「………やっぱり一人だと静かだよな……」
ガラーン島を出航した船の中でハヤトは一人修行していた。
あの黒服を撃退して急いで船に戻ったハヤトを待っていたのは、先に帰らせていた影分身だけだった。
影分身が船に戻った時には、ロビンの姿はなかったようだ。
おそらく島に上陸した際に船を降りて、別の船に密航したのかもしれない。
それかガラーン島に潜伏しているのか。
「けど、あの黒服がいるから潜伏はなさそう」
あの黒服の動きから世界政府の諜報員の可能性が高い。
「六式とかロビンのこと探していることから絶対だろ」
それ以外に理由があるとすれば格好だ。
「いかにもスパイっていう感じだし」
大抵のスパイは怪しい黒服の格好をしている。
などと偏見的な考えを浮かべながら筋トレを終え、今度は影分身との組み手を始める。
「う~む……やっぱり影分身との組み手だと攻撃方法が同じだな」
「そうだよな。だって組手の相手が俺だからな」
互いの攻撃方法が同じであるため、ハヤトとしては影分身との組み手に物足りない感じがした。
「あ~駄目だ駄目だ!やっぱりこれじゃだめだ!」
影分身を解除し、ハヤトは甲板に寝転がる。
「これからどうしようかね~」
ぼーっと空を見上げるハヤトはそのまま眠ることにした。
見張りの影分身を1体出すのを忘れずに。
「起きろ~!島が見えたぞ~!」
「んあ?」
影分身の呼び声に眠そうに瞼をこすりながらハヤトは体を起こす。
そして、影分身が示す方角を見ればそこには島が見えていた。
「確かに島が見えるな。どれどれ……」
望遠鏡を取り出して島を見る。
そこに見えたのは3隻の海賊船が岸に停泊しているという光景だった。
「まあこの世界じゃよくあることだろう」
航海中に見つけた島に海賊船がいるなんて。
「そんじゃいつも通り」
慣れた様子でハヤトは印を組み始める。
「水遁!水龍弾の術!」
海賊船の傍から3体の水龍が出てくると、海賊船へと襲い掛かる。
船の一部を破壊すると、3隻の海賊船はそれぞれ別方向へと逃げだした。
「逃げるみたいだから大したことのない海賊だろう」
マルコの時のように実力のある者であれば、術を破って反撃したりするはずだ。
「よし、あの島に上陸して何かあるか探索してみよ。食料とか補充できそうなのあるかもしれないし。それに………」
もしかしたら宝があるかも何て妄想をしながら、船の進路を島へと向ける。
しかし、ハヤトはこの時島から離れるべきだったと後悔するのであった。
「さて、島の探索を始める前に」
ガラーン島の雑貨屋で偶然見つけたお札。
そのお札にハヤトは墨と筆を用意して術式を記していく。
記したお札にハヤトは金品や本といった日用品を札へ封印していく。
「さっきの海賊達が戻ってくる可能性もあるしな。もしものための用心用心っと」
封印を終えたハヤトは準備を整え、島へと上陸する。
「さてと、何があるかな?何があるかな~と」
島の中を気楽に探索するも、目立ったような物はそう簡単には見つからなかった。
「1人じゃ広いし、影分身で探そうかな」
どうしようか考えていると、空から何かが落ちてきた。
「な、何だ!?」
巨大な物が落ちたのか島全体が大きく揺れていた。
「………覗くだけにしとこう」
一体何が落ちてきたのかはわからないが、あまり関わりたくないハヤトは遠くから見ることにした。
飛来物の落下地点から大きく距離をとり、望遠鏡で状況を確かめる。
落下地点には大きな穴ができ、中心には人型のような穴が出来ていた。
「ちょっと待て、嘘だろ……冗談だろ……」
あの穴をハヤトは見たことある。
あの穴を作った者のことを知っている。
穴から腕が出てきて大地に手をつき起き上がる。
『チクショウ……!頭がいてえ……』
声は聞こえないが唇の動きで何を言っているのかはわかる。
『そう簡単には死ねねえもんだな……』
頭を押さえながら立ち上がる存在。
『さっきからこそこそと見ている奴………誰だ?』
白ひげと同じ四皇の一人。
“百獣のカイドウ”
「(最ッ悪だ!何であいつがここにいるんだよ!)」
ハヤトは再び危機へ陥ってしまったのであった。