【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話 作:黒のエレメンタル
上空1万m、それは世界を横断している
大気が薄く肌寒い環境に感じるが、慣れれば意外とそんな事はないのか。
海軍旗を降ろしているせいか、自由人になった彼らは愉しい一時を過ごしていた。
「良いんですか?こんな堕落した兵たちを放置しておいて…」
「むしろ楽しんだもん勝ちでしょ。リラックスできる時は、やっとくべきだと思うの」
女海兵たちが際どい水着を着て空島に上陸しようとしたのを阻止したウタ准将。
体調を崩さないように外套を着るように命令すると野郎共からブーイングの嵐が飛んできた。
それを見たルフィ派の下士官が准将に対策を練るように提言したが、彼女は却下した。
「でも、無茶をして体調を崩されるのは嫌だから外套は着てもらうけど!」
結局、女たちは脇やら大腿を見せるけど、当初より目の保養にならなくなった。
それでも女の子が居る所には寄りたくなるのが男の性。
くつろいでいる7名の女海兵を囲むようにして遊んでいる海兵や猿山連合軍。
どこからか生えて来たように出現した女海兵を見てびっくりした男が居た。
「あっ、もう大丈夫なの?」
「おかげで何とか息苦しいだけで済んでいる」
「上空1万mだよ?もう少し止んだ方が良いよ!」
「あんなに女海兵が居たのか?気付かなかったが…?」
「普段は船内に籠ってぬいぐるみとか作っているから…私でも中々見かけない人達なの」
モンブラン・クリケットは、甲板から雲島を見下ろして女海兵が居たのに驚いた。
ここに居るのは、歌姫のファンクラブ集団だと思い野郎しか居ないと思っていたからだ。
「楽しく一緒に歌ったりするのか?」
「
歌のが好きな彼女は、一緒に歌ってくれる同性を募集したが、うまくいかなかった。
コンビが組めそうな女海兵は、死に急ぎの頭進撃集団と合わずさっさと転属願いを出された。
よって残ってくれたのは、
それでも同性として相談できる存在はウタにとってありがたかった。
「嬢ちゃんはバカンスを楽しまないのか?」
「捕虜から訊き出した情報をまとめ終えたら行く予定…」
軍艦に襲撃してきた人物は、シャンディアという部族出身。
名前は教えてくれなかったが誇り高い戦士なのだろう。
隙を見て何度も襲撃しようとしたのを全て叩き潰してもなお反抗の意志は消えなかった。
断片的な情報しか吐かなかったので、こうやって情報をまとめる必要があった。
「ウタ、早く行こうぜ!」
「先に行ってて」
「いやだ!一緒に行くまでここに居る」
ルフィは島雲に行こうとしたが、ウタが軍艦に残っているせいで未だに留まっていた。
「冒険のにおいがぷんぷんするぞ!!」と言いながら、彼女が来るのを待っている。
いつまで経っても動こうとしない幼馴染の後ろ髪を触って遊び始めた。
「栗のおっさんも言ってくれよ!」
「俺は部外者だから何とも言えん」
よっぽど海軍は人手不足なのか19歳には准将、17歳の大佐という若すぎる海軍将校たち。
童心が抜けきっていない彼らを見ると残酷な時代だなと改めて思うモンブランであった。
「報告申し上げます!匍匐前進でこちらに向かって来る集団を発見しました」
「なんだそれ?変態か?」
「制服を統一している所を見ると秩序側ね」
「いかがなさいますか!?」
「逢いにいきましょう」
部下からの報告を受けてウタは、匍匐前進をする集団に会いに行こうとした。
「えー!?冒険は!?」
「リーダーとして彼らと会ってから…」
「じゃあ、おれも行く」
「言っておくけど、私が指示するまで手を出しちゃ駄目よ?」
「分かってるって」
面白そうだと思ったルフィも彼女と一緒に謎の集団に会いにいくことにした。
艦内に残っている部下に「手を出すな」と命じて彼女達は彼らに会いに行った。
「全体!止まれ~~~~!!」
リーダー格の指示によって匍匐前進していた集団が停止した。
「へそ!!」
全員が立ち上がって左手の人差し指と小指を頭の上で立てて挨拶をしてきた。
「「へそ!!」」
ルフィもウタも真似して同じように指を立てて挨拶をした。
とりあえず同じように挨拶すれば仲良くなれると思って無意識にやった。
「合法入国者の方々ですね?」
「はい、そうです」
「検疫をしたいので船内を捜索させて頂きたい!」
「けんえきって何だ?」
「空島に悪影響を与える物を持ち込んでないか調べるって事ね」
検疫についてルフィに説明したウタであったが、彼らの行動を疑っていた。
検疫をするなら入国前の段階である『天国の門』でやっておくべき事だからだ。
だからといって拒否する理由も無いので彼らの言う事を素直に受け入れた。
「もちろん大丈夫です。案内役として部下を数名付けさせてもらいます」
「ご協力感謝します」
スカイピア警察“ホワイトベレー部隊”は、2人組に案内されて軍艦に入っていく。
そこで彼らが見た物とは…。
「これはなんですか?」
「私がモデルの人形よ!ボタンのお目目がキュートの素敵なお人形でしょ!?」
「えー…そうですね」
「これはルフィを模したお人形!セットで買ってみない?ここでしか買えないよ?」
ホワイトベレー隊にウタグッズを紹介していく歌姫。
お人形、旗、ウタのマークが刺繍されたタペストリー、キーホルダー。
どさくさに紛れて余ったグッズを治安組織に売りつけようとする魂胆すらあった。
彼女のオススメは、女海兵たちが一生懸命作ってくれたぬいぐるみである。
「なんでこんな物を積んでるんですか…」
「ライブをする私を応援する為にみんなに作ってもらったんだ!」
「商人ですらないんですか…」
「良いじゃん!みんなが私のグッズで笑顔になってくれるなら!」
「駄目だ…話にならん」
適当に難癖つけて合法入国者を犯罪者にしようとしたホワイトベレー部隊。
航海に不必要な物を山ほど積んでいるアホ集団に頭を抱えたくなった。
「マッキンシー隊長!
