【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話 作:黒のエレメンタル
某掲示板に載せたSSの誤字を修正して文章を付け足して投稿したからです。
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あらすじ:
エレジアではなくフーシャ村に置いて行かれた元赤髪海賊団の音楽家ウタ。
自分が捨てられたと思い込んで恨みを募らせて生活を送っていた。
なんだかんだでガープ中将にルフィと共に海軍入れられて周囲に可愛がれながら生活を送っていた。
ある日、アラバスタ王国を内戦を引き起こした元凶であるクロコダイルを撃破してしまった2人。
19歳の女の子であるウタは准将に、17歳の青年だったルフィは大佐に昇格した。
新たな軍艦を入手した2人は、“偉大なる航路”を仲睦まじく航海しているのであった。
空島編1 フォクシー海賊団との遭遇
アラバスタ王国で暗躍していたクロコダイルを討伐した英雄が乗る軍艦。
それは、果てしない海を彷徨うかのように進んでいた。
「にぃく…にぃくはどこはぁ…」
長期任務となってしまい、肉を切らして死にかけているルフィ大佐。
この日に限って魚が釣れなくて涙目のウタ准将の眼前に有人島が見えた。
「やった!これでルフィは元気に…!」
「…准将!あそこはジャヤ島です!無法地帯過ぎて海軍本部すら匙を投げたやばい所ですよ!!」
「そんな…」
目の前に見えるのはモックタウンという町、きっとあそこなら肉を補充できるはずだった。
だが、その港には海賊船が横並びに停泊しており、とても海軍の軍艦が立ち寄れる場所では無い。
海賊嫌いのウタにとっては、絶対に足を踏み入れたくない魔境そのものである。
「たふぃけへーおなはへっは……」
「もうちょっとだから!すぐにお腹いっぱいお肉を食べさせてあげるから!」
「ですがこのまま向かっても海兵の我々は歓迎されませんよ!?」
「分かってる!だから私の歌で無力化するの!!」
自身の信念か、ルフィの命をどちらを賭けると問われれば答えなんぞ決まっている。
部下に脱出用のボートを降ろさせてルフィを乗せて、ウタはオールを漕ぎ始めた。
「「「「准将!我々も!!」」」」
「私たちだけで充分よ!」
気の良い部下の制止を振り切ってモックタウンに向かってオールを漕いで船を進めるウタ准将。
できるだけ気付かれないように漕いでいると狐の船首、トップスルには『FOXY』という文字が描かれている海賊船と出会った。
『何かムカつく!!』
海賊旗は人を食ったようなムカつく顔が描かれており狡猾な狐海賊団とでも示しているのだろう。
そう思って彼女は、ルフィの為に無我夢中でオールを漕ぎ続けた。
この海賊団の出会いが空島に行く事になり【神】を自称する存在と交戦する羽目になると知らずに…。
「おい!そこのボート待ちやがれ!!」
甲高いだか煩いのか良く分からない男の声に呼び止められたウタ准将は思わず舌打ちをした。
ルフィが死にかけている以上、こんな所で足止めをされている場合ではないのだ!
