SC編、始動です。
第十四話 一ヶ月ぶりのリベール来訪! …でも早速暗雲が立ち込めているみたいです
七曜暦1202年、11月中旬。
リベール王国、ボース市。
リョウが旅立ってから三日が経過した。
初日はユミルから帝都に、二日目は帝都から帝国最南端の街パルムに、そして三日目にパルムから国境を越えてリベール入りを果たした。
そして彼は今、リベール最大の商業都市、ボースに訪れていた。
ボースは帝国から最も近いリベールの都市で、帝国から数多くの品が運ばれてくる。
昨日滞在したパルムは紡績が盛んに行われている街だった。そこから運ばれてくる大量の布製品も、この街では数多く流通しているようだ。
そんな街に訪れたリョウは現在ボース市内にある高級ホテル、フリーデンホテルに居た。
旅の疲れを癒そうと、ホテルの庭に
「遅いですわよ!」
リョウは、本来ここに居るはずのない人物と
「……えっ?」
「まったく……心配して追いかけてみれば、まさかわたくしの方が先にリベール入りを果たしてしまうとは……一体どこで道草を食っていたんですの!?」
「……えっ??」
銀色に光る甲冑。可愛らしいお団子ヘアー。
リョウが知っている人物で、その特徴に合致する者は一人しか居なかった。
(どうして……どうしてデュバリィさんがこのホテルに居るんだ!?)
リョウ・スメラギ。人生初の女友達と三日ぶりの再会を果たす。
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「えっと、デュバリィさん。で、間違い無い……よね?」
リョウは恐る恐るという感じで目の前に立つ女性に話しかけた。
もしかしたら自分の勘違いなのかもしれない。そんな淡い期待を込めての発言だったのだが。
「はぁ? 貴方、何処に目ン玉付いてるんですの? ご存知の通り、わたくしは神速のデュバリィですわ!」
(やっぱり本人か)
残念ながらその期待は彼女の発言によって破壊された。
(先に出立した僕より早くリベールに到着するとは。流石に神速の異名は伊達じゃない……って、そういうことじゃないよな)
リョウは彼女が自分の元へやって来た理由につい考え始めた。
(どうしてここにデュバリィさんが来る? 一緒にリベールの観光でもしたくなったとか? でも、基本的に立ち寄るのはツァィスとエルモの二箇所だけだし。他に行くとしてもグランセル城がある王都か、エステル達が居るであろうロレントくらい……本当に何しに来たんだ?)
リョウとしては
「確かに次はリベールに行くとは手紙に書いたけど……どうして来たんだい?」
「……ここでは人目に付きます……そのことに関しては追々……」
(追々って……どういう事だ?)
ホテルの受付付近では話せないような、そんな大それた理由でもあるのだろうか。
この時のリョウには何もわからなかった。
「さあ! 急いでチェックインを済ましなさい!」
「あ、はい……」
(一体何がどうなってるんだ? 全然話が見えないぞ……)
結局この場では答えの出なかったリョウは、デュバリィに急かされる形でホテルのチェックインを済ませるのだった。
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「それで? どうしてここにデュバリィさんがいるんですか?」
ホテルへのチェックイン後、荷物を自分の部屋へ運んだリョウは、デュバリィの部屋へとお邪魔していた。
彼女の部屋はリョウが泊っている部屋と同じ等級なのだろう。変わった所は特になく、形も全く同じだった。
そんな部屋にデュバリィから呼び出されたリョウは、早速彼女がここに来た理由を聞き出そうとした。
「その前に……リョウ。貴方、この地で一体どうするつもりですの?」
「へ?」
が、逆にデュバリィから聞き返されてしまった。
(いや、こっちが聞きたいんだが……手紙にも書いた筈だよな?)
リョウは先日ユミルを旅立つ前にデュバリィの枕元へ置いてきた例の手紙の内容を思い出した。
(お世話になった人達への挨拶って書いた筈だけど……おかしな所でもあったかな?)
例の手紙に書いた内容をデュバリィがどのように解釈したのかは分からないが、別に変な事を書いたつもりはなかったリョウは、彼女が何故そんな質問をしてくるのか理解できなかった。
「えっと、お世話になった人達への挨拶周りを」
「ハァ……」
「えっ!?」
(なんか溜息つかれたんですけど!?)
