【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話 作:黒のエレメンタル
軍艦が滝に向かって進むと「HEAVEN'S GATE」と書かれた看板を発見した。
天空で『天国の門』があるのは、ある意味間違っていないが、どうしても悲観的になってしまう。
「やっぱり我々って死んでいるのでは?」
「ウタ准将、皆を天国に送るなら…せめて全員が抱けるように分裂してくれませんか?」
「馬鹿言ってないで周囲を警戒してなさい!」
天国の門という縁起がいいのか悪いのか指摘しづらい門を見つけて盛り上がる海兵達。
抱き着くだけで昇天して成仏しそうな海兵たちに喝を入れるウタ准将。
“空の騎士”ガン・フォールさんの話によれば、この辺りにご婦人がいるはずだ。
「そこの船!観光かい?それとも戦争かい?」
「観光しに来たんだけど、エクストルっていう通貨を青海の通貨で両替したいの!」
「そうかい。ちょっと待ってな」
天国の門の建物から現れたのは、カメラで軍艦を撮影する翼が生えたご婦人だった。
天使というには、ちょいときつい老婆である。
時折、天使と揶揄されるウタ准将が居るのもあり、格差が大きかったのもある。
「さて、おぬしらは何人居るのだ?1人で10億エクストルの入国料がいるのじゃが…?」
「389人!」
「上層に行くなら入国料、3890億エクストルが必要だね」
「ペットの鳥も居るんだけど、それは別払いなの?」
「いいや、人間だけだ」
誰もが思った。
額がデカすぎて通貨として成り立っていないのでは…と。
そんな額で取引する時、札束とかどうなっているのかと、ルフィですら気にしていた。
それはともかく秩序側としてのリーダーであるウタは、かなり念入りに入国料について問う。
できるだけ問題や火の粉を避けたい彼女は、真剣に交渉に臨んでいた。
「別に払わずに通ってもいいし、通らなくてもいいよ」
老婆の一言でウタは試されているのを理解した。
カメラでこちらを撮影していた時点で、おそらく自分たちは、向こうの秩序側にバレている。
だが更に金を積めば、非合法ルートや機密情報を教えてくれるかもしれない。
ただ磁力がある空島を調べるのは有力者と仲良くした方が良いので合法的に入国する事にした。
「で?おれたちは、ベリーをどれだけ支払えばいいんだ?」
「1万エクストルが1ベリーらしいから…人数に0を足せばいいの!」
「さすがウタ!さっそく部下に用意させるけど額はいくつだ?」
「えーっと…」
捕虜も含めて389人、それに0を足すだけで老婆に渡すベリーが換算できる。
弟分のルフィに姉の威厳を見せる為に彼女は堂々と答えるつもりだ!
「389足す0で、389ベリーを支払いましょう!!」
「なんか少なくないか?」
まさかのルフィからのツッコミで硬直したウタ准将。
将校がこの程度の計算ができないとは想定外であり部下から笑われるのは間違いないだろう。
というか既に何人かが失笑しており、このままでは「おバカキャラ」になってしまう。
なにより弟分のルフィから自分が馬鹿だと思われたくなかった!!
