【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話 作:黒のエレメンタル
歌姫の朝は早い。
真っ先に起きてやる事は寝息を立てているルフィに「一緒に居てありがとう」と耳元で囁く。
そして温もりを名残惜しそうに掛け布団代わりの正義のコートから出て朝食の準備をする。
見聞色の覇気で獲物を捜索してさくっと狩って朝食の準備を始めた。
「あっ…顔を拭かないと」
ここでようやく彼女は、手鏡で顔を確認し髪を梳かして顔を温めたタオルで顔を拭いた。
身だしなみを整えて世界一の歌姫としての顔を取り戻した彼女は精肉にした肉を焼き始めた。
本当はボイストレーニングをしたかったのだが、防音室がないので諦めるしかなかった。
「美味しそうな匂いだな」
肉の匂いに釣られて起きて来たルフィは、ウタの姿を見つけると微笑んだ。
まるで夫婦のようではあるが、ルフィとウタには恋愛すらしていない関係だった。
部下や民衆からはカップルのように思われているが本人たちは一切思っていない。
何故なら双方とも自分の半身と思うほど共依存しているのだから。
「食べてもいいか?」
「みんなで食べましょう」
「そうだな」
食欲よりウタを優先するルフィは肉を前にしてあっさりと引き下がった。
「ちょっと、目やにが付いているし、寝ぐせが酷いじゃない」
ウタは、ルフィの目ヤニを取って髪型を整えた。
大佐としての威厳は、全て彼女に懸かっていると言っても過言では無かった。
「これで大丈夫」
「ありがとうな」
「どういたしまして」
食事の準備が整ったのでハンバーグを起こそうとすると既に起きていた。
彼からすれば、介入すると気まずい空気なので黙って後ろを向いていた。
「ハンバーグさん!今日も焼肉だよ!」
「分かった」
これで全員揃った事だし、3人は焼肉を頬張って幸せな一時を過ごした。
「うわああああああああああああ!!」
なんて事は敵地で続く事は無く“銀狐のフォクシー”は新たなトラブルを巻き込んできた。
とりあえず殴れば、厄介事が解決したので2名の海兵は特に怯む事も無く迎撃を試みた。
「おおおいいいいい!!助けてくれええええ!!」
「何がどうすればあそこまで厄介事を持ってこれるのよ…」
「ワクワクしてきた!」
フォクシーはシャンディアの戦士と神兵と雲ウルフに追われて泣きながら走って来た。
幸いなのは、そんなトラブルを一瞬で解決できる人物たちが居ると言う事。
不幸なのは、とりあえず見捨てて死にそうだったら助けるかと3人が他人事のように思った事だ。
「オヤビン!ノロノロビームを使えば時間を稼げる!!」
「ああそうだった!!ノロノロ…ぐはっ!!」
ハンバーグの一言で自分の能力を思い出した彼は立ち止まったが砲撃で吹っ飛んだ!
更に砲弾がウタの方に向かって砲撃されてルフィは“ゴムゴムの風船”で守ろうとした。
「ルフィ!やらなくていいわ!」
「でも…」
「“ハンバーガー
さすがに食事をしたばかりで“|ゴムゴムの風船”をやるのを咎められてしまったルフィ。
その代わりにハンバーグが股間に仕舞っていた鉄の棒で砲弾を打ち返した。
打ち返された砲弾は、神兵に激突して爆発し、そのまま動かなくなった。
「やるじゃないハンバーグさん!」
「へぇ!打ち返すなんてすげぇな」
「誉めても何も出ないぞ。ぷぷぷぷ」
「ちょっと待てや!!もう少し俺様を心配しろ!!重傷者だぞ!!」
「こうやって生きてるならいいじゃない」
自力で何とかしようとしたウタは思ってもいなかった人物が活躍をしたのを見て思わず褒めた。
褒められて照れるハンバーグに抗議したのは散々な目に遭った男である。
彼は自分の扱いに抗議するが、ギャグ補正のせいで同情を得るのが難しかった。
「はい、あんたたちの分の焼肉」
「「「ウオオオオン!!」」」
「なんで狼に餌をやってんだ!!」
「これは割れ頭の分ね」
「あっ、これはどうも……むしゃむしゃ…って!俺は狼未満かっ!!」
雲ウルフに焼肉のお裾分けをしてフォクシーがツッコむとウタは仕方なく肉を差し出した。
やっと肉を頬張る事ができた彼は自分の扱いが酷過ぎて更なるツッコミを入れた。
「ワイパー!青海人だ!!ここで殲滅するか!?」
「ほっとけ!!青海人と潰し合ってもこっちにメリットはない!!」
砲弾を撃ち込んだ犯人のワイパーはブラハムの意見を一蹴した!
