【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編25 大蛇との遭遇

「もうすぐ日が暮れるな」

「大丈夫!角灯(ランタン)を持ってきたから明かりには困らないよ!」

「そんな事を言ってるんじゃねぇよ女海兵!」

 

 

無事に玉の試練を越えた一行は川に流されるまま船で漂流していた。

フォクシーは敵が気配が読めると分かっているので夜間は危険と告げたかった。

なのに海兵2名は他人事のように雑談をしていたので呆れて声も出せなかった。

 

 

「ところでおれたちって何をすれば良いんだ?」

「分かんない!とりあえず試練をコンプリートすればいいんじゃない」

「おい!!鉄の試練はマジでやばいんだ!!」

「次は鉄の試練に行くか!」

「賛成!!」

 

 

黄金郷を探しに来たはずなのに2人はすっかり忘れてしまった。

むしろ、何で船に乗っているのかも疑わしくなった頃。

 

 

「あああああああああ!!」

「どうしたの!?」

「晩御飯食べてねぇ!!」

「それもそうね。ハンバーグさん!面舵一杯!船を岸に止めるわ!」

 

 

ルフィは晩御飯を食べていないのに気付いた。

さっそく食料を調達する為にウタはリュックから紐を取り出して船を無理やり停泊させた。

 

 

「おいおいおいおい!!まさかこの暗闇の中を行くのか!?」

「だって食べ物が無いし……」

「臨機応変に対応して食料を調達するの!」

「それは行き当たりばったりって言うんだ!!」

「ぷぷぷぷ、どうでもいいけどオレら、朝から何も食べてねぇな」

 

 

ハンバーグの一言で女海兵に肉を全て略奪されたのを思い出したフォクシー!

考えてみれば酷い目に遭っている現状を作った元凶はこいつじゃねぇかと思い出した。

 

 

「てめぇら!!」

「ルフィ!食べる分のイノシシを狩ってきたよ」

「火を起こしておいたぞ」

「蒸留水を作るわ!水筒を2個持ってきて!」

「分かった」

「はえーよ!?」

 

 

麻薬の原料となるワライダケの後遺症で狂っていると思われた2人は意外としっかりしていた。

きちんと2人で役割分担しており、麦わらが水筒を取りに行く間に女海兵は既に肉を捌き始めた。

 

 

「ぷぷぷぷ、無視されちゃったねオヤビン」

「なんであいつらこんなに手際が良いんだ!?」

 

 

ルスカイナ島で二カ月間、何の知識も無しでサバイバルで生き残った2人に隙は無かった。

その時の記憶はルフィもウタも忘れたいのだが、身体に染みついており、今でも動けてしまった。

 

 

「焼けたか?」

「まーだ」

「なんかやることあるか?」

「岩塩をそこに置いておいたから砕いて皿にのせておいて!」

「分かった」

「あの短時間でどうやって持ってきたんだ!?」

 

 

味付け用の塩を砕いたルフィは味見をして思った以上に辛くてしかめっ面をした。

それを見てウタは微笑みながら木製の皿に焼肉を盛り付けて彼に差し出した。

 

 

「むぅん!?この島のイノシシは変わってんな!」

「空島の環境に特化したみたいね。肉を斬るのに苦労しちゃった」

「風船みたいな肉をどうやって斬ったんだ!?」

 

 

風船のように膨らんだ肉を齧りつくと肉汁より空気が噴出したのにルフィはびっくりした。

肉の旨味を凝縮した空気と言わんばかりに嗅覚が満たされてから味覚を感じる不思議な触感。

まさに空島でしか味わえない焼肉だった。

 

 

「ってお前ら!?焼肉を喰いやがって!?俺らへの当てつけか!?」

「ハンバーグさんだって食べてるんだから、あんたが勝手にそう思っているだけでしょ」

「えええ!?」

 

 

フォクシーがハンバーグの方を見ると肉を頬張っている姿が見えた。

いつの間にか疎外感というか、完全にチームから外れてソロで動いている感が半端ない。

ボケしかいないせいで、ツッコミ役にさせられた彼は状況打開を狙って動き出した。

 

 

「おのれ!!おい!!俺と…」

「これからどうする?」

「キャンプファイアーをしよ!!」

「よし!やるか!!」

「まてや!バカップル!!敵に位置を知らせるだけだ!さっさと火を消せ!!」

 

 

完全に話を無視されたどころかキャンプファイアーをする流れにフォクシーは突っ込んだ!

