【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編12 “空の騎士”ガン・フォールとの遭遇

「みんな待ってよ!!まだライブは終わってない!!」

「ウタ准将!」

「どうしたの?」

「相対方位30°から雲の上を走る人物がこちらに向かって来ております!!」

 

 

部下からの報告を聴いたウタがその方位に視線を向けると砲弾が飛んできているのが見えた。

 

 

「嵐脚“2分音符(ハルベノーテ) ”」

 

 

高速の蹴りで繰り出された『飛ぶ斬撃』は砲弾を両断し、着弾する前に爆発させた。

ルフィの友達だからって事で、ガープ中将にルフィと同様の教育を受けて生き残った彼女。

バズーカ砲を構えた蛮族らしき人物が出現しても冷静に対処できた。

 

 

「排除する!」

「紙絵“拍節器(メトロノーム) ”」

 

 

敵がバズーカ砲で殴り掛かって来たのを風で揺れる紙のように歌姫は攻撃を躱した。

それと同時に左手で背中を押して右手で足元を掬いバランスを崩させた。

一瞬の出来事で何が起こったか分からない蛮族は、甲板へと叩きつけられた。

 

 

「ぐうっ!」

「はいここまで!」

 

 

仰向けに倒れている襲撃者の喉側にある床を踵で強く踏みつけて抵抗を牽制した歌姫。

残念ながらスカートの中は見えないが、同じシチュエーションになりたいと思う海兵が続出した。

そうとは知らないウタは、ライブの空気をぶち壊した怒りを抑えて事情聴取をする事を考えた。

 

 

「…撃たないで!」

 

 

突然の襲撃者に武器を構え始めた猿山連合軍や海兵たち。

すぐさまライフル銃を構えた部下達を牽制した准将。

彼らが狙ったのは、倒れた襲撃者ではなく空中にいる鎧武者だった。

 

 

『ウーム、吾輩の出る幕ではなかったか』

 

 

“空の騎士”ガン・フォールと相棒である鳥のピエールは、軍艦を見下ろしてそう思った。

 

 

「そこの娘さん、お若いのに青海人にしては見事な動きだったな」

「こう見えても軍人なの。この程度で動けなかったらとっくに死んでるの」

「……なんか色々あったみたいだのう」

 

 

ガン・フォールは若い娘さんの瞳が濁ったのを見てこれ以上の言及は止めた。

 

 

「親切な騎士様、ここはどこかご存じですか?」

「ここは、“青海”から7000m上空の“白海”というところだ」

「更に上の階層があるの?」

「上層の“白々海”に至っては1万mくらいあるのだが、娘さんは大丈夫みたいだのう」

「ここより過酷な環境に居たことがあってね。呼吸ができるだけで天国よ」

 

 

ウタは、スパルタ教育の鬼であるガープ中将に強制連行された記憶を思い出す。

海軍に入隊して1か月が経った頃だったか。

“凪の海”にあるルスカイナ島でカットラス2本渡されて取り残された時に比べれば楽だった。

当時、銃の使い方を覚えたばかりの17歳の少女と泣き虫の15歳の少年にはきつい場所だった。

 

 

『ルフィと泣き合って死にかけたあの時に比べれば……思い出すだけで腹が立ってくる!!』

 

 

島に放置して2ヵ月後、呑気に笑顔で迎えに来たガープ中将を2人は本気に亡き者にしようとした。

結局返り討ちに遭って、更に強くなってからガープ中将に復讐しようかと考えたくらいだった。

でもそのおかげで、命の尊さを2人で学んで強くなれたのも否定できない事実。

転倒した人物が取り押さえられて無傷のまま、艦内に運ばれていくのを見てウタはそう思った。

 

 

「吾輩はフリーの傭兵でな。500万エクストルでおぬし達を手助けしてやろう」

「エクレア?」

「大佐殿!エクストルは空島の通貨ですぜ!ベリーの空島版だと思えばいいかと…」

「なるほど、お金取るのか」

 

 

物知りの部下のおかげでルフィは騎士の爺ちゃんが手助けする代わりにお金が欲しいと理解した。

 

 

「しかし500万とは高くねぇか?」

「馬鹿な!格安だぞ!吾輩にも生活がかかっている以上、これより値下げはしない」

「実際どうなんだ?」

「500ベリーで護衛してくれるお人好しの爺さんですぜ」

「「「安っ!?」」」

 

