原作知識持ちが行かされる実力至上主義の教室   作:arc

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残りの夏休み

 

 あれから、船上では色々大変だった。

 B以外のクラスは割としっちゃかめっちゃかになっており、龍園に狙われている俺は1人じゃ怖くて船内を歩けなくなる様相だ。じゃけん、他の人について歩きますねー。

 まあ食事時に絡まれるのだが。誰が法則を見つけた? とか言われてもBクラスの誰かだろ、他のクラスに優待者取られるなら断トツ最下位の俺達が都合良かったってことだろ、としか言えねー。全グループ終わったからって発表早めなくていーよ。

 答えてやっても信じねーぞ、と目で言ってくる。男とのアイコンタクト練習なんかしたくねー。

 

 ほぼ人目のあるところでしか行動しないようにしてたから暴力沙汰は避けられてるが実に憂鬱な生活だった。龍園達の様子がおかしいからという理由で一之瀬との距離が多少空いても言い訳ができるのは怪我の功名か。

 

 

 なお、平田にメールを送った後、Dクラスでも色々あったらしい。さっさと寝たから後で聞いた話だが。起こされても起きなかったってよ。

 

 高円寺と当事者の俺を除いてクラスで影響力や学力のあるメンバー、優待者の残っているグループから1人ずつ選抜、での話し合いになったそうで。

 

 俺からのメールでBクラスの優待者と法則を知らされたと平田から説明を受けた後、幸村が罠じゃないかと噛みついたらしい。感情じゃなくて内容で判断しろよ。

 櫛田が疑うなんてひどいよ、的なムーブしたあとで堀北が冷静な判断を下したらしい。

 ただ確証もないのでグループメンバーは2度目の話し合いに参加し、法則を検証した結果、恐らく合っているし、裏切らずに傍観していると、無人島のポイントが1/3以下に減るので乗ることにしたらしい。

 

 終わった後で幸村がクラスを裏切ってBクラスに流したんじゃないのかみたいに言ってきたが、優待者じゃないし誰か知らなかったから裏切りようがなかったと言ってやった。

 

 

 しかし明暗がくっきりしてるなあ各クラス。

 快勝を重ねてBからAに上がる一之瀬のクラス。

 坂柳が掌握することになるだろうとは言え、クソみたいな契約を結ばされた上で大差を付けられてクラス落ちするAクラス。

 龍園がポイント契約と俺という敵を見つけただけでクラスポイントマイナスなCクラス。

 Bクラスのお情けのような感じで無人島試験のポイントを維持できたDクラス。

 

 うーん、Bの1人勝ちですねこれは。おっと次からAクラス。

 そういやこっちのクラスでのプライベートポイントの話聞いてねーな。原作じゃ竜グループ含めて獲得者が全取りしてたっぽいけど。幸村は兎グループの結果について思うところはなかったのか、結果を見なかったのか。

 

 原作は今はいいや。夏休みとかもう関係ないしな。

 占いに興味なし、リスクを背負ってまで葛城の妹とか気にする価値はない、堀北の水筒イベも別に死にはしないんだから発生しようがしまいがどうでもいい。後は退学に伴って消滅しただろ。時期的に過ぎてないけど4.5巻も完ですねこれは。

 

 

 そんなことを考えながら、主に引きこもりつつ、たまにBクラスの男子に誘われて遊びに出ながら夏休みを過ごしていた。

 だからちょっとだけ油断してたな。最終日の前日、柴田から明日プール行こうぜ、との誘いに何も考えずに乗った後で、これ一之瀬達と合流する奴じゃねと気づいてしまった。

 でもまー集団行動だし、なにもないだろ。

 

 

 予想通りの合流があった後である程度遊ぶと、超不自然に一之瀬を残して帰られました。白波を引っ張ってくためのあからさまなボディータッチ、俺じゃなくても見付けちゃうね。

 俺の計り知れないBクラスネットワークで計画されていたんだろうこの流れ、どうしよう。黙りこくってても仕方ないし、話しかけるか。

 

「なあ、どうしてこうなったんだ?」

「えっと、なんか気を使わせちゃったみたい」

 

 黙る。

 

 黙る。

 

 黙る。

 

「ずっとこうしてるのもおかしいし、とりあえずプールの中にでも入るか」

「う、うん、そうだね」

 

 並んで突っ立ったまま沈黙してるとか不自然この上ないし、かといってこんな所で突っ込んだ話もできない、一之瀬の自棄かなにかで成り立ってる関係な上に船上で喧嘩別れみたいなことをやったので朗らかに2人で遊ぶのも非常に厳しい。詰んでね? 

