【凍結中】海兵になったルフィとウタが後に酷い目に遭う話   作:黒のエレメンタル

8 / 31
空島編8 リベンジを狙うフォクシー海賊団との遭遇

サルページを専門とするマシラ海賊団、音で海底の異物を感知するショウジョウ海賊団。

そして何故かニワトリのトサカと翼が生えた海軍本部の軍艦一隻

そんな奇妙な艦隊は、“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”を目指して南下していた。

 

 

「ジョ~~~!ジョ~~~~!」

「じょーじょって煩いからこいつの名前、ジョジョにしないか?」

「ジョー!!!!」

「うわっ!?怒った!?人の言葉を理解できるんだなこいつ!?」

 

 

鳥の鳴き声でルフィがジョジョと名付けようとすると、サウスバードは鳥籠を叩いて抗議した。

実際、空島に行かされる為、このままだと文字通りジョジョの奇妙な冒険が開始してしまう。

その名前だけは駄目だと抗議するように鳥籠が異常に揺れていた。

 

 

「じゃあ、サウスバード(SouthBird)を略してサブ(Sub)にしない?」

「ジョーーーー!!!」

「ウタ准将のネーミングセンスにもケチ付けるのかこいつは…」

 

 

 

ニックネームを付けたいウタ准将は、サウスバードにサブと名付けたがお気に召さないようだ。

暴れてクチバシで鍵を破壊しようとしているが、鍵は東側にあるので絶対に壊せない。

完全に嫌がらせだが、脱走されると詰むので仕方が無かったって奴だ。

 

 

「あっ、ちょうどよかった。子電伝虫を連れて来てくれない?」

「了解しました」

 

 

そのやり取りを観察しに来た部下にウタ准将は子電伝虫を要求した。

何故このタイミングでそれが必要なのか彼には理解できなかった。

笑顔が天使に見える上官の命令に従って子電伝虫を取りに向かう途中で用途が理解できた。

 

 

「敵襲!!相対方位120°海賊船一隻、こちらに向かってきます!!」

 

 

 

普通なら海賊船が海軍本部の軍艦を襲撃するのはあり得ないがウタ准将には心当たりがあった。

見聞色の覇気で敵の素性を感知して、実際にその船を単眼鏡で確認して答え合わせを終えた。

 

 

『お礼参りってところね。相手がその気ならこっちもお礼をしてあげましょう』

 

 

黄金郷に行くきっかけを作った海賊団に対して本部准将は口角を釣り上げてお礼をするつもりだ。

 

 

「うお!?でけぇな!あれがクレヨン船か!」

「大佐殿!!ガレオン船です!!」

 

 

ルフィは久しぶりに面白そうな海賊団を見てウキウキとしていた。

ジャヤでは肉が無くて死にかけたり鳥を捕まえろという無茶な命令はされるし、最後は殴られた。

だからこそ、面白そうなハプニングを起こしてくれた海賊団に挨拶するつもりだ。

 

 

「ルフィ大佐?砲弾を持ちあげてどうなされるつもりですか?」

「砲弾投げをするんだ」

「砲弾?砲丸投げではないんですか?」

「爺ちゃんから習った直伝の技だ!ちょうど良いからあの海賊船で練習するんだ。

 

 

ルフィの祖父であるガープ中将は、砲弾をボールみたいに投げる“拳骨隕石(げんこつメテオ)”という技がある。

最先端の砲塔よりも速く撃ち出される砲弾はあらゆる物を破壊する爆発を起こすらしい。

ただロジャー海賊団には打ち返されて逆に軍艦を沈められた経緯から強者には使用しない技だ。

 

 

『え?この軍艦から投擲するの!?』

 

 

スパルタ教育の鬼であるガープ中将を思い出していたウタ准将は、もう一度ルフィの方を見た。

準備運動をしているが、「たぶんとかできそう」とか「初めて」とか口走っていた。

速攻で砲弾を投擲させるのを止めさせる為に彼女は口を開いた。

 

 

「待ってルフィ!私たちが手を出すほどの相手じゃないわ!!」

「えー!砲弾投げしてもいいじゃん!!」

「ルフィが暴れると軍艦が壊れるの!!」

「おれを信じろ」

「砲弾が転がっているのを見てどう信じろって言うの!?」

 

 

大波で揺れて甲板が傾いて砲弾が転がっていくのに止める素振りを見せない幼馴染。

ここで砲弾投げを許可したら絶対に碌な結果にならないのは明らかだった。

皆の命や希望を背負う准将は、大佐に対して改めて説得を試みた。

 

 

