【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編21 神官サトリと副神兵長たちとの遭遇

「そういえばここから逃げたそうだが、一体何があったんだ?」

「よくぞ訊いてくれた!そう!あれは俺がまだ可哀そうな被害者ではなく…」

「早く本題に入れよ」

「……はい」

 

 

フォクシー海賊団がこの島で酷い目に遭ったというのは誰もが察している。

だが詳細な情報は知らされてなかったのでマシラはこの機会にフォクシーに尋ねた。

当の本人は、話を盛ろうとしたのだが即座に蹴られたので情報を吐くだけにした。

 

 

「入国料を支払わずに不法入国者になって罪人になった」

「まあ海賊だから仕方がないな」

 

 

マシラもショウジョウもモンブランも同じ立場だったら支払う事はしなかったのだろう。

同乗していたのが海軍なので律儀に入国金を支払って堂々と入国できただけだ。

それも無駄になってしまったが、支払ってもらっている以上、責める事はできなかった。

 

 

「それでこの島に強制連行されたのか」

「ああ、それで罰を受けて来たんだ」

「自業自得じゃないの?」

 

 

良く考えれば罪人が裁かれただけで特に問題は無さそうである。

秩序側のウタからすれば、こいつらを手助けする理由が急速になくなっていた。

 

 

「で?なにがあったんだ?」

「エンジェル島に3人で買い物してる時に船がこの島に連行されたんだぜ」

「だから?」

「街のみんなから俺たちは罪人であいつらが人質って言われて…」

「もういいわ」

 

 

これ以上聞いても大した情報が得られないと分かったウタは話を中断させた。

フォクシーは何としても悲劇を皆に告げたかったが同情するのが部下2名しか居なかった。

 

 

「雲の川?」

「うん、この地図によると島中に雲の川が張り巡らされているみたい」

 

 

雲の川(ミルキーロード)と呼ばれる川が島を巡回するように張り巡らされていた。

通常は、船に乗って進むのが正規ルートであるが、彼女達は不法に侵入したので気にしなかった。

 

 

「どうやって渡るんだ?」

「そこの大木から長い蔦があるからこれを利用しましょう」

 

 

ルフィの素朴な疑問に対してウタは、大木からぶら下がった複数の蔦を指差して笑った。

海賊だけではなく幼馴染ですら首を傾げたが、彼女は臆する事無く自信満々に大木の枝に乗った。

 

 

「見ててねルフィ!義姉(おねえ)ちゃんがお手本を見せるよ!!」

 

 

両手で蔦を掴んだ19歳児は、弟分に良い所を魅せようとアピールする!

本当に海軍本部の准将なのかと1名を除いて疑いたくなる光景だった。

 

 

 

「ア~~~ア⤴︎ア⤵︎」

 

 

彼女は蔦渡りで雲の川(ミルキーロード)を泳がずに向こう岸に渡って見せた。

 

 

『やっぱり麦わらがあの性格になったのは、あいつのせいか』

 

 

モンブラン・クリケットは破天荒な大佐以上に歌姫がぶっ飛んだ性格だと理解した。

そりゃあ、こんな自称姉に育てられればそんな性格になるな…。

そう思った彼は納得したように腕を組んで何度も頷いた。

 

 

「おお!すげぇ!!負けてられねぇや!!」

 

 

ターザンごっこを見て興奮したのが17歳児の少年だった!

元から猿みたいな彼は幼馴染に対抗心を焚きつけられて黙って見てるわけなかった。

鳥籠を持ったルフィもすぐさま蔦を手に取って足で枝を蹴って振り子のように落ちていった。

負けず嫌いの彼は彼女に負けない大声で気持ちよく叫んだ!

 

 

「あ~~~ああ~~~~!!」

 

 

美声ではウタに負けると分かっているので彼は大声でターザンごっこをした。

向かい風が何とも気持ちよくてもう一回やってみたいと思ったくらいである。

それに負けじと猿山連合のボス3名も蔦を手に取った。

 

 

「「「ア~~~アア~~~!!」」」

 

 

初心に戻った3人は愉しく蔦渡りを楽しんで満足した。

 

 

「わざわざ敵に見つかるように声を出すなんて馬鹿みたい!」

「そうだよな!俺もそう思うぞ!」

 

 