デュバリィはリョウの言葉を最後まで聞かず、大きな溜息を吐き出すのだった。
「もしかして、ユミルで何か事件でも起きたの?」
もしかしたらユミルで何かあったのかもしれない。リョウは、デュバリィにユミルで何か事件でも起きたのかと話しかけた。
緊急事態だというのに呑気に旅をしている自分に怒っているのだろうか? そう考えたリョウだったが、彼女は呆れ果てた表情はしていたものの、特にリョウに対して怒っている様子ではなかった。
「いえ、ユミルでは何も起きていませんわ。もっとも、あの手紙を読んだ直後にわたくしもユミルを旅立ちましたから、この三日間の間に何か事件が起きている可能性も否定出来ませんが」
「はあ……」
どうやら彼女は例の手紙を読んだ後にここへ来たようだ。だとすると、やはり自分の目的等はすでにデュバリィも知っているということになる。
(ということは、彼女がここへ来た理由は別にある?)
リョウがリベールにやって来た理由を、デュバリィは既に手紙で理解している。
それにもかかわらず、彼女は
それはつまり、リョウの目的を知ったうえで再度確認したいほど、
つまり……
「まさか、何かが起きるのはユミルじゃなくてこの場所?」
「フフッ、流石はA級といったところでしょうか……“当たらずとも遠からず”ですわ」
そしてデュバリィは、この地にやって来た理由をリョウに話始めるのだった。
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「オルフェイス最終計画?」
「ええ」
それは、結社が秘密裏に進めている計画の存在だった。
「わたくしの所属する結社、身食らう蛇によって今年の9月頃からスタートしている計画ですわ。本格的に始まるのは来年からですが」
「その第一段階が、このリベール王国で行われるのか?」
「ええ、計画自体はわたくしが所属する以前から存在していたようで、今回の計画も準備段階まで含めればおよそ5年前から動き出しています……が、わたくしもその全貌を知っているわけではありません」
「……かなり大きな計画みたいだね。具体的にはどういった内容なんだい?」
デュバリィは右手を自分の顎に添えながら、自信無さげに話始める。
「…………じつは、わたくしもその計画に関して深く理解できている訳ではありませんの。第一、わたくし達は第七柱であるマスターの部下という位置づけですから、あまり重要な情報を与えられている訳ではありません」
「そうですか……」
「ただ」
「うん?」
申し訳なさそうにしていたデュバリィであったが、それでも全く知らないという訳ではなかったようで、リョウに自分がかつて聞かされた情報を彼に伝えるのだった。
「以前、第三柱……今回の計画を主動している人物から聞かされたのは、
「輝く環? なんだいそれ?」
「詳しくは分かりません。ただ、一説によると女神に関する物だという事です」
「女神の……アーティファクトみたいな?」
「ごめんなさい。そこまでは……」
リョウはその後も輝く環についてデュバリィに確認しようとしたが、残念ながら彼女もそれ以上の情報は持っておらず、結局のところ結社の思惑そのものは分からずじまいだった。
「でも、その計画と僕のリベールへ来た理由は関係性が薄いんじゃない?」
結社は“輝く環”という女神に関する物を回収する。
リョウはリベールを観光しながらお世話になった人達に挨拶周りをする。
全くと行っていいほど接点がない。
一体何をどう考えればこの2つが交わるのだろうか。
そう疑問に思ったリョウはデュバリィにこの2つの事柄の関係性を聞いた。しかし。
「……そうとも言い切れませんの」
デュバリィの回答は“関係無いと断言できるものではない”というものだった。
「へ?」
「確かに、結社の計画と貴方の旅路はなんの関係性もありませんわ。
(向こう? ……結社の事か?)