「何よ!?海賊がわざわざ海軍に喧嘩を売りに来たの!?」
「フェッフェッフェッフェッ!そいつはこっちの台詞だ!お前ら!このモックタウンに行く気なのか!?」
「そうよ!邪魔するなら海の藻屑にしてやるよ海賊風情が!!」
「おー?おい聴いたか野郎共!?この海兵ちゃん、俺を…」
フォクシー海賊団船長、フォクシーは航海に戻る途中で小舟を漕いでいる女海兵を見つけた。
あんまりの間抜けっぷりに馬鹿にしようと声をかけたがそれ以上続く事は無かった。
「ぎゃああああああ!撃ちやがった!?痛ぇえええええ!?」
「オヤビン!眉間から血が噴いてますよ!?」
「ポルチェちゃん!絆創膏持ってきてェ~~!!」
腹が立ったのでウタは、マスケットで眉間を撃ち抜いたものの煩くなっただけで終わった。
無駄に頑丈でワレ頭で不快な顔からしてあれがこの海賊団の船長なのだろう。
実際、2400万ベリーの賞金首なのだが、億越え賞金首を相手にする彼女には小粒過ぎた。
「ああ、もう良いわ!こいつらから肉を強奪してやるんだから!!」
「おおー怖ェな!海兵さんがやる会話じゃないぜ!フェッフェッフェッフェッ!」
「誰かがー肉をー求めている♪力だけが支配する世界にー変革を求めるか弱き羊たちよ♪」
絆創膏を貼っただけで煽るように話しかけてくる頑丈さと切り替えの早さに感心しつつウタは歌声を聴かせてあげた。
彼女の能力は歌を歌うと、『ウタワールド』という仮想世界に聴衆の意識を飛ばすものである。
ウタウタの能力が発動し、フォクシー海賊団の船員の意識はウタワールドに飛ばされてしまった
そこではウタ准将が起こした大洪水によって彼らは遥か地平線の果てへと流されていった。
「これだけ大きい帆船なんだから肉くらいあるよね!月歩!!」
完全に無力化した海賊船を海兵が見逃すはずもない。
海賊なんだから強奪しても問題ないと判断したウタ准将は、剃と月歩を駆使して船に侵入した。
『思ったより大所帯ね』
そこらじゅうで寝っ転がっている海賊共を踏まないように調理場に向かって行く准将。
できる事ならこいつら全員、監獄送りしたいのだが、この近海には海軍基地は無かった。
「調理場はここね!」
船内に侵入して数分が経過した頃、ようやく調理場を見つけてガッツポーズする准将。
火事場泥棒みたいなものだが、海賊が大っ嫌いなウタからすれば、自業自得だった。
向こうから喧嘩を売って来たので買ってあげただけだから。
『やった!お肉がたくさんある!!これでルフィが救える!』
冷蔵庫から肉を発見した瞬間、独特な紅白の後ろ髪を上に立たせて喜ぶ19歳児。
部下である17歳の大佐を救う為、近くにあった麻袋を手に取ってせっせと肉を詰めた。
それはお買い得セールで早い物勝ちで食料を買い漁るベテランの主婦のようだった。
だが、その例えは間違っていない。
何故なら100%OFFなのだから。
『これだけあれば充分、ルフィ待っててね!』
ウタワールドに意識を引き込まれた海賊たちは死んではいない。
むしろ、眠らせる事によって無力化できる能力だった。
ただ、それだと能力者が寝ない限り、彼らは起き上がる事は無い。
『あと15分か…急がなきゃ!』
そこで、寝かせるのではなく意識を一時的に取り込んで、時間制限を課して解放させる事にした。
ライブ中に夢中になって周りを見る余裕がなくなる感覚を拡大させたものである。
懐中時計で時間を確認した彼女は、一刻も早く脱出する様にルフィを残したボートへと帰還した。
「ルフィ!肉よ!残さず食べてね」
いざ戻ってみると、ルフィが口を大きく開けて如何にも入れてくださいと言わんばかりだったのでそのまま生肉を突っ込んだ。
ルフィの顔が真っ青になった様に見えたが、きっと気のせいだと思ってウタは軍艦に向けてオールを漕ぎ始める。
「なにあれ…」
海賊船の中継地みたいな所だとはいえ今度はゴリラをイメージした海賊船と遭遇した。
「ここは動物園か何か?」とツッコミを入れる間もなく向こうから話しかけて来た。
「オウオーウ!!ネエチャンネエチャン!!」
「今度はゴリラ?」
「人類だバカヤロー!!」
かなり距離が離れているのにツッコミを入れてくると言う事は、かなり聴覚が良いのだろう。
ただ、既にルフィに肉を喰わせて目標を達成しているので無駄に交戦する気は無かった。
「とにかく私たちは帰るから!さようなら!」
「あほたれぇ!ここらの海はこのおれの縄張りだ!通りたけりゃ通行料よこせ!!」
海軍本部すら管理を放棄した海域と察していたが、ここまで無法地帯だとは思わずウタは額に手を当てて溜息を吐いた。
すぐ近くに海軍本部の軍艦が居るというのに喧嘩を売って来るとは予想できなかったからだ。
「おい!さっきはよくもやったな!!」
するとわざわざ向こうからカモがやってきたではないか。
こいつらに全部押し付けようと彼女は悪魔の様にほくそ笑んだ。