【悲報】クソ馬鹿、藍染隊長になる   作:悲しいなぁ@silvie

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滅茶苦茶書くか迷いましたが投稿します
俺は気持ち悪いザエルアポロが好きなんだ!!


狂気の破面

 

世界一嫌いだと言ってくれ

何でも良い貴方の一番だと

 

 


 

 

───見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)───

千年前の死神達との戦いに敗れた滅却師達がその身の回復と自身らの王の復活を果たす為に仇敵である死神達の居城の影に創り上げた帝国である。

その存在は尸魂界始まって以来と言って差し支えない天才、浦原喜助にも

史上最も滅却師を解剖したと言って差し支えない天才、涅マユリにすらも

一切を感知させる事なく千年の時を過ごさせた。

ひとえに、思考の虚をつく大胆さと霊子を以てして創り上げたその緻密さ故である。

そして、そんな滅却師達の聖域を一人の破面が悠然と歩いていた。

 

「やれやれ…人が態々滅却師共は後で研究のサンプルにするからできる限り壊すなと伝えたのに

全く……あの莫迦共が」

 

そこら中に散らばる滅却師達の肉片をつまみ上げながら嘆息するこのピンク頭の破面こそが──見えざる帝国、その千年の平穏を破りし狂気の天才──第7十刃ザエルアポロ・グランツである。

ザエルアポロは肉片達から幾つかの細胞や血液をサンプリングすると興味を失ったようにそれを投げ棄て、再び歩を進める。

 

「はぁ、こんな事なら僕の従属官だけでも連れて来るべきだったか…

大体、僕以外の十刃は戦いに()が無くて困る

血やら脳漿やらをぶち撒けてそこら中を臓物塗れにするなんて…こんな低俗な輩と僕が同じに見られるなど目眩がするよ」

 

ブツブツと呟きながら目についた肉片や血溜まりから適当にサンプリングを続けるザエルアポロ。

しかし、その頭上に幾つかの影があった。

さして鍛えてもいない自身の探査神経(ペスキス)にすら引っ掛かる程の巨大な霊圧にザエルアポロは億劫そうに顔を上げる。

 

「………はぁ、僕は科学者でね

見ての通り戦いはニガテなんだ……見逃してはくれないかい?」

 

「逃げた先にも破面かよ…でも、今度の奴はなんとかなりそうだな」

 

金髪の表情に乏しい滅却師──“G”の聖文字を賜った星十字騎士団が一人リルトット・ランパードは眼下の破面を油断なく警戒しながらそう吐き捨てる。

 

「さっきのと比べたら霊圧も全然少ないねぇー」

 

リルトットに同意したのは同じく“Z”の聖文字を持つジゼル・ジュエルだった。

しかし、ジゼルのその表情はリルトットのような侮蔑ではなく安堵だった。

それもその筈、彼女達はつい先程突入した十刃達の本隊──第0十刃ヤミー・リヤルゴと第2十刃コヨーテ・スターク達の近寄るだけで生命の危機を感じる程の圧倒的な霊圧をその身に刻まれたばかりであった。

 

「なんだって良いわ!あのデカいのの仲間だって言うならあたしの『爆撃(ジ・エクスプロード)』でブッ壊してやる!」

 

憤怒の形相でヒステリックに叫ぶのは“E”の聖文字を持つバンビエッタ・バスターバイン。

十刃達の突入箇所に居合わせた為にヤミー・リヤルゴの帰刃にて真正面から完膚なきまでに打倒され屈辱的な敗北を喫した事実に腸が煮えくり返る思いでザエルアポロを睨みつける。

 

「あの小煩いのには見覚えがあるな…

ヤミーめ、仕留め損なったな…第0十刃が聞いて呆れる」

 

ザエルアポロは3人の滅却師達が話の通じる程に冷静でも賢しくもないと判断するや否や戦闘に備え自身の斬魄刀に手を掛け──

 

「あんたら…その刀が無いと力が使えないんだってね!!」

 

「なっ!?ぐあっ!!」

 

