転生したら肉体が消えたことについて   作:さちは

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一回で2度美味しい

別視点です。


第26話 →「戦う」 「闘う」

 さて、無事にこの男を攫ってきたと。

 

目の前の男を見下ろしながら、そう心でおも…おも…

 

 身長高すぎだろ…!ふざけんな

 

比べてみれば、自分の身長はベルクーリの腰までしかなかった。

 

うそ。ちょっと盛った。

 

 俺も前世身長170を超えてるのに…

 

一瞬ベルクーリは戸惑った顔をしていたが、すぐさまここにいた唯一の人間である自分へ警戒な色を顕にした。

 

 「落ち着きました?」

 

そう声をかけてみる。

 

 「ここはどこだ。」

 

 そりゃそうなるわ。っていうかよくそんな冷静でいられるな。コイツの精神どうなってんだ。

 

 「ふーん、あなたならわかると思っていたんだけどねぇ」

 

 「…セントラル内部か?」

 

 べべべつに動揺とかしてないし?鎌かけて、まさか一発で正解があたることにビビってなんかないし??

 

 「よくわかったわ。」

 

 よくわかったわ!!何だコイツ!!

 

 「それでおめぇは誰だ。この一般人が入れないここに一瞬で俺を連れて…いや…」

 

 もう推理しなくてもいいから!ばれちゃうじゃ…ごほん、面白みがなくなるんでしょう??

 

 

 

 

 

 

 

 

…この手で未来の整合騎士の一人目であるベルクーリを眠らせた。

 

目の前に横たわっているのは、一人の大男。もう中年に入るであろうその体躯では、一切の衰えも見出せないほど、逞しい。

 

自意識は男なんで、一切興味ないがな。

 

そもそも現実の肉体へTS転生したら、ワンチャンホルモンとかの影響でメス堕ちするかもしれないが、ここは電子空間。故に、自意識が男であるデータは外部に干渉されない限り、変化することはないのだ。

 

 じゃあさっさとこの敬神モジュールを入れよう。

 

ほいっと

 

 ?

 

 なんか妙にサッと入れたな。うーん?予想ではかなりつっかえってて、そのつっかえたところの記憶を抜き取るんだけど?

 

 えーまじかー

 

 

そもそも人の記憶というのは膨大であり、人間は寝ることにより記憶を整理し、圧縮する。

 

また、その間意識を落とすことで記憶の最適化を行い、頭の回転を上げる。

 

例えば必要ないものなどでごちゃごちゃした机では、作業の効率はお察しだろう。

 

圧縮された記憶を一つ一つ手動で解凍して、確認するのは至難の業。しかも4、50も生きた記憶を持つときた。

 

 俺はやりたくない。

 

 そもそも記憶というのはとてつもなく繊細なもので、万が一重要な記憶を消したというのなら、軽い方はその人の人格が180度変わる。重いのはその人を構成する「核」が壊れて、廃人になったら終わり。

 

 廃人になった途端、「核」ではない他の部分も変性するので、「核」を治したとしても無理。

 

よってひじょーにめんどくさいので、邪魔な記憶だけピックアップして、それだけ抜き取るという予定だけど…

 

 原作崩壊やん…終わったぁ…

 

 オリチャはできなくはないけど…

 

 原作ですらギリギリだったのにこれはどうしろと…

 

 そもそも300年とかなげーよ!ふっざけんなぁぅううう

 

 

少し赤くなった空に浮かぶ、まるで本物の太陽みたいに輝く偽物の光が、夕日の反射で少し赤茶色っぽくなった白亜の塔の大きな窓から斜めに、部屋を照らしていた。

 

その窓を覗くと、室内は荒れ果てており、本来なら広く敷いてあったカーペットは今や無残な姿と化し、不思議とその下の白亜の大理石は少しも傷がついていなかった。

 

少し前に進むと、カーペットの損傷が徐々に激しくなり、そしてこの階層の中央部では横たわっている男と、そのそばに頭を抱えている幼い少女がいた。

 

 「うぅ…どうすればいいの…」

 

そう、俺だ。泣きたい。

 

 

 

 

 そうだ、敬神モジュールに原作にない機能がついてるからそれでやればいい…のか?

 

 中にある機能その一つは遠隔でその人の精神の安定さを随時に検知し、一定の閥値を超えるとこっちに知らされる仕組みというもの。

 

 その際ちょっとのプライバシーが犠牲になったけど、しょうがないね。原作はあと一歩でAIが兵器利用されそうになってるから。うん、しょうがない。

 

 じゃあとりあえず問題が解決されてるのか?

 

 うーん、不確定要素はあるかもしれないが…別に今原作通りに行ってもあと100年以上あるので、ここでちょっと原作から外れても大したことではない。

 

 重要なのはフォローする力だ。

 

 

 というわけで今日はもう寝る。…まあ意識を覚醒したまま記憶を整理できたりすることもできるので、睡眠はそんなに必要なものではなくなったんだけど、普通に寝たい気分だから寝る。

 

 

 まず心意力でベルクーリを浮かせて、ベルクーリに分配した部屋へと運ぶ。

 

 どうあがいても100年以上生きたのでね。こんなことなんぞ容易い。

 

 

 ふはは!わしに勝てるまであと100年早い…!

 

 嘘はついてない

 

 

自分に部屋に戻ると、そこには四角い壁で囲まれた狭くなく、かといって広くない部屋の真ん中に、天蓋付きのベットが置いてある。

 

天蓋付きのベットなんぞ現代人に無縁なものだが、この世界で生まれてからこんなベットで寝てたので、今更もう慣れた。

 

というかこれ以外だとなかなか寝付けられない始末。

 

 

ベットに飛び込んで、昔父がくれたぬいぐるみに抱きつく。

 

この体は成長することがないので、いつになっても身長がこのぬいぐるみにすら超えてない。っていうかこのぬいぐるみデカすぎだろ。当時の技術でどうやって作ったって言いたい。

 

 

だんだん意識が曖昧になる。意識が曖昧になっていても、自動防衛の術式を仕掛けてあるから安心。

 

そもそも自動防衛の術式が発動する前から既に起きるようになってるから、術式が発動したということは、何らかの理由で俺が昏睡状態にさせられたということになる。

 

 

なぜかこのぬいぐるみをぎゅーってすると眠くなるんだよね。

 

これはメス落ちじゃないね。何なら精神攻撃とかの神聖術対策として自己精神診断プログラムを常時起動してあるから、自分の精神が変わってることがあったら、一発でわかる。

 

 …整合騎士はあと30人ぐらいあるのか…めんどくせぇ

 

 

意識が落ちる前に、そう思った。

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