「さ~て……どうするか?」
あれからシャンクス達と競走した後、ハヤトはマカーナ島と呼ばれる島にある街“マカーリヤ”に上陸した。
「ひとまずは宿を探すか」
ハヤトは荷物の入った鞄を背負い、宿屋を探し始める。
それから住人に宿屋の場所を聞き、何事もなく部屋をとれたハヤトは荷物の中身を確認していた。
この荷物は赤髪海賊団の面々が船を降りるハヤトへと餞別として渡された。
中には航海に関する本や服が入っており、ハヤトは一枚の手紙を見つけた。
「これは……ウタだな」
手紙にはウタが書いた赤髪海賊団とウタとハヤトの絵が入っていた。
絵を見たハヤトは嬉しそうにし、絵を大切に荷物に戻す。
他にはベリーが入っており、数えてみると額は300万はあった。
「ははは…………これも大切にしないとな」
お金は何処の世界でも大切な物だ。
それにシャンクス達から貰った金を無駄遣いするなど絶対に駄目だ。
荷物の確認を終えたハヤトは早々に寝ることにした。
シャンクス達との競争でチャクラを結構消費したからだ。
「はぁ~お休み……」
ベッドに横になって眠り始めたハヤト。
ぐっすりと眠ろとするハヤトの睡眠は外の砲撃音で破られた。
「……っち!誰だ……人の眠りを邪魔するのは?」
睡眠を邪魔されたことに若干不機嫌になりながらもハヤトは起きる。
窓を開けて外を見れば、この街に砲撃しながら近づいてくる船が見えた。
「海賊……か?」
マストの上にドクロっぽい旗が掲げられているのが見えた。
下をみれば街の住人も砲撃に気づいて逃げ始めていた。
海賊船は港に船をつけると、海賊達は続々と街に向かってきた。
「ぎゃはははは!奪え!逆らう奴は皆殺しだ!」
銃や剣を持って暴れまわる海賊。
「はぁ~嫌だね。ああいうのって」
海賊にはシャンクス達のようないい奴もいれば、目の前のような悪逆非道な海賊もいる。
ここはそういう世界だとハヤトは改めて思いなおす。
ガタガタとうるさい足音が近づくと、2人の海賊がドアを蹴破って入ってきた。
「まだここに人がいるぜ!」
「へへへ!俺達に会うとは運が無かったな!」
「おお~!ここまで下っ端感溢れる奴は中々いないな」
「「てめえ!ふざけてんのか!」」
ハヤトの言葉に怒った海賊は斬りかかるが、何事もなく避けたハヤトは二人を殴り蹴り飛ばす。
「さて、俺の睡眠を邪魔したんだ。ただでは済まさん」
睡眠を邪魔されただけという私怨でハヤトは動き出す。
「いい景色だな、弟よ」
「そうだね!プラス兄さん」
所々に火の手が上がる街を見るのはキンデ海賊団を率いる双子の船長“キンデ・プラス”と副船長の“キンデ・マイナス”。
双子は上機嫌に燃える街を見ていると、傷ついた部下がデジン達に駆け寄ってきた。
「た、大変だ!プラス船長、マイナス副船長!」
「何だ騒々しい」
「そ、それが……」
「何だいハッキリ言ったらどうなんだい!」
まごまごとハッキリ喋らない部下にマイナスは苛立ちながら聞く。
「それが仲間の殆どがやられたんです!」
「はぁ……何の冗談だ?」
「そうだね、まったく笑えないね」
傷ついた部下の報告を双子は信じなかった。
「ほ、本当なんです!それも男一人なんです!」
「もういいよ、君はいらないよ」
それでも部下は必死に双子へ話すも、弟のマイナスがナイフで男を刺した。
「そ、そんなぁ………」
刺された部下はそのまま息絶え、双子は部下のつまらない報告に機嫌を悪くしていた。
「やれやれ、酷いことするもんだ」
声の方に振り向くと、そこには見慣れない男がいた。
「折角大切な情報を持ち帰った部下を切り捨てるなんて」
先程の男もハヤトのことを伝えようと、傷ついた体に鞭打ってここまで来たというのに。
「何だ貴様は?」
「あんたらの敵だ。一応聞くけど降伏する気はある?」
「降伏?俺達を舐めてるのか?」
「本当だね兄さん。こいつ、俺達を舐めてるよね」
降伏勧告したハヤトに対し、双子は剣とナイフを構える。
「はぁ……降伏しないか。俺も眠いしチャクラもあまりないからさ、さっさと終わらせるよ」
目にチャクラを込めた瞬間、黒い瞳が赤くなる。
そして、瞳孔の周囲に複数の黒い巴模様が現れた。
「何をするつもりか知らんが、死ね!」
ハヤトへ接近したプラスは剣を深々とハヤトの胸に突き立てる。
「ごふっ!」
「ふん!この程度で俺達に歯向かうとは、笑えるな弟よ」
「そうだね兄さん。本当に馬鹿なやつだね」
プラスはハヤトから剣を引き抜くと、勢いよく血が噴き出しプラスの体を赤く染める。
「はっはっはっ!やっぱりこの感覚はたまらないな!」
自身に血がかかったことに、昂るプラスはあることに気づいた。
刺したはずのハヤトが倒れずにこちらを見ていたのだ。
「……気は済んだか?」
「馬鹿な!お前は死んだはずだ!」
「ま、お前にどうこう説明する義理はないし、俺も眠いんでね。お前はここで終わりだよ」
「何をふざけたことを!マイナス、俺を援護しろ!」
親愛なる弟に援護を頼むも、弟から返事はなかった。
「何をしているマイナス!………マイナス?」
返事のない弟に振り返ろうとすると、プラスの体を炎が包み込み始めた。
「ひ!な、何だこの炎は!?」
突然の炎に慌てるも、炎の勢いは止まらずプラスの体を燃やし始める。
「くそ!この俺が、こんな……こんな所で!…………はっ!?」
炎がプラスを燃やし尽くした瞬間、プラスの意識は現実に戻った。
すでにプラスとマイナスは縛られており、周りには海兵達が自分を囲んでいた。
「海賊達の捕縛、ご協力に感謝します」
「これぐらいどうってことないですよ」
視線を声の方に向けると、ハヤトと海軍将校が話していた。
「ですが、“血染めのプラス”を無傷で捕縛なんて簡単にはできませんよ」
「賞金首だったんだ。ちなみですが賞金っていくらぐらいですが?」
「プラスにかけられている賞金は3400万ベリーです。もちろん、賞金は後程お送りいたします」
「そうですか。では、賞金はこの街の宿に送ってください。それでは」
話し終えたハヤトはこちらをプラスを一度見ると、何事もなく宿に戻り始めた。
己の身に起こった事をプラスは理解できなかったのであった。
「いや~まさか賞金が手に入るとは幸先がいいね」
ハヤトがキンデ兄弟にやったことは簡単だ。
写輪眼で幻術をかけただけだ。
プラスが自分に剣を突き立てたことも、体が炎で燃えたことも全て幻だ。
幻術にかかっている間にハヤトは二人を縛り上げ、海兵が来た後に幻術を解除したのだ。
「正直、幻術よりも散らばった奴らを捕まえるのが大変だったな」
街に散開していた海賊達は不意打ちや闇討ちで捕縛していたため、疲れの度合いで言うとこちらのほうが大きかった。
「はぁ~疲れたし早く宿に帰って寝よ」
シャンクス達と別れたその日に海賊を制圧したハヤトは宿に戻り、今度は邪魔されずに眠りについたのであった。