【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編30 “スカイピア神兵長ヤマ”との遭遇

うっかりさんが上空1万mを超高速で落下していく間もサバイバルは続いていた。

神によって仕組まれたゲームは生存者が5名になるまで終わる事はない。

 

 

「おやおやお嬢ちゃん。迷子とは可哀そうに…今すぐお仲間たちの元に送ってあげますよ」

「うわああああ!?」

 

 

シャンディアの少女アイサは、に発見されて逃げ出した。

“声”が次々と消えていくのを聴いていて俯いて歩いていたのが失敗だった。

涙と鼻水を垂らして必死に逃げる少女を殺害して現世から解放しようとするデブ神兵長。

 

 

「むっ!!」

「こっちだアイサ!」

「ブラハム!!」

 

 

閃光弾を撃ち込んで視界を遮ったブラハムはアイサを誘導した。

それを見逃すわけがないヤマであったが、更なる妨害が加わって追跡を断念した。

目の前に飛んできた砲弾を平手打ちで弾き返したヤマは、砲弾が飛んできた方を見た。

 

 

「シャンディアの主力の1人、ワイパーか!」

「俺の名前を知っているのか?」

「大戦士カルガラの子孫を私が知らないわけないだろう」

 

 

神兵を統べる長として、今までシャンディアのゲリラ活動の首謀者に逢えて嬉しい感情があった。

ようやくこの手で殺す事ができるのだから!

 

 

「“スカイピア神兵長ヤマ”として貴様を抹殺させてもらうぞ!」

「お前が死ね!!」

 

 

再びワイパーがバズーカーで砲弾をぶち込むが蹴りで打ち返してくる。

高速で飛んできた砲弾を辛うじて回避するが、回避先にヤマが突っ込んできた。

 

 

「“10連斬撃(アックス)”!“斬撃満点(アックスマウンテン)”!!」

「クソ!!」

 

 

何とか直撃は避けられたが、斬撃の1つがワイパーの顔を掠る。

ただの体当たり攻撃とはいえ“斬撃貝(アックスダイアル)”とデブの体積は脅威であった。

 

 

「メッ~~~!!!」

「さすが神兵のボス、一筋縄ではいかねぇか!」

「今日は貴様の命日だメ~~~~!!」

「そうかい!確かに命日だな!」

 

 

バズーカーと盾を地面に降ろしたワイパーは土を掬ってヤマに突撃して行った。

デブだから身軽になれば逃げきれると勘違いしたヤマは不愉快そうに迎撃をしに行く。

 

 

「“拳満点(パンチマウンテン)”!!」

「遅い!!」

「ぐああっ!目潰しか!!だが、“心網(マントラ)”の使い手はない」

「いいや、動きを止められるなら充分だ」

 

 

土でヤマの目潰しをしたワイパーは彼の巨体に右手を押し当てた。

彼からすれば少しでも動きを止めるだけで充分だった。

 

 

「“衝撃(インパクト)”か!その程度の攻撃など…!!」

「いやその10倍だ!!“排除(リジェクト)”!!」

 

 

ワイパーの右手から放たれた衝撃によってヤマは白目を剥いて吐血して倒れ込んだ。

排除貝(リジェクトダイアル)”は人間を殺すほどの威力があった。

 

 

「ぐあああああっ……」

「ワイパー…いくらなんでも無茶しすぎじゃないか?」

「……そ、それよりアイサはぁ!?」

「あたいは無事だよ!!」

 

 

ワイパーは自分の身体よりアイサを心配していた。

いくら戦士とはいえ、少女を前線に出すほど鬼ではなかった。

付いてきてしまった以上、戦士として見るしかないがそれでも戦闘は避けさせたかった。

 

 

「なら良い!!ブラハム!!アイサを連れてさっさと離脱しろ!!」

「正気か!?その状態で1人で行くなど無駄死にするだけだが!?」

「いいから行け!!神兵が駆けつけて来るぞ」

「いいかワイパー!“排除貝(リジェクトダイアル)”なんてもう使うなよ?次は死ぬからな!」

「俺は死ぬきはねぇ!!早く行けぇ!!」

「あいよ!」

 

 

アイサを連れてブラハムは去っていった。

戦友の意志を引き継いで少女を必ず守り抜くつもりだ。

 

 

「これくらいの…覚悟がなければ…“大地(ヴァース)”は奪還できねぇんだよ」

 

 

右肩が外れて痛みで苦しむワイパーだが、覚悟は揺らぐことはない。

エネルを排除するまで彼は何度でも無茶をするつもりだった!

 

 

「声が…声がどんどん消えて…」

「落ち着けアイサ、ひとまず雲貝海にでるぞ」

 

 

戦闘のショックのせいか、少女の気が滅入っているのを嫌でも実感するブラハム。

神兵なら良いが神官クラスだと守り切れる自信が無かった。

それでもナイスガイの彼は死んでも彼女を守ってみせるつもりだ!

