【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

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空島編6 ヘラクレスオオカブトとの遭遇

ショウジョウとマシラは護衛をしてくれた音符の戦士達を伴って集合場所に帰って来た。

 

 

「ホント、散々だったぜぇ」

「あんたらもそう思うだろう?ウッキッキー!そうだよな!おれ達を死守してくれたもんな!」

 

 

表情が変えられず喋れないだけで音符の戦士は、頷いたり文字を書いたりと意思疎通が図れる。

それだけで不気味だった化け物が可愛げになるというものだ。

 

 

「ごめんなさいね…せっかく手伝ってもらったのにすぐに帰還命令を下しちゃって…」

「正直ハラハラしたぜ。俺の驚いた声で森中の生物が全滅するのかと…それより顔色が悪いが?」

「便利な能力には()()()()()()()()の。私は今からそれを支払わないといけない」

 

 

ショウジョウとマシラの一団をまとめる『猿山連合軍』。

そのボスであるモンブラン・クリケットは既に森から帰還していた。

疲れ切って切り株に腰掛けて眠気を必死に我慢しているウタ准将はルフィ班の帰還を待っていた。

 

 

「おーい!!」

「ルフィ!!」

 

 

幼馴染の楽しそうな声を聴いただけでウタは立ち上がって彼を迎えに行こうとした。

 

 

「捕まえたぞ!!ヘラクレスを!!」

「「「「なにやってんだてめぇ!!」」」」

 

 

ヘラクレスオオカブトを右手で掴んで微笑みながら駆け寄って来るルフィに一同は激怒した!

身勝手過ぎる行動を目撃して猿山連合軍どころかウタの部下ですら本音をぶちまけた。

まだ成人していない乙女であるウタ准将が能力の酷使で疲弊しきっているところにこれである。

その行動は無いだろうという心理から出たものだ。

 

 

「うっそ!?ヘラクレス!?見せて見せて!!」

「「「「まさかの虫好き!?」」」」

 

 

ルフィと10年以上過ごしてきた女にとって、彼の行動はお見通しだった。

彼女は嬉しそうに捕獲されたヘラクレスを見ようと駆け出した。

 

 

「立派なヘラクレスね!フーシャ村のヘラクレスよりサイズが一回り大きい…!」

「そうだろう!こんなに大きなヘラクレスは初めてだった」

 

 

ヘラクレスを手に取って興奮しているウタを見てルフィは苦労した甲斐があったな…と満足した。

 

 

「あの…ルフィ大佐?我々の任務は、サウスバードの捕獲だったのでは?」

「おれじゃ鳥は捕まえられねぇからやれそうな事をしたまでだ!」

「何でそんな自信満々に言えるんですかね…」

 

 

童心に戻って目を輝かせているウタ准将がいるせいで強くは言えなかったが、全員が呆れた。

ウタ准将とルフィ大佐の間には幼馴染以上の関係があるのは知っている。

だからといって、さすがにこの対応はまずいだろうと言いたかった。

 

 

「じゃあ、おれの勝ちだな!」

「えっ?」

「これで558回もおれが勝ったわけだ!」

「はぁあ!?ヘラクレスは凄いけど、サウスバードを捕まえた私が558回勝利したの!!」

 

 

双方とも自分が本気で全勝していると思っているからこそ譲れなかった!

5500万ベリーの賞金首をワンパンする大佐が両腕を組んで自分の勝利を疑わない。

歌えば仮想世界を創造したり、異次元の存在を使役する准将との口喧嘩が始まった。

 

 

「サウスバードを捕まえたのは海兵じゃないか!しかもおれの部下だぞ」

「出た!負け惜しみぃ!」

 

 

ウタは腕を曲げて掌をルフィに見せびらかして指を小刻みに動かす。

すると負けず嫌いのルフィは反論するなり次の勝負を挑むのがいつものパターンだった。

 

 

「……眠いから軍艦の寝室まで送ってくれない?勝利は私の物にしてあげるからさ」

「もちろん、おれの勝ちだけど、ちゃんと送ってやるぞ」

 

 

大佐に背負われた准将は、ようやく安心したかのように寝息を立て始めた。

すると護衛として召喚した音符の戦士は役目を終えて生まれた場所へと戻っていった。

 

