【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編27 神に抗う罪人同士との遭遇

何故か試練会場で拘束プレイされていた“空の騎士”ガン・フォール。

入国料未払いで犯罪者になったフォクシー海賊団。

一見すると無関係に見えるが、何事も接点がないのはあり得ない。

 

 

「まずこの国の歴史を少し話させてくれ。吾輩、6年前まで“神”であった」

「フェッフェッフェッフェッ!頭を強く打ったか爺さん…ぎゃああああ!!」

 

 

神と自称した空の騎士に対してフォクシーは馬鹿にするように笑うとピエールに噛まれた。

相棒の鳥は、主人が馬鹿にされるのを許せない様で念入りに噛んでいた。

悲痛な悲鳴のはずなのに誰も気にしていないのは、ある意味凄いかもしれない。

 

 

「この“神の島(アッパーヤード)”は、400年前に青海からやってきたのだ」

「やっぱりこの島は、元々空島にあったものじゃないのね」

「ああ、それまでのスカイピアは平和だったと聞く。“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”でやってくる物資が重宝されていた」

「確かに…空島の環境じゃ作れない物なんて貴重だもんね」

 

 

歴史には興味がないウタであるが、こうやって謎が解いていくのは好きである。

達成感というか、いろんなピースが填まって1つの事実が見つかるという感覚が好きだった。

昔から妄想する癖があるせいか、自分の考えに対する答え合わせが好きなのかもしれない。

 

 

「空島にある“大地(ヴァース)”…地上では当たり前の土はそれでやってくるのだ」

「だが、見て分かる通り、“神の島(アッパーヤード)”ほどの“大地(ヴァース)”がここに来るのは奇跡だった」

「当時の我々は、それを“聖地”と崇めて島に居た先住民と“大地(ヴァース)”を巡る戦いが始まった」

「その先住民が“シャンディア”というのだ」

 

 

空島に来て歌姫がライブをやっていた時に襲撃してきた人物。

中々情報を吐かなかったが、シャンディアという部族出身というのは分かっている。

何故あそこまで反抗的か分からなかったが、ガン・フォール氏からの話で大体見当は付いた。

つまりあのゲリラは、故郷を奪還する為に活動しており、部族以外を敵視しているという事だ。

 

 

「ねえルフィ!やっぱり……?」

 

 

ウタは自分が思った事を幼馴染に告げようとした。

 

 

「何寝てるのよ!!」

「いたたたたったあああああ!!?」

 

 

彼女は親切に話してくれた騎士様に対して居眠りで対応していたルフィの頬を掴んで引っ張った。

ゴム人間といえども【愛】で頬をつねられて痛みで目を覚ました彼は悲鳴をあげるしかなかった。

 

 

「ぷぷぷぷ、やっぱそうなるよな」

 

 

ハンバーグの笑い声が不気味な景色で反響する。

姉貴分であるウタにこうやって大佐がしばかれるのは海兵たちからすれば日常の出来事だった。

2人っきりになるとおバカコンビになるウタは、ルフィが度を越えてやらかせば叱る事はやる。

ルフィも理不尽には感じているが、愛を感じるので黙って義姉(おねえ)ちゃんに従う事しかできない。

 

 

「話を続けてもいいか」

「もちろん!」

「そのシャンディアとは400年以上争っていたが吾輩は何とか和平をしようと試みた…」

「そしたらエネルと名乗る“神”に台無しにされたのね」

「そうだ。吾輩が“神”であった時に別の空島から現れて我々やシャンディアに打撃を与えた」

 

 

ルフィは眠そうな顔をして、フォクシーは未だに鳥に噛まれていた。

近くにいた雲ウルフを抱き寄せているウタだけが話に興味がある現状だった。

 

 

「吾輩が率いた“神隊”はどこかで労働をさせられていると聞くが、詳細は分からん」

「ただ言える事は、奴らが6年前に“神の島(アッパーヤード)”に君臨した事、シャンディアは我々を恨んでいる」

「これでこの国の歴史は簡潔に説明したが分からない点はあるか?」

 