それを見てポルチェは敵にわざわざ発見されるような真似をするおバカ4名に呆れていた。

特に一番初めにやった女は、さきほど神兵の行動を咎めていたのもあって失望した。

フォクシーも船長らしく部下の意見に賛同するように適当に頷いていた。

 

 

「でも、あれがてっとり早く移動できる」

「ハンバーグもやるの?」

「ポルチェちゃん!しっかり掴まって!」

「分かった」

 

 

四足歩行をするハンバーグに背負ってもらったポルチェは覚悟を決めた。

胸を当てられて興奮する男じゃないのが幸いして恥じらう事がなかったのが幸いである。

しっかりと自分の首に両手を回したポルチェを確認したハンバーグも蔦で移動した。

 

 

「「あ~~~~ああ~~~!」」

「結局、ポルチェちゃんもやってるじゃねぇか!?」

 

 

ポルチェもターザンごっこの魔力に抗えずにハンバーグと共にアーアアーを叫んだ!

思わずフォクシーはツッコミを入れたが、すぐに自身の置かれた状況を把握した。

 

 

「オヤビン!どうしたの!?早く行きましょう!!」

「で、でもよ……」

「おい!割れ頭!早く来ないと置いていくぞ!!」

「わざわざ待ってあげてるんだから早く来なさい!!」

 

 

ポルチェもルフィもウタもフォクシーが来るのを待っていた。

だが、一向に来る気配が無くて誰もが疑問に思っていた。

 

 

「ぷぷぷぷ、今のオヤビンじゃここに来れない」

「分かってんならすぐに助けてくれよハンバーグ!!」

 

 

懸賞金2400万ベリーのフォクシーは元ボクサーで弱いわけでない。

ただ長距離走の選手が短距離水泳が得意かと言われたらそうではないように彼も弱点があった。

ジャンプだけで数m跳べるが、それ以上にドジっ子属性がある。

 

 

「い、いくぞ!……ぎゃあああああ!!」

 

 

漢らしく蔦を掴んで枝を蹴ろうとするとスっ転んで地面に激突した。

特定のルールでは無敵を誇る彼だが、慣れていないと運動音痴にしか見えなかった。

だからこそ嘘だろうと決闘だろうと騙し討ちだろうと裏で努力する熱血漢だった。

 

 

「おい割れ頭!」

「なんだよ…やっぱお前も俺を馬鹿にするのか?」

「引っ張るからさ!掴まれよ!」

「む、麦わら……あ、ありがとうな!!」

 

 

落ち込むフォクシーに文字通り手を差し伸べたルフィ。

向こう岸にある大木に両脚で挟み込んで、川を跨いで落ち込んでいる彼に手を差し伸べた。

海賊と海兵と言えども、友情ってあるんだなと思う彼は涙ぐんで温かい手を掴んだ。

 

 

「ぎゃああああああああああ!?ほげっ!!」

 

 

伸びきったゴムの腕が急速に縮んでフォクシーを向こう岸へと引っ張る。

それは凄まじく速い上にルフィは彼を受け止める気は無かった。

そのせいで加速したフォクシーは大木に激突した。

 

 

「麦わら~~!!お前なんか信じるじゃなかった!!」

「だって、受け止めるの面倒なんだもん!」

「あとで覚えてろ!!」

 

 

タンコブだらけでキノコが積み重なった様な顔をした船長は本気でルフィを恨んだ。

 

 

「無事に渡れたから良いじゃねぇか」

「これのどこが無事なんだよ!?」

「だって、あそこに黒ずんだ奴らが倒れてるし…それに比べれば平気じゃねぇか」

 

 

ここで猿山連合軍のボス達とフォクシー一味は、誰かが倒れているのを理解した。

 

 

「う、うそ!?ピクルス!?」

 

 

ポルチェは黒焦げになった大男に泣きついた。

それを見て本当に仲良しだったんだなと他人事に思える彼らは人でなしであろう。

 

 

「いやあああああ!心臓が動いてない!?鼓動が無いの!!」

 

 

心臓の音を聴こうとした彼女は、反応がなかったので更に穴という穴から液体を流した。

顔は完全に崩れ去って“お花チアリーダーズ”には見せられないほど泣き崩れた。

事情を知るウタ以外は誰もがそれを見て、ルフィですら黙り込んで黙祷を捧げた。

 

 

