「それで、これから私は何を?」
悪の組織がもう動き出そうというのならば、こちらも本格的に動き出すさなければならない。
「そうだね。君には…今日1日はホウエン神話について知る為に、神話にまつわるところを巡って欲しい。」
「ホウエン神話なら来る途中で調べましたが、、、。それに、そんな悠長にしてる時間があるのでしょうか?」
「うん、まぁ、確かに何時行動するか分からなから、すぐ動けるように準備はしておかなきゃならないんだけど。折角ホウエンに来てもらったし、それにこのミッションにはホウエン神話が大きく関わってくるかもしれないから、逆に知っておいて欲しいんだよね。」
ダイゴが答えに少女はそれならと、納得する。
このミッションの遂行のためには必要なことならば、知っておくべきだろう。
「ホウエン神話を知るには石の洞窟とおくりび山に行くといいよ。」
「何かあれば私とダイゴが動くし、すぐ君にも連絡する。安心して行っておいで。」
ダイゴとミクリの言葉に少女はそれならと頷き、ハウスを後にした。
……
「うわぁ、、、」
少女の口からは感嘆の声が出た。
ここは、石の洞窟の奥。ホウエン神話が描かれた壁画があるところだ。
壁画にはホウエン神話の海と大地が作られた様子が描かれている。海を広げたカイオーガ、大地を広げたグラードン。その昔、対立していたと云われる2体のポケモン。
食い入るように見つめる少女。
『オオイ…キコ……イ?』
「?」
不意にこの場に似つかわしくない音が聞こえる。音の発生源は耳に着けていたノンワイヤレスのインカムだった。
ここに来る前に渡されていた通信機器だ。洞窟の中でも通信が取れるかのテストもここへ来た目的のひとつらしい。
『モシ..シ……コエル?』
『モシモシ…チョット……ゴ……コレ……キコ……』
『エ??マッ………』
耳につけた小型の通信機、もといインカムから途切れ途切れに声が入り少女は大人しく待つ。程なくして鮮明な声が向こう側から聞こえ始めた。
『もしもし?お嬢さん?聞こえてるかい?』
「ミクリさん、でしょうか?大丈夫です、聞こえています。」
『良かった!!ダイゴ、繋がったよ。』
『それは良かった。お嬢さん、もう壁画前かな?』
「えぇ、ちょうど壁画前です。」
『そうか、早かったね。じゃぁ、これからインカム越しで悪いけどホウエン神話について説明しようと思う。』
「え、、、」
『ははは。インカム越しじゃ、神秘性も半減しちゃうよねぇ。本当は着いて行って、直接説明してあげたかったんだけど。ごめんね、余裕がなくて。』
「いえ、、、お話を拝聴させて頂けるだけでも有難いです。」
『ありがとう。じゃぁ、早速始めよう』
カイオーガとグラードン。この2体の大まかな神話は君も調べと言っていたから知っていると思うから、ここは割愛しよう。では、これから話すことはその続き、あまり知られていない伝承だ。
その昔、この自然界ではエネルギーが満ち溢れ、そのエネルギーはカイオーガとグラードンに更なる力を齎した。2体は更なる力を求め、度々衝突をくりかえしては人々を困らせた。
自然界のエネルギーが齎した2体のその姿を人々は【ゲンシカイキ】と称した。そうして、2体のそれぞれの姿を【ゲンシカイオーガ】【ゲンシグラードン】と呼んだ。
『これが、語り継がれることがなかった伝承の続きだ。このゲンシカイオーガ、ゲンシグラードンは少し前に実際に我々の前に現れ衝突した。』
「それはどうしてでしょう?」
『巨石を狙ったのさ。ホウエンの海上に突如現れた巨石によって、さらに力を得るために石を取り込もうとしたんだろうね。』
「その時はどうやって2体は鎮まったんでしょうか?人が太刀打ちできる様子じゃないように感じるのですが…」
『その時2体を鎮めたのは天空から飛来したレックウザだ。メガシンカしたレックウザが2体を鎮めた。僕達は殆ど何も出来なかったよ。』
『本当、このダイゴが手も足も出ないとはねぇ。やはり伝説ポケモン、パワフルだね!!』
「??そうですね。」
『はは、、ここまでで聞きたいことはあるかな?』
「聞きたいことですか、、そうね、ですね、、。」
『ん?何かな?遠慮せずに聞いてくれて構わないよ。』
「それでは、、、ゲンシカイキとメガシンカ。その違いを知りたいのですが。」
『いい質問だね。ゲンシカイキは先程言ったように自然界が齎したエネルギー、自然エネルギーよる変化。一方メガシンカはトレーナーとポケモンの絆によって起こる一時的な超進化。その源にあるのはメガストーンとキーストーンだと考えているよ。』
「なるほど。ではもうひとつ、何故レックウザはメガシンカ何でしょう。ホウエン神話において2体と肩を並べるレックウザは【ゲンシカイキ】ではなく【メガシンカ】。」
『そこか、、、実は僕達もなぜレックウザが【ゲンシカイキ】ではなく【メガシンカ】なのか分かってないんだ。ゲンシカイキしたカイオーガとグラードンが衝突したときも、レックウザは2体のように巨石を狙うのではなく守っているようにも思えた。そこにヒントがあると僕は思う。』
「ツワブキさんたちにも知らないことがあるのですね。」
『神話だからね。どこまでが本当で、嘘なのか分からないんだ。記されているのもそう多くないからね。伝説というのは、そういう物さ。』
少女はそんなものかと、妙に納得した。
『あと他に聞きたいことはあるかな?』
「では、最後に、そもそも巨石というのなんでしょう。」
『ふむ、、、実を言うとこちらも詳しいことはわかっていない。どこで生まれたのか何のために存在したのか、、ただ分かっているのは絶大なエネルギーを秘めた物ということ。ある者はこれをメガシンカの根源に関わると考えたそうだ。』
「メガシンカの根源、ですか。教えてくださってありがとうございます。もう大丈夫です。」
『じゃぁ、次はおくりび山行ってもらおうと思っていたんだけど、どうする?もう少し見ていくかい?』
「そうですね、、、。いえ、おくりび山に向かいます。」
『そうかい?ゆっくりしてもいいんだよ?』
「大丈夫です。」
少女は壁画をもう一度ど眺める。
【ゲンシカイキ】ではなく【メガシンカ】するレックウザ。その違いはなんだろうか。
そこに何か大きな事象があるかもしれない。