ハヤトがあれからどうなったかというと、白ひげ海賊団で雑用係(期間限定)として働いていた。
あくまで期間限定であり、ハヤトはどうにか白ひげから期間限定と言質をとった。
ちなみにハヤトの船はモビーディック号とロープでしっかり繋げて曳航している。
そんなこんなで3週間ほど過ぎた。
「はぁ……」
「おいおい溜息吐いてどうしたんだよい?」
「マルコ、そりゃつきたくなるよ。何で俺がお前らの事務仕事をしないといけないんだよ」
これまで影分身を多用して雑用をこなしてきたハヤト。
戦闘などでも忍びらしく、やられそうな奴の援護をしたり敵船の内部で破壊工作したりなど。
そんなある日、何気なく雑用だけでなく事務仕事もやった。
よく火影の事務仕事を手伝っていたこともあって、この時も何事もなく事務仕事を終えた。
ところが作業しているところを見ていた船員から他の船員へと知られ、それから各隊の隊長たちがこぞって事務仕事をしてくれと頼んできた。
そこまで頭を使うことが嫌なのか、中には代わりに雑用するからと頼まれた。
今では雑用係ではなく、事務係と言ったほうが正しい気がする。
「いや~俺達がやるよりハヤトがやってくれたほうが正確なんだよな」
「期間限定の奴に事務仕事させてどうするんだよ。俺がいなくなった後はどうするんだよ?」
いつまでもハヤトはここにいるわけではない。
「それなんだがよ。ハヤト、白ひげ海賊団に入らねえか?」
「は?」
まさかの勧誘にハヤトは呆けた声を出してしまった。
「いやいや、何でだよ?」
何しろ出会いがしらに攻撃したハヤトと攻撃された白ひげ海賊団。
ハヤトはどうして自分が勧誘されるのかわからなかった。
「別に誰でもってわけじゃないよい。親父がお前のことを気に入っているのが大きいがな」
「気に入ってるって、あの時俺色々言ったんだけど」
伝説の海賊を前にとんでもないことを言ったなと思い出す。
下手すれば白ひげ海賊団対ハヤトとなっていたかもしれない。
「あれには俺達も驚いたよい。けど、あれで親父が気に入って俺達も気に入ったんだよ」
「気に入ったって言っても、イゾウさんは俺のこと今でも警戒してるけど」
白ひげ海賊団16番隊隊長のイゾウ。
歌舞伎の女形のような装いで二丁拳銃の使い手。
ハヤトが他の船員と打ち解けている中、イゾウだけはハヤトを何故か警戒しておりあまり話せていない。
「あ~まあ、イゾウの奴にも色々と事情があってな」
「………まあ、何か事情があるなら深くは聞かないよ」
「そうしてくれると助かるよい。それで、さっきの話だけどよ」
「白ひげ海賊団に入るかか?………誘ってくれたのはとても嬉しいけど、すまん……」
「そっか……。まあ、入らないって言う奴を無理には誘わねえから安心しろよい」
「何か悪いな」
ハヤトしても白ひげ海賊団の面々と打ち解けて、まさか誘ってもらえて嬉しかった。
しかし、ハヤトしても色んなこと知りたいから旅に出たのだ。
「気するなよい。まあ、お前が仲間じゃなくても大切な友人だ」
「……ありがとう」
マルコから自分が友人だと言われて、ハヤトは嬉しくてつい涙が出そうになったのであった。