【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編20 ルフィが歌う「アホの歌」との遭遇

1人の男が木の枝を振り回して無防備で歩いている男を狙っていた。

 

 

「ン~~~~ンンン~~~♪みなみのし~~まはあったけぇ~~♪」

 

 

音程は外しまくって敵地であるのに暢気で歌っている帽子を被った男。

“神・エネル”の命により神の島(アッパーヤード)内の守備を仰せつかった神兵からすれば絶好の餌であった。

 

 

「あたまポカポカアホばっか~~~♪」

「メーー!!」

「ん?ヤギ?」

「メーーーッ!!」

 

 

“麦わらのルフィ”が声に気付いたが背後から迫って来る男に気付かなかったようだ。

神兵は鉄さえも容易く両断できる“斬撃貝(アックスダイヤル)”で彼の背後を襲い掛かろうとした!

 

 

「はい♪」

「ぶほっ!?」

 

 

奇襲したのにわざわざ声で知らせて来た馬鹿にカットラスの柄が神兵のこめかみを襲った。

強打されて脳が揺れて脳震盪を起こした神兵は吹っ飛んだ後、気絶した。

 

 

「せっかく奇襲したのに声を出すなんてどんな訓練をされたの……」

「ヤギごっこでもしたかったんじゃねぇの?」

「ヤギの方が賢いわよ」

 

 

神兵を奇襲したウタは、奇襲の有利性を揺らがす行為に呆れていたがすぐに衣服を漁りだした。

(ダイヤル)”を回収して武装解除しつつ、目的の物があるか探っていった。

 

 

「追い剥ぎでもしてるのか?」

「モンブランさん、歌でみんなに夢を与える人がそんな事をすると思うの?」

「じゃあ何をやってるんだ?」

「……あった!神の島(アッパーヤード)の地図!」

 

 

彼女の目的は、神の島(アッパーヤード)の地図であった。

ジャヤの地図やスカイピアの地図は入手していたが、この島の地図は入手で来てなかった。

手っ取り早く入手する手段は、島の守備兵から奪うのが良いと判断してルフィを囮にさせた。

 

 

「そいつは放置するのか?」

「空島は鉱石が貴重だから(ダイヤル)を奪うだけで弱体化できるの。殺すまでもないしね」

 

 

奪った(ダイヤル)を白々海に投げ捨てたウタは何事もなかったように歩き出した。

リーダーが彼女の為、一同も後を追うように歩き出す。

 

 

「ルフィの歌、中々よかったよ!」

「そうか?適当に歌ってみただけ…」

「良いじゃない!思いついた事を歌うなんて!私も一緒に歌うわ!」

「じゃあ、一緒に歌うか!」

「うん」

 

 

歌を聴けば歌いたくなるし、二重奏(デュエット)したくなるのが歌姫の性。

特に昔から楽しく歌う幼馴染なら尚更一緒に歌いたくなった。

だからこそ、一緒に歌おうと言われた彼女は後ろ髪を頭上に上げて嬉しそうに歌い始めた。

 

 

「ン~~~~ンンン~~~♪みなみのし~~まはあったけぇ~~♪」

「ン~~~~ンンン~~~♪みなみのし~~まはあったけぇ~~♪」

「あたまポカポカアホばっか~~~♪」

「あたまポカポカアホばっか~~~♪」

 

 

海兵や世界政府加盟国の国民はおろか、海賊や無法者すら魅了する歌声が…。

知能指数が下がりそうな歌詞を楽しく歌い始めた。

 

 

「絶対に公式の場で歌う事は無い歌詞を歌ってもらうなんて俺たちついてるんじゃねぇ?」

「一曲歌ったら採用してくれるのか!?」

「ショウジョウ、さすがに海中探索用の声で歌うと歌姫がキレると思うぞ」

 

 

ショウジョウも歌って歌姫に二重奏(デュエット)してもらおうとしたがマシラに止められた。

そんな事をやったら、歌姫がガチギレしそうな感じがしたからだ。

 

 

「ところでどこに向かって歩いてんだ?」

「私に訊かないでよオヤビン!あいつらに訊いてよ!」

「フェッフェッフェッフェッ!……邪魔すると酷い目に遭いそうなんだよな」

 

 

フォクシーは団員たちを助けたいが場所が分からない。

海兵が時折、見えていないのに居場所を把握できる特殊能力があると見抜いたのでそれに頼った。

ただ、あくまで賭けであり、実際どうなのか海兵以外には分からなかった。

 

 

「き~たのし~~まはさ~~む~~~~~~い♪」

「き~たのし~~まはさ~~む~~~~~~い♪」

「あ~~たまブルブル~~♪アホばっか~~~♪」

「あ~~たまブルブル~~♪アホばっか~~~♪」

 

 

一見すると馬鹿みたいに見えるが、かなり高度な技能で歌姫は歌っていた。

歌詞を知らない以上、幼馴染の唇を見て読唇術で一言一句間違えずに歌ってみせた。

さすがにフレーム単位ではズレているが、気付ける者など居ないだろう。

世界の歌姫は伊達じゃないが、ルフィが下ネタを歌えば彼女も堂々と歌うつもりだった。

まさに技能と技術の無駄使いである。

 

 

「ぎゃあああああああああっ!!ああああああああががががっ!!」

 

 

聴くだけでアホになりそうな歌を掻き消すように後方で男の断末魔の叫びが聴こえた。

何事かと身構えるフォクシー海賊団と猿山連合のボス達。

 

 

「ン~~~~ンンン~~~♪ひーがしのし~~まは~あさが~~はぇえ~~~~♪」

「ン~~~~ンンン~~~♪ひーがしのし~~まは~あさが~~はぇえ~~~~♪」

「ジョオオオオ~~~ジョ~~ジョジョジョ♪」

 

 

一方、大佐と准将はそんな事など気にせずに楽しく歌っていた。

声を打ち消される悲鳴を上書きするように大声で歌ってのけた!

