【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話 作:黒のエレメンタル
人は恐怖から逃れられない。
例えば死、自然災害、病、感染症。
人為の及ばない存在、または意思疎通できない存在に人は恐怖し、あろうことか祀り上げる。
ところが、少しでも意思疎通できると分かると、すぐに調子に乗り介入するのが人の業である。
「くたばれエネル!!」
400年前から大地に執着しているシャンディアの戦士もその1人だ。
目の前に居る唯一神は、“雷そのもの”だというのにこの世に存在して意思疎通できる存在。
「介入できるなら自分たちでも勝てるのではないか?」という蛮勇に支配された哀れな男だった。
「6000万V“
「ぎゃあああああああっ!!?」
普通に考えてみれば分かる事だ。
人間が雷に勝てるなど天地がひっくり返ってもあり得ない事とだと!
だが、神は1つミスを犯した。
「ヤハハハハ!やり過ぎてしまったな」
天罰と言わんばかりに哀れな罪深い子羊に雷を加えたらその余波で他も巻き添えを喰らった。
神の戯れで“
これには“
「やはり、おれが介入すると面白くないな」
神の予言は絶対である。
どこぞの神話では、神が予言してしまったせいで、その神が死ぬというアホみたいな話がある。
その神は、自身の予言に足掻いたが、神の予言は必ず成り立つというせいで無様な姿を晒した。
エネルは、本日の正午までにこの島の生存者は5名という予言をした。
『わたしは当然として、変な帽子の男に紅白髪の女、あと2人は誰になるのか』
神の予言が絶対であるならば、必ず正午までに5名が生き残らなくてはならない。
それは、自身の配下である神官や神兵でなくてもいい。
神からすれば、この殺し合い自体がただの余興に過ぎないのだ。
「ほう?今のを見ておれに立ち向かおうとするのか…カマキリ、ゲンボウよ」
「俺たちの名前を……!?」
「神は全てお見通しなのだ…と言っておけばお前たちは絶望するか?」
「この世には神はいねぇよ。お前だって俺たちと同じように生きている人間に過ぎねぇよ!!」
「不届き」
カマキリと呼ばれた男が名前を呼ばれると御も無かったのか動揺して震えた。
それを見たエネルは、こいつらを生かしてやっても良いという情けを与えた。
いくら神とはいえ自身を信仰する存在が居なくては、神とは言えない。
「お前たちに20分の猶予を与える。その間は、私は何もしない」
「何の真似だ!?」
「せっかくの時間だ。どうするのかお前たちが決めろ」
既に神官と神兵に失望しているエネルは代わりを求めていた。
この殺し合いで生き残った者が“
それは名誉の事であり末代まで誇っても良いとエネルは思っている。
シャンディアの戦士たちの答えは……暴力による現状打開だった!
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「あの
「ぷぷぷぷ、オヤビンも懲りないねぇ」
四足歩行するハンバーグに乗ったフォクシーは海兵たちに悪戯を仕掛けようと悪巧みしていた。
ただじゃ済まさないオヤビンは、海賊人生に賭けて彼らをぎゃふんと言わせるつもりだった。
「やはり悪臭か、汚れかのどっちかだな。なんなら正義のコートに落書きも良いかもしれねぇ」
「正義のコートに落書きなんて激怒するしかないと思うんだけど…」
「言ったろ?あいつらをぎゃふんと言わせれればそれで良いって!」
正義のコートは、海兵の信念や覚悟を背負う物。
それを落書きされたり、悪戯されれば逆鱗に触れるのは間違いない。
さすがにハンバーグは咎めたが、フォクシーはやる気満々だった。
「ところでオヤビン、敵がいるんだけど…」
「ゲッ!?」
一行から逸れてしまったフォクシー一味は、適当に走ったつもりで【沼の試練】に来てしまった。
ここは“
「来たか……哀れな罪人」
“空番長ゲダツ”は4神官の1人であり、この沼の試練を管轄している男である。
罪人を目撃していた彼は何故か両腕を交互に動かして宙を切っていた。
「ゲダツ様!腕組みは肘の内側に手を差し込まなければなりません」
「うっかり!しまった!そうだった」
ゲダツの弱点は、極度のうっかり。
神兵に指摘された彼はようやくミスに気付いて腕組みをする事が出来た。
こういったうっかりのせいで沼の試練の生存率は、50%という惨状だった。
「むっ!どこに行った!?気配はするのに姿が見えん!!」
「ゲダツ様、白目を剥かれては前などご覧になれませぬ」
「うっかり!」
白目を剥いて気配はするのに姿が見えないのに動揺したゲダツ様。
白目を剥いているせいだと神兵に指摘されてようやく自分の状況を理解した。
「フェッフェッフェッフェッ!なんだあの間抜け野郎は!」
「ぷぷぷぷ、大したことないねあいつ」
ハンバーグとフォクシーは馬鹿にできる時は、例え戦闘中でも煽る性格だった。
