【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編22 “神”・エネルとの遭遇

新たに魚人、超スズメ、宴会隊長を加えた一同は、前へと進んで行く。

いや、お荷物を新たに加えた一同は、大勢の気配がする場所へと向かっていた。

 

 

「また川だ!?」

「大木を切り倒せばいいじゃない!」

「「「海軍が自然破壊をした!?」」」

 

 

またしても雲の川(ミルキーロード)に出くわした一行。

ウタ准将は特に気にすることなく大木を斬り落として橋にした。

 

 

「遺跡のせいでこれ以上進めねぇ!?」

「だったら破壊して進めばいいじゃない!」

「「「海軍が遺跡を破壊した!?」」」

 

 

遺跡群と遭遇したせいで遠回りに移動する一行を咎めた准将。

得意の嵐脚で歴史価値が薄そうな瓦礫を破壊して道を作った。

 

 

「「「メェー!!」」」

「敵だあああああ!?」

「殲滅すればいいじゃない!」

「「「敵が瞬殺された!?」」」

 

 

神兵3名と遭遇した一行は身構える前にウタにぶっ飛ばされて戦闘が終了した。

全員がもしかしたらかなり強引のルートを通っているのではないかと思い始めた。

 

 

「着いた!!」

「着いたのは良いけどよ。絶対無理やり通ってきたよな?」

「はあ?瀕死状態の割れ頭の仲間を手当させる為に急いだのにその言い方はないじゃない!?」

 

 

せっかく善意で近道を通ってきたのに当の元凶に否定された彼女は不機嫌そうに返答をした。

実際、早く救助をしなければ人命が失われたのもあり、私情を押し殺して海賊の救助に来た。

それなのにこいつと来たら愚痴やら反論ばっかりで彼女は更に苛立った。

 

 

「ちょっといい」

「どうした?」

 

 

ウタに呼びかけられたルフィは彼女に向かって振り向いた。

すると彼女が甘えたかのように抱き締めて来たので優しく受け止めた。

 

 

「……なんかあったのか?」

「何も無いよ。ルフィ成分を補充しているだけ」

「じゃあおれもウタ成分を補充するぞ」

 

 

ルフィも彼女を抱きしめて優しく頭を撫でた。

体臭や温もり、なにより依存している存在が傍に居るだけで心が温かくなった。

 

 

「なあ、俺たちって邪魔じゃないか?」

「2人っきりにするのが一番だが、今はそれどころじゃないぞ」

「どうするおやっさん?」

「まず周囲を警戒しておくべきだ」

 

 

急に気まずくなったマシラとショウジョウはおやっさんと相談して見張りをする事となった。

さすがに思春期の男女の仲を邪魔する気にはなれなかった。

ロマンが大好きな彼らは、思春期の甘酸っぱさも好物だが直視できるほど若くは無かった。

 

 

「セクシー・フォクシー号が!?」

「うわ……ボロボロになってる…ぷぷぷ、もう直んないね」

「お、俺の船が…」

 

 

フォクシー海賊団が誇る巨大ガレオンのセクシー・フォクシー号が無残な姿となって発見された。

元より海軍との戦闘でメインマストとフォアマストが破壊されるという致命傷を負っていた。

だが、今の状況は更に凄惨であり、船が七等分されて雲に沈んでいた。

 

 

「畜生!誰だ!こんな事をやったのは!?」

 

 

辛うじて水面から出ている甲板からは動かなくなった船員たちが転がっていた。

それはまだ良い方で水面に浮かんでいる連中のほうが多かった。

まさに死屍累々の有様で生存者が居るのかも疑問だった。

 

 

「オヤビン……」

「クソ!!やっぱ逃げなきゃ良かったのか!?」

 

 

フォクシーは、あの雷野郎と遭遇して心が折れてしまった。

悪魔の能力で牽制して逃げて来たのだが、それがまずかったようだ。

神の怒りを買った以上、可愛い子分たちが無事なはずはなかった。

 

 

「お腹空いた」

「お弁当にしましょう」

 

 

どうすればよかったのかフォクシーには分からなかった。

相手は“自然系(ロギア)の能力者”、どう足掻いても倒せる気がしなかった。

 