「ポルチェちゃん…心臓の位置が逆だよ?」

「えっ!?……あっ!動いてる!動いてるうううう!!」

「「「「「涙返せコノヤロー!!」」」」」

 

 

ハンバーグによってポルチェは改めて胸部に耳を当てると確かに鼓動が聴こえた。

それを聴いて泣き止んでガッツポーズをする女に男衆は流れる様にツッコミを入れた。

 

 

「それは良いけどスズメに乘ってる人や魚人は心配しなくていいの?」

「「「イトミミズ!?チュチューン!?カポーティ!?」」」

 

 

ピクルスだけではなく顔馴染みが倒れ込んでいるのを見て手当てをしようとする3人。

焦げているので火を扱う能力者にぶつかったのかと考察するモンブラン。

敵がどこからに居るのかと警戒するマシラとショウジョウ。

 

 

「よし、この鳥を食べるか!」

義姉(おねえ)ちゃんに任せて!!肉を捌くのは慣れているから!!」

「ジョ~~~♪」

「「やめろおおおお!!」」

「やめてええええ!!」

 

 

そんな悲劇など気にすることなく『超スズメ』を食べようとする海兵2名とサウスバード。

血も涙もない発言にフォクシー一味は泣きついて惨劇を止めようとした。

 

 

「この焼き鳥は私が先に見つけたの!だから私に肉を捌く権利があるの!!」

「良く見ろ!黒いマスクをしているだろ!?これは俺の子分だ!食べ物じゃねぇ!!」

「「えっーーーーー!焼き鳥パーティが!?」」

「えっ!じゃねえ!何でそんなに食べる事しか考えてないんだお前ら!?」

「ジョオオオオオ!?」

「お前は鳥だろうが!なに共食いしようとしてるんだ!てめぇ!!」

 

 

航空戦力に魚人、屈強な身体を持つタンク役の男を見れば偵察に来た連中なのだろう。

そこまで分析したウタであったが、せっかう焼き鳥があるので調理するつもりだった。

証拠を魅せ付けられてもなお、食い下がらない2人を必死がフォクシーが宥めた!

 

 

「何でここに倒れているんだ……」

「ここから北東に大勢が虫の息になってるから助けを呼びに行ったか偵察だと思うの」

「お前……何で知ってて黙ってたんだ!?」

「世界を不安定にする海賊風情がどうなろうと私には知った事じゃないの…分かる?」

「わ、分からねぇ……何でそこまで笑って答えられるんだ…!?」

 

 

見聞色の覇気で900人ほど北東で倒れているのはウタには分かっていた。

ただ、民間人の可能性が否定できなかったので黙っていたが彼らの反応で杞憂だと分かった。

その瞬間、海賊嫌いの彼女は、唖然とする船長に向かって笑みを浮かべて説明をした。

さきほどまで馬鹿をやっていた女ではなく海軍本部の准将の目を見てしまい、彼は怯えた。

 

 

「ほっほほうう!ほうう!お前ら、おれたちを無視するとは良い度胸だ!」

「ほら、あんたのせいで敵部隊が湧いたじゃない」

「俺のせいじゃねぇよ!?」

 

 

敵から話しかけられたのを聴いて全責任を割れ頭に押し付けた女将校。

それを全力で否定する“銀キツネのフォクシー”のやり取りで神官はキレかかっていた。

ただ神エネルに仕える神官として私情を剥き出しにするわけにはいかず冷静になった。

 

 

「良く見れば黒仮面をした3人は罪人じゃないか。ノコノコと戻って来たのか?」

「そうだ!あいつらは無事なんだろうな!?」

「あいつらは裁かれたよ。生とは苦しみ……良かったじゃない現世から救われて」

「ふざけんなてめぇ!!ノロノロビ~~~ム!!」

 

 

激怒したフォクシーは得意技でケリをつけようとしたが彼にビームを躱された。

まるで未来予測をしているように割れ頭の後頭部に掌を押し付けた。

 

 

 

「“衝撃(インパクト)”!!」

「ごはっ!?」

「「オヤビン~~~!?」」

「衝撃は骨の“髄”から破壊する!……何だまだ生きているのか…可哀そうに」

 

 

後頭部から衝撃が加わったフォクシーは口から吐血して白目を剥いて倒れ込んだ。

ハンバーグとポルチェは、倒れ込んだ船長の仇をとるべく血眼で彼に襲い掛かった。

 

 

