【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話 作:黒のエレメンタル
「狙いは“金”だな?」
「良く分かったな栗のおっさん!おれ達ちっ!?」
馬鹿正直に話した結果、海軍本部大佐の“麦わらのルフィ”は男に発砲された。
明らかに世界政府に盾突く行為だが、部下からすれば正直に話せばそうなるよ…と他人事である。
ゴムゴムの実の能力者には、拳銃で撃たれた丸い弾丸なんぞ通用しなかった。
ゴム状の腹は弾丸を取り込んで伸びて…そのまま軍艦のメインマストに向かって撃ち返した!
「どうして私の軍艦を壊すのよ!」
「ずびまぜんでした…」
当然、軍艦の持ち主であるウタ准将の怒りを買ってルフィ大佐は即座に殴られて涙目になった。
一方、家の持ち主で銃を発砲したモンブラン・クリケットは、そのやり取りに困惑した。
今まで黄金を狙ったコソ泥や海賊が居たが、海軍が黄金を探すなど普通ではありえないからだ。
「ところでお前ら、なんでここに来たんだ?」
「黄金郷を探しに来たんだ!」
「奇遇だな!おれも黄金郷を探してるんだ!」
まさかの第一村人が黄金郷の情報を握っているという出来過ぎた話。
これにはルフィと気が合う部下達も怪しんでしまった。
「ずっと深海を探しているんだがな…見つからねぇんだ」
その一言で天変地異で黄金郷が沈んだと誰もが悟った。
…と思っていたが誰もがその可能性をすぐに否定した。
北の海で有名な童話に出てくる黄金郷は、嘘つきが言ってたので存在しないのが当然である。
ルフィはまだ諦めきれていないが、能力者である以上諦めてくれるだろう。
そう思っていた全員の期待はルフィの一言で砕かれる事となる。
「おっさん、空は探したのか?」
その一言は、寿命を削ってまで潜水を続けたモンブラン・クリケットを硬直させた。
「ルフィ!いい加減にしなよ!何で空島に黄金郷があるのよ!」
「だって島にも海にもないなら空にあると思うだろう!?」
頓珍漢な推理で黄金郷の場所を推測した幼馴染にウタ准将は呆れるしかなかった。
「空島を知っているのか?」
「ああ、爺ちゃんが行った事があって色々聴かせてくれたんだ」
モンブラン・クリケットは空島について興味深そうに若い海兵に尋ねた。
ルフィ大佐の祖父は【海軍の英雄】と称されるガープ中将。
きっとすごい話があるんだろうなと全員、興味津々である。
「太陽の光を全部隠すめちゃくちゃ厚い雲、そこで山より高い場所に登ると雲を泳げる場所があるんだ」
この場にいる海兵も空島の存在は知っているが、どんな場所かは伝聞しか聴いた事が無い。
空島との交流はほとんどなく、ごく僅かな空島のみ観光名所として有名なくらいか。
「どれだけ潜れるかアフロのおっちゃんと勝負したら地上に落下したって言ってたな」
前言撤回、やっぱり何かがおかしい一族と海兵は再認識するのであった。
ウタもルフィは祖父譲りねと…他人事のように思っていたが部下の1人が深刻な表情をしていた。
「何か心当たりでもあるの?」
「い、いえ准将!そんな事はー」
「そう?話してくれないとウタワールドに連れて行って情報を吐くまでここに帰さないよ!」
信頼している部下だからこそウタは、物知りの彼が何か知っていると見抜いた。
ウタウタの能力をよく知っているからこその脅し文句に彼は抵抗を諦めた。
「…実は、このジャヤ島付近に磁力で
「磁力を持った空島?新世界じゃないのに?」
その海域の島々は、強力な磁気を放っており通常の羅針盤が使いものにならないからだ。
「確かに新世界に磁力を帯びた空島がありましたね!」
「そうだろう?磁力で黄金を全部持っていたんだ!」
「ルフィ大佐!黄金は磁石に付きません…」
「なんだよつまんねぇな…!おれはそこに黄金郷があると思うぞ!!」
強力な海賊が縄張り争いをしている【新世界】は、島もかなり狂った地質が多い。
だが、
しかし、空島があると言う事は、ルフィの推理は的外れではないかもしれない。
ドヤァ顔でこっちを見るルフィの顔がなければもう少し賛同できるのにと思うウタであった。
「よし、その空島に行くぞ!!」
「「「おおう!!」」」
「どうやって行く気なの?」
「頑張れば行ける!」
「…行けるかも」
「ウタ准将!?お気を確かに!?」
寝不足で正常な判断力が落ちて来たウタ准将は、ルフィが楽しそうだから適当に賛同した。
まさかの上官の賛同に思わず部下はツッコミを入れるしかなかった。