 

「ああああああああああ!!」

「どうしたのルフィ!?」

「お弁当が空っぽだああああ!」

「なんで!?」

「そういえば、軍艦で食べてた……」

「お弁当だから後で食べればよかったのに!!」

 

 

ただ助けを呼んだのは正解だった。

その部下である神官すら1人も倒せなかった以上、海兵だろうと頭を下げた甲斐があった。

 

 

義姉(おねえ)ちゃんの弁当を分けてあげる!」

「ご、ごめん…」

「良いの!義弟(おとうと)の失敗は義姉(おねえ)ちゃんの責任だから!お口空けて」

 

 

一通り泣いたフォクシーが団員たちの救助を決意した!

泣き叫んでも悲劇は無くならないがせめて可愛いあいつらの骸だけでも回収したい。

それが船長としての役目だと思っている!

 

 

「はいあ~~ん!…美味しい?」

「ししし、美味しいぞ」

「念のためにお弁当を分割させておいて良かった!リスク管理はしっかりしないとね」

「おい!そこのバカップル!!」

「誰がバカップルよ!この割れ頭!!臭い!醜い!うざい!の三拍子の割れ頭風情が!!」

「……そこまで言わなくても」

 

 

女准将が海賊嫌いだと分かっていたが、口だけで叩き潰してくる姿勢に彼は落ち込んだ。

さすがにルフィも咎めようとするが、お弁当を分けてもらっているので文句が言えなかった。

初めての友達でライバルであり盃を交わした義姉弟の関係で上司と部下の関係。

少なくともウタがルフィを異性として強く認識しているが恋人の関係に踏み込めなかった。

その為、部下や上官に煽られると赤面してしまい、赤の他人に言われると口が悪くなる女だった。

 

 

「あの重箱を見ると、絶対分ける前提だな」

「愛妻弁当じゃないが、こういうのは大好物だ」

「むさ苦しいおっさんの俺たちが居るべき場所じゃないな」

 

 

マシラ、ショウジョウ、モンブランは輝かしい青春空間の光を浴びて成仏しそうだった。

歳を取るとこういう若い奴らが青春を満喫していると嫉妬ではなく憧れを感じてしまう。

だからといって尊死するわけにもいかず彼らは気を紛らわせる為、海賊の救助をし始めた。

 

 

「いやん!ハンバーグ、私どうすればいいの?」

「ポルチェちゃんは看病するだけでいい。それが一番」

「包帯とか傷薬とか水の底なんだけど…」

「みんながもってきてくれるさ。」

 

 

無力感に苛まれた彼女は、思わず近くに居たハンバーグに疑問をぶつけてしまった。

彼女の純粋さを傷付けないように彼なりにアドバイスをして去っていった。

それを感じ取った彼女は初期組としての愛情を感じ取ってやる気を取り戻した。

 

 

「喉乾いた!水筒を忘れちまったから水筒貸してくれねぇか?」

「いいわよ」

 

 

さきほどウタが水分補給をしているのを見て自分もしようとしたら忘れていたと気付いた。

なので彼女に頼み込んで水筒を受け取ったルフィはゴクゴクゴクと喉を潤していく。

豪快な飲みっぷりを見て嬉しそうに微笑む義姉(おねえ)ちゃん。

 

 

「ふ~~~~助かった!ありがとうな!」

「うん、義弟(おとうと)が困っていたら助けるのが義姉(おねえ)ちゃんだからね!」

「しししし!ウタが居て助かった!!」

義姉(おねえ)ちゃんの水筒なんだから…もうちょっと遠慮して飲みなさいよ!!」

「うわああああ!?揺らさないでくれ~~~!!」

 

 

彼女自身は水筒やコップを回し飲みするのには抵抗が無いがせめて少しは遠慮して欲しい。

そんな乙女心に火が付いて空っぽの水筒をリュックサックに仕舞ってルフィを揺らした。

 

 

「ジョオオオオオ!!」

「何よ、あんたも食べたいの?」

「ジョー!」

「はーい!あ~~ん!」

 

 

