どうにか鬼ヶ島を脱出できたと思っていたハヤト達。
もう一安心と思っていた矢先。
「ぐぉっ!?何だ!?」
「あいつは!」
須佐之男の背後から黒い影が強襲してきた。
黒い影は軍服のような真っ黒の格好をして、何故か背面から炎が噴出している翼竜だった。
「クイーンの馬鹿が。捕らえた忍者をむざむざ逃がしやがって」
「気を付けてハヤト。あいつはさっきのクイーンと同じ大看板“火災のキング”だ」
「クソ………わかってたけどそう簡単にはいかないか」
ヤマトから告げられた翼竜の正体にハヤトは気を引き締める。
「ん?どうしてヤマトぼっちゃんが忍者と一緒に?まあいい、今はこいつを落とす」
ハヤトと行動を共にするヤマトを見たキングは訝しむも、今はハヤトを戦闘不能にすることを優先する。
「このお!」
高速で接近するキングに対し、須佐之男の拳を叩きつけようと迎撃する。
拳を難なく回避したキングは脚に炎を纏わせて力強く蹴りつける。
「ぬわっ!!」
「うわぁ!!」
その一撃に須佐之男は吹き飛ばされた上に、一部が粉砕されていた。
「蹴り一撃
「どうやらそれなりに頑丈みたいだな。それなら……」
キングは頭のトサカ部分を掴むと、顔が変形するほど全力で引っ張りだす。
「やばっ!」
嫌な予感がしたハヤトは須佐之男を解除する。
「
須佐之男がいた場所へ、手を離した反動で発生した衝撃波がレーザーのように収束して叩きつけられる。
その一撃で後ろの山をいとも簡単に粉砕していた。
「あっぶね~」
すんでのところで回避したが、もしあのまま受けていたら須佐之男といえど防ぎきれていたか。
「ハヤト!落ちてる落ちてる!」
「っと、そうだった!」
落ちて慌てるヤマトの声に、再度須佐之男を発動してキングに向き直る。
「(ヤバいな………今の状態もだけど勝つ見込みがない)」
「運良く避けたようだが、次は外さん」
再度キングは頭のトサカ部分を掴み、照準をハヤトに定めて引っ張り始める。
「っち!舐めやがって……」
同じ技を二度使うぐらいで十分というキングの態度にハヤトは若干癪に障る。
「そうやって舐めていると、痛い目に合うって教えてやる。というわけで、ヤマト」
「ん?何ハヤト?」
「ちょっと悪いけど我慢してくれ」
「へ?………わぁぁぁぁぁぁ!?」
須佐之男を解除したことで落ち始めたヤマトは悲鳴を上げる。
そんなヤマトに悪いと思いつつ、同じように落ちるハヤトはキングを見る。
「落ちて狙いをずらそうとしても無駄だ。今度は外さん」
「目にもの見せてやる。難易度Aランクの超高等忍術……韋駄天!」
右手の掌の上でチャクラを乱回転させながら球状を作り出すと、韋駄天を発動してキングの真横に瞬間移動する。
「螺旋丸!」
真横に瞬間移動したハヤトはキングの横っ面に螺旋丸をぶつける。
「ど~だ!こいつはキツイだろ!」
一段と思い入れのある忍術が決まったことにニヤリと笑う。
「………何かしたか?」
「………冗談だろ?」
全くダメージのないキングにハヤトは顔をひきつらせる。
「今度はこっちの番でいいか?」
「クソ…………もうちょい待て…よ!」
諦めずに韋駄天を発動。
今度はキングの背中に瞬間移動して組み付く。
「何をするつもりか知らないが、このまま燃えるか?」
「おいおいそりゃ勘弁してくれ。それにしても勿体ないな、そんなマスクつけなくてもカッコイイ顔してそうだけどな」
「何?……っ!?」
ハヤトの言葉で自分のマスクが一部破けて顔の一部が見えることに気づいたのか。
キングは一瞬だが、動きを止めてしまった。
「こいつはこっちにもきついけど、我慢するか。土遁“超加重岩の術”!」
キングの背に触れて術を発動する。
「っ!?体が……重くなっただと!?」
するとキングの体が突如重くなり始める。
自分が重くなったことに驚くキング。
「うぐぅお!」
