身体中が痛ぇ。ここは……病院か。ああくそっ、金がねぇ、戸籍も保険証もないんじゃいくらになるか……。まぁいい、怪我が治るのを待つか。その後はその時に考えよう。にしても、ひでぇ火傷だ。それにしても、ひどい火傷だな。顔以外に焼けてないところが見当たらねぇ。まぁ、あんな大火事だ。そうじゃなかったら幸運の女神のキスを感じれるな。そんなもの死んでもいらないが。にしても、傷の治りが異様に早い。これもウマ娘の体のおかげなのかね……。まぁいいさ。弊害は特にないからな。後1週間もしたら脱走しようかね。病院食は確かに美味い、いくら取られるかたまったもんじゃないからな。
ああああああああああああああああ!!!!!!!! なんでこんな事になるんだ! 警察のウマ娘速すぎでしょ! コーナリングと裏道でなんとか撒いたけど、次見つかったら逃げ切れる気がし……。
はっ⁉︎ここはどこだ⁉︎病院じゃないし、拘置所⁈まぁ、そりゃそうか、あんだけ大立ち回りで逃げたらそりゃ目つけられるわ。にしても、保護者いないけどどうしよう。まぁ、最悪また孤児院を抜け出しゃいいか。
「今から私が保護者だ!」
「そう言われましても……」
全く、日本はどうなってるんだ。ウマ娘の孤児の管理すらなってねぇ。全く、*1J-URAは何をやってるんだ。この年でこれだけの才能と実力を持ったウマ娘は見たことがない。このウマ娘を重宝しない意味がわからねぇ。ただでさえこの国のレースは今世界から遅れてるってのに。まぁいいさ。私が掻っ攫っていっても文句は言うまい。
なんかよくわからんが知らないウマ娘に引き取られた。どうやら私の保護者になったらしい。こんな簡単になれるのかどうかは置いておいて、実際、それはかなりありがたい。できればそろそろ布で寝たいんだが…。
どうやら私は来週からトレセン学園に編入するらしい。そのまま記者会見の後、アメリカのトレセンに留学だそうだ。幸い、そこいらの大学生には負けないくらいの学力を前世で身につけたし、外国への留学経験も前世である(その時はドイツでそこまで英語は話さなかったが)。だが、引き取ってくれたウマ娘が何か噛んでるのは確実だ。まぁ、悪いようにはならないだろう。一足先にアメリカに行っちまったが。まぁ、悪いようにはならないはずだ。少なくともあっちじゃな。
トレセン学園の編入試験を受けてきた。試験前にいきなり見せられた戸籍の名前書いてテスト受けたウマ娘は後にも先にも私だけだといいんだが。にしても、昔一度見た限りのレース場だったが、実際に立ってみるとかなり広いんだな。どうせだし、一回くらい本気で走る経験があってもいいだろ。この、チートを持った体がどこまで行けるのか、どこまでやれるのか確かめたい。結果によっては、人知れず消えていくことも必要だろう。まぁ、世代的にまともに走れるとは思ってないが。まだこの世代の競馬は*2ブラッドスポーツだ。私がまともに出走できるかどうかすら怪しい。ただ、世界は別だ。実績さえあれば出れる。まだ8のガキなんだ。後10年は戦ってやりたい。
私は一昔前のとある中央のトレーナーだ。今は地方に移ってきたが、それまでは実績もあった。G1勝利ウマ娘も何人か育てた、ベテラントレーナーだった。今は地方の中堅トレーナーだ。名乗るほどでもない。
そうだな…。あの時は、私は調子に乗っていたんだ。担当してたウマ娘が卒業して、担当してた他の2人がG1をとった。1人は勝利を重ねて、世界も夢じゃなかったんだ。…いや、この話はよそう。それで、彼女のことだろう?彼女は孤児だと事前説明で聞いていたから、正直期待はほとんどしてなかった。競バはブラッドスポーツって言われてた時代だったからね。血筋が大事だった。でも改めて見て、周りのトレーナーも皆かなり落胆したよ。小さかったんだ。今は小柄なウマ娘の筆頭にタマモクロスやイナリワンがいるし、小柄でも勝てないわけじゃないと証明された。だけど、昔は小さいウマ娘は勝てないって言われてたんだ。パワー負けしてしまうし、歩幅も小さいから自分より大きいウマ娘より速度も遅い。だからね、デビューは無理だと思った。それに…いや、このことは言わない方がいいかもしれないね。続きを話そうか。
レースで勝てるとは思えなかった。だけどね、一瞬で覆された。レコードで走ったんだ。当時の編入試験の合格基準は1000mだったら1分30秒、2000mだったら2分25秒、3000mだったら3分40秒が目安だった。今は違うんだけどね。でも、圧巻だった。2000mを1分40秒で走ったんだ。短距離を走る速度の2倍で2000mを走った、最後にスパートもかけてね。上がり3ハロンが10.5でね、まさに最強だった。当時のワールドレコードを1分以上更新する記録だった。今でも破られていないし、破ることはできないと思う。だけど、非公式な記録は残らない。でも、これが最速なんじゃないかな。これを越えられるんだとしたら、それこそ3女神だけだと思う。
そんな速度で走ったもんだから、足の検査もしたんだ。結果は問題なし。体力も切れた様子がないから、これ以上の逸材はいないって思ったよ。でも、新人ならともかく、僕たちみたいな経験豊富なベテランは落胆もした。彼女は、鍛えるべきところがなかった。本格化もまだだと聞いていたから、本格化するまでその体を維持すればよかった。でもそれは彼女の方が知っているときたから、もうお手上げだ。ただ、名前を貸すだけで栄光と伝説を運ぶウマ娘だった。噂に聞く中央の拝金主義なトレーナーは絶対選ぶだろうね。なんせ、名前を貸すだけでもう働かなくていいくらいのお金が入ってくるからね。でも、彼女が日本で走ったのは、選抜レースだけさ。当時は有馬、国際競走じゃなかったからね。それに、スカウトする前にアメリカに行ってしまったからね。その後のことは私もよく知らない。それに、彼女のことを覚えているのはもう私だけだ。みんな、忘れてしまった。それに、私の記憶ももう朧げだ。今回の取材だって、昔の資料を引っ張り出して調べてからこの取材を受けてるんだ。その顔を見る限り、そういう事だろう。圧倒的な勝利の記録を持ちながら、覚えている人間は極端に少ない。それが「シンソクギンセン」と言うウマ娘で私が覚えている事だよ。私は、彼女の美しい銀を忘れることができないだろう。たとえ、それ以外のことを忘れようともね。
ああ、ふかふかなベッドは心地いい。冷たい段ボールよりも体を優しく受け止めてくれる。それに、この学校は最高だ。最低限度の衣食住と寝床がついてくる。これを
レースシーンがほぼないまま2話が終わるだと?
はい、そんなことを許してしまった作者でございます。遅くなって申し訳ありません。
これからも遅筆ですがよろしくお願いします。