「“衝撃(インパクト)”!!」

「“斬撃(アックス)”!!」

 

「うぎゃあああああ!?」

「ぎゃああああああああああああっ!?」

 

 

しかし後方から出現した2人によって同じように衝撃を受けて倒れ込んだ。

 

 

「「ほっほうほう!ほほほう!逃げた罪人は裁かれた!」」

「また変なのが出て来たな」

「おれの名前はコトリ!」

「おれの名前はホトリ!」

「いや分かんねぇよ…」

 

 

似た様な男が3人現れてルフィの頭脳では情報をまとめる事が出来なかった。

とりあえずそっくり3人組が来たという結論付けた。

 

 

「もしかしてお前ら兄弟か!?」

「「ほほっう!そうとも!オレンジ色の帽子を被ったのが長男のサトリで神官さ」」

「なるほど不思議兄弟なのか!」

「「おれたちは副神兵長!すっごく偉いんだ」」

 

 

ルフィに褒められたと勘違いした彼らは、わざわざ自己紹介を始めた。

冥土の土産と言わんばかりにここぞとばかりに技を披露した!

 

 

「三男のコトリは左手が“衝撃貝(インパクト)”、右手は“匂貝(フレイバー)”!」

「次男のホトリは左手が“炎貝(フレイム)”、右手が“斬撃貝(アックス)”!」

「「さぁ!どっちがホトリでどっちがコトリで何が出るかお楽しみ!」」

「「“びっくり(ダイヤル)イリュージョン”!!」

 

 

双方が似ている体形なので入れ替わってもどっちか分からない。

それは外観だけで見聞色の覇気なら見分けられるのでルフィもウタも気にしてなかった。

ただ出し物としては面白そうだな…というくらいに感じたほど他人事であった。

何で2人が腕を組んでグルグル回ったのかも分からなかった。

 

 

「「そしておれらを凌ぐ最強の長男、神官のサトリだ!!」」

「ほうほうほほ!そこまで言う必要がないぞ可愛い弟たちよ!」

 

 

更に調子の乗った三兄弟は不思議な踊りを罪人たちに披露した。

彼らからすれば生きていて苦しんでいる彼らに安堵させて殺す為の手順だ。

 

 

「「「ほうほう♪ほほうほっほ♪おれらの身体は真ん丸♪真ん丸♪」」」

「「「ほほうほ~♪罪人を多く裁いたのは~~♪おれら♪おれら♪」」」

「「「神官と副神兵長~♪3人揃って最高だ!真ん丸♪真ん丸♪おれらは最強だ真ん丸♪」」」

 

 

何故か歌い始めた3人組を見て戸惑う一同。

特に歌姫であるウタは、それのせいで攻撃が仕掛けられなかった。

 

 

「「「ほうほう♪ほほうほっほ♪“神の島(アッパヤード)”の門番はおれら♪おれら♪」」」

「「「ほほうほ~♪エンジェル島で恐れられるのは~~♪おれら♪おれら♪」」」

「「「神官と副神兵長~♪3人揃って最強だ!真ん丸♪真ん丸♪おれらは真ん丸三兄弟♪」」」

「「「さあ、お前ら「嵐脚“8分音符の3連符(アハテルトリプレット)”!」ぐぎゃあああああっ!?」」」

 

 

3人が不思議な踊りをしながら歌い切った瞬間、歌姫は用済みと言わんばかりに攻撃を加えた!

ウタが技名を叫んだ瞬間には、音速より早い飛ぶ斬撃によって3人組は胸部を大きく裂かれた。

いくら見聞色の覇気の使い手であっても、攻撃を避けられなければ意味はない。

武装色を纏った音速越えの飛ぶ斬撃など彼らには荷が重かった。

 

 

「なあ、ウタ。いくら何でも歌い終わった後に攻撃をするのは失礼じゃないか?」

「それもそうね」

 

 

ルフィに指摘されて自分の立場に置いてみると確かに可哀そうな事をしたと思う歌姫。

優しい弟分に感謝して次に活かす事にした!

 

 

「じゃあ……今のナシ!」

「「「えええええええええええ~~~~~!!」」」

 

 

純真無垢な笑みを浮かべてとんでもない事を言った歌姫に3人の大男が絶叫した。

被害者3名は既に虫の息だし、助ける気が無い以上、彼女の発言に何も意味は無かった。

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