鳥籠に入ったサウスバードもお腹を空かせたと抗議したので彼女は弁当を食べさせた。

するとさっきまでふざけていたルフィが神妙な神妙な面持ちでそれを見守った。

 

 

「もしかして…嫉妬してる?」

「違う!」

「やーい負け惜しみぃ!」

 

 

ウタが自分だけにやってもらっている事を他人にもやってもらうと嫉妬する癖があるルフィ。

彼女から煽られて頬を膨らませて両手を握り締めて目を背けた。

ルフィには恋愛感情が無いがそれだけ彼女は特別な存在であり、半ば自分の半身の認識があった。

だから自分に与えられる愛情が別の所に行ったのを見てしまい、嫉妬していた。

 

 

「沈没船から面白い物を拾って来る!」

「楽しみに待ってる」

「ぎゃふんと言わせてやるから覚悟しろよ!!」

 

 

なので、気を紛らわせようとルフィは沈没船の甲板に乗り込んだ。

彼女を満足させられる物を見つけて、喜ばして愛情を独占したい気持ちがあった。

 

 

『それにしてもこっぴどくガレオン級が斬られたわね…凄腕の剣士でもいるのかな』

 

 

海軍本部の軍艦に匹敵する『セクシー・フォクシー号』の残骸をウタは分析していた。

まるで野菜を両断するかのように七等分されており、剣士の技量の高さが伺える。

 

 

『剣士…か』

 

 

剣士と言えば、東の海で出会った二人組、紙一重じゃない方の賞金稼ぎを思い浮かべた。

1人は、マリモ頭の二刀流の剣士、もう1人は黒髪のボブで一刀流の女剣士だ。

性格は真逆のようで似た者同士という自分たちと親近感がある剣士たちだった。

 

 

『今、何をしているのかなー』

 

 

腕っ節を見込んで海兵に誘ったが断われてしまったけど、何かと縁がある剣士たち。

最後に逢ったのはアラバスタ王国だったか。

あの時は、緊急時だったせいで挨拶も交わせずに別れたが、今もどこかで彷徨っているだろう。

同じ姉貴分として彼女に同情しつつ、また逢える日を楽しみにしている。

 

 

「おいウタ!!」

「どうしたの!?」

「すげぇものを見つけたぞ!」

 

 

ルフィの声がして振り返ると……巨大なマシーンを持ち上げて歩く姿が見えた。

 

 

「お前なにやってんだよ!」

「さっさと捨てて来い!」

「そんな物をサルページする暇があったら船員を助けて来い」

「ええっ~~~~!!」

 

 

猿山連合軍のボスたちは人命よりロボを優先したルフィを叱責した。

これならウタに褒められると思った彼は、ごみの様に扱われたのを抗議した。

 

 

「すっごい!!ルフィ!!私にも触らせて!!」

「「「まさかのロボ好き!?」」」

 

 

准将モードも歌姫モードでもない19歳児の女は、ゴリラ型のロボに大興奮した!

一緒に過ごしてきたせいか感性がルフィと似ている為、女子でも数少ないロボット好きである。

 

 

「しししし!やっぱりウタは分かってくれるな」

「乗っても良い?」

「いいけど、汚いと思うぞ」

「汚れても良い服装で来たから大丈夫よ!」

 

 

壁に縦横にグローブが合計25個付けられており、頭部は何故かゴリラの頭だった。

そんな巨大なロボのコックピット席に乗ったウタは興味津々に弄り出した。

 

 

「ペダルを漕ぐと……あっ!動いた!!スイッチを押すと…グローブが燃えるのね」

 

 

ハンドルを握り締めてペダルを漕ぐと壁に付けられたグローブが動き出した。

スイッチを弄るとグローブが発火し、もう1個のスイッチを弄ると前進し出した。

何の用途に作られたのか分からないマシーンだが、彼女にとっては好都合だった!