「良いルフィ!役割分担よ!」

「役割分担?」

「例えば、航海士の仕事ってルフィはできるの?」

「できねぇよ。ウタだってできないだろう!」

「そう!だから難しい事は専門家に任せているの!!」

 

 

拳骨隕石(げんこつメテオ)”を本艦のメインマストに命中させる予感がしたウタは必死に彼を止めようとした。

まず始めに自分たちができない仕事を専門家がやってくれていると認識させる。

 

 

「コックも衛生兵も工兵も私たちじゃできないからこの軍艦に居るの」

「そりゃあ、そうだけどさ」

「この軍艦の人員は、フーシャ村よりも多いの!ちょっとした大きな街くらいの人口なの!」

「だから?」

「だからこの軍艦に居る人たちは家族みたいなもんなの!」

 

 

実際、軍艦は都市が移動しているレベルの人員が配置されている。

本来の軍艦の人員は500人から1000人規模と大きめの街の人口を有する。

本艦は余計な積み荷が多いせいで人員が280名しか居ない。

更にウタ准将とルフィ大佐で大体の戦闘が終わるので戦闘員より砲兵担当の兵が多かった。

 

 

「砲撃の専門家である砲兵に任せておきなさい!」

「でも~!」

「これから空島に冒険するんだから体力は残しておくべきよ!」

「それもそうだな」

 

 

最後は空島に探検する体力を残すべきと告げるとようやく幼馴染は納得してくれた。

説得が成功して内心でガッツポーズしているウタ准将に子電伝虫を持った海兵が駆けつけた。

 

 

「子電伝虫をお持ちしました」

「ありがとう、あなたは持ち場で待機して」

「ハッ!」

 

 

子電伝虫を手に入れたウタは部下に感謝して一呼吸置いた後、将軍らしく砲撃命令を下した。

 

 

「右舷3連装砲塔!目標、狐海賊団!砲撃準備!右舷第1、第2砲列は臨戦状態で待機せよ」

 

 

ウタ准将の命令で海軍本部の軍艦の特徴である3連砲塔が回転し、海賊の船に照準を定め始めた。

掌砲兵長が掌砲兵に敵船との距離を伝え、命令を伝達された掌砲員が砲の照準を目標に合わせる。

何故、右舷の3連装砲塔しか砲撃をしないのか誰もが疑問であったが、命令通り遂行していた。

 

 

「すげぇなウタ!まるでお偉いさんみたいだ」

「准将だから実際偉いの!ルフィも大佐でしょ!?」

「そうだけどよ。強いからって軍艦のリーダーっておかしい気がするんだ」

 

 

海軍本部では、腕っ節さえあれば未成年であろうと将官クラスに昇格できる。

逆に言えば、軍のトップが強く無ければ反乱を起こされて崩壊するほどの世紀末な時代だ。

ただ、海軍大将が世界政府の最高戦力とされている経緯を見ると…。

昔から偉い人は強いという方式があるのかもしれない。

 

 

「准将!敵艦が砲撃してきました!」

「威嚇射撃ですらないじゃないの…無視しなさい」

 

 

能力者や強者で一方的に蹂躙される海兵の中でも特に可哀そうなのは掌砲員である。

せっかく訓練してきたのに生身の方が火力がある敵が多すぎて特に言及されない人材だった。

島を焼き尽くすバスターコールより海軍大将の方が強い以上、それは仕方がない事だった。

 

 

「砲撃準備完了しました!いつでも撃てます!」

「右舷3連装砲塔!撃ち方始め!!」

 

 

それでもウタ准将が掌砲員を重視したのは、白兵戦で傷つく兵を見たくなかったからだ。

部下から砲撃ができると知らされた准将は、自信満々の部下の言葉を信じて砲撃命令を下した!

 

 

「右舷3連装砲塔!撃ち方始め!!」

 

 

掌砲兵長が准将の命令を復唱し、掌砲員はその命令に従い、狐海賊団とやらに砲撃をした!

 

 

-----

 

 

一方その頃、フォクシー海賊団は、船長の頭が逝かれたと誰もが思っていた。

この辺の海域では出てくるはずがない海軍本部の軍艦と交戦するというのだ。

 

 

「オヤビンやめませんか?あれは本部の軍艦ですよ!」

「アホだな!俺らの肉を強奪した女海兵が乗っている軍艦だぞ!」

「むしろ肉だけで済んでラッキーじゃないんですかオヤビン!!」

「馬鹿野郎!!あいつらには、ここでけじめをつけねぇといけねぇ!!」

 

 

海賊団の船長である“銀ギツネのフォクシー”は海軍に復讐を誓った。

やられっぱなしで終わるのは男が廃る!