 

ウタからすれば訊きたい事だらけだったが真っ先に浮かんだ疑問を質問した。

 

 

「じゃあ、なんで空の騎士様はそこまで親切なの?隠居していてもおかしくない年齢なのに?」

「時折、この島から神隊が船で脱走する事があるのだがな。シャンディアに狙われているのだ」

「彼らからすれば侵略者の子孫だしね…」

「そんな脱走者をエネルの部下やシャンディアから別の空島まで守る為に活動している」

 

 

ガープ中将と比べてはならないが、ご老体の肉体で誰かを守ろうとする心意気。

それは、ウタの心に強く打たれた。

寝ようとするルフィの背中を撫でて何とか話を聴かせるようにした。

 

 

「そういえば…あんたたち、空の騎士と面識があったみたいね」

「そうだけどよぉ!!まずこの鳥を取ってくれ!!」

「ピエール!!噛まなくていいぞ」

「も、もっと早く言ってくれよ」

 

 

ガン・フォールの命令でようやくクチバシからフォクシーを放したピエール。

主人を守るように彼の後方に待機した。

フォクシーからすればもっと早く獲って欲しいと思っている!

なんならここで反抗しようと考えたが返り討ちに遭うので企みを諦めた。

だが、ただでは済まない彼は、女海兵が自分の話に興味があると知って口角を釣り上げた。

 

 

「おっと俺様の話を訊きたいか女海兵?」

「勿体ぶらずにさっさと話してくれない?」

「フェッフェッフェッフェッ!それが人に物を訊く態度か?」

「こいつ…!!」

 

 

ここぞとばかりにウタを煽り出すフォクシー。

初対面で彼女にマスケットで眉間を撃ち抜かれた恨みが晴れる事は無かった。

彼女からしても邪魔ばかりしてくる彼に対して殺意すらあった。

しかし、軍艦に乗った部下達を危険に晒している以上、少しでも情報を得る必要がある。

その為には先人の情報は貴重であり、必須でもあった。

しぶしぶとウタが頭を下げようとすると更に彼は煽った。

 

 

「そんなに話を聴きたいなら条件がある」

「条件?」

「土下座して俺様に対する態度を謝罪したら、俺の靴を舐めてお願いしろ」

「あっそ!!狼さん!こいつは食べても良いわ!!やっておしまい!!」

「な、なにを…ぎゃあああああああ!!」

「オヤビン、さすがに調子に乗り過ぎだよ…」

 

 

ウタはフォクシーの靴を舐めて懇願するくらいなら死んだ方がマシだった。

なので、用済みと言わんばかりに雲ウルフ4匹に捕食する許可を与えた。

獲物を喰えると知った雲ウルフたちは、フォクシーに群がって噛みつき始めた!

狼の群れが人間の頭や脚、腹に噛みついて貪っているという惨状だが誰も助けようとしなかった。

ルフィもハンバーグもガン・フォールすらもさすがに彼に落ち度があり過ぎたので止めなかった。

 

 

「誰にも懐かない雲ウルフを手懐けるとはな……」

「歌って踊って一緒に肉を食べれば仲良くなれたわ」

「そうだな。一緒にライブをやって仲良くなったもんな!」

「なんかすごいなお主ら……」

「そんなにすげぇことなのか?力を示さずに仲良くなったのに…?」

 

 

ルスカイナ島の猛獣たちは力だけが全てなので、全てを撃破するしか手懐ける方法が無かった。

その点、雲ウルフは単純過ぎてウタもルフィも何故そこまで驚かれるのか分からない。

第三者からすれば、彼らの価値感が大幅にズレすぎているのだが本人たちが気付く事は無い。

ルフィとウタの訓練は死にかけるのが常識だったから。

 

 

「おいマジで死んじまう!!早く助けてくれ!!」

「割れ頭、何か私に言う事があるでしょ?」

「分かった!靴を舐めます!女海兵の奴隷になります!なんなら性欲処…「いらんわ!!」」

 

 

ちゃっかり世界の歌姫のペットになろうとした彼は本人から拒絶されて蹴り飛ばされた!