 

ベリーに換算すると安すぎて裏があるように見える騎士の爺さん。

できれば人を信じたい海兵達だが、こういう話には裏があると感じていた。

 

 

「手助け…つまり500万エクストルで空島に着くまで護衛はしないと言う事か?」

「そうだ、わしには事情があってのう」

「青海の通貨のベリーをエクストルに換金できる場所をご存じない?」

「このまま進むと滝が見える。そこにはゲートがあってそこに居るご婦人に訊くと良い」

「ありがとう騎士様!」

 

 

つまり訳アリというのを理解したウタは、空島を観光する時には呼べないと理解した。

情報を引き出すには、さきほど捕らえた人物に吐かせるしかないと考えた。

 

 

「今回は特別サービスでこのホイッスルを預けておくぞ」

「何かあればこれを鳴らせば良いのね?」

「その笛でいつでも吾輩を呼ぶが良い!ではさらばだ!」

 

 

若い娘さんの手に笛を渡した騎士は鳥に乗って去っていった。

 

 

「結局、どうやって上に登るんだ?」

「さあ?」

 

 

猿山連合軍も海兵たちも嵐のように去っていった騎士と鳥を見送るしかなかった。

マシラと海兵が何も問題が解決をしていないのを改めて確認した。

 

 

『どんな感じに尋問させようかなーできれば歌だけで済ませたいけど…』

 

 

捕虜からどうやって情報を引き出そうかと考え事をしていたウタの手に何かが触れた。

ピーーーーー!という笛の鳴る音がして全員が音が鳴った場所を見た。

 

 

「「「「何やってんだてめぇ!?」」」」

「痛いいっ!?殴るな!おれは上に行く方法をぐわっ!?知りたくでぇ!?」

 

 

ホイッスルを幼馴染の手から強奪したルフィは即座に笛を鳴らした。

さきほど颯爽と去っていった“空の騎士”ガン・フォールは溜息を吐きながら戻って来た。

上空から見下ろせば、猿山連合軍と海兵たちがルフィをタコ殴りしていた。

 

 

「ごめんなさい!私の可愛い弟分がホイッスルを吹いてしまって…」

「まあ、やってしまった事はしかたないだろう。何か手伝えることはあるか?」

「空島に行くうえで何か禁止事項とかあるの?」

 

 

本当は自分が鳴らすつもりが、先読みされてルフィに鳴らされた以上、情報収集をした。

何事も恐れない好奇心旺盛な弟分に育ったって事は、その姉も似たような性格だった。

 

 

「青海にある島にそっくりな“アッパーヤード”には絶対に立ち寄ってはならぬぞ!いいな!」

「わかりました」

「意外とあっさり受け入れたな…」

「禁止事項を破らない為に訊いたから守るのは当然ではないですか?」

「それだけを守ってくれるなら良い」

 

 

青海の島にそっくり……つまり記録指針の指針を上に引っ張っている元凶。

そこが、自分達が向かう島だというのはすぐ分かったが、あえてウタは従うフリをした。

そして包帯や薬品、香辛料を騎士に手渡してお礼を言って帰ってもらった。

再びホイッスルを彼から頂いたが、今回は暫く使わないつもりだ。

 

 

「つまり、そこがおれたちの目指す場所だな」

「もう復活したの?」

「おう!だって黄金郷がそこにあるんだろう?」

「あるかもしれないってだけよ」

 

 

みんなから殴られてタンコブだらけになったルフィは歌姫に膝枕をしてもらって休んでいた。

ライブ用のミニスカートのワンピースを身に着けているので彼は生足の大腿に頭を乗せていた。

何でやらかしているのにご褒美をもらっているのかと不思議でしょうがない海兵達。

 

 

「そこに向かうぞ!」

「駄目よ!私たちは秩序側の人間。行くとしても許可を取ってから…いいよねルフィ?」

「難しい事はわかんねぇから全部ウタに任せるよ」

「ありがとう。まず空島についたら情報を集めるからそれまで我慢してね」

 

 

ライバルであり友人でもあるが義姉弟関係で、上司と部下でもあり共依存している複雑な関係。

そこには親しい海兵ですら入り込めない圧倒的な差があった。

そんな羨ましい関係に皆が嫉妬しながら軍艦は、上の層に向かう玄関口を捜索している。

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