 

 

「それにしては無視されてますねプププ」

「こらハンバーグ!事実を言うんじゃない!」

 

 

戦闘員であるハンバーグがそう告げるとフォクシーは頭を床に当てて落ち込んだ。

ポルシェちゃんの言葉が追撃となって彼の心を抉る!

楽しみにしていた肉を全て奪われて、未だに精神的に引き摺っている影響か。

声がいつもより身体に大きく響いた感じがした。

 

 

「クソ!あいつら勝ち逃げする気だな!!野郎共!砲撃開始!!」

 

 

昨日から散々な目に遭っている銀狐のフォクシーは誓った!

なんとしてもあの紅白の髪型をした女海兵を泣かせようと努力するつもりだ!

ただ、億越えの賞金首を討ち取れる本部将官クラスを相手にしたくないのか。

愛するべき船員たちは海軍本部の軍艦に砲撃を当てる気が無かった。

泣く子も黙る海賊団の格すら落ち始めていると実感し始めたフォクシーは激怒するしかなかった。

 

 

「下手くそ過ぎるだろう!!このままじゃ逃げられるぞ!」

「オヤビン!3つの砲台が動いてる!!撃ってきますよ!!ていうか撃って来た!?」

「俺に任せろ!!ノロノロビ~~~~ム!!」

 

 

久しぶりに格好良い場面を見せられると思ったフォクシーは狐の船首の上に飛び乗った。

軍艦の3連装砲塔が砲撃した砲弾に向けて両手を構えた彼は能力を発動させてビームを放出した。

ノロマ光子が砲弾を包み込み速度を著しく遅くして空中に止まったように動いていく。

 

 

「さすがですオヤビン!」

「フェッフェッフェッフェッ!ざっとこんなもんよ!」

「オヤビンオヤビン!」

「いやいや当然の事をしたまでよ!フェッフェッフェッフェッ!」

 

 

部下達から褒められ続けたフォクシーは増長し腰に両手を当ててドヤァ顔で笑っていた。

単眼鏡で砲撃を観察していたウタ准将はそれをしっかりと目撃していた。

 

 

「うお!?砲弾が止まったぞ!?」

「やっぱり能力者ね。下手に砲撃させなくて正解だった」

 

 

昨日、ウタ准将は歌で彼らの意識を仮想世界のウタワールドに飛ばして瞬殺して完封させた。

そのせいで、どれだけ脅威か不明だが、あの時はルフィが餓死寸前だったので気にしなかった。

改めて見聞色の覇気で船長らしき人物を調べると大所帯の割りには器が小さすぎた。

こういうパターンは、能力者か親の七光りであるが今回は前者だった。

 

 

「面白そう!なあ!ちょっと船に乗り込んであいつと逢っていいか!?」

「じゃあ空島は私達だけで行くけどそれで良いの?」

「分かったよ。もうちょっとだけ我慢する」

 

 

どちらが最初に喧嘩を売ったのか双方の船長ですら覚えていない。

だが相性が悪いという直感は当たっていた。

ついでに双方ともルフィを誘導して動かす事ができるという共通点がある。

 

 

「ビームの射程範囲を分析できた人っている?」

「200mくらいだと思います!」

「まだ接近されても大丈夫ね!右舷3連装砲塔!再度…」

 

 

バリアか時を止める能力か分析できなかったウタ准将は再度砲撃命令を下そうとした。

ところが、止まっていたように見えた3つの砲弾が何故か動き出して敵艦で爆発した。

原因は、砲弾の速度を遅くするノロノロビームの効果時間が過ぎたせいだったが…。

海兵視点からすると勝手に自爆したように見えて困惑するしかない。

まさか船長を讃える為に回避行動を忘れて自滅したなどと誰にも考え付かなかった。

 

 

「報告申し上げます!敵艦のメインマストとフォアマストに砲撃が命中し、へし折れました!」

「マストを失った帆船なんて『砲撃できる棺桶』じゃないの…放置して猿山連合軍と合流します」

 

 

軍艦に匹敵するガレオン級の帆船もマストが無ければ、ただの置物である。

完全に無力化したと判断したウタ准将はすぐに味方と合流するつもりだ。

 

 

「海賊船を放置するのか?」

「私たちの目的は空島でしょ!こいつらを相手にしたら行けなくなるの!」

「そうだった!急がないと!野郎共!出発だ!!」

「「「「うおおおおおおおおおお!!」」」」

 

 

空島に行く手段である“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”が発生するまで数時間もない。

久しぶりに楽しそうな海賊団と戦うのを我慢してルフィ大佐は号令を出した!

しかし彼らは、フォクシー海賊団を甘く見過ぎていた。

その代償はすぐに払う事となる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。