「お願い僕の家臣になってよ!」
「…………はぁぁ!?」
ヤマトからの勧誘に呆けた声を出してしまったハヤト。
「………どういうつもりだ?カイドウから代わりに勧誘しろと言われたのか?」
すぐに冷静になり冷たく言い放つ。
「ち、違うよ!あのクソ親父は関係ないよ!」
「なら、さっきの言葉はどういう意味だ?」
「……………だっておでんの家臣には忍者がいたから」
「……すまん、全く話が分からん。そもそもその“おでん”とはいったい誰だ?」
自己紹介にも言った“光月おでん”という名前。
その人物と自分を勧誘することに何の関係があるというのか。
「そうだよね。まずは光月おでんについて話すべきだよね」
そこからヤマトはハヤトに語りだす。
かつてワノ国という侍の国を治めていた大名がいた。
それが“光月おでん”。
おでんはかつて白ひげ海賊団に船に乗っていたそうだ。
「マジか……。白ひげの船に乗っていたのか」
「そうなんだよ。僕もいつかは白ひげに会ってみたいな」
まさかの事実に驚きながらも、ハヤトはヤマトの話の続きを聞く。
それから白ひげ海賊団の一員として様々な冒険を続ける中、おでんはある人物と出会う。
その人物はこの世界で知らない人はいないと言っても過言ではない人物。
海賊王“ゴールド・ロジャー”。
かつて公開処刑の死に際に放った一言。
“おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ… 探せ!この世のすべてをそこに置いてきた”
ハヤトにとってもあの一言は印象深く残っている。
何しろその一言で大海賊時代が始まったのだ。
そうしておでんはロジャーと出会い、紆余曲折あったもののおでんはロジャーの船に乗ることになったのだ。
「白ひげだけでなくあのゴールド・ロジャーの船にまで乗ってたなんて。………ヤマト、何でお前はそんなことを知っているんだ?」
いくらなんでも白ひげとロジャーの船におでんが乗っていたことを、ヤマトがどうやって知ることができたのか。
白ひげかロジャーの海賊団の誰かが吹聴しているならと思ったが、そんな話は聞いたことない。
ハヤトの知る限り原作ではそんな話はなかったはず
「それは………」
問われたヤマトは何やら言いづらそうにする。
「………今話せないのなら、今度聞かせてくれ。今はおでんの話の続きを聞かせてくれ」
事情があるのを察したハヤトは、おでんの話を続けるよう促す。
「う、うん。それでね………」
それからヤマトから語られる光月おでんという1人の侍。
カイドウと激闘を繰り広げ、敗れてしまったもののその脇腹に傷を負わせたらしい。
そして、最後に語られるおでんの最期。
カイドウに敗れ、おでんは家臣達と共に公開処刑されることになってしまう。
その処刑方法は大釜に油を酌まれ、高熱で煮えたぎった油の中に家臣ともども釜茹でにするというものだった。
この処刑に対し、おでんはカイドウに助命のチャンスを乞いだす。
カイドウはおでんの提案に乗り、釜の中で1時間耐え切ることができたら助命すると約束する。
おでんはカイドウが約束を守ることを確認すると、真っ先に釜の中に飛び込み、橋板の上に家臣達を載せたまま一人でそれを持ちあげたのだ。
煮えたぎる釜の中でおでんは熱や重みに耐えながらも家臣達に自身の夢を託し、必ず生き延びるよう命令する。
そして、おでんは1時間耐え切るもすでに満身創痍。
家臣達を逃がし、大見得と共に辞世の句を詠みながらおでんはカイドウによって介錯された。
けれど、その最期の生き様をみたヤマトは尊敬し、おでんの遺志を継ごうと決意したらしい。
「かっこいいじゃねえか………生きてたら、会ってみたかったなぁ……」
ヤマトが語る光月おでんという侍を聞いたハヤト。
その生き様に感動し、静かに涙を流していた。
後世のために希望を託す。
ハヤトはそうした忍を知っている。
歴代の火影。
鍛えてくれた師匠。
共に切磋琢磨した仲間。
そうした思いがあるからこそ、ハヤトは仲間と共にあの大戦を生き抜くことができたのだ。
「ヤマト」
「何、ハヤト?」
「家臣は無理だけど、友達になってくれないか?」
「うん、いいよ!」
「おいおい、あっさりしすぎじゃないか」
「大丈夫だよ!それにおでんのことで泣いてくれたんだ。ありがとう、ハヤト」
「ははは………できれば忘れてくれると助かる。何分恥ずかしいし」
「ええ~!?別にいいじゃないか!」
互いに笑いあう2人。
「さてと、まずは俺の忍具を返してもらうか」
「あ、ちょっと待って。その鎖壊すね」
「ちょっと待て、鎖壊すって……」
何かが近くに振り下ろされると、両腕と両足の枷の鎖を粉砕した。
「よし!これで大丈夫!」
眼帯で見えないが得意げな雰囲気を感じたハヤトは、ヤマトの頭に拳骨を落とす。
「痛った~!?何するんだよ!」
「それはこっちのセリフだ!何も見えないのに急に壊しやがって、何を振り下ろしたんだよ!」
「これだけど」
そう言って差し出されたものを触って確認する。
「………金棒?」
鉄の棒に所々に丸い部分から思い当たる武器をつぶやく。
「うん、そうだよ」
何事もなく言うヤマトに頭を抱えるハヤト。
「はぁ~とりあえず案内を頼む。俺はこの眼帯で見えないし、ここの地理はわからん」
「わかったよ。けど、それでクソ親父の部下と遭遇したら戦える?」
「安心しろ。視界を封じられても戦うことなんて何度かあったよ。ま、三下程度問題ない」
「そっか、それなら大丈夫だね。それじゃあ行くよ!」
ヤマトの案内の下、ハヤトは自分の忍具を取り戻しに行く。
眼帯の鍵
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忍具と一緒に取り返す
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現状維持