命を狙われている立場なのに敵地で呑気にそんな事などできるわけがなかった。

 

 

「だってよ?」

「この割れ頭、常識っていうのが分かってないよね!」

「はぁ?」

「キャンプファイアーするだろう!普通!!」

「せっかくキャンプに来たんだからキャンプファイアーするでしょ!?」

「何言ってんだお前ら!?」

 

 

夜になったら晩御飯を食べる。

朝になったら朝御飯を食べる。

それと同じように未知なる領域でキャンプしたらキャンプファイアーをする!

これは生きていく上で常識的であり、それを理解できないフォクシーを2人は鼻で笑った。

当然、ここではフォクシーの意見が正しいのだが、空島とこいつらに常識など通用しない。

 

 

「組み木はこんなもんでいいか」

「へぇ器用だな」

「ばっちりよ!」

「ハンバーグ!お前もか!?お前もなのか!?」

 

 

ちゃかり焼肉をご馳走になったハンバーグはさっさと組み木を組んで待機していた。

地味に焼肉を喰い損なっているフォクシーはその事実に気付かずツッコミを入れるしかなかった。

 

 

「大丈夫よ!ここの猛獣は火を恐れると思うから!」

「後ろにたくさん何か居るんですけど~~!?」

 

 

松明を持ってにっこりと笑うウタの後方にある茂みに30を超える猛獣が潜んでいた。

思いっきり「「「「グルルルル!」」」」と言っているし肉食動物なのは間違いない!

もうこいつら見捨てて船に帰ろうとするが、既に包囲されたようで逃げられなかった。

ノロノロビームを撃つ間に猛獣に飛び掛かられて喰われる未来を想像したからは震えた。

 

 

「おうぉうぉうぉ~~うぉ~~!!」

「ウオオオオ!」

「ワオーン!」

「クゥウウウウウウウン!」

「ムキュー!」

「最後なんか違うもん混じってたぞ!?」

 

 

ルフィが狼の鳴き声の真似をして複数の雲ウルフも後に続いて遠吠えをした。

1人だけ空気が読めない男が変なツッコミをいれたようだが彼らには聴こえなかった。

 

 

「さあさあ!まだ肉は残ってるよ!!ハンバーグさん存分に肉を焼いてね!!」

「まかせろ」

「好きに食べて歌って踊って楽しむ!それが一番よ!」

 

 

さっそく雲ウルフの群れと仲良くなったウタはライブを楽しんだ。

狼も彼女の歌声を聴いて肉を食べたり、二足歩行でキャンプファイアーの周りを踊っていた。

これには物陰に隠れて様子を伺っていた神兵2名も思わず困惑した。

 

 

「メェー!どうだ!こっちの踊りの方が凄いだろ!?」

「メェー!どうだ!こっちの踊りが美しいだろ!?」

「お前らは敵だろう!?なに勝手に参加してるんだ!?」

「割れ頭、さっきからうるさい…」

「なあ、誰か!?これ俺が悪いのか!?」

 

 

だが、参加してみれば焼肉を食べながら好き放題に踊れる。

そんな摩訶不思議な環境でスキー・ダンスとスキー・オドリが黙っちゃいない。

飛び入り参加もOKであるキャンプファイアーで彼らは自分たちのダンスをアピールした!

さすがに敵が参加したのにツッコミを入れるとウタが不機嫌そうに黙らせた。

来る者は拒まずの精神の彼女に彼のツッコミは不愉快だったようだ。

 

 

「そもそもスキー・ダンスとスキー・オドリって誰だよ!!」

「そこで踊っている兵士たちに決まっているじゃない」

「ツッコミどころ多すぎだろ!!誰かポルチェちゃんを連れてきて~~!!」

 

 

ボケしかいない空間にギャグ補正で今まで生き残った様なフォクシーは仲間を想って叫んだ!