“海軍の歌姫”と異名を持つウタは、世界中の人々を魅了しており大量のファンが居る。

それだけならいいが、歪んだ性癖を持った者もおり、彼女にペットにしてもらおうとする輩も居た。

そういった輩は、部下やルフィによって排除されたが実際面を向けて言われたのは初めてだった。

 

 

「やべぇ!蹴られたのが癖になるぅ!」

「いやあああ!気持ち悪っ!?ルフィ助けて~~!!」

 

 

山ほど居る殿方の中で女に本気で蹴られて興奮する輩も存在する。

フォクシーのズボンの股間部分が膨らんだのを目撃したウタはルフィに抱き着いた。

嫌な思い出をルフィで打ち消すように体臭と温もりを彼女は存分に味わった。

雲ウルフたちも【ボス】を癒す為にフォクシーに噛みつくのを止めて彼女の元に戻った。

抱き着かれているせいで動けないルフィに代わってフォクシーに罰を与えた者が居る。

 

 

「オヤビン大丈夫?」

「ちょっと興奮しちまった」

「えい!」

「ごふっ!!」

 

 

ハンバーグは、船長の性癖が歪んだと分かったのでリセットさせるために気絶させた。

これでフォクシーから情報を引き出す事は不可能になったが、ウタはそれで良いと思っている。

なんならこいつのせいで、トラウマになったので今夜はルフィに添い寝してもらうつもりだった。

 

 

「代わりに吾輩が話そう」

「頼む」

 

 

基本的に興味がない話なら寝るルフィもこの惨状を打開する為に頭を下げた。

狼ですら頭を下げられたガン・フォールは困惑しながらも話を続ける。

 

 

「彼らは“天国の門”で入国料を払わずに侵入したせいで犯罪者となった」

「確かに大所帯過ぎてお金を払いきれないもんね」

「そして彼らは、エンジェル島に辿り着いてバカンスを楽しんでいた」

 

 

最初から空の騎士に訊けばよかったと思ったウタは二度とフォクシーに質問しなかった。

彼の話から生き残る術を聴く為に彼女は耳を傾けた。

 

 

「ところがフォクシーは2人組を連れてエンジェル島に住む少女と仲良くなってしまった」

「…お気の毒に」

「てめぇ!!俺が少女に変な真似をしようと思っているのか!?」

「うん、これ以上喋ったら二度と減らず口を減らず口を叩けなくするよ!海賊風情が!!」

「こわっ…」

 

 

フォクシーへの好感度がマイナスを通り越して存在自体を認識したくなくなったウタは怖かった。

ルフィが傍にいなければ、大技で存在自体を抹消していたかもしれない。

思わずルフィが呟いてしまうほど、彼女はフォクシーに失望していた。

 

 

「その少女は、気の良い海賊と仲良くなって情が湧いたのだろう」

「“神の島(アッパーヤード)”の罪人を誘導している罪悪感に耐え切れずに真相を喋ってしまった」

「当然、“(ゴッド)・エネル”は見逃さずに雷の能力で彼女たちに攻撃した」

「偶然現場に居合わせたおかげで、なんとか救助して、今は吾輩の家で親子は休んでいる」

 

 

ガン・フォールは辛うじて落雷からコニスという少女を救助した。

だがそれは先代の“神”だったとはいえ、エネルに盾突く行為だった。

犯罪者になった事で堂々とガン・フォールを裁けると分かった神官たちは執拗に狙ってきた。

自分のせいで空の騎士が犯罪者になったと悔やむ少女を慰めて彼は相棒と共に“神の島(アッパーヤード)”に向かった。

そしたら【紐の試練】で見えない糸に絡まって拘束されてしまった。

 