 

 

「ルフィ!!」

「どうしたんだ!?」

「今から559回目の勝負をやるよ!ルールは簡単、パンチのガトリング勝負!!」

「しししし!ウタ、おれの得意技で勝負を挑むのか~!」

「あっ…もしかして自信がないの?」

 

 

そう言われるとムキになって勝負を受けるのが男の性。

しかも得意技で勝負を挑まれた以上、ルフィが断る事はできなかった。

 

 

「やってやる!559勝目をみせてやるぞ!」

「それはこっちの台詞!ついでに久しぶりにゴムゴムの~~ってやってよね」

「いいぞ!!」

義姉(おねえ)ちゃんがどれだけ武装色の覇気を使えるか相手をしてあげる!」

「いくぞ!!」

「かかってきなさい!返り討ちにしてあげる!!」

 

 

いきなり海軍本部の大佐と海軍本部の准将との一騎打ちが始まった。

バカらしいようでどっちも本気の為、巻き込まれれば億越えの賞金首でも瞬殺できる修羅場だった。

それほど彼女達は真剣勝負に一切の手は抜かなかった!

 

 

「ゴムゴムの~~~“銃乱打(ガトリング)”!!」

「ウタウタの~~~“銃乱打(ガトリング)”!!」

 

 

銃より強い伸びる拳と銃より強い飛び出す拳が武装色の覇気を纏って殴り合った!

パワーがある分、“ゴリラパンチャー13号”は不利であったが、覇気の練度はウタが勝っている。

パワーでごり押しをするルフィと、バランス良く対処できて敵の攻撃を利用できるウタ。

双方の攻撃は互角であり、救助活動そっちのけで勝負をする2人は自由人としか言いようがない。

拳と拳のぶつかり合い、本気で戦いを挑める感動で彼女達はどんどんのめり込んで行った。

 

 

「おいお前ら!“ゴリラパンチャー13号”で何やってんだ!!」

「「邪魔」」

「するな!」

「しないで!!」

「てめぇらホントに自由人だな!!」

 

 

“ゴリラパンチャー13号”で遊んでいるとしか見えないフォクシーは心底呆れた。

なんでこいつらが海軍本部の大佐と准将をやっているんだと思うくらいだった。

実際は直接ダメージを受ければ元七武海のクロコダイルですらただじゃ済まない激闘!

なのだが、まさかそんな事態になっていると彼が気付けるわけがなかった。

 

 

「ゴムゴムの~~~スーパー“銃乱打(ガトリング)”!!」

「ウタウタの~~~ウルトラ“銃乱打(ガトリング)”!!」

「ゴムゴムの~~~ウルトラスーパー“銃乱打(ガトリング)”!!!」

「ウタウタの~~~私は最強の~~“銃乱打(ガトリング)”!!」

 

 

互角の勝負で埒が明かないのか技名をどんどん強く盛っていく2人。

だが、人体と機械では限界の差があった。

 

 

『あっ……壊れそう』

 

 

残念ながらこのマシーンはフォクシー専用なので、ウタの身体能力では付いて来れなかった。

高速でペダルを漕ぎながらマシーンの限度を知った彼女は隙を見て飛び降りた。

それを見聞色の覇気で感知したルフィは攻撃を止めて落下した彼女を受け止めた。

 

 

「おれの勝ちだな!」

「パンチはまだ動いていたから私の勝ちよ!!」

 

 

“ゴリラパンチャー13号”が限界を超えて爆発したのを見て勝負が終わったと実感。

どっちが勝ったか言い合っているが、答えが出る事が無く双方とも勝利したと結論づけた。

 

 

「汗を拭いてくるわ」

 

 

久しぶりに本気を出したウタは全身が汗塗れになってしまった。

さすがに汗塗れなのは我慢できずにリュックの元に向かってタオルを取り出した。

そして顔や首、熊の顔見たいなライオンのTシャツを捲って胸部を拭き始めた。

 

 

「ヤハハハハ!お前たちは神の想像をつくづく超えるな!」

「楽しければそれでいいでしょ……!?」

「それもそうか!またしても一本取られた!ヤハハハハ!」

 

 

汗を拭く為の動作で隙を突かれたウタは、一瞬で横に詰めて来た男に警戒した!

その人物こそ、このスカイピアという国で【神】と讃えられている存在。

(ゴッド)”・エネルは、果実を齧りながら、暇つぶしになりそうな女を興味深そうに眺めた。

 

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