そしてデュバリィは、今まさにリョウの身に迫っている命の危機について話し始めるのだった。
「今回の計画には複数人の結社の人間が関わっています。使徒第三柱・白面、執行者No.0道化師、No.Ⅱ剣帝、No.Ⅵ幻惑の鈴、No.Ⅷ痩せ狼、No.Ⅹ怪盗紳士、No.ⅩⅤ殲滅天使……ああ、それともう一人。No.ⅩⅢ漆黒の牙。5年前から計画に参加している者ですわ」
「はぁ……沢山居るんですね」
そんな一度に言われてもよくわからない。
皆さん
「そんな呑気な事を言っている場合ではありません! 今回の計画を手動している使徒第三柱、白面ことゲオルグ・ワイスマンは、貴方のことを危険視しているのです!!」
「え? 僕のことを?」
「白面だけではありません! 道化師も同様に貴方のことを注意深く探っている筈です! 痩せ狼に至っては貴方を殺したくてウズウズしているに決まってますわ!!!!」『ガシッ!』
「おおぅ……」(圧が凄いな……)
デュバリィはリョウの胸ぐらを掴みながら、“グイッ”とリョウの顔を自分の顔の所まで引っ張った。
「ハッ!? し、失礼しました……と、ともかく、このままでは貴方の命に関わります!」
流石に胸ぐらを掴んで引っ張るのは無礼だと思ったのだろう。デュバリィは直ぐに手を離した。
「それに……」
「うん?」
(これは……少し言いにくい事ですわね)
正直、この内容はリョウに告げるのは酷というものだろう。
今までずっと働いてきた場所から一方的に排除される可能性があるという事は、中々につらいものだ。
(ですが、この事はなるべく早いうちに彼に伝えなければなりません。むしろ、こちらの方が優先順位は上でしょう)
「リョウ」
「なんだい?」
デュバリィは先程以上に真面目な表情で、リョウの顔を真っ直ぐ見つめながら、彼の残した手紙から推測した彼女の見解を告げた。
「貴方を排除しようとしている組織は他にもありますの」
「え!? 結社の他にもかい‼?」
「心して聞きなさい。貴方を敵視しているかもしれないもう一つの組織。それは」
「?」
「
「ッ! ………………………………そうか…………」
「なッ‼!? リョウ……」
デュバリィはそれ以上言葉を発する事が出来なかった。
リョウは一瞬だけ両目を見開いた後、何かを悟ったのだろう。そう一言デュバリィに告げた後、とても○○○○な表情で下を見つめていた。
「いや、何となくそんな気がしてたんだ」
「……」
「話はそれだけかい?」
「……そうですわね。本当はもう少し話さなければいけない事があるのですが……今日はもう遅いですし、ここまでにしましょう」
デュバリィは壁に立てかけられた時計を見る。
時刻は既に十時を回っている。
チェックインした時間も夕食後だった事もあり、話をしている間に大分遅い時間帯になってしまったようだった。
「僕は部屋に戻るけど、いいかな?」
「……ええ」
リョウはゆっくりと立ち上がると、そのまま部屋の扉の方まで歩いていく。
「おやすみ。デュバリィさん」
「……おやすみなさい。リョウ」
バタンと扉が閉じる音が部屋の中に響き渡る。
「…………」
デュバリィは先程の自分の発言を少しだけ後悔した。遊撃士協会の中にリョウを排除しようとしている人物がいるというのは、あくまでも
ただ、例の手紙に書いてあった内容をふまえれば、そう考えるのが妥当というだけの話である。
しかし、デュバリィはそれをリョウに伝える事が出来なかった。
彼の表情を見た瞬間体が固まってしまい、それを伝えるタイミングを逃してしまったのだ。
「あんなに……あんなに
デュバリィの独り言は、誰もいない部屋の壁へと吸い込まれていった。
チェックイン直後の会話
「さて、ではまず初めに聞かせて頂きますが、この三日間何処で道草を食っていたんですの?」
「いや、何処でって言われても……」
「ユミルからここまで半日程度で着くはずです!」
「いや、僕は三日掛かったけど」
「そんなに掛かるわけありませんわ! 遅延も無かったはずですし、普通に
「あっ、僕はロードバイクだから」
「……えっ?」
「あれ? ユミルでは見せてなかったんだっけ? 僕、基本的に移動にはロードバイクを使うようにしてるんだ」
(ロード……バイク? 自転車⁇)
「なるほど、それで三日もズレたんですね!」
「…………」(開いた口が塞がらない)
拳で抵抗する男という設定。増やしてほしい? 減らしてほしい?
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もっと多く!
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今のままで良いよ
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減らして欲しい。
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消して欲しい。