【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話 作:黒のエレメンタル
「武装色の覇気を使いこなせたのに嬉しそうじゃないね?」
「やり過ぎたからな…」
「良いじゃない!人間って痛みを伴わないと成長しない生き物だよ!」
ルフィは突っ込んで来たベラミーがクロコダイル並みかそれ以上だと勘違いして本気で殴った。
その結果、殴った本人すら予想できないほどベラミーがぶっ飛んでしまった。
ここで死なせるわけにもいかず彼は部下に救助と応急措置をさせた。
「ルフィは優しいね。私はこいつが嫌い、楽しそうに殺人をしたから…」
ウタは見聞色の覇気でベラミーが殺人をしたのを知っている。
この大海賊時代では、海賊が襲撃してきて略奪や殺人をやるのが当たり前の出来事だった。
それでも人が築き上げた物を横から奪うどころか、危害を加えつつ一方的に笑って貶す男。
そんな奴なんか救助させたくなかった。
「…やっぱりウタワールドのトレーニングじゃダメだったの?」
「そんなことないって、ウタのおかげで覇気の使い方が分かるようになったんだ」
ルフィは、武装色の覇気を以前から扱えたが練度不足だった。
そのせいで七武海のクロコダイルとやりあった時に練度の差で何度も敗北した。
何とか勝てたとはいえ再戦すれば、勝てると断言できないので早急に修行する必要があった。
ただ普段の生活は、幼馴染のウタ准将が所有する軍艦で暮らしているせいで修行ができなかった。
そこでウタに頼んで、現実そっくりで身体能力もそのまま反映される仮想世界『ウタワールド』でトレーニングを重ねた。
「でもトレーニング相手は人間じゃなかったから、今こうして悔やんでいるんでしょ?」
ルフィ大佐と肉弾戦をできる人物は軍艦内には居なかった。
だからウタは、練習相手を創造したが、弟分を大怪我させる実力者は決して生み出せなかった。
故にウタワールドでルフィと特訓相手をした音符の戦士や怪物や動物は不死身なだけだった。
そのせいで、攻撃をコントロールする練習が疎かになってしまった。
「“マグマのおっさん”ならどうやったのかな」
「私たちの直属の上司をそう呼んじゃダメでしょ!…サカズキ大将ってお呼びしなきゃ!」
海賊はおろか海兵すら恐れられている海軍大将の“赤犬”。
彼らからすればガープお爺ちゃんと比べて優しくて頼りがいのある上司だ。
少なくとも夜のジャングルに放り込んだり、千尋の谷に突き落とす事などしない。
それどころかしっかりと向き合って話に付き合ってくれる。
…アラバスタ王国の件では、彼に連絡せずに独断で動いた結果、仲良く叱責されてしまったが。
「…で?どうするんですか?こいつら全員、牢にぶち込むんですか?」
「ただでさえ食料不足なんだよ。連行するくらいなら、ここで生き埋めにする!!」
海軍のアイドルとか歌姫と讃えられているウタ准将から爆弾発言が飛び出して固まる部下。
「こいつら、ウタと相性が最悪過ぎるんだ…」
満面の笑みを浮かべて海賊の生き埋めを提案するウタを見て頭を抱えて呟くルフィ。
無言で部下達が寝っ転がっている海賊達を上官の見えない所まで運ぶほどの衝撃的な事件だった。
「マシラ!ショウジョウ!!無事だったか!?」
「「おやっさん無事じゃないよ!!」」
「…無事みたいだな」
どうやら倒れ込んでいるゴリラ2人は、クリケットさんの知り合いのようだ。
少なくともボケに対して即答しているので見た目ほど怪我は悪くないだろう。
「そいつら、誰だ?」
「俺の黄金郷探しを協力してくれている同志だ!」
「おお!良いな!同志か!」
ルフィは仲間という単語に憧れを持っている。
もちろん、部下達も仲間ではあるが、どうしても階級差のせいで同格の感じがせず悲しかった。
だからこそ、栗のおっさんの同志という単語に憧れた。
「おやっさん、こいつら海兵なんだが?なんかあったのか!?」
「ああ、こいつらも黄金郷を探すのを手伝ってくれるそうだ!!」
「「ええええええええええええええええええっ!!?」」
尊敬するおやっさんをベラミー海賊団から守ろうとして無念にも撃破された。
そして気が付いたら海軍が仲間になっていた。
現実をすぐに受け入れられない彼らは叫ぶしかできなかった。
『どうしよう…』
『やべぇよやべぇよ』
ショウジョウ海賊団大園長、“海底探索王ショウジョウ”懸賞金3600万ベリー。
マシラ海賊団園長“サルページ王マシラ”懸賞金2300万ベリー。
無力な者であれば、恐怖して震える存在だが、現在震えていたのはマシラとショウジョウだった。
「本当に討伐とか逮捕しに来たんじゃないのか?」
「この島に伝わる黄金郷の話が気になってな!栗のおっさんと協力する事にしたんだ」
目の前に居るのが海軍本部大佐と海軍本部准将という場違いな実力者を前にして固まっていた。
ショウジョウに至っては七武海の空いた席をネタにしていたら…それを作った奴が目の前に居る。
それだけで逃げたくなる気持ちで溢れていた。
「「とりあえずサインください」」
「いいよ!」
彼らは独特な紅白の髪型をした女将校に向けて色紙を手渡した。
それを慣れた手つきで受け取って笑顔でサインするウタ准将。
海賊嫌いではあるが、誰かの為に奮闘する彼らは嫌いになれなかった。
サインが書かれた用紙を受け取った2人は親指を立てて歯を魅せ付けるように笑った。
「で、その空島に行く為には必要な動物が居るんだ」
「動物?」
「サウスバードっていう鳥さ。南の方角しか向かないから方角を知るのは都合が良い鳥さ」
そんなやりとりに興味がなさそうにモンブラン・クリケットとルフィが雑談をしていた。
2人とも本気で黄金郷を見つけたいからこそ些細な出来事など興味に示さなかった。
「すげぇな!おれらの軍艦にもたくさん欲しいな」
「そんなに飼う余裕はありませんぜ。一羽で充分では?」
「せめて2羽でしょ。1羽じゃ可哀そうだもの…」
サウスバードという存在をよく分かっていない2人だが、何羽か飼いたい気持ちは一緒だった。