 

 

 厳しかったが閉場1時間前までなんとか耐えた。態度が不自然じゃなかったかって? 一之瀬と水着で2人とか心の準備ができてなかったとか言って誤魔化すしかないだろう。他のBクラスや南雲と接触しなかったのは幸運だ。Bクラスはもう今日は来ないよう話が通ってたのかもしれないが。好奇の監視があったとしても不思議ではない。

 更衣室が混むのを避けるためにも今の時間から退場を決める。建前上不都合があるが一之瀬を置いて帰りたいもんだ。できないが。1人で帰りてえ。

 

 一之瀬が出てきたので久しぶりにいつものように2人で歩く。いつものようにってなんだよ。別に毎日だった訳でもないぞ。

 コンビニに寄ってアイスを買うことにする。はい原作イベント回収。原作よりずいぶん寂しい面子、というか俺と一之瀬だけだが。気分を少しでも変えたかっただけなのでそれはいい。

 寮に着いてエレベーターに乗る。俺は4階のボタンを押すが一之瀬はボタンを押す様子がない。このままお家デートかな? 

 

 

 

 部屋に戻ると当たり前のように一之瀬もついてきた。お家デートだやったね。そんなわけないだろ。

 ベッドに腰かける。綾小路よろしく部屋の内装にポイントを使ってなければ来客用にクッションの1つも用意していないあたりで人を歓迎する気がないことを読み取ってほしい。立ったままでいるか、床に直接に座ってろ。

 一之瀬が、距離を空けてだが、ベッドに座ってきた。

 

 な に や っ て ん の こ い つ ? 

 

 男の部屋に2人っきりでベッドに腰かけることをいったいなんだと思ってやがる。まさか原作で坂柳が流した援交の噂も事実だったのか? これまでの距離感とかガン無視して◯ックスする気なの? 

 

「やっぱり、私は綾部くんがどうしてあんなにAクラスでの卒業に固執するのか知りたいよ」

 

 あ、ああ。質問するための精神攻撃か。距離少し離してるからって上目遣いで見てくるんじゃねえ。

 

「お、お前には関係ないって何度も言っただろ。余計な干渉を断ち切れる環境に行きたいだけだ」

「どうして?」

 

 なんかもう余計なこと言った気がする。ふう。

 

「理由を話すだけで危険かもしれないからこれ以上は誰にも言えない。生徒とどれだけ扱いが違うか知らないが、外部との接触しなくてもいいならここの職員とかでもいいんだけどな」

 

 一之瀬が目に見えて困惑する。そりゃそうだ。こんなこと真面目に言われても困るだろう。フィクションや劇のセリフでもなければ現代日本の高校生がこんなこと言うわけない。俺からすればお前らがフィクションの登場人物な訳だが。

 

「そんな特殊な環境を求めるなら本来様々な条件を満たす必要があるだろうが、Aクラスでの卒業特典を使って入り込む。そうする必要があるからAクラスでの卒業にこだわるんだ」

 

 ふざけた話だと口に出しておいて思うが言えることはあらかた言ったぞ。

 

「…………う~ん、素直にその言葉を受け入れられるかって言われると困るけど、嘘をついてる感じじゃないしねえ」

 

 ごもっとも。ポーカーフェイスや鉄仮面じみた無表情を標準装備してないから嘘じゃないことを理解してくれるだけ助かる。

 

「綾部くんの理由はわかった。わかってないところもあるけど。私たちも頑張るね」

 

 そう言って一之瀬は立ち上がって部屋を出ていく。

 

「それじゃまたね」

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