」

「あ、なるほど!!」

 

 それで伝わるのか。よくわからないな。

 シュオウは乾いた笑みを浮かべた。

 

「話は戻るが、その謎の少年についてだが、昔に噂を聞いたことがある。」

「!!、教えて、知ってること、全部。」

 

 穏やかだった少女の雰囲気が一変した。

 眼光は強く鋭く。

 

 シュオウは思い出した。そうだ、この子はポケモンのことになると途端に恐ろしくなると。

 くつりと笑みがこぼれた。

 

「話すよ、知っていることは全て。それが君にできる私なりの贖罪だ。」

 

 

 

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