【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編19 ワライダケとの遭遇

たった今、最も速い手漕ぎボートが誕生した。

船尾に噴風貝(ジェットダイヤル)を20個設置して起動しても発生しないほどの爆発的な加速度!

ルフィ・エンジンとウタ・エンジンが同時に起動し、急加速で雲面を駆けていく!

船首が雲面から離れて30°の斜め状態になっており、何で転覆しないのか奇跡的な状態だった。

これには、空魚に阻まれてボートを攫えなかった“超特急エビ”も苦笑い。

 

 

「「1.2.1.2.1.2.1.2.1.2.1.2.1.2.1.2!!」」

「わるかったああああっ!?」

 

 

フォクシーが謝ろうとして舌を噛んで悶絶をし、残りは必死にボートにしがみ付くのが精一杯。

やめられない!止まらない!ルフィとウタの暴走ボートに途中下船は許されない!

唐突に始まった“神の島(アッパーヤード)”突入RTA!

今までに無駄になった時間を返上して立ちはだかる空魚すら吹っ飛ばしてボートは突っ込んだ!

 

 

「喉は!大丈夫か?」

「ここは!素直に!甘えて!良い!?」

「おう!おれが!1人で!やるぞ!!」

 

 

幼馴染を気遣える男に成長したルフィは彼女に声出しをやめさせた。

代わりに合図というかリズムを刻むのだが、数字を出すのが面倒になっていた。

 

 

「いちちちちいいいいいいいいいいいいいいいいいいい~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

 

さっきと比べて倍速どころかで桁違いなスピードで発言したせいでウタもそれに合わせた。

よって、推進力と幼馴染パワーがあれば沈まねぇ理論でボートが更に加速する!

雲面から鋭角50°まで傾いたボートは6名と1羽の被害者を載せて船はゴールへ目指す!

 

 

「島が!見えて!来たわ!」

「すげぇな!なんで分かるんだ?」

「なんとなく!」

「なるほど!すげぇな!」

 

 

2人ともオールで漕ぐのにリソースを割き過ぎて知能が低下していた。

ゴール地点は決めたが、どこで止めるのか一切考えてなかったのである。

 

 

「で?どうやって!止まるんだ!?」

「さあ?わかんない!」

 

 

フーシャ村では、ゴール地点があって先にそこを通過した人物が勝ちだった。

今回はゴール地点を通過したらボートが岸にぶつかるしかない。

 

 

「「あっ……」」

 

 

ボートは水辺を渡る手段という概念を覆して大空を翔けた!

最終的に50°まで斜めになった船は岸を乗り越えて島に強行突入した!

 

 

『あ…これはまずいよね…』

 

 

まずい状況だと理解したウタは気絶したポルチェを抱えてボートから飛び降りた。

その後をサウスバードが入った鳥籠を抱えたルフィが追った。

 

 

「ハァハァ……ちょっとやり過ぎちゃった」

「久しぶりに本気を出せてよかったぞ」

「まあね…。ハァハァ…たまには、こういう…息抜きって大事よね」

 

 

疲労して喘いでいる幼馴染の女を見てもルフィは動じない。

ボートが粉々になるほどの衝撃を避けたと分かって一安心したくらいだった。

 

 

「私は女海賊を…ルフィはサウスバードを助けたのね…」

「ああ、さすがにこの鳥が怪我しそうだったから…」

「動物すらも気を遣うなんて……大好き」

 

 

ルフィとウタは最低限は守れたので、惨状に目を背ける様に会話を続けた。

天まで届きそうな大木の幹にショウジョウとマシラとモンブランが突き刺さっている。

地面にはハンバーグが減り込んで、遺跡に激突したフォクシーは瓦礫に埋もれた。

 

 

「島に来たことだし、冒険に行くぞ!」

「そうしよ!」

「「「「ちょっと待てや!!」」」」

 

 

17歳児の少年と19歳児の自称姉は、目の前に広がる惨状を無視して冒険を開始した!

そうは問屋が卸さないようで、地面や幹に突き刺さっていた4人が彼女たちに立ち塞がった。

意外と元気そうで困惑する義姉弟だったが、怒られるのを覚悟して立ち止まった。

 

 

「お前らの事は、よーーく分かった!」

「何が?」

「とびっきりのバカだって事だ!!」

 

 

モンブラン・クリケットは、女准将が想像以上に自由奔放だと理解した。

若さの割りにはやけに階級が高いと思ったが、彼女の行動を制限させるものだろう。

准将や歌姫の立場ではないこの状況で振舞っている行動こそが本来の彼女の性格だった。

 

 

「おいウタ!」

「どうしたのルフィ?」

「でっけぇワライダケを見つけたぞ!!」

「えっ?ホント!?」

 

 

どうやって言い訳しようか考えているウタであったが弟分が話題を変えてくれた。

ワライダケという懐かしい響きの名前を聴いて全速力でルフィの元に駆け付けた。

 

 

「ホントだ!すっごく大きい……」

「食べようぜ!」

「そうしよ!!」

「「「「待てや!!」」」」

 

 

あからさまに毒キノコしか見えない物を食べようとする海兵2名に4人がツッコミを入れた。

食事の邪魔をされた2人は不機嫌そうに猿山連合軍のボス達とハンバーグを睨みつけた!!

 

 

「なんで邪魔するのよ!」

「そうだぞ!!栗のおっさんたち!邪魔しないでくれ!」

「専門家じゃないのに獲って来たキノコを食べるんじゃねぇ!!」

「毒キノコって知ってるよ!!生で喰えるキノコなんてマッシュルームくらいしかないからね!」

「そんな事を言ってるんじゃねぇよ!!」

 

 

毒キノコを食べようとする2人を咎めようとするモンブランにウタが反論した!