「3890万ベリーですよ…」
「3890万ベリー!!誰かご婦人に渡してあげて!!」
「全然違うじゃねぇか。しかも教えてもらっているし…」
「はいはい!!ついでに香辛料や酒、護身用の剣も献上します!」
ルフィの鋭いツッコミを大声で誤魔化したウタ。
献上品を天国の門の管理人に渡す事でご機嫌をとろうとした。
それが成功したのか。
あっさりとエクストルという通貨に両替ができて何事も無く入国料を支払う事ができた。
「これで入国料は支払えたの?」
「問題ないよ」
「滞在期間に支払う契約とかは?」
「それは空島の住民に訊くんだね」
「入国料の支払った証明書とかはある?」
「それはお前たちが入国してから書く予定だよ」
やはりこれ以上、情報は引き出せなかった。
捕虜を尋問したいのだが、手加減が難しくて今まで放置している。
ウタワールドで尋問してもいいが、それだと生活リズムが狂ってしまう。
歌姫は、日常生活にも気を遣っているので軽率に能力を使いたくなかった。
「それにしてもあんたらはちゃんと金を払うんだね」
「合法的に行けるならそれが一番だから!」
「さっき来た海賊団は、払うどころか無視して行っちまったよ」
「海賊団…?まさかね」
ここに居る海賊団といえば、あの狐海賊団しか頭に浮かばなかった。
眉間に鉛玉ぶち込んでも絆創膏を貼るだけで喋れるようになった割れ頭の男。
できれば逢いたくない男の顔を思い出したウタは、ルフィの顔をじっくりと見て上書きした。
「羽のおばちゃーん!どうやって上に行けばいいんだ?」
「出発する…それでいいんだね?」
「もちろんだ!」
最後はルフィの一言で出発を確認した管理者アマゾンは笛を吹いた。
すると雲の中から“白海”名物『特急エビ』が20匹出現して軍艦を掴んだ。
普通なら1匹で船を運ぶのだが、海軍本部の軍艦サイズでは20匹も集まる必要があったようだ。
「うおおおおお!すげぇ!エビが軍艦を掴んでる!?」
「どうでもいいですけど、絶対掴む時にどっか壊しましたよね?」
「後で修理すればいいだろう」
上空から垂れている螺旋状の雲の帯を凄まじい速度で登っていく軍艦。
全員が帰り道など考えておらず、現在進行形で経験している事を純粋に楽しんでいた。
「こっからまだ登っていくのか…」
「高山病の疑いがある兵士の面倒をしっかり見て頂戴!」
「ハッ!速やかに確認していきます!」
ウタは体調を崩した部下たちを心配して様子を見てもらう事にした。
これから1万mまで登るのだから更に悪化するのが目に見えていたからだ。
帯状の雲を進んで行くと『GODLAND SKYPIEA』という看板を見つけた。
「神の国、スカイピア?中々洒落た名前ね」
「神の国か!すげぇ神様が居るのかな!」
「ライブを録音する“
出口が近くて、もうすぐ空島だと喜ぶ准将と大佐と愉快な部下達。
勝手に盛り上がっている海兵と打って変わって呆然としている猿山連合軍。
ロマンを語っていた彼らは、いざロマンの塊である空島に来たら呆然としていた。
目の前の光景に頭が処理しきれていなかった。
「なあ、なんであんたらはそこまで元気で居られるんだ?」
「だって、ライブやったし…」
「そうじゃねぇよ!こんな常識外れの場所に来てビビらないのか?」
「ウタ准将とルフィ大佐が居れば怖くねぇからな!」
マシラは近くに居た海兵に平然としていられる理由を聴いたが納得できる返答ではなかった。
ただ、海軍本部の将校たちは、全員桁違いの強さと屈強な精神力があると言う事は分かった。
『ホント、おまえら全員おかしいぜ。だから協力したともいうが…』
当初は空島に来る予定ではなかった猿山連合軍の構成員たちも腹を括った。
よっぽどの敵が出ない限り、負けはしないと分かってしまったので精神的に楽ができた。
「どんな冒険が待っているんだろう!」
「少なくとも雲を加工して生活をしている人々と逢えそうね」
ルフィは『神の国』と聞いて、さきほどの空の騎士みたいな爺さんが山ほど居ると思っている。
お肉料理を作ってくれる神。
遊園地を作ってくれる神。
面白そうな
とにかくいろんな神様が集まっている国だと思ってワクワクした!
『全能なる“神”及び神官各位、スカイピアへの合法入国者389名』
『冤罪にし、“天の裁き”にかけられたし』
一方その頃、天使の門の監視官アマゾンは、さきほどの大所帯を上に報告した。
結局、金を払おうが払わないが全能なる“神”に裁かれるのだから選択肢に意味が無かった。
アマゾンが残念そうな顔をして「仕方がないこと」と呟いて来客に備えて扉を閉めた。
それは、自分が彼らを騙したのを見なかった事にするようだった。