“神の社”で踏ん反り返っているエネルを倒すまで体力の消耗を避けたかったからだ。
なにより手当してもらった恩もあり、極力ウタと戦闘を避けたかったのもあった。
「なんだあいつら!喧嘩を売っておきながら逃げていったぞ」
「乱戦に巻き込まれたみたいね…こっちに敵意がないなら放置しましょう」
ルフィは交戦しようとしたが、敵が逃げてしまったので深追いをするのを諦めた。
彼はウタと一緒に冒険したいのであって、追って逸れたら泣きたくなるからだ。
朝食を済ませた彼女たちは片づけをして雲ウルフたちを乗せて船を出発させた。
「なんで狼が乗ってるんだ!?」
「道案内してもらおうっかなって」
「何考えてんだ女海兵!?」
「お座り!お手!」
「「「「ワン!ワン!」」」」
「凄腕のブリーダーかお前らは!!」
「オヤビンだけ懐かれてないだけだよ」
岩すらも嚙み砕く強靭な顎をもつ凶暴な狼だと知っているフォクシーは抗議したが無視された。
後ろではルフィに躾けられて『お座り』や『お手』をしっかりできるようになっていた。
ハンバーグですら昨日の宴で仲良くなったのだから完全にフォクシーだけ疎外感が残った。
乗っている以上、どうしようもないので舵輪を握り締めて運転手としての役割を全うした。
そうすれば、さすがに狼に襲撃された時に止めてくれるはずだと思ったからだ。
「次の試練はなんだろうなー」
「なんか平原に出たけど何もないね」
森から抜けるとそこには平原が広がっていた。
至る所に棒が地面に突き刺さっており、先端には何かが被せられていた。
よくみると100個を超える風化した人間の頭蓋骨が棒に刺さっていた。
「これのどこが何もないだ!!この頭蓋骨の山は試練の犠牲者の数じゃねぇか!!」
「って事は、面白い試練があるのか!どんなのかな!」
「麦わら!!本気で鉄の試練はやべぇからな!!」
「しししし、楽しみだ!」
「ダメだこいつら…早く何とかしないと…」
何度もルスカイナ島で死線を超えている海兵2名はよっぽどじゃなきゃ恐怖で怯えなくなっていた。
頭蓋骨が突き刺さった棒を見たくらいでは動揺はしないし、むしろ刺激を求めていた。
まるで激辛料理を食べ続けたせいで、舌に刺激が無いと美味しく感じられなくなった様に。
「……何もないな」
「もしかして神官をやっつけちゃったから試練自体が無くなっちゃった?」
「それもありそうだな!」
「なんで試練を望んでるだろうこの人たち」
ここは【紐の試練】と呼ばれる場所だが、裁く神官や神兵はここには居なかった。
巨鳥フザを乗って空を駆けるシュラは海兵に捕えられてそれ以外は排除されていたからだ。
“
1本辺りは大した事は無いが何も考えずに突き進むと身体に纏った糸で拘束される場所だった。
ただ、彼らは船から出ようとしなかったのでこの罠を避ける事が出来た。
「ん?誰か居るぞ!?」
「あらホント」
しかし試練に引っ掛かる者は居るようで誰かが空中で拘束されていた。
その被害者は、この場に居る全員と顔見知りの人物だった。
「空の騎士!!」
「鎧の爺ちゃん!」
「「ガン・フォールさん!?」」
フォクシー一味にとっては、命の恩人とも言える人物だった。
可愛い乙女であるコニスが自分たちを想って泣きながら謝罪して【天罰】を受けた時!
颯爽と彼は現れて少女を救出して、試練について全て教えてくれた爺さんだったからだ。
「鳥と一緒になにやってんだ?」
「さあ?邪魔してもいけないし放置しましょう」
「待てや!!それでも海兵か!!助けてやれよ!!」
「なにかあるに決まってるじゃない。そこまで言うならあんたが助けに行ってよ」
「最低の女だな!!おれが助けてやる!!そこで指を咥えて待ってろ……あっ!」
そんな彼が鳥と一緒に空中で止まっており、なにかあったのは明白である。
しかし、海兵たちは意外と薄情なのか無視をしてそのまま進もうとするのをフォクシーが止めた。
お世話になった人物を決して見捨てない彼は、意気揚々と飛び出したが何かに激突して落下した。
顔面を強打した哀れな狐はそのまま
「だから言ったのに」
「見えない何かがあるな」
「ルフィは割れ頭を助けてあげて!私はこっちを何とかする!」
「分かった」
ウタは飛ぶ斬撃で見えない何かを両断して、ルフィは
2人とも薄情に見えて見聞色の覇気で不用意に飛び出すと危険な目に遭うと分かっていた。
特にルフィは、ウタの指示を待つほどこの状況をどうすればいいか分かっていなかった。
フォクシーが飛んで見えない何かにぶつかったおかげで種が割れたので救助活動を開始した。
「割れ頭、これが罠だと気付かなかったの?見えない糸がそこら中にあったみたいよ」
「なんでそれを先に言わないんだ!?」
「分析している間にあんたが勝手に飛び込んで自滅しただけじゃない」
「意外としっかりしてるんだなお前ら!?」
“空の騎士ガン・フォール”と鳥は拘束されて身動きが取れなかった時間が長かったようだ。
足掻くのを諦めたのか呑気に眠っており、ルフィとウタが即座に救助をしなかった要因であった。
「どうする?」
「とりあえず食べちゃ駄目よ!」
「「「「ワン!!」」」」
呑気に眠っている獲物を噛もうとした雲ウルフにウタは命令して止めさせた。
貴重な情報源なので目覚めるまで待っていた。
「うっ……ここは?」
「船の上よ。見えない糸に拘束されていたみたいだがら救助したわ」
「すまない……恩に着る」
「おいガン・フォール!最初はこいつら、あんたを見捨ててたぞ!!」
「情報収集してただけよ割れ頭、こんどそんな事言ったら狼の餌にするよ?」
「やっぱ、こわぇ!さすが海軍本部の准将……」
リーダー格の雲ウルフを抱き寄せたウタは、好き勝手に言うフォクシーを牽制した。
海底監獄“インペルダウン”に生息する軍隊ウルフに及ばないが凶暴な狼の一種。
“
「鎧の爺ちゃん!ここで何があったんだ?」
「吾輩もお前たちの情報を知りたい。ここで情報交換しよう」
「いいぞ」
「まずは吾輩から話すぞ」
「分かった」
“空の騎士”は4名の罪人たちにこれまでの経緯を説明し出した。