自己主張するかのようにサウスバードも歌い始めてカオスな環境となっている。

 

 

「おい!悲鳴が聞こえたんだが!!」

「なによ!歌の邪魔をしないで!!」

「気絶したあいつが何者かに襲撃されたんだぞ!?もっと警戒しろよ」

「野生動物の群れに付けられていたんだから、そいつらに喰われたんでしょ!」

「えっ……知ったのか?」

 

 

さすがに緊急事態なのでモンブラン・クリケットはウタに話しかけると不機嫌そうに返答された。

野生動物の群れに狙われているのを知ってながら呑気に歌っていたというのだ。

 

 

「この世は弱肉強食!隙を見せたあいつは喰われて死んだ。それだけでしょ」

「まさか……分かっていて放置したのか!?」

「民間人なら助けてあげたけど軍人なら自己責任で対処して欲しいよね」

「いやいや、気絶してたんだから完全に見殺しをしたよな!?」

「いいじゃない。私達の囮になってくれたんだから!むしろ彼に感謝してあげようよ」

 

 

ルスカイナ島でサバイバル生活をして生き残ったウタは死に関して特に何も思う事は無かった。

現実世界とウタワールドで同時に存在する彼女は、肉体の死に鈍感であった。

戦死した海兵の遺体が入った棺桶を見て泣いている同僚を見てようやく悲しく思えたくらいだ。

それくらいウタウタの能力は彼女の価値感を歪めるほど凶悪な物である。

 

 

「私の推理が正しければ……ここで真相が分かるはず」

「何を言ってるんだ?」

「私を信じてついてきて!」

「まあいいけどよ」

 

 

ウタが何かを探して歩いているのをマシラは知っている。

だが、何を探しているのか分からなかったが、考える事が苦手なので意見する事は無かった。

 

 

「着いた!!」

「はっ!?」

「えっ!?」

「マジかよ……」

 

 

海岸ならぬ雲岸に出た一行は、衝撃的な物を目撃して絶句した。

 

 

「これは俺の家じゃねぇか……」

 

 

ジャヤ島のモンブラン・クリケットが根城にしていた建物。

縦半分を失った建築物にベニヤ板を張って彼らは暮らしていた。

何でこんな建築なんだと疑問に思ったが詳細が分からないので無視していた。

 

 

「ここにあったのか!残りの建物が!!」

 

 

ジャヤ島に残された建物の紛失した部分は、遥か上空に確かに存在していた。

 

 

「つまり“神の島(アッパーヤード)”はジャヤの一部だったって事か」

「不思議海流でここまで来たんだな」

「そうね。それしかこの質量の島を天空に飛ばせないよね」

 

 

モンブラン・クリケット…いや、先祖たちが探し求めていた場所は天空にあった。

それだけで彼は今までの努力が報われた気がした。

 

 

「ジャヤ島と神の島(アッパーヤード)の地図を合わせるとドクロのマークになったの」

「それでわざわざ海沿いを歩いて来たのか?」

「うん、ここなら証明できそうな建物があると思ったの!!」

「すげぇな!やっぱウタに任せて正解だったぞ!」

 

 

ドヤァ顔で勝ち誇るウタは、ルフィに褒められて後ろ髪を激しく動かして感情表現をした。

歌で褒められるのではなく姉貴分として尊敬してくれる方が嬉しかったのだ。

 

 

「待てよ!俺らの仲間はどうしたんだ!?」

「大丈夫、すぐ近くにそれらしい気配がしたからそこに向かうつもり!」

「……なんで暗い顔をしたんだ?」

「……行ってみれば分かるよ」

 

 

フォクシーがツッコむと、途端に暗い顔をしたウタ。

誰もがその表情で察したが船長として諦めるつもりはないフォクシーは頭を振った!

諦めない限り、あいつらが生きていると信じている!!

 

 

「ぷぷぷ……みんな大丈夫かな…」

「ハンバーグ!!あいつらがそう簡単にくたばれないって分かってるでしょ!!」

「そうだといいんだけど」

 

 

ハンバーグが最悪の事態を思い浮かべたが、ポルチェはそれを否定した。

仲間を信じている彼女は、敵を返り討ちにしたと信じている。

 

 

『でもあの様子だと……何かあったの?』

 

 

気絶した敵が野生動物に捕食されても動じなかった女が気が滅入ったような顔をしていた。

それが意味するのは……と考えてしまいハンバーグと同じことを思ってしまった。

 

 

『大丈夫!絶対に生きてる!!』

 

 

四足歩行するハンバーグの背に乗ったポルチェはポジティブに考えた。

 

 

「行くよハンバーグ!!」

「わかった!」

 

 

先行した海兵を追うようにハンバーグに指示をして走らせた。

きっと向かう先には、笑顔で出迎えてくれる野郎共が居ると信じて!

それが叶わぬ夢だと分かっていても希望の糸に縋るように後についていった!

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