しかし、話の論点がズレており、全く会話が成り立たなかった。

毒キノコだと分かりながら食そうとする海兵たちに誰もが正気か疑った。

 

 

「このキノコはね!ルフィの精神を支えてくれた命の恩人なの!!」

「辛いときや寂しい時、キノコを食べるだけで笑って不幸を吹き飛ばしてくれるの!!」

「私は、それを知って一緒に食べる事でルフィに寄り添って元気づけるって決めたの!!」

「だから邪魔しないで!!」

 

 

支離滅裂な発言をしたウタは、傘を千切ってルフィと分けて口に入れて噛み締めた。

 

 

「アハハハハッハハ!!やっぱこれ!!アハハハハハ!!」

「わひゃひゃひゃ!!楽しくなってきたぞ!!ウタ!もっとうひゃひゃひゃ食べるぞ!」

「アハハハッハ!ダメよ!!これ以上食べると冒険できなく…ヒヒヒヒ!なっちゃう!!」

 

 

ワライダケという名称は、毒で苦しんでいる顔が笑っているように見えるので命名された。

別名マジカルマッシュルームといい世界政府によって採取を禁止されている麻薬になるキノコだ。

ルフィが採って来たのは、その中でも毒性が強く口に入れただけで頭がイカれるものだった。

 

 

「マジでどんな生活してきたんだこいつら…」

「おやっさん、あまり踏み来ない方が…」

「毒キノコに頼るほど壮絶な人生を送って来たみたいだな」

 

 

ショウジョウ、マシラ、モンブランは腹を抱えて笑っている海兵たちを見てドン引きした。

世界政府に麻薬の原料となると知っているはずの海兵が食するなんて尋常じゃない。

明るく振舞っているようで、2人は何かを隠しているとしか見えなかった。

 

 

「ハァハァハァ…さすがに食べ過ぎたね」

「あーーー疲れた」

 

 

幻覚作用や興奮作用が切れて頭痛と呼吸が乱れてテンションが駄々下がりになった中毒者たち。

彼らは早急に部下の海兵にこの事を伝えようとするが、軍艦と連絡が取れないので無理だった。

 

 

「そうそう、これを部下達に伝えないでよ?やったら二度と…」

「しししし、栗のおっさんたちがチクるわけねぇよ!」

 

 

ワライダケを見つけたら2人で食べて笑い飛ばそうという約束をしているルフィとウタ。

だが、それは部下たちには内緒にしており、バレたくない彼女は本気で口止めをしようとした。

ルフィに邪魔されてカットラスで雑草を薙ぎ払いながら進んで行くが、殺意は消えてなかった。

 

 

「とにかく先に進みましょう」

「ちょっと待って!オヤビンが居ないの!!捜索して頂戴!!」

 

 

気絶から目覚めたポルチェは真っ先に船長を探したが見つからなかった。

なにかあったと思ってウタにしがみ付いて泣きながら捜索を懇願した。

 

 

「遺跡にぶつかって生き埋めになってるよ」

「オヤビン!?手伝って!救助を手伝って!!」

「どうする?」

「さすがに泣きつかれたら助けるしかないのよね…」

 

 

フォクシーと相性が悪いウタであったがポルチェの涙に負けて救助を開始した。

彼女の表情から部下想いだというのは痛いほど分かったので見捨てられなくなったのもある。

 

 

「ところで意外だな……歌姫が重い過去をもっているなんて」

「誰にでもあるわよそんな事くらい」

「進んで毒キノコを食べるほど辛い事がある奴なんて少数だぞ?」

 

 

モンブランは19歳児に話しかけると、更に何かを抱えているのが分かった。

彼自身は興味はないもののこのまま放置しているといずれ爆発する爆弾だと見抜けた。

だからこそ、少しでも心に抱えているのを吐き出させようとした。

 

 

「ところでモンブランさんは、ここに来て気付いた事はある?」

「植物がやけにでけぇな…くらいか」

「そう、この島に生えている植物、ジャヤ島に生えている雑草や樹木にそっくりなの」

「言われてみればそうだな」

 

 

中毒症状から抜けきっていない少女の言葉で彼は辺りを見渡すと見慣れた植物が見えた。

しかし、地上と違ってやけに植物の丈が大きいので別の品種に見えた。

 

 

「なんで気付けた?」

「こう見えてもサバイバル生活で生き残ってきたの。些細な変化くらい分かるのよ」

「ホント過去になにがあったんだよ……」

 

 

ウタは更に凍傷で腕が取れそうになったとか、熱中症で死にかけたと告げようとした。

…が辛うじて残っていた理性によって何とか堪える事ができた。

これ以上、過去話をされると部下に知られたくない情報を話される危険性があったからだ。

 

 

「もしかしたらジャヤ島の片割れかもね」

「なるほど……だから黄金郷を見つからなかったと?」

「あくまで想定の話、近海に似た様な島があって…それが飛ばされたかもしれない」

「“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”の衝撃なら島を空に打ち上げられる…か」

 

 

モンブラン・クリケットは、考えた事が無かった説を考えて黙って救助活動に取り掛かった。

先祖の残した呪いがようやく晴れようとしている。

しかしそれは彼の生きざまであり信念であったので、いざ謎が解き明かされると…。

次にどうしようかと悩んでしまった。

 

 

「オヤビンの頭が見えた!!」

「いやん!はやく周りの瓦礫を退かして!!」

 

 

フォクシー海賊団が船長を発見したのを聴いて全員で救助活動に取り掛かった。

 

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