忍者の世界の次は海賊の世界かよ   作:ボートマン

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第15話

「(最悪だ!最悪すぎるだろ!)」

 

立ち寄った島に落ちてきた存在。

 

穴から這い上がるのは7mを超える筋骨隆々とした巨体に頭部の巨大な二本角。

 

“百獣”のカイドウ。

 

シャンクスと白ひげと同じ四皇の一角。

 

「(俺って呪われてるのかな?何で行く先々で四皇とかヤバい奴らに遭遇すんだよ。くそ、俺カイドウのことはあんまり知らないってのに!)」

 

ハヤトは焦りながらも迅速かつ隠密にカイドウの落下地点から距離をとる。

 

「(船で逃げるのはやめたほうがいい。カイドウが悪魔の実の能力者なのかわからないし、どんな攻撃手段を持っているかも知らないんだ)」

 

下手に船で逃げても遠距離攻撃とかで沈められる可能性がある。

 

「(とりあえず最低限の物は札に封印してある。海中を泳ぎながら離れれば逃げきれるか?)」

 

逃げる算段を頭の中でとっていると、背後から強烈な殺気を感じて咄嗟に右へ飛ぶ。

 

すると先程までハヤトがいた場所に衝撃波が飛んできた。

 

衝撃波は木々を薙ぎ払い、海にまで到達するほどだ。

 

「ちっ、よけやがったか」

 

何処に持っていたのかカイドウは金棒を背負い、遠くにいるハヤトを睨んでいた。

 

「くそ!まずは動きを止めるべきか!」

 

今カイドウを放置すれば、先程の衝撃波がまた飛んでくる可能性がある。

 

すぐに写輪眼を発動し、少しずつ近づいてくるカイドウを見据える。

 

「こいつで少しは止まってくれよ!土遁・黄泉沼!」

 

素早く印を組んで術を発動すると、カイドウの足元が底なし沼に変わりだす。

 

三忍の一人、自来也が使っていた忍術をハヤトは写輪眼でコピーして使っているのだ。

 

「(これで少しは時間を稼いでくれよ)」

 

あの四皇相手にあの術だけで動きを完全に止められるとは思っていない。

 

「何だこれは?」

 

突如自分の足元が底なし沼に変わったことに訝しむ。

 

「変わった技だな。少し興味が湧いたぞ」

 

初めて見る忍術にカイドウは興味が湧きだす。

 

少しずつ体が沈み込んでいくが、カイドウにとっては何も問題はなかった。

 

「おいおい、冗談だろ……」

 

上空から強烈な圧を感じて空を見上げる。

 

そこにいる存在を見たハヤトは信じられないと言わんばかりに呆然としていた。

 

空に浮かぶ巨大な生物。

 

「ハハハ……流石ワンピの世界。(ドラゴン)になる悪魔の実とか何でもありだな」

 

ハヤトが見上げた先にはおそらくカイドウが変身したであろう龍がいた。

 

「これは出し惜しみしてる場合じゃないな」

 

意を決したハヤトの写輪眼の模様が変わりだす。

 

「さあ、こいつはどうする?」

 

龍は大きく息を吸い込みだす。

 

熱息(ボロブレス)!」

 

溜め込まれた炎はハヤトへ向けて放たれる。

 

炎は木々を一瞬で灰と化し、ハヤトも直撃すれば同じように灰と化すであろう。

 

だが、ハヤトは臆することなくカイドウを見上げる。

 

韋駄天(いだてん)

 

炎がハヤトに当たる直前に写輪眼の模様は逆五芒星に変わる。

 

そして、一瞬でハヤトの姿が消える。

 

「何?何処に行きやがった?」

 

「ここだよ」

 

声のする方へ目を向けると、そこには肋骨の像の形をした藍色のチャクラに覆われたハヤトがいた。

 

「オラァ!」

 

そのまま腕を形成すると、カイドウの顔面目掛けてぶん殴った。

 

「ぬおっ!?」

 

顔を殴るとハヤトはカイドウの前から姿を消す。

 

「チクショウ………また消えやがった」

 

面倒くさそうにしながらカイドウは辺りを見渡す。

 

残っている木々の陰に隠れながらハヤトはそっとカイドウを見上げる。

 

「(あまりダメージはなさそうだな。やっぱり覇気を習得してない状態で四皇と戦うのは無理だろ)」

 

「こそこそ隠れるなら炙り出してやる」

 

カイドウが塒を巻くように回転し始める。

 

すると、島に複数の巨大な竜巻が発生する。

 