その右腕ごと斬魄刀を爆破された。

聖文字─“E”─(The Explode)その能力は自身の霊子を打ち込んだ対象を爆弾化させる防御不能の一撃である。

破面の斬魄刀とは、破面化する際に虚としての力の『核』を刀剣状にして封印したもの。

故に、折れたり激しく損傷した場合に於いては自身に虚本来の肉体と攻撃能力を回帰させる帰刃(レスレクシオン)の使用が不可能となる。

当然ながら高い霊圧を持つ破面、その頂点たる十刃達の斬魄刀の霊的強度は想像を絶するものであり通常の戦闘で傷付く事など想定すらされない。

しかし、ザエルアポロは今正にその無用心の代償を支払った。

自身の右腕と共に斬魄刀が爆破されたザエルアポロはこの時点で自身の帰刃を封じられた状態で頭上に陣取る3人の星十字騎士団達から逃亡ないし勝ちを奪い取る必要がある。

 

「…そう言えばあの耄碌爺(バラガン)がそんな講釈を垂れていたか

しっかり聞いて活かせるなんて……猿程度の知能はあった訳だね」

 

驚いたよ、とザエルアポロは余裕を崩さずに嗤う。

今も尚右腕を喪った肩口からは止めどなく血が噴き出しているというのに、ザエルアポロは3人を嗤う。

 

「所詮は女王アリ(ユーハバッハ)の命令でしか動けない、群れるだけが能の働きアリ程度の知能と思っていたんだが…いやはや失敬

お詫びに角砂糖でもあげようか?」

 

「殺す!!」

 

そう言いながら胸元に向かった左手をバンビエッタは爆破する。

青筋を立て、歯を剥き出したその顔は正しく憤怒の形相だった。

 

「あぁ、これはこれは…僕とした事が

女王アリの命令が無いとそんな事も出来ないんだったね

ごめんよ、配慮が足りなくて」

 

人を虚仮にするという点に於いて、他の追随を許さない事が一目で見て取れる顔で嗤うザエルアポロにバンビエッタは遂に飛び掛かる。

手に持っていた霊性兵装を弓から剣に替え、ザエルアポロの軽薄な笑みを斬り捨てる為に振りかぶる。

元々が短気なバンビエッタの中で殺意が警戒を上回った為に起こした短慮ではあったが、彼女を責める事は難しい。

事実、ザエルアポロは斬魄刀を失い剰え両腕をも喪っている。

感知できる霊圧も出血と共に目減りしていく。

その姿を見てまだ警戒し続けろと言うのは少し無理があるだろう。

だからこそ、この場で最も冷静だったリルトットはバンビエッタに向かって叫んだ。

 

「行くな!止まれ!!噴き出してる血の量がおかしい!」

 

「え?」

 

リルトットの言葉に一瞬だけ躊躇したバンビエッタは空中で剣を振りかぶった状態で止まる。

 

「おや──こんなにも早く気付くとは思わなかったよ

まぁ、もう遅いけどね」

 

ザエルアポロは軽く跳ぶと自らバンビエッタの振りかぶっていた剣に身体を突き刺した。

 

「───ッ!?な、何を─」

 

「さて──君達に、僕の研究成果を見せてあげようじゃないか

虚圏一の科学者たる僕の研究成果を見れるなんて、中々の幸運だよ?今日この時を迎えられた幸運に感謝すると良い」

 

反射的に剣を振り抜いたバンビエッタはザエルアポロの返り血を全身に浴びる。

斬り捨てられたザエルアポロは胸から下を喪いながらも未だ嘲笑を消さずに語り続ける。

 

「と言っても、この能力は未だ発展途上でね

君達に見せるコレが終着点などと勘違いだけはしないでおくれよ?」

 

「あ──ぐ、気持ち悪い…!!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!さっさと死になさいよ!化け物!」

 

自身の能力で死に体と言って良い状態だったザエルアポロを文字通りチリ一つ残らず吹き飛ばしたバンビエッタは全身に浴びた返り血に顔を歪め、嫌悪感を隠そうともせずに気持ち悪いと呟きながら必死に拭う。

 

「………おかしい

あいつがあの場面で俺らを煽る意味が無い

それに──あいつの出血、あれはどう見てもあいつの身体に入ってる血より多く噴いてた

……どういう事だ…?なんかあると思ってたのに消し飛んじまったし──」

 

「全く、説明の途中だと言うのに…

これだから…君達のような低劣種は嫌いなんだ」

 

意味深な言動の割にあっさりと消滅した破面を不審に思い思案していたリルトットの後ろから、そんな声が聞こえた。

ソレは聞き覚えのある声──間違い無く、()()()()()()()()()()()()()()()()であった。

 