「でかした!!」
部下が
このままでは彼女たちによって泥沼に引きずり込まれる所だったからだ。
「お嬢さん!この貝は空島しか存在しません。ここで窃盗したのであれば第9級犯罪となります」
「これは別の空島と取引して購入した
「証拠は?」
「これが取引の明細書、空島ごとの
空島ごとに
会話をしていて自分たちを嵌める気満々だと分かっていたウタに隙は無かった。
「なるほど、確かにスカイピア産ではありませんな」
「でしょ!」
「では、質問を変えましょう。このスカイピアに来た目的です」
“神”が望んでいる以上、なんとしてもこいつらを犯罪者にしたいマッキンシー隊長。
難癖を付けて貶める手段に出た。
「見ればこの船は観光しに来た割には武装し過ぎていると思いますが?」
「前方の3連装砲塔はトサカのせいで使い物にならないし、他の大砲は紐で固定しています」
「さきほどのグッズを売っている船にしては武装し過ぎていると言いたいのです!」
「地上は危険だからここまでしないと安心しないの!それよりグッズを買ってくれない?」
なんとしても犯罪者として貶めたい隊長。
なんとしても過剰なグッズを買って欲しいウタ。
そして冒険がいつまで経ってもできずにいじけているルフィ。
それぞれの思惑が重なって一触即発しそうな状況だった。
「お嬢さん、私達をコケにするのは止めて頂きたい」
「でもあなたの部下達はグッズを買ってくれてるの…」
「なにをやってるんだ貴様ら!?」
リーダー格の女に指を指されて彼がそこに視線を向けると、頭を抱えたくなる光景だった。
不毛な応酬を繰り広げている間にホワイトベレーの隊員たちはグッズを購入していた。
空島にない素材で作られた物であり、限定品と聞いてつい買ってしまったのだ。
「返品しろ!!」
「「「「えぇ!?」」」」
「えぇじゃない!我々は任務中だぞ!!」
返品しようとする隊長に講義する部下達。
それを見たウタは勝ち誇ったようにドヤァ顔でマッキンシー隊長を見つめる。
彼女の手には、ウタグッズお得セットが握られていた。
「いくらだ?」
「500万エクストルでどう?」
「お買い得だな」
「処分するよりマシだからね」
「買おう」
「ありがとうございます」
結局、致命的な証拠を見つけられなかったホワイトベレー部隊は無様に帰還した。
否、ライブが録音された
「おっ!すげえな!雲の上を走ってる!?」
「これが空島の連中の移動ってわけですか」
「あれ欲しい!!」
「空島以外では使えそうも無いので貰わない方がよろしいかと…」
「なんだ、つまんねぇな!」
ホワイトベレーの部隊が矢を射出すると、帯状の雲が出現した。
その雲に乗って駆け回るかのように彼らは去っていく。
未知なる道具に興味をもったルフィだったが部下に使いこなせいと言われて意気消沈した。
「で?あいつら何をしにきたんだ?」
「こういう時は鋭い指摘をしますね…」
船内を捜索してグッズを買って帰っていくだけの一同を見てツッコミを入れるルフィ。
相手がボケだらけになると急速に知能が上がる彼は、つまんなそうにつぶやいた。
「人数を確認されたらまずかったですね」
「だからグッズでごり押しをやったの」
入国時には、389人の乗組員が居たが現在は388人しかいない。
理由は単純明快だった。
「もう出てきていいよ」
「……何でおれを匿ったんだ?」
山ほどあったウタグッズに埋もれかけていた衣装ケース。
その中には、さきほど軍艦を襲撃してきた捕虜が匿われていた。
「あの人たちに逢わせると碌な結果にならないと思ったから。それでいいでしょ」
「お人好しだな……」
シャンドラの戦士ワイパーは、お人好し集団に心底呆れた。
何度も殺そうとしたのに牢屋に入れるどころか手錠すらしなかった。
「なあ、黄金郷って知らねぇか?」
とにかく冒険がしたいルフィは、男に黄金郷について尋ねた。