「お前ら“
「新世界ならいくらでもありそうな名称ね」
モンブラン・クリケットは、ルフィの覚悟を見て協力したくなった。
上官らしき独特な紅白な髪を女将校も意外と興味があるのだろう。
さきほどまでは後ろ髪が垂れてたのに興味があるのか、今の話で上に伸びたからだ。
きっと彼女もロマンは分かっているだろうと直感で見抜けた。
「栗のおっさん!そのなんとか海流に乗れば空島に行けるのか?」
「行ける可能性があるってだけだ。1分間、海が天空へと上昇し続ける危険な海流だから行けるかもしれねぇ」
それを聴いて青ざめたのは眠気が吹き飛んだウタ准将である。
海軍大将の“赤犬”から授かった軍艦をこんなくだらない理由で沈没させるわけにはいかなかった。
何としてもルフィを説得しようと口を開こうとした瞬間、外から騒音がした。
「何の音だ?」
「外に居た海賊たちが騒ぎを起こしたようね」
ルフィの疑問にウタは即答した。
海賊嫌いの彼女は、極限まで海賊とのトラブルを関わるのを避けていた。
「とりあえず確認しに行こう!」
外に出てみれば、さきほど通行料を要求した騒音ゴリラともう1人のゴリラが倒れていた。
仲間割れなのか、黄金を狙ってきた海賊なのかウタにはどうでもよかった。
ここは、横暴で残虐な海賊が娯楽を味わいに集う島。
見聞色の覇気で感知していても無害なら…と今まで無視していた。
「ハハハハッハ!これは傑作だぜ!海賊が用心棒に海兵を雇っているなんてな!」
男は海兵の姿を見ても臆さないどころか嗤って馬鹿にできる度胸がある。
覇気からすると、この島の中でもかなりの実力者のようだ。
「あれは懸賞金5500万ベリー!“ハイエナのベラミー”!?」
「誰だそいつ?」
「ここらの海域で近頃名を挙げている“大型ルーキー”ですぜ」
物知りの部下から海賊の情報を知ったウタ准将は冷たい眼差しで彼を見た。
異名通りにハイエナらしくモンブランさんがサルページした黄金を強奪しに来たのだろう。
彼女からすればそれはどうでもよかった。
ただ、5500万ベリーの賞金首はここから生かして帰すわけには行かなかった!
「3800万ベリーの“ビッグナイフ・サーキース”まで居やがるぞ!?」
「さすが海兵さん!オレ達のこと詳しいってか?ぎゃはははははは!!」
おそらく能力者、だからどうしたというのだ。
ついさきほど出会ったばかりだが、彼が民間人に手をかけて悪名を稼いだのは疑う余地が無い。
ここで逃がせば、更に犠牲者を出すと分かっている以上、政府の方針に反してでも抹殺する!
「ウタ、お前がでるまでもねぇよ。おれで充分だ」
ウタの底知れない殺意を感じ取ったルフィは手で幼馴染を牽制して前に出た。
彼女には歌ってもらうのが好きであって、海賊を殺害する所など見たくは無かったからだ。
「何だよぉ?彼女に良い所を魅せよってか?」
「…ぎゃはははっは!笑わしてくれるぜ青二才の海兵さんよ!!」
ルフィは歌姫のウタが好きであって、積極的に海賊を殺害して欲しくないと思っている。
そうとも知らないベラミーは、地雷原でステップダンスをしながらルフィを煽った。
ベラミーからすればルーキーの海兵が女将校に恰好を付けているしか思えなかった。
「やっちまえ!海兵なんかぶっ飛ばせ!」
「ベラミー!こんなへなちょこな海兵なんてボコボコにしちゃえ!」
海賊団からの応援を受けてベラミーはバネバネの能力を発動させた。
残像すら見えにくい動きで辺り一面を跳ねまくった。
悪魔の実の能力者は、海に嫌われる代わりにそれぞれの能力を授けられる。
おそらくバネみたいな能力で歯向かう敵を蹂躙してきたのだろう!
『なんて無駄な動き…殺されたいの?』
勢いを付ける為か、無駄に障害物に跳ねているベラミー。
さきほどまで海賊に対して殺意剥き出しであったウタ准将は、隙だらけの海賊に呆れていた。
「あばーよ!麦わらァ!!」
「“JET
自分の動きに翻弄されて動けないと勘違いしていたのが間違いだった。
鼻で笑ったベラミーは馬鹿正直にルフィに向かって突っ込んでいった。
それを武装色の覇気を纏った拳で彼を思いっきり殴り倒した!
哀れなベラミーは綺麗な半円の軌道を描いて真っ暗な大海原に水しぶきを立てて沈んでいく。
「「「「えっ……?」」」」
ベラミー海賊団は何が起こったのか理解できない…いや、理解したくなかったのか動きが遅れた。
「“JET
最後に彼らが見たのは、悲しそうな顔をしたルフィの姿であった。