「元々、この能力は僕の帰刃─邪淫妃(フォルニカラス)─が持つ権能の一つだったんだ

全く、少し昔の自分とはいえ…この頃の僕は本当に愚かで低劣な正しく愚物だったよ

自身の研究成果に酔い、その先を思考する事を放棄して完全等と宣う

思い出すだけで噴飯ものさ…我が事ながら縊り殺してやりたいくらいに腹立たしい

だけど、我らが慈悲深き魔王様はそんな白痴にすら目をかけて下さってね

嗚呼!!今でも忘れられないよ…魔王様が僕に下さった下知はね!」

 

振り向いたリルトットの視線の先には確かにバンビエッタが立っていた。

しかし、その顔は下品なまでに蕩けきっており情事の後かと見紛う程に紅潮していた。

口角からは唾液が流れ、眼は焦点が合っておらず、口からはだらりとだらし無く舌が垂れていた。

 

「バンビ…エッタ……だよな…?」

 

「バンビちゃん……?どうし──」

 

リルトットとジゼルは様子のおかしいバンビエッタに声を掛け──

 

「魔王様は僕にこう仰られた、『クワガタってカッケェよなぁ…俺のクワガタカッケェってのをいつだって超えてくんだもん!!グラちゃんもそう思わねぇ?』と!」

 

「「………は?」」

 

意味不明な返答に揃って頓狂な声をあげた。

 

「この意味が解るかい!?

まず、完全変態であるクワガタは帰刃を通して姿を変える僕のメタファーに他ならない!

そして!カッケェとはその有能さを表している!!

つまり!この言葉の真意とは僕の帰刃の能力を賞賛されながらもその賞賛、そして自身の想定すらも超える成長を!その先を見せてみろという魔王様からの激励だ!!!

先を目指す事を忘れた愚かな僕に対する魔王様からの激励…

嗚呼!!なんと慈悲深き事か!!」

 

バンビエッタは両眼から止めどなく涙を流しながら地に跪き祈りを捧げる。

 

「そしてぇ!!その真意を隠される事で僕に気付きを与えながらも自身は何も言っていないとかぶりを振られるのさ!!

君達低劣種にも理解るだろう!?我らが魔王様のなんと思慮深く、寛大である事か!!

英華発外!金声玉振!!古今独歩!!!秀外恵中!!!!

現存するありとあらゆる言語を用いたとしても形容する事すら烏滸がましい!魔王様にとっては、あらゆる美辞麗句がクソにも満たない!

何故なら魔王様のありのままを言うだけでどんな美辞麗句すらをも上回ってしまうからさ!!

魔王様万歳!藍染様万歳!!藍染惣右介様万歳!!」

 

一息にてそう叫びきるとバンビエッタはようやく二人の方を見る。

 

「……ところで、なんの話だったかな?

…あぁ、そうそう…僕の能力についてだったね

コレの名は─受胎告知(ガブリエール)─…生と死の垣根を取り払う、僕の自慢の能力さ」

 

怒涛の情報量に脳が追い付かず遠くを見るジゼルを放ってリルトットは冷や汗を流しながらバンビエッタを──否、()()()()()()()()()()()()睨みつける。

 

「バンビエッタを…乗っ取ったのか…っ!!」

 

「乗っ取る?……ふむ、君達からはそう見えているのか

残念ながら実態は大きく異なる…受胎告知は相手を乗っ取る能力では無く、相手に僕を孕ませる能力さ」

 

「孕ませ…げぇーっ!!こいつ…アタマヤバいよ!!」

 

ザエルアポロの言葉で我に返ったジゼルは自身の身体をかき抱きながら震える。

そして、リルトットは更にその先──悍ましい事実に気付いてしまっていた。

 

「お前…何だよ、その霊圧は……

それじゃ──まるで(ホロウ)じゃねぇか!!」

 

自身が立っているのか、それとも這いつくばっているのか…それすら不安になる程の悍ましい霊圧

ソレは良く見知った滅却師の霊圧と感情などですらない、細胞単位…魂魄単位での天敵である虚との霊圧が入り混じった──感じるだけで吐き気を催す醜悪な霊圧だった。

 

「最初は、母体の霊圧を奪い取り自身の霊性因子を復元するだけだった」

 

リルトットの反応に機嫌を良くしたのか、ザエルアポロは嗤いながら語る。

 

「だが…ある時、僕のこの能力を飛躍させる素晴らしいインスピレーションと出逢ったのさ

君達も知っての通り、我らが魔王様は尸魂界一の料理人でもあらせられるが…ある時、僕らに振る舞って下さったとある料理

ソレが、受胎告知を進化させたのさ」

 

