【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編10 恋愛脳との遭遇

「いや~一時はどうなるかと思ったが案外無事に雲の上に来れるもんだな」

「目の前には地平線まで雲しか見えねぇ…まる天国みたいだ」

「ウタ准将、もしかして俺たちは死にかけでウタワールドに意識だけでも連れて来たんですか?」

「私の能力をなんだと思っているのよ!ねえルフィ!なんか言って!!」

 

 

今でも生きている実感がない海兵達は上官が創り出した仮想世界に居ると誤認した。

あんまりな扱いにウタ准将はルフィと共に抗議をしようとするが、当の本人は気にしてなかった。

 

 

「で?ログポースはどうなった?」

「指針はまだ上を指してます。どうやら空島は積帝雲の頂点にありそうですね」

「じゃあ、点呼を取ったら上に行く道を探すぞ!」

 

 

まず仲間の安否確認、それから冒険というスタイルのルフィに部下達も笑顔になれる。

無視されて頬を膨らましているウタ准将を無視して下士官たちは、各員の点呼を取り始めた。

 

 

「いたたた!何だよウタ!」

「ルフィはここが現実だと思う?」

「いやそうだろ!ウタの声も温もりも匂いも感じられるからここが現実世界だろう」

「ねえ聴いた!!?ルフィは私の事を信じて……って居ないし!!」

 

 

ルフィを味方につけたウタは、ルフィ派の下士官に抗議しようとしたが遅すぎた。

正しい行動をしてるが故に叱れないせいで何とも言えなくなった怒りをどうするべきか。

開き直って生存記念にルフィの手を握り締めて感触を楽しんだ。

 

 

「どうしたんだ?」

「生きている実感を肌で味わってるの!…さっきみたいに抱き締めて良い?」

「いいぞ」

 

 

船長である以上、軍艦内を周るべきだったが、どうしてもルフィの傍から離れたくなかった。

部下達も点呼の結果を報告する上官が動かれると困る為、結果的に正しい行動となった。

 

 

「さすがに長く抱きすぎじゃねぇか?」

「2人っきりでこうやって抱き合うの久しぶりで……心地良いの」

「でもよ。俺の部下がそこで待っているんだけど!」

「え…!?」

 

 

点呼を取り終えた下士官達が甲板に上がると抱き合う上官たちを目撃してしまった。

絵画にして後世に残しても良いくらいの微笑ましい光景を温かい目で見守っていた。

ルフィの言葉でようやく状況を把握した乙女は、慌ててルフィから離れた。

 

 

「お邪魔でしたか?」

「暇つぶしみたいなもんだ!それより全員無事だったか?」

「はい!全員無事でした!軽傷者が多少出てますが問題ないかと…」

「そうか!みんな無事だったか!」

 

 

部下からの報告で、軍艦の乗組員全員が無事だと聞いてルフィは嬉しそうにガッツポーズをした。

見聞色の覇気で人員の存在は確認できるが、数までは把握できる技量ではなかった。

 

 

「気になる点としては、映像電伝虫の調子が悪いのと高山病の症状が出始めている将兵がいます」

「高い場所にいるからな!水を飲ませてゆっくり休ませるのが一番だ」

 

 

誰一人死なせない覚悟と意外と配慮がある彼は、部下からの人気が絶大である。

 

 

「よし!じゃあ、出航の準備だ!」

「お待ちください!帆を変えるべきです!」

 

 

全員無事だと分かったのでルフィは更なる上の層を目指そうとしたが何故か部下から制止された。

 

 

「なんで?」

「ここは世界政府非加盟地域です!敵しか居ない以上、海軍旗を降ろすべきです」

「確かに空島って原住民以外では海賊くらいしか往来がないのよね」

「いかがなさいますか?」

「海軍旗を降ろしなさい。どれだけ時間をかけてもいいからしっかりと帆を張り替えて頂戴」

「ハッ!」

 

 

基本的に海軍は、指定された海路以外の巡回は行われない為、ここでは孤軍孤立となる。

また、世界政府に対して敵意がある可能性があるのを踏まえた結果。

ウタ准将の命令によって、海兵達は正義の象徴である海軍旗を降ろす事となった。

帆を張り替える間、暇になったルフィは、いじけて甲板の床にタールを流して絵を描いている。

 

 

「何をしてるの?」

「“新時代”の絵を描いてる」

「凄いタイミングね!新しい帆は、“新時代”のマークにするつもりなの」

 

 

海軍旗が描かれた帆がマストから外されて、予備の帆に張り替えようとする将兵たち。

その帆には、くぼみに赤いヒモが結ばれた黄色いひょうたんのような物が描かれていた。

 

【挿絵表示】

 

 

「ところであのマークって何の意味があるんだ?」

「UTAと書かれた黄色いひょうたん…意味が分からんな」

「お前ら、まだ分からないのか?」

 

 

軍艦の点検をしているウタ派の将兵たちは、帆のマークについて議論していた。

そしたら先輩が意味深な事を言い出して、部下達は必死に考えていたが答えは出なかった。

 

 

「いいか!ひょうたんの上にUTAって書かれているって事はウタ准将というのは分かるよな?」

「それは分かりますが…」

「じゃあ、下の膨らみは、ルフィ大佐ってことになるよな?ウタ准将とずーっと一緒に居たお方が傍に居ないわけないもんな」

「そう仰られればそう見えてきますね…」

 

 

上官の話を聞いて我に返った将兵たちが再び黄色いひょうたんのマークを見る。

そして鈍感な彼らにも気付いてしまった。

 