わんこそばのように次々とボケが出てくる空間に降伏した彼は仲間を求めた。

 

 

「ジュララララ!!」

「なんだこの鳴き声は…」

「ジュラララララララ!!!」

「大蛇だあああああああ!!」

 

 

フォクシーの魂の叫びに共鳴したのか全身が青色の2本の髭が生えた大蛇が彼の前に出現した。

どう見ても捕食者が都合の良い獲物を見つけたとしか思えない状況だった。

 

 

「あなたも歌いにきたの?」

「ジュララ♪」

「一緒に歌いましょ」

「逃げるぞおお!!…ってお前もかいいいいい!!」

 

 

逃げようとしたが意味がないと分かりスっ転んで顔面をスライディングしていくフォクシー。

彼を除いてこの場に居る一同は、「なにやってんだこいつ」という目線を向けられるおまけ付き。

姑息な真似はするが、意外と勝負に真面目な彼はボケ集団の前に完敗であった。

 

 

「「「ジュララララ~~♪ジュラララジュラ~♪ジュラ♪ジュラ♪ジュラアアアアアア♪」」」

「「「ウウオオオオオンン♪ウオオオオオン♪フォオオオオン♪」」」

「「「ジョオオオオ!ジョオオオオオオオ!ジョジョ♪」」」

「もうだめだ。俺にはこの環境はついていけねぇ……」

 

 

ルフィとウタが大蛇に合わせて歌い始めて狼もサウスバードまでもが歌い始めた。

ウタワールドならウタにとって都合の良い世界は納得できるが、彼女は能力を使用していない。

みんなが自力で楽しんでもらえる方が嬉しいので、それは滅多にやることはなかった。

 

 

「そういえばオヤビン、焼肉食べた?」

「はっ!まだ食べてねぇ!!おい早く俺にも焼肉を…」

「今日のライブは終了!お疲れさまでした。みんな!おやすみなさい~♪」

「「「アオオオオオン♪」」」

「「「ジョオオオ♪」」」

「ジュラアア♪」

「いつの間にか終わってた!?」

 

 

キャンファイアーライブは無事に終わりを迎えて彼らは元の場所へ去っていた。

いつの間にか火は消されて、闇と静粛のみが支配する不気味な空間となっていた。

だが彼にはまだ言いたい事がある!

 

 

「待て!!まだ焼肉食べてねぇぞ!!」

「うるさい!!もう寝る時間なの!!」

「風呂入ってないけどどうする?」

「さすがに風呂に入る余裕が無いから今日はそのまま寝よ!」

「なんかそう言われると不思議な気分だな」

 

 

焼肉を全て消費した彼らは寝支度を始めた。

シートを地面に敷いて重りとして石を四方の隅に乗せた。

 

 

「枕はもってきたけど掛け布団がねぇな」

「ルフィの正義のコートで代用してもいい?」

「いいぞ!このマントが背負っている正義はな…」

「おいバカップル!!俺様の焼肉は!?」

「なんで食べて無いの?」

「なんで食べなかったんだお前…?」

「畜生!お前らなんか大っ嫌いだ!!」

 

 

19歳の乙女と17歳の青年がカップルのようにやり取りをしている。

そこへお邪魔虫と言わんばかりに話に割り込んできた彼は双方に嫌われた。

狼30体や大蛇にも提供できる肉があったのに食べてない割れ頭が悪いと本気で思っている。

もちろん彼からすれば、あっという間に時間が過ぎたせいで何もできなかったのが本音だった。

ただ扱いが悪すぎて抗議の1つや2つはやる権利があると本気で思っている。

 

 

「お前ら!俺様を舐め過ぎてねぇか!?ノロノロビームを浴びれば!必ずお前らは」

「こうやって1つの布団で一緒に寝るなんて久しぶりね」

「今度は寝ぼけて蹴らなねぇようにしないとな」

「大丈夫、昔と違って私も蹴り返してやるんだから」

「もう!勝手にイチャついてろおおおおおおお!!」

 