ザエルアポロはそう言うと口に手を差し込み、ナニカを引きずり出した。

大きさにして、タバコの箱程度の小さな塊。

少し離れたジゼルにはソレが何か分からなかった。

しかし、ザエルアポロの正面に立つリルトットは否が応にもソレが何であるかを理解してしまった。

 

()()()()()…本来ならば硬く、口に残る為に食用に適さない魚類の中骨を油で揚げる事で食べ易く且つ美味にする料理

僕は、またしても我らが魔王様の叡智に助けて頂いたのさ

受胎告知の発展に行き詰まっていた僕への助け舟…ソレを御自身の得意な料理で為されるとは、実に機知に富んだ素晴らしい御厚意だよ

つまり、魔王様はこう仰られたのさ─霊圧だけを奪うなど生温い─とね

骨せんべいのように、余す所なく…全てを自身の糧にせよ

なんと素晴らしく、そして美しい……僕のこの感動が理解るかい!?いや、解る訳が無い!!

君達にソレが理解出来る筈が無い…が、此処は研究発表の場だ

少しだけ説明してあげようじゃないか

この進化した受胎告知は母体の全てを奪い取り、僕の糧とする

母体を構成する霊性因子、DNA、霊圧、その他五十八の要素全てを──母体を構成する総ての情報を僕に取り込み、僕と母体双方の特性を併せ持つ新たなる生命として生まれ変わる

まぁ、その過程で母体は()()()()訳だが」

 

ザエルアポロの手に握られたナニカ。

ソレは──苦痛に顔を歪めたバンビエッタの木乃伊だった

 

「てめぇ!!」

 

リルトットは、決して目の前の傲慢な少女と仲が良かった訳では無かった。

まして、こんなにも悍ましい相手に命懸けで挑む事を即断する程の仲では断じて無い。

だが─それでも、リルトットは仲間の為にザエルアポロに斬り掛かった。

 

「知能の低い個体だな…サンプルは君以外から採るとしよう」

 

ザエルアポロの冷めきった言葉と共に、リルトットだったモノはその上半身を喪い倒れ伏す。

 

「い……今の…バンビちゃんの……!」

 

ジゼルは、目の前で爆発したリルトットを見て震える。

その攻撃は…その破壊は…その()()は…

バンビエッタ・バスターバインのジ・エクスプロードに他ならなかった。

 

「言ったろう?母体と僕、双方の特性を併せ持つとね」

 

ザエルアポロはそう言うと手に持っていた木乃伊を再び口に放り込むとバリバリと咀嚼して呑み込む。

そして、ゆっくりとジゼルの方に歩み寄っていく。

 

「ところで…君、男だろう?

丁度いい……実はとある事情でね

この受胎告知は男にも僕を孕ませる事が出来るようにしてあるんだ

だが──霊王の因子を持つ存在に有効かまでは実験出来ていなくてね

銀城空吾を捕獲した暁にはと思っていたんだが…その前に君で試させてくれないか?

なに…僕の素晴らしい研究の礎と成れる栄誉に対する感謝なら不要さ

なにせ──僕は見ての通り、善意が服を着て歩いていると評判なんだ」

 

「あ……あ…嫌……イヤ…」

 

「遠慮する事は無いよ

確かに、君のような低劣種には過ぎたる幸福だが…そうやって歓喜に打ち震える姿を見せてくれれば充分さ」

 

ジゼルは泣きながら這うように逃げるも迫りくる狂気に追いつかれる。

ジゼル・ジュエルが最期に見たのは引き裂かれたように歪んだ、見知った見知らぬ笑顔だった。

 

 


 

 

「んー…知能は低いが、見目は中々悪く無いな」

 

ザエルアポロは今しがた手に入れた三人分の顔を寸評しながらまるで粘土細工のように自身の顔を成形していく。

 

「コレは…?いや…もう少し鼻を高く……それとも少し団子鼻の方が……」

 

ブツブツと呟きながら血溜まりの中でザエルアポロは嗤う。

 

「嗚呼…我らが魔王様

貴方は……どんな僕なら抱いて下さいますか?」

 

その顔は狂気に染まった気狂いのようで

恋に胸を踊らせる少女のような笑顔だった




ザエルアポロ・グランツ
本作のヒロイン枠()
抱かれたいし孕ませたいという倒錯した感情をぶつける変態
なお、ぶつけられてる当の本人はまるで知らない
普段はセコム(バラガン、ウルキオラ、スターク、ドルドーニ)が頑張っている為彼のイタズラは未然に防がれている
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