少女はミクリからおくりび山、2つの宝玉の説明を受けたあと再びボーマンダに乗り空を飛んでいた。
『さ、これでホウエン神話に関わる2つの場所は観れたね。お嬢さん、行きたいところはあるかい?』
「いえ、特には。ここまま帰ろうと思っておりました。」
そうかい、了解。とミクリから返事が帰る。
おくりび山からルネシティは比較的近く、そこまで時間はかからない。少しの余暇時間だ。
早朝に空港に着いてからかなりの時間がたち、もう既にお日様も頭の上を通過していた。慌ただしいという訳でもないが、初めての地方に来たばかりだからか、少女は少しの空腹感と疲労感を感じた。
『あ、ルネに帰ってくるならお昼を一緒に食べようか。』
ミクリがお昼をとっくに過ぎていたことに気づきお昼を食べようと誘ってくる。少女は特に断る理由もなく了承すると、ふと南の方にある建物に目がいった。
「ミクリさん、今おくりび山とルネの間くらいを飛行しているのですが、南の海の方に塔みたいな建物が見ます。あれが何かわかりますか?」
南の海、キナギタウンの東の131番水道に塔が建っていた。空港からルネシティに向かう際は何故か気づかなかった。
『南の海の方?、、、あぁ、【そらのはしら】だね。』
「そらのはしら。」
『そこがどうかしたのかい?』
「、、、」
『お嬢さん?』
ミクリが声を掛けても少女はうんともすんとも言わなかった。少女はその塔から目が離せず、何故か途轍もなく心がざわついていた。
塔に目を奪われている間も、ミクリは少女を呼びかけていて、様子がおかしいと異変に焦りを覚える。
『お嬢さん?あれ、もしかして聞こえてない?』
『ん?何かあったかい、ミクリ。』
『あぁ、ダイゴ。お嬢さんが何も言わなくなってしまってね。通信が悪くなってしまったのかな。』
『うん?そうなのかい?…お嬢さん、聞こえてるかな?』
ダイゴが少女に声をかけるがやはり返事がない。
『おーい、お嬢さん。』
もう一度声をかける。
「!!」
流石にこれほど声をかけられると少女も気づいたのか慌てて返事を返す。
「すみません、どうかされましたか。」
『あぁ、いや。お嬢さんが何も話さなくなったから、通信が悪くなったのかと。』
「いえ、大丈夫です。少しボーッとしてしまいました。申し訳ないのですが、行きたいところがたった今できまして、そこへ向かいたいのですが宜しいでしょうか。」
『そうなのかい?なら』
『いや、今日はやめておこう。』
ミクリがいいよと了承する前にダイゴが横から待ったを掛けた。
『君は今日、ホウエン地方に来たばかりだ。石の洞窟やおくりび山にも行ってもらったから疲れているだろう。今もボーッとしていたと言っていたし、今日はもう帰っておいで。』
「、、、承知しました。」
そらのはしらはいしの洞窟などとは違い、整備がされてなく床もボロボロで人が入るには少々危険なところであった。加えてダイゴが言った通り少女は今日、ホウエン地方に来たばかりでホウエン地方の暑い気候にも慣れていない。少女が旅したことのあるアローラ地方も南国であるため暑いがホウエン地方とアローラ地方とは違う暑さであるため、やはり来た初日は無理しないに越したことはない。もし、熱中症などになって倒れてもそらのはしらは無人であるため助けが来ない。つまり、ダイゴは少女の身を心配して少女の希望を却下したのだ。それに少女もわかったのか素直に頷いた。
ルネシティのハウスに着いた少女はボーマンダにお礼を良い一時モンスターボールに戻した。
ハウスの扉をノックし、入る。
リビングの方へ向かうとそこにはダイゴがソファで資料を広げているだけでミクリの姿はなかった。
「あぁ、おかえり。お疲れ様、疲れただろう。」
「ありがとうございます。ミクリさんはどちらに?」
「ミクリならさっきジムの方に行ったよ。ご飯を受け取りにね。」
「あぁ、ジムの方で作ってもらっていらっしゃるんですね。」
「まぁね。僕もミクリも全く作れないという訳でもないんだけど、僕はミッションの他にもチャンピオンとしての仕事もあるし、ミクリもコンテストマスターだからね、自炊できるほどの時間の余裕が無くて。」
「それでジムの方で作ってもらって置いた方が良いってことになったんですね。ミクリさん、元ジムリーダーですし。」
「そういうこと。」
「でしたら、先にポケモンたちにご飯をあげてもよろしいでしょうか。」
少女はダイゴが頷くのを確認するとカバンからポケモンフードとお皿を出し、ポケモンたちの昼食のために外へ向かった。
ポケモンフードを準備しポケモンたちをボールから出すとホウエン地方の気候にだれる子も居れば、テンガン山で湯たんぽになってくれたブースターや元々暑い気候の地方にいた子は元気に走り回っている。
少女はそれぞれの反応にくすりと笑いながら、今日1番頑張ってくれたボーマンダに近づき、労りの気持ちを持って優しく撫でる。
「ボーマンダ、1日ありがとうね。いっぱい飛んで疲れた?今日はもうどこにも行くことは無いだろうからゆっくり休んでね。」
少女に撫でくりまわされてるボーマンダは気持ち良さそうに目を細め自ら少女の手に頭を擦り付けてた。少女はその様子に口元を抑え悶えた。