 

圧倒的な敗北感に蝕まれたフォクシーは泣きながらどこかへ去っていた。

同衾した結果、一線を越えてご両親を驚かせてみろとばかりの気遣いかもしれない。

すぐ後に野生に戻った雲ウルフに尻を噛まれて彼は大声で悲鳴をあげた。

 

 

「俺たちは帰るんだ!!400年前の故郷に!!」

「そうだワイパー!!これが最後だ!!全員腹を括って進む覚悟はあるか!!」

「「「「おう!!」」」」

 

 

シャンディアの勇敢なる戦士達は一堂に介し、翌日に故郷を奪還すると誓った!

こっそり少女のアイサもついてきているのをリーダー以外は知っていたが黙っていた。

ここに居るのは戦士のみなので、彼女も戦士として認識するしかなかった。

1つ言えるのは、総勢20名の戦士と1人の少女は“神の島(アッパーヤード)”に踏み込む覚悟があるという事だ!

 

 

「ゲームをしようじゃないか。正午までにこの島で生き残っている人数を当てるゲームを」

「ゲームですか…私は22人と思います」

「ヤハハハハ!中々良い所を突くな!お前はどう思う?」

「え、えっ…わたくしは、そのような事は全く分かりませんので…」

「なんだよノリが悪いなぁ……こういうのは勘で良いだぞ。勘で」

 

 

唯一神エネルは侍女が答えを出せなかったのにがっかりした。

これは信者や世話係を試すものではなく単純に数当てゲームだったからだ。

もちろん、人命を弄ぶゲームなので純粋な心を持つ侍女にはきついな…と質問してから気付いた。

 

 

「神官が2人もやられた所を聴くと、10人ではないでしょうか」

「なるほど10人か!…だが甘いんじゃないか?戦いはお前たちの想像を遥かに超えるものだ」

「……では、“(ゴッド)”はどのようなお考えで…」

「よし!ずばりと答えてやろう」

 

 

不敬に聴こえる神隊の執事からの問いに対して“(ゴッド)・エネル”は自身の予想を告げた。

 

 

「正午まで立っていられるのは5人だ」

 

 

この一言で侍女や執事、書記長などがざわついて話が盛り上がっていく。

(ゴッド)・エネル”は彼らに質問の真意は告げなかったが、きちんと説明した。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()としっかり告げておいた。

 

 

『所詮、こんなものか。やはりこいつらは生き残る気はないようだな』

 

 

唯一神に媚びを売ったり世話をする侍女や執事ですら生存競争に入っている。

発言の糸を察する事もできない愚か者共など彼にはもう必要なかった。

 

 

『せいぜい“限りない大地(フェアリーヴァース)”までの余興、楽しませてもらう』

 

 

複数の勢力が三つ巴となり互いに潰し合うの見下ろして笑い飛ばして好き勝手に干渉する。

まさに“(ゴッド)”という立場を活かした万能感と優越感を覚えるにはちょうどいいものだった。

 

 

「ウタの匂いはいつも良い香りがするな~~」

「寝る前に香水は付けたくなかったけど…ルフィが喜ぶならそれでいいの」

 

 

血と血で争う生き残りを賭けたバトルロワイアルが始まろうとしている時に!

正義のコートを掛け布団にして同衾している男女はあまりにも神に喧嘩を売る行為だった。

 

 

『やはり潰しておくべきか?……まあせいぜい今のうちに幸せを感じさせるべきか』

 

 

(ゴッド)・エネル”は唯一、彼女たちだけが行動の予想が不可能で最大限に警戒していた。

しかし、あそこまでイチャイチャされれば完全に自分の事を舐められているような感覚があった。

そこまで感じてようやく“心綱(マントラ)”を乱したと自覚して“(ゴッド)”は冷静になった。

 

 

『おれとしたことが……まあいい。足掻いて見せよ人間』

 

 

彼らの断末魔の叫びを聴くのを楽しみにするとして“(ゴッド)”は寝室へと向かわれた。

 

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