一方のハヤトは体中に激痛がはしり、堪らず悲鳴を上げてしまっていた。
「(わかってはいたけど………痛い!)」
“超加重岩の術”は非常に強力な術である。
その反面、術者への肉体に対する反動が大きい。
なのでボロボロの状態で使用したため、ハヤトは体中に激痛がはしったのだ。
「(けど!)須佐之男!」
痛みに耐えながらも須佐之男を形成すると、キングへ向けて拳を殴りつける。
「クソ……」
通常であれば難なく回避できるが、体を重くされた状態では動きが遅くなり攻撃を食らってしまった。
「今の……うちに…」
身体を重くした上、少しでも遠くへとキングを殴りつけた。
殴りつけられたキングは重さに耐えながらもどうにか飛行しようとしている。
「うわっ!?いてて……」
この瞬間を無駄にしないため、今もなお落ちていたヤマトを受け止めてその場を急いで離れることにした。
それからは追手が来ないか警戒しながら、紅葉の葉が鮮やかに舞う陸地に降りる。
「はぁ……はぁ………」
「だ、大丈夫かいハヤト!?」
疲労困憊のハヤトへヤマトは駆け寄って心配する。
「ど、どうにか……。も、もうこれ以上の敵は無理……」
息も絶え絶えと言わんばかりの状態で返事する。
何しろボロボロの状態の中で敵の大幹部。
しかも二人に遭遇するとは夢にも思わなかったのだ。
どうにか逃げおおせるために無理をしたため、体もボロボロでチャクラもすっからかんであった。
「ははは……そうだね。けど凄いよ!あのキングから逃げ切るなんて!」
「相手が油断してたからだよ。次相対したら……むり、勝てない」
何しろ螺旋丸を受けて無傷だったのだ。
能力なのか他に何か理由があるのか。
それらを解明しない限りは勝つことは不可能だ。
「とりあえずは休めるとこに行こうぜ」
「そうだね。………そうだ!」
「どうした?」
何かを思い出したヤマトの声に何事かと身構える。
「この腕輪!カイドウがつけた腕輪で早く外さないと爆発するんだ!」
「何!それは早く、言え!」
写輪眼を発動し、忍刀に残ったチャクラを纏わして即座に腕輪を斬る。
写輪眼によって腕輪を正確かつヤマトを傷つけずに斬り離すと、そのまま腕輪を上空に蹴り飛ばす。
少ししてから上空で腕輪が大きく爆発する。
「のわっ!?」
「ううっ!?」
あまりの爆発の強さに二人は後ろに吹き飛ばされてしまった。
「~っう!何て威力だ。ヤマト、だいじょう、ぶ……」
体を起こしてヤマトを見れば、涙を流して泣いていた。
「お、おいどうした?大丈夫か?何処か怪我したか?」
突然泣き出したことに慌てだすハヤト。
「ち、違うんだ。もしかしたら嘘かもしれないと思ったけど」
ヤマトが何を言いたいかを理解し、とりあえずハヤトは落ち着かせるためにヤマトを抱きしめる。
「大丈夫だ。ゆっくりと落ち着くんだ……な?」
優しく話しながら頭を撫でる。
お陰で少し落ち着いたのか、ヤマトはゆっくりと話してくれた。
あの腕輪はヤマトをあの島から出さないようにするための腕輪だった。
何故今まで爆発しなかったのかはわからない。
脱出の際に不具合が生じたのか。
だが、問題は腕輪が爆発したことだ。
ヤマトはもしかしたら自分を外に出さないために嘘を言っているのだと、僅かばかりでも父親であるカイドウを信じていたのだ。
その信頼も腕輪が爆発したことでなくなってしまった。
「………そうか」
「…………」
何とも気まずい空気になってしまい、互いに無言になってしまう。
「………あ~やめやめ。とりあえずは移動しようぜ」
「そう、だね」
「何処か落ち着ける場所に着いたらさ。約束通り忍術のこと話すから元気出せ」
「本当なの!」
一瞬で元気になったように見えるが、それでも先程のこともあってまだまだ落ち込んでいるように見えた。
とにもかくにも二人は落ち着ける場所へ移動するのであった。