竜巻(たつまき)!」

 

発生した複数の竜巻に木々は吹き飛ばされ、島はどんどん更地へ変わり始める。

 

「冗談にもほどがあるだろ!くそ!韋駄天!」

 

迫りくる竜巻が当たる直前に再び術を発動して回避する。

 

“韋駄天”。

 

これがハヤトの左目に宿る力。

 

ハヤトが視界に納めたどの場所にでも瞬間移動出来る瞳術だ。

 

同じように瞬間移動する術で飛雷神の術がある。

 

だが、韋駄天と飛雷神の術の違いは飛雷神の術は物や人にマーキングをつける必要がある。

 

一方の韋駄天は対象物や人へのマーキングを必要とせず、視界に納めた場所なら自由自在に瞬間移動できる。

 

飛雷神の術と性質が似ているが、マーキングを必要しない分便利なのだ。

 

「ん?出てきたか」

 

再びカイドウより上に瞬間移動する。

 

「滅茶苦茶にやりやがって!火遁・豪火球の術!」

 

カイドウの顔目掛けて火の玉を吹き出す。

 

「そんで韋駄天!」

 

豪火球を目くらましにして、韋駄天でカイドウの首元に瞬間移動すると藍色のチャクラを覆う。

 

「ここからは出し惜しみなしだ!須佐之男(すさのお)!」

 

“須佐能乎”

 

うちは一族が両目に万華鏡写輪眼を宿した者が稀に開眼する最強と呼ばれる術だ。

 

第一形態の術者を覆う形から第二形態の人型を形成する。

 

ハヤトの須佐能乎は甲冑を身に纏うように形成すると、右手に七支刀を持ちカイドウの首元目掛けて突き刺す。

 

「これでかすり傷だけって、頑丈すぎるだろ」

 

カイドウの首目掛けて突き刺した七支刀は先端がかすかに刺さる程度だった。

 

「これでお終いか?なら、今度はこっちからいくぞ!」

 

獣型である龍から人に戻ると、金棒を構えてハヤトへと急接近する。

 

雷鳴八卦(らいめいはっけ)ッ!!」

 

「須佐能乎!!」

 

稲妻を纏った金棒と須佐能乎の七支刀がぶつかり合う。

 

両者の戦いに島は割れ、海が荒れ始める。

 

だが、互いの均衡は簡単に崩れ去る。

 

カイドウの膨大な覇気を纏った金棒は須佐能乎の七支刀を砕いた。

 

そのままカイドウはハヤト目掛けて金棒を振りぬく。

 

「無駄だ!」

 

須佐能乎で金棒を防ぐも、圧倒的な力に島に叩きつけられた。

 

「ガハッ!須佐能乎で、防いで……これかよ……グフッ!」

 

叩きつけられた衝撃によってハヤトは傷を負ってしまった。

 

「覇気を纏っていないとはいえ、この俺に傷をつけるたぁ面白れぇ奴だ。お前にチャンスをくれてやる」

 

ハヤトは金棒を押し付けられた状態でカイドウを見上げる。

 

「チャンス?」

 

「ああ、この俺に忠誠を誓え。そうすれば命は助けてやる。それだけじゃねえ、お前の実力なら幹部にだってしてやってもいい」

 

カイドウの言うチャンスとは破格の条件でのスカウトだった。

 

「なるほどな。確かに今の状況では選択肢は、一つしかない」

 

「ウォロロロロロ!どうやら話の分かる奴だな」

 

この言葉に上機嫌にカイドウは笑うが、ハヤトは強くカイドウを睨みつける。

 

「俺の答えは一つだ。………だが、断る!」

 

「何?」

 

「俺はな、自分の命がかかっていようがそう簡単に誰かにしっぽ振るような奴じゃねえんだよ!それにな、俺は仲間を大切にする奴の仲間になるほうが好きなんだよ!」

 

ハヤトはうちはの人間だ。

 

認めた相手に下るならともかく、目先の安全のために下ればうちはを名乗ることができない。

 

押し付けていた金棒を須佐能乎で持ち上げると、もう片方の手でカイドウを殴り飛ばす。

 

「ウォロロロロロ!……馬鹿な奴だ。せっかくのチャンスを無駄にするとは。なら、ここでくたばりやがれ!」

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

一瞬で第三形態になった須佐能乎の七支刀とカイドウの金棒がぶつかり合う。

 

ぶつかり合った衝撃でこの日、天が割れたのであった。

 

 

 

 

 

 

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