 

「これでいいか?」

「ありがとう」

 

 

割れ頭と仲良くなるなんて…とウタは思っているが、実際にフォクシーは人気者だ。

多種族で構成されている海賊団を破綻させずに団結させているのは彼のカリスマがあってこそ。

ルフィがピンチだったとはいえ躊躇い無く眉間を撃ち抜くウタが単純に相性が最悪だっただけだ。

 

 

「空の騎士様がここに来たのは分かったけど、単独行動で組織に立ち向かうのは無謀じゃない?」

「ふむ、吾輩は強制労働されている神隊の偵察をするつもりだったのだが…」

「どうせなら私たちと来ない?同じ罪人だし、試練を受けるのは変わらないでしょ」

「しかし…」

 

 

ただでさえシャンディアとエネル率いる神兵で揉めている。

そこに青海人の集団が加わったら、事態の収拾が付かなくなるのをガン・フォールは懸念した。

彼は、ゲリラのリーダーと和解してエネルをなんとかしようと考えていた。

実際は、成す術もなく糸に拘束された以上、大人しく提案を受け入れるか迷っていた。

 

 

「とりあえずエネルとかいう奴をぶっ飛ばせばいいんだろう!」

「結論から言うとそうなるわね」

 

 

シャンディアと空島の住民の和解は難しいだろう。

ただ、エネルさえ倒してしまえば、とりあえず死人が出る事は無いだろう。

軍艦に居る部下達を守るた為にルフィとウタは尽力するつもりだった。

オヤビンを手当てするハンバーグは空気だったが、ウタの視界から彼を隠すのに役立った。

 

 

「おい!!“(ゴッド)・エネル”は桁違いの強さなんだ!お前らでも…」

「あんたはいつからスカイピアの住民になったのよ。住民票でも届けたの?」

「恐怖か…それより性質(たち)が悪いぞ」

「どういう事?」

 

 

ガン・フォールの一言で誰もが疑問に思った。

 

 

「青海人を罪人に仕立てあげて裁きに至るまでスカイピアの住民によって導かれる」

「そこで生まれるのは国民たちの“罪の意識”」

「己の行動に罪を感じた時に人は著しく弱くなる。それはエネルは知っているのだ」

「罪に悩まされる『迷える子羊』を自ら生んで支配する。まさに“神”の真似事というわけだ」

 

 

ここでウタは軍艦にやってきたホワイトベレーの部隊の行動の真意が分かった。

スカイピアに入国した時点で、どのみち神の玩具となる罪人にさせられるという事。

それと同時にまだこの国は、エネルという恐怖が具現化した存在に屈してないと分析した。

 

 

『結果論だけど、先手で攻撃を仕掛けてよかった。不意打ちで落雷されたらどうしようもない…』

 

 

割れ頭と仲良くなったせいで少女が神に反抗した事実はウタは認めたくなかった。

ただ、ホワイトベレーも任務よりも空島に存在しないウタグッズで退き下がった事実。

つまり、彼らもエネルによって恐怖で屈しているが、心はまだ生きていると言う事。

スカイピアという国は、エネルに屈しておらず彼さえ倒せばまた復活するだろう。

ルフィの「エネルをぶっ飛ばせばいい」という言葉は的に得ている。

 

 

『まだ救えるわね』

 

 

この空島の存在が青海に知れ渡っていないのは入国するのも困難であるが別の理由があった。

別の空島から来た旅行者すらエネルが遊びで殺害していたせいで記録に残っていない。

海兵として大虐殺を愉しむ輩を放置するわけにはいかなかった!

 

 

「なあウタ!」

「どうしたの?」

「おれ!せっかく黄金郷に来たんだからやりたい事があるんだ!」

「やりたいこと?」

 

 

既にエネルを吹っ飛ばすことを決めたルフィはウタにやりたい事を告げた。

それは彼女が思ってもいなかった事だった。

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