 

「ルフィ大佐!軍艦はこちらです!」

「おう!ありがとうな!」

「我々もお供します!」

 

 

自分の命より大事な存在を背負ったルフィは素直に部下に案内されつつ軍艦へと向かった。

 

 

「てっきり前みたいにクワガタか、カブトムシ、どっちが最強か喧嘩するかと思ったぜ」

「さすがに准将殿はそれをやれる余裕は無かったな」

 

 

ウタ准将の護衛としてここまでやってきた海兵たちも踵を返して軍艦に戻ろうとした。

 

 

「ちょっと待ちな!」

「モンブランさん?我々に何か御用なのですか?」

「あの嬢ちゃんの能力は明らかに異常だ!一体何者なんだ!?」

 

 

海賊の経験がある41年間生きて来たモンブラン・クリケットは能力者と交戦した事がある。

だが、明らかに准将の能力の規模は凄まじく化け物にしか見えなかった。

 

 

「何者って…我々のアイドルであり歌姫であり素敵な上官ですよ!」

「ちょっと怪我するだけで泣きついてくる良い人だぞ」

「それを悪用し続けた結果、音符の戦士を召喚するようになっちまったがな…」

 

 

ウタ准将やルフィ大佐を咎めたり振り回されがちな海兵たちも実際には彼らに忠誠を誓っている。

ただそのまま放置すると自分たちが死ぬので、まずい展開の時はストップをかけている…。

 

 

『きくだけ野暮だったか』

 

 

モンブラン・クリケットも能力が把握できたわけでないが、年相応の能力ではないのは確か。

まだまだ成長の見込みがあるウタ准将を純粋に心配していた。

何なら同志たちが全く歯が立たなかったベラミーを瞬殺したルフィ大佐以上に恐ろしい存在だ。

「詮索するのはやめておけ」と長年で培った勘が教えてくれたのでこれ以上口には出さなかった。

 

 

「そういえば空島の場所ってどこだ?」

「そういえばそうだな」

 

 

海兵たちも疑問点があったので良い機会だと思って彼に思い切って質問をした。

 

 

「では、こちらからも質問を!記録指針(ログポース)の指針を磁力で奪う空島の件についてです」

「我々は、その記録指針(ログポース)が無ければ空島の場所を推測する事すらできません」

 

 

記録指針(ログポース)は磁力を放つ島々がある“偉大なる航路(グランドライン)”を航海するのは必須アイテムだ。

ただ問題なのは、この記録指針(ログポース)は別の島で指針を上書きできるという点だ。

海兵の質問は、「空島を指す記録指針(ログポース)は、まだ残っているのか?」という切実な質問であった。

 

 

「それについては既に手を打っている。ひとまず軍艦に戻ろうじゃないか」

「お言葉に甘えるか…」

「そうだな…」

 

 

彼らが向かうのは空島、海軍でもこんなアホな奴らが居るんだな。

…と思いつつ協力する自分もアホだと思いながらモンブランは海兵の後に続いた。

最後尾となった彼らが軍艦に辿り着くと、その軍艦が魔改造されていた。

 

 

「なんだこれ?ニワトリか?」

「翼を付ければ揚力が出て空島に飛べるとでも思ってるのかこれは…」

 

 

モンブランを護衛していた海兵達は、軍艦の守備兵にこの様な惨状になった原因を思わず尋ねた。

 

 

「なんだこの有様は!?」

「近くに停泊していたベラミー海賊団の船を解体して資材を利用して飛行モードに改造しました」

「そんなことなんて訊いてねぇ!?」

 

 

 

何が酷いって軍艦の前方にある3連装砲塔にニワトリのトサカがあるせいで動かせなかった。

一番砲撃する機会がある砲塔を使い物にならない改造を施した守備兵に怒るしかない!。

移動先に存在する敵船を砲撃できなければ、軍艦の機動力や制圧力が失われると同意義だった。

もちろん、これを主導したのは、ルフィ派の海兵だというのはすぐ見抜けた。

馬鹿らしくなったウタ派の海兵達は、何事もなかったかのように寝室のベッドで横になって寝た。

 

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