さきほどから間抜けを晒している男など絶好の煽る機会だった。
「こいつなら俺たちでもやれそうだな!ちょうどむしゃくしゃしていた時だ!恨むなよ!!」
「オヤビン!オヤビン!おっ…ぶほっ!!?ごははああああああっ!?」
「ハンバーグ?」
一瞬だけ強風が吹き荒れたとフォクシーは思った。
すぐに風が止んだので再び間抜け野郎を見ようとしたらその場にいなかった。
そしてなによりハンバーグの声が消えて、恐る恐る後ろを見てしまった。
「は、ハンバーグ!!?」
ゲダツはすさまじい速度で加速してハンバーグを殴り飛ばしていた。
生存率50%でも許されていたのは、彼の強さ所以であった。
彼は3人の神官と50名の神兵、神官長に福神官長2名を同時に1分足らずで瞬殺できる強さであった。
うっかりさえなければ、神を除けば最強と名高い彼は、本気で交戦すれば強敵だった。
『あーあ、割れ頭。あいつと当たったのね…まあいいか』
船から飛び降りる時に見えた遺跡を目指していたウタは見聞色の覇気で状況を把握した。
身体能力自体ならエネルさえも凌駕する海軍本部少将レベルの実力者とフォクシーが交戦した。
ウタからすればどうでもよかったが、どう足掻いても実力差があり過ぎて可哀そうになった。
『せめてお墓でも建ててあげる』
フォクシーの存在すら認識したくないウタでさえも同情してしまうほどだった。
そうとも知らないフォクシーは、ハンバーグがやられたと知って激怒した!
「てめぇ!!ハンバーグをやりやがったな!!二度と動けないようにボコボコにしてやる!!」
「安心しろ。貴様もすぐにンンンンンンンンン!!」
「舐めやがって!!唇噛んでるじゃねぇよ!!ノロノロビ~~~ム!!」
決め台詞を言うとして唇を噛んだゲダツを見て煽られたと思ったフォクシー!
見事にノロノロビームを彼に当てて30秒間無力化する事が出来た。
傍に居る神兵は厄介だが、上官にツッコミを入れているせいですぐには動けなかった。
『これはハンバーグの痛みの分だあああああああ!!』
ボクサー魂に火が付いたフォクシーは、本気でゲダツを殴り殺そうとした!
「“ジェットパンチ”!!」
「ぶはっ!?」
しかし殴られたのはフォクシーだった。
ノロノロビームの直撃を受けた空番長は何事もなかったように彼を高速で殴り倒した。
『な、なんでだ…ノロノロビームを喰らって何で動けているんだ…』
意識が遠のくような痛みと衝撃をなんとか耐えたフォクシーは彼が動けた原因を探っていた。
そんな隙など与えるつもりではないのか。
「“ジェットダブルスレッジハンマー”!!」
「ぐはあああっ!!」
岩盤に激突して動けないフォクシーにゲダツは指を組んだ両手を彼の胸部に高速で振り下ろした!
“麦わらのルフィ”の技である“JETバズーカー”と同格の技がオヤビンにヒットした。
眉間を撃ち抜かれても絆創膏を貼れば平気な彼でもさすがに大ダメージ過ぎて動けなくなった。
「な、なんへ、のふぉのふぉへーふは、うほきはおほぉくあうのほぉに」
「何?ノロノロビームを喰らうと動きが遅くなるのか!?」
「メー!?ゲダツ様?なんで解読できるんですか」
瀕死状態であるフォクシーの呂律が回らないどころか暗号の様な言葉を瞬時に解読したゲダツ様。
「う~~~~~~~~~っ~~~~~~~~~~か~~~~~~~~~~~~り」
「今かい!?」
うっかりノロノロビームを喰らっているのを忘れていたゲダツ様。
フォクシーの言葉を聴いてようやくノロノロビームの影響が出た。
思わず立ち上がってフォクシーはツッコミを入れたが、復活したので結果オーライだった!
「“九尾ラッシュ”!!オラオラオラオラオラオラ!!!」
ノロノロビームを喰らって動きがのろくなったゲダツに反撃を開始したオヤビン!
今まで舐められた怒りや悲しみをパンチに乗せて殴り続けた。
パンチの1発がゴム人間のルフィにダメージを与える怒りそのものだった!!
「どうだ!?ちょっとは効いたか!?」
「なんかしたか!?」
「効いてねぇ!!なんでだ!?のろくなった時に受けたダメージは蓄積されるのに!!」
「うっかり!ごほっ!?」
「効くんかい!?」
本来ならフォクシー程度の攻撃では傷1つ付けられぬ空番長の肉体はうっかりダメージを受けた。
最強パンチからの最強パンチを防御するバリア…といった概念を塗り替える概念が発生していた。
故にギャグ補正を持ったタフなだけのオヤビンが“スカイピアの最強の人間”と互角に戦えていた。
「クソ、中々厄介だな!俺の十八番が通じねぇ…」
「ふん、この低度で狩った木になるな!せいぜい字面にチュウいしろ」
「文字を間違えてますよゲダツ様!!」
「今のは何が可笑しいのかわかんねぇ…」
もはやうっかりどころか確信犯にすら見えるゲダツだが、人間の中では最強であった。
なのでうっかりでも全てが許された!!