 

 

ラララ~~ラ~ララララ♪ララ~~♪ラララ~ラ♪

 

 

そんな彼の決死の覚悟を馬鹿にするように呑気に歌うウタが通りかかった。

 

 

ン~~~~ンンン~~~♪みなみのし~~まはあったけぇ~~♪

あたまポカポカアホばっか~~~♪

 

 

“海軍の歌姫”から世界の頂点へと上り詰めた歌姫は、熱心なファンすら卒倒する歌詞を歌っていた。

世界の頂点で居る以上、挑戦者は山ほど居るのでいかにしてファンを飽きさせないかが課題だった。

幼馴染の歌は、自分では思いつかなかった発想なので特に気に入っていた。

 

 

「…紙絵“譜面(ノーテンブラット)”!」

「チッ!バレたか!」

 

 

不意打ちで発砲した弾丸はウタには見抜かれたようで見事に受け流されてしまった。

空の住民であろうが青海人だろうがシャンディアの戦士には敵でしかなかった。

 

 

「気持ちよく歌っていたのに何するのよ!!」

 

 

一方、発砲されるより歌の邪魔をされたのに苛立ったウタ。

見聞色の覇気で少女を優先しているので襲撃されないという予想は覆された。

それはともかく歌を中断させられるのは歌姫にとってとてつもない苦痛となっていた。

 

 

「青海人、死にたくなかったらこの島から出ていくと良い」

「じゃあ、私は愉しく歌って向こうに行くから!邪魔しないで」

「永遠に黙り込んだら邪魔しない!」

「ああ、もう!!」

 

 

閃光弾を受けて瞼を閉じたウタだが、見聞色の覇気で敵の動きは読めた。

問題なのは、近くにいる少女を怖がらせたくないので穏便に済ませる事にした。

 

 

「瞼を瞑ったところで…「はい何か言った?」ごふっ!」

 

 

目潰しが成功して油断した男の傍に六式の“剃”で駆け寄ってカットラスの柄で後頭部を小突いた。

急に脳に衝撃が加わったブラハムは成す術もなく倒れ込んだ。

 

 

「ブラハム~!?よ、よくも!!ブラハムを!!」

「死んでないわよ!あと数分すれば立ち上がれるようになりから!」

「ほんと?」

「敵だったら止めを刺しているでしょ!」

 

 

相手が気絶した以上、そのままささっと逃げたかったのだがウタはその場に留まる事にした。

少女が両膝から出血しており、応急処置をしたくなったからだ。

 

 

「触るな!!」

「うっさいわね!手当をしてあげるから見せて!」

「あたいも戦士なんだ!!舐められてたまるもんか!!」

「はい手当が終わったわ」

「えっ!?もう!?」

 

 

すぐに傷だらけになるルフィを手当し続けたせいか、ウタは処置が迅速にできるようになっていた。

ここ最近は、よっぽどの事が無い限り義弟(おとうと)は負傷しないので久しぶりの処置だった。

 

 

「なんで…」

「泣いている少女を無視するほど私は人でなしじゃないの」

 

 

幼少期の自分をアイサに感じていたウタは他人事に感じられなくなっていた。

かつて自分をフーシャ村に置いていった忌々しい海賊団のように無視するなんてできなかった!

 

 

「お、お前…」

「なによ?まだやるなら相手になってあげる」

「最近、おれ達の仲間を手当したりしてないか」

「バズーカー砲を担いだ刺青を入れた厳つい男を手当したけど…それが何か?」

「いや、いい。気にしないでくれ…」

 

 

ワイパーが青海にしか存在しない包帯で手当てをしていたのに戦士一同が首を傾げた。

彼の性格をよく知るブラハムだからこそ、ありえない光景だと思っている。

ただ、殺意剥き出しで襲撃しても笑って済ませる女ならあり得ると思った。

 

 

「青海人、頼みがある。アイサを守ってくれないか!」

「ブラハム!?」

「ごめんね。私はまだこの島に用があるの」

「我らの故郷で何をする気だ!?」

 

 

ウタからすればいきなり少女を守ってくれと言われても困惑するしかなかった。

エネルをぶっ飛ばしに行ったルフィは案の定、奴を殴れずにそのまま突き進んでいる。

当分、意味がないと分かっているのでさっさと遺跡を探して黄金の捜索をしたかった。

 

 

『故郷ね…』

 

 

今から黄金を探しに行くと告げれば、せっかく仲良くなった男と敵対するのが目に見えている。

だからといって少女を遺跡に連れて行く事はできないが無視する事も出来ない。

 

 

「メェエエエエエエエエ!!さっきは…よ、よくも!!」

 

 

ちょうど都合良く新手の敵が来てくれた。

しかも瀕死状態なので軽く小突くだけで倒せるほど弱い存在だった。

 

 

「“10連斬撃(アックス)”!“斬撃満(アックスマウ)”…「“獣厳”!」ぎゃあああ!!?」

 

 

何故かウタに向かって飛んでいった“スカイピア神兵長ヤマ”を指銃の速度の拳で反撃した!

歌姫だからって舐めた態度で襲って来るアウトローなどをこの技で返り討ちにしてきた。

さすがに海軍本部准将クラスになるとそんな厄介なファンが居なくなったが技は健在だった。

 

 

「あーあ、崖から落ちちゃった…まあいいか!次に行きましょう」

 

 

デブの神兵が崖から転がり堕ちて最後は動かなくなってしまった。

だからといって彼女は同情する事もなく遺跡に向かおうとした。

 

 

「あっ!良い事を思いついた!!」

 

 

少女を安全な場所に連れて行く事ができて、自分は遺跡を探索をできる名案を思い浮かんだ。

善は急げとウタは担いできたリュックサックから3つの信煙弾とタペストリーを取り出した。

ブラハムとアイサはそれが何なのか分からなかったが、笑顔を浮かべる彼女で察するしかなかった。

 

 

「良い?私の言う通りにすれば安全な場所に行けるから!」

「ホントか?」

「大丈夫、私の部下達ならきっと守ってくれるから!」

 

 

ウタは信煙弾の使い方を丁寧に彼女たちに教えた。

意思疎通ができる以上、話が通じると信じたかいがあった。

 

 

「なんだお前?」

「またお前か!」

 

 

一方、意志疎通できても話が通じない人物もいる。

空島に来た海兵で最強の男とシャンディアの戦士で最強の男が向かい合って睨んでいた。

双方ともエネルを目指していたら顔を合わせたが決して交渉できる状況じゃなかった。

戦士ワイパーと海軍本部大佐のルフィが一矢即発の状況で相手の動きを伺った。

 

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