「あの日、わたくしの家族は突然野盗に襲われ、家族を……
「!」
しばらくして、デュバリィは再びリョウに対して自分の過去を語り始めた。
「当時のわたくしは何が起きたのかよく分からず、ただ両親の亡骸の前で呆然としていました」
「…………」
「燃え盛る屋敷から逃げ出そうとしても、足腰に力が入らず、わたくしはただ床に座り込むことしか出来ませんでした……その間にも、家族を殺した野盗はわたくしに近付いてきて……」
「…………」
「……その野盗達は全身から身の毛がよだつ程酷い体臭をまき散らしていて……その殆が、私を慰み者としてしか見ていませんでした」
「っ! …………」
「その時です。私がマスターと出会ったのは」
「…………」
(マスター……今までの彼女との会話の中で何度か出てきた人物だが……結社の人間なのか?)
「マスターは、その圧倒的な力でわたくしの目の前にいた野盗達を、次から次へと吹き飛ばして、わたくしを助けてくださったのです」
「…………」
「その御姿はまさに聖女そのもので……私は、命の恩人であるその人と共に生きていくと決めました」
「…………」
「その後はマスターのお力になりたいと、少しでもマスターに近付きたいと思い、わたくしは毎日血の滲むような修行を重ねてきました……今回の修行もその一環です」
(そうか……そういう事だったのか……)
リョウは今まで不思議に思っていた、
彼女自身は何も罪など無かったのだ。
ただ、
そういうことだったのだ。
「なるほどね……デュバリィさんのこと、少しだけ理解出来たよ」
「…………」
「でもその修行……多分、理由はそれだけじゃ無いでしょ?」
(っ! ……本当に、何もかもお見通しですのね……)
そして彼女は、先程彼に見せた涙の理由と共に、自分が行っている修行の真相について話した。
「赦せないのです……野盗に襲われた時に、何もできなかった自分の不甲斐なさが……」
「それを払拭したいがための修行。ってこと?」
「そうです……マスターの為にと自分に言い聞かせて修行を行っていますが、本当はただ自分が赦せないだけなのです……」
「そして、修行をすればするほどに強くなっていく自分を、
「……本当に、貴方には隠し事は出来ませんわね……」
デュバリィは、どこか諦めた視線でリョウを見つめてきた。
だが、その顔には苦しそうな表情は一切なく、小さく微笑んでいた。
そして、
「その通りです……修行をしていけば当然強くなって行きますわ……そして、強くなった時に何時も考えてしまうのです……どうして家族を守れなかったのだろうと」
「…………」
「頑張れば強くなれたのに! 私が……私が多少なりとも剣を握っていれば! お父様とお母様は!! ……死なずに済んだかも知れない……と……」
(戒めの為に剣を握ったつもりが、自分に剣の才能があると気付いたことで、逆に彼女を苦しめる事になってしまったのか……)
デュバリィは再び目に涙を浮かべていた。
(ずっと……本当にずっと抱え込んでいたんだな……四年間もの間、誰にも告げることなく、たった一人で……)
「話してくれてありがとう……その、こんな事言ったら、君はまた怒るかもしれないけど……」
「…………」
「今まで……
「……ウウッ……グスッ!」
「大丈夫だよ……もう、
「アァァァ…………うぁぁぁん!!!!」
デュバリィは、再びリョウの胸の中で涙を流した。
それまでの苦しみを洗い流すかのように…………
──────────────────────
「大丈夫かい?」
リョウの胸の中で再び泣いてしまったデュバリィであったが、泣き止んだその顔は先程までとは違い、晴れ渡っていた。
「ええ、もう大丈夫ですわ……その、また見苦しい所を見せてしまいましたね」
「そんなことないです。泣きたいときは、泣いてもいいと僕は思うんですよ……そして泣いたあとには、また前を向いて歩いていく。人生って、その繰り返しだと思うから」
リョウは、何処か遠くを見つめる様な表情でそう告げた。
そして、その表情を見抜くことができないほど、デュバリィも鈍感ではなかった。
その言葉を告げた直後にリョウの顔を見たデュバリィは、彼の瞳の奥に
(もしや……この男も過去に何か? ……)
リョウの瞳の光を見たとき、デュバリィは彼の過去について聞いてみたくなっていた。
自分の過去を話して、それを優しく受け止めてくれたこの男にも、自分と同じように辛く、苦しい過去があるのではないか? そして、もしそれが本当の事で、彼が自分と同じように過去の体験に苦しめられているのなら、
「その……」
「うん?」
「貴方も過去に…………いえ、何でもありませんわ」
だが、デュバリィは彼の過去を聞き出すことは出来なかった。恥ずかしさではない。
先程まで自分の事で精一杯だった自分が、はたして彼の話を聞いても受け止めることが出来るのか、自身がなかったのだ。
否、彼の過去を聞き出すだけの
「…………」
「…………」
二人の間に、再び長い沈黙の時が訪れる。
結局、その後二人は何か言葉を発するわけでもなく、ただ静かにお湯に浸かった後、暫くして同時に温泉から上がり、それぞれの部屋に帰ってしまった。
拳で抵抗する男という設定。増やしてほしい? 減らしてほしい?
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もっと多く!
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今のままで良いよ
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減らして欲しい。
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消して欲しい。