 

「「「ま、まさか!!?」」」

「そうだ!くぼみにある赤い物は、【運命の赤い糸】を示している!」

「「「うおおおおお!」」」

「あのマークは、ウタ准将とルフィ大佐の【愛】を示している物だったんだよ!!」

「「「な、なんだってぇー!!?」」」

 

 

ウタ派の将兵たちが勘違いを重ねてとんでもない爆弾を起爆させた。

実際は、幼少期の頃にルフィが描いてくれた麦わら帽子のマークだった。

 

 

『あんな事を言われたらそう意識するしかないじゃない!!でも否定はできないかも…?』

 

 

とんでもない勘違いではあるが、ルフィが大好きなのでウタも強くは否定はできなかった。

とはいえ、ここまで大っぴらに自分とルフィの恋バナの華が開花されては困る。

すぐさま仕事をサボっている部下に准将の立場として叱責するつもりだった。

一方、ルフィは釣り糸を垂らして何かを釣ろうとしたが、何の進展も無かったので諦めて立った。

 

 

「なあウタ?」

「ひゃああああん!!」

「どうしたんだ?」

「なんでもない!なんでもないから!!」

 

 

いつも通りウタに話しかけたら彼女がいきなり飛び上がって驚いてルフィは首をかしげた。

平常心を保とうするウタであるが、さきほどの会話が忘れられず本気で愛の象徴に見えていた。

“新時代”のマークを【愛の印】と考えた将兵達はその様子を見て笑いを堪えながら耳を傾けた。

 

 

「なんか船首の方向に集団が居るみたいなんだ」

「この覇気は…モンブランさんや猿山連合軍の方々ね」

「どうする?」

「救助をしましょう。総員、出発の準備を急いで!」

 

 

ニワトリのトサカが付いた3連装砲塔の上から釣りをしている時に声が聴こえた。

ただ、ルフィの見聞色の覇気は発展途中の為、状況がよく分かっていなかった。

ウタに訊くと空島に行くサポートをしてくれた猿山連合軍が居ると判明。

海賊嫌いで有名なウタもさすがにお世話になった人達を見捨てられずに救助に向かう事にした。

 

 

「しかし、よく生き残ってるな…てっきり全滅したかと」

「知らんのか?愛のパワーは無限なんだぞ!」

「そこ!私語を謹んで!!」

「「ハッ!申し訳ございません!!」」

 

 

ウタは准将としての権限をフル稼働して、恋する乙女のイメージを払拭させようと努力していた。

初めてルフィと逢った日から自分は、ライバルであり幼馴染でありお姉ちゃんである!

そう意識していたからこそ、ルフィに恋するという覚悟が未だにできていなかった。

鼓動が高まっているのを彼女は必死に「高山病のせい」と心の中で叫んで落ち着こうとしていた。

 

 

「お二方の愛の証って事は、赤ん坊という意味合いもあるかもな」

「あのルフィ大佐だぞ?そんな事なんて考えるか?」

「でもどっちも子供好きだから否定もできん!」

「お二人の過去って未だに謎が多いんだ。もしかしたら…げっ!ウタ准将!?」

 

 

無言で釘バットを手に持ったウタは、色ボケ4人組をかっ飛ばした!

悲鳴をあげて大空に飛び上がった彼らは、一時の自由と痛みを謳歌した後、軍艦に落下した。

帆の張り替えを終えた海兵達がそれを目撃して、昼飯の時間だと思うほどの日常茶飯事だった。

すぐにウタ准将主導で、全速力で現場に駆けつけてお世話になった海賊たちの救助をした。

 

 

「まさか海賊が海軍に助けられるとは…人生って分かんないもんだな」

「そりゃあ、おめぇ!おれが七武海候補と噂される人物の影響に決まっているだろう」

 

 

救助されたマシラとショウジョウは、海軍の軍艦の甲板に置かれた椅子に座ってくつろいでいた。

猿山連合軍も奇跡的に人員を欠ける事はできなかったが、2隻の海賊船は放棄するしかなかった。

いつかは訪れると結末だと思っていた彼らは、今まで世話になった海賊船と笑顔で別れた。

だが、ルフィは知っている。

おっさんたちが涙を堪えて相棒だった船と別れた事に。

 

 

「おやっさん大丈夫なのか…」

「持病が悪化したからな」

 

 

彼らにとって心配なのは、尊敬の念がやまないモンブラン・クリケットが体調を崩した事だ。

黄金郷を探し求めて無茶を続けた結果、彼は潜水病で身体機能が著しく低下していた。

ここでは過酷な環境だったのだろう。

幸いにも海軍本部の軍艦には、最先端の医薬品があったので、彼は薬を服用して安静に寝ている。

 

 

「心なしか身体が重い…」

「天空だからな。慣らすしかない」

 

 

異常気象だらけの“偉大なる航路(グランドライン)”で海賊をやってる猿山連合軍ですらバテて床に座り込んでいた。

生死に一生を得たが、未だに実感できない彼らを見てウタはルフィの傍に寄った。

 

 

「栗のおっさん、大丈夫かな」

「もう少しだけ安静させないと厳しいかもね」

「まあ、空島は逃げねぇし暫く休むか」

 

 

無茶できるならいくらでも無茶ぶりするルフィだが、無茶できない人を切り捨てる漢ではない。

それは爺ちゃんであるガープ中将のスパルタ教育で身に着いた一般人に対する思いやりの心だ。

それでも冒険を我慢し続けて不満そうにしているルフィを見たウタはある事を閃いた!

 

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