だが、今のうっかりは、メタ的な話だったのでフォクシーには何が悪かったのか分からなかった。
うっかりにも『相手に分かるように節度は守るべき』という教訓になりそうなやり取りだった。
「ここは俺の縄張り!張り巡らされたのは“沼雲”!一度捕まれば脱出は不可能だ!」
「畜生!わざわざ説明するって事は、やっぱりここが試練の場所か!!」
「うっかり生存率50%!“沼の試練”!ブクブク…」
「お前が沈むんかい!!」
“空番長ゲダツ”は沼の試練について解説しながら足元に沼雲に沈んでいった。
思わずフォクシーがツッコミを入れたが反応した方が負けの空間では悪手だった。
「ばかめ!俺には効かぬ!!沼雲仕様“
「飛んで行って…そのまま星になっちまったぜ…フェッフェッフェッ!勝てばいいよな!!」
「遅い!!“沼雲バーガー”!!」
「しまった!?ノロノロビーム!!」
ゲダツのペースに乗せられたフォクシは既に“はじけバトル”に負けていた。
ノロノロビームを当てようとするが沼雲には命中せずに目標に向かって飛んでいった。
「どこに向かってビームを撃っている!重量は雲、性質は沼!触れて助かる道は無し!!」
「ゲダツ様!!違います!こっちは私で…メ~~!?」
ゲダツはノロノロビームが沼雲に撃たれなかったのを困惑したが一番困惑したのは神兵だった。
何故か自分の方に向かって高速で沼雲が飛んできたのだから!
なんとか逃げようとしたが沼雲に頭が突っ込んでしまって息苦しくて倒れ込んだ。
「おい大丈夫か!?」
「…ごほっ!ごほごほ!!ハァハァ…あんたは命の恩人だぜ…メェー……」
多種族で構成された海賊団を統括するフォクシーは決して他者を見捨てない。
デービーファイトバトルで惨敗した海賊団が恥を忍んで助けを求めれば手を貸す男だ!
だからこそ敵だった神兵が助けを求めて足掻いていた姿を見た彼はすぐさま救助活動した!
「敵に命を救われるとは情けなし!!」
「なんたる言いぐさ!!もう貴様には仕えぬ!!」
「フェッフェッフェッフェッ!部下から見限られるとは情けねぇ奴だな!共闘するぞ!!」
「“
ツッコミ役をしていた神兵が上官を見限って裏切った瞬間、鉄槌が振り下ろされた!
武装色の覇気を纏ったルフィの“JETバズーカー”と同等の威力を受けた神兵はノックアウトした。
フォクシーは何が起こったのか一連の動作を目撃する事すらできなかった。
「絶滅種“
「やっぱ、駄目だあああああ!!鉄の試練のあいつといい!!俺に勝てる相手じゃねぇ!!」
ハンバーグを担いで逃げようとしたフォクシーの前にゲダツは立ち塞がる。
今回のゲダツ様は一味違う様で、本気で罪人を仕留める気満々であった。
「ノロノロ…」
「遅い!!」
「あっ!あそこに俺の母ちゃんが!!」
「なに!?」
苦し紛れの嘘をついたフォクシーの作戦は意外と上手く行った。
“
そこには誰もおらず、自分が正しかったと改めて認識して再び振り返った。
「今だ!!“ノロノロフォクシー
「フェーフェーフェーフェー」
「なんだこれは…」
フォクシーを更に不細工にした顔面がゆっくりとゲダツに向かって宙を進んで行く。
あまりにも馬鹿らしい未知なる存在に彼は興味を持ったのか。
危険な物だと分かっていながらも近寄ってしまった。
「30秒!じゃあな!」
いくら見聞色の達人でも本人が避けなかったら意味が無かった。
うっかり“ノロノロフォクシー
「どうだ!あいつの苦しみを思い知ったか!?…って待て待て!動くな!!」
うっかりフォクシーは勝利宣言をやってしまったがそれが悪手だった。
ゲダツは何度も沼雲に沈んだせいかそこから抜け出す技術があった。
「クソが!!」
爆発で吹っ飛んだせいで距離があるのでフォクシーが止めを刺す前にゲダツが脱出してしまう。
そもそもどこに沼雲があるのか分からないせいでどの道、彼の脱出を止める事はできなかった。
「緊急脱出!!“
「すごい沈んだあああああ!!?…それよりハンバーグを手当しねぇと…」
うっかりフル出力で噴出した強風がゲダツを1万mの上空から青海へとダイブさせた。
空島から青海への片道切符券、途中下車は不可能の番長を目指すゲダツの旅が始まった。
とりあえず勝利した実感よりツッコミを優先したフォクシーだったがすぐに正気を取り戻した。
すぐにお邪魔虫が居なくなったと分かって安心してハンバーグの手当てに取り掛かった。