やがて最速のウマ娘   作:白銀の髪

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遅れて申し訳ございませんでした!(焼き土下座)


デビュー戦の4時間後に飛行機乗るんで手短にお願いします

 ああ、まぁ、知ってたことだけど。勉強めちゃくちゃ簡単だわ。高等部の教科書も読んだけど、3平方の定理で止まってやがる。まぁ、実際私生活で使うようなのはあんまりない。せいぜい二次関数あたりがいいところだ。設計とかをやるなら別だが。前世で国立大学を卒業している私には児戯に等しい。レース系の学問は除くが。あれは別だ。走ってる時は体のチートが勝手にやってくれるが、理論となるとそうもいかねぇ。初めて聞くような単語しかない。まぁ、すぐにアメリカに飛ぶからあまり意味はないんだが。

 

 〜メイクデビュー〜

 

 実況の紹介が始まる。今年のメイクデビュー最初のレースを選んだのはこの後すぐにアメリカに飛ぶ事になってるからだ。あの野郎、急に手配しやがって。お陰でスケジュールがめちゃくちゃだ。

 

 『1枠1番、アニュアスベス。4番人気です』

 

 『2枠2番、フォールクヴァング。6番人気です』

 

 『3枠3番、クルイローワトウ。2番人気です』

 

 『4枠4番、シンソクギンセン。8番人気です』

 

 『5枠5番、ハットヘイサク。1番人気です』

 

 『6枠6番、コウワエレギオン。7番人気です』

 

 『7枠7番、ボシンシタザキ。3番人気です』

 

 『8枠8番、ラースタチカダイタ。5番人気です』

 

 呼ばれた時に顔見せしたんだが、とりあえず腕組みしておいた。そもそもそこまで身長も大きくないしな。拍手もまばらだったし人もそこまでいなかった。中継でみれるし、新人のレースを見てもそこまで面白くないからかもしれないが。

 

 『では3番人気から振り返っていきましょう』

 

 ゲートに入りながら実況を聞く。誰かのゲート入りが少し難航しているようだ。正直、ゲートみたいな狭いところは前世で散々入ったので特に嫌悪感はない。

 

 『3番人気はボシンシタザキ』

 『入学時の成績はずば抜けたものがあります』

 

 『2番人気はクルイローワトウ』

 『すでにトレーナーが付いているそうです。好走に期待ですね』

 

 『1番人気はハットヘイサク』

 『生徒会長シンザンの血縁者だそうです。どんな走りを見せてくれるのでしょうか』

 

 

 そしてレースは始まった。

 

 

 『さあ準備が整ったようです。天候は曇り空、どんよりとした東京レース場、ジュニア級メイクデビュー芝2000/左…スタートです!』

 『おっと!シンソクギンセンが飛び出した!』

 

 ゲートが開いた瞬間に飛び出す。チートな体の動体視力を持ってすれば、造作もない。

 

 『先頭はシンソクギンセン。馬群をどんどん突き放していきます』

 『予想外のレース展開ですね』

 

 とにかく突き放す。ただただ突っ走る。全ての景色が線に見える。実況のも掠れた音しか聞こえない。とにかく、私はすでに第1コーナーを回り切った後だった。

 

 『シンソクギンセン、速度を緩めません。破滅的な逃げですが大丈夫でしょうか?』

 『彼女については何の情報もありません。転入してきたのは最近のようです』

 

 馬群の後方が見えてきた。このまま他の娘を避けて突っ切る他ない。私の知っている、ネームドのウマ娘はこのレースにはいないからな。

 

 『おっと!気づいたらシンソクギンセン最後尾!スタミナ切れでしょうか?』

 

 そろそろさらに加速する頃だろう。この体なら音速を超えられるんじゃないだろうか。

 

 『第2コーナーを回って向こう正面に入ります。順位を振り返っていきましょう。先頭は現在ボシンシタザキ。1馬身離れてハットヘイサク。その後ろにアニュアスベスが追走します。え?、し、失礼しました。先頭はシンソクギンセン、シンソクギンセンです!』

 『そんな!どう見ても今4、いや、3番目にい…今先頭に躍り出ましたね』

 

 そろそろゴールだろう。減速しながら傍にそれようか。

 

 『シンソクギンセン今ゴール!史上最速のメイクデビューです!先頭との差はよ、417馬身⁈た、大差です!たった今、2000mのワールドレコードを更新しました!』

 『間違いなく世界最強のウマ娘ですね!』

 

 意外と、あっけなかったな。私がゴールしてから少し後に続々と他のウマ娘がゴールする。ウイニングライブをなぁなぁに終わらせたところで私は警備員にドナドナされた。

 

 「これよりシンソクギンセンとの記者会見を行いたいと思います」

 

 フラッシュがたかれる。眩しいからやめてくれ。

 

 「では各社3問まで質問してください」

 

 「〇〇社の古川です。失礼ですが年齢は?」

 

 「8歳です」

 

 「そ、そうですか…では、次の質問ですが今回のレース展開はどうでしたか?」

 

 「いつも通りで特に変わらなかったです」

 

 「わ、わかりました。では今後の予定は?」

 

 「そうですね…とりあえず、4時間後に飛行機で渡米するので質問はできるだけ手短にお願いしたいですね」

 

 マジな話、早くしてほしい。荷物はもう送ってあるからあとは飛行機に乗ってアメリカに行くだけだ。幸い、英語は前世で覚えたのと変わりないしな。

 

 「は、はい…」

 

 「〇△社の春日です。先程8歳とおっしゃられていましたがご両親はどうされていますか?」

 

 「両親はいません」

 

 「…すみません。次の質問ですがこれからはどうするつもりですか?」

 

 「渡米してから世界を中心に走ります。今のところは凱旋門賞が目標ですね」

 

 「わかりました。最後にワールドレコードについてどう思われますか?」

 

 「超えるためにあると思います。いつかはこの記録は越えられるでしょうが、それまでは誇る事にしたいと思います」

 

 「月刊「トゥインクル」の乙名史です。聞いたところによると私の娘と同じ歳のようですが、なぜアメリカへ?」

 

 「あちらの学園長に呼ばれています。一応は留学生として行く事になるので所属は中央のままです」

 

 「はい。次の質問ですが、どれくらいの期間現役で走るつもりですか?」

 

 「最低でも10年は現役でいたいですね」

 

 「長いですね。ですが年齢を考えると普通ですね…最後に、うちから専属記者をつけてもいいですか?」

 

 「構わないですよ。邪魔にならない範囲であれば取材も受けます」

 

 「ありがとうございました」

 

 「××社の窓上だ。10年は現役だと言ったが、それ以降はどうするのかね?」

 

 「そうですね…その後もトレセン学園に在籍すると思いますよ」

 

 「ふむ。では、我が社に来るのはどうかね?広告塔としてそれなりの…」

 

 「そういうのは受け付けてないんで結構です」

 

 「む、シンザンも我が社の広告塔として…」

 

 「そういうのはいいんで。そろそろ時間なので行きます」

 

 これだからこういう汚そうな大人は嫌いだ。それよりも、乙名史さんだよ。原作に出てきた乙名史記者のお父さんだろうね。それに、早くしないと飛行機に乗り遅れる。

 

 

 そして私は車の中で眠りについた。

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