原作知識持ちが行かされる実力至上主義の教室 作:arc
新学期、確定したクラスポイントが告げられる。
A1566
B846
C342
D249
はい、AクラスとBクラスの入れ替わりが発生しました。おまけに一之瀬のクラスの誰かに代わりにサブアカで送ってもらった船上での動画を平田か本堂が有効活用してくれてたようで、Bクラスから30ポイントこっちに移動してますヤッター。
元AとCクラスで揉めてた時に、「Cクラスの誰かが殴ったのを俺のせいにしてるんだろ」的な発言に不審な反応をしたらしく、両者短期の停学でクラスポイントの移動まではなかったんだな。
そんな奴が暴行というには軽すぎるが、場所が悪い上に証拠の動画つきで訴えられたらそりゃ、ねえ?
ちゃんと夏休み中に処理してくれたからお小遣い増えたよ! 本堂が今この瞬間だけちょっとしたヒーロー扱いだ。教室出たらみんな忘れるだろうけどな。
このクラスの大半は実に久しぶりのお小遣いだからみんな明るいね。
2学期の授業初日の午後、2時間のホームルームを使って体育祭関連の話だ。憂鬱だぜ。なんせ最下位確定イベントだからな。
体育を増やした新しい時間割表や体育祭の資料配布、説明などがなされる。
とりあえずAとDクラスが赤組なのは変化なし。Aクラスは代わったけどな。
クラスでは協力要素に戸惑い、組が勝ってもプラスがないのにマイナスがあることに嘆き、個人競技の報酬や下位10位ペナルティに悲喜交々。テストの点数変動ってなんだよ。
そして競技種目を確認すると不満の声が上がる。種目多過ぎて当たり前だよなあ。
そして告げられる参加表の自主作成。普通は全員参加種目とか勝手に決められてるよな。堀北が色々質問し終わったところで、次の時間は第一体育館で他学年と顔合わせ、それまで自由にしろとのお達しだ。
グループで集まって体育祭の話がそこかしこで始まる。堀北や幸村は俺と同じくボッチだ。こういうところですぐ集まれるくらいまでは仲深めとくべきでは? 試験について考えをまとめてるのかもしれんが。
まあ他人のことはどうでもいい。考えるべきはB、Cクラスの動向と櫛田の動きだ。いや櫛田が裏切ること自体は疑ってないんだが。龍園がどう動くかだ。俺潰しはまず確実にやってくるだろう。いのちだいじに、でやるしかない。
堀北潰しはどうだろうな。櫛田はやらせたい、龍園は堀北に執着してる感じもしないが櫛田とのパイプを繋いでおくために動くか?
わざわざ俺が動くこともないかなこれ。堀北のプライドとかいいよどうでも。船上試験の優待者当てポイントもう消えてそうな気もするけど。こっちの懐具合気にして要求ポイント下がる龍園とかあったら笑うな。
Bクラスが読みにくい。櫛田が接触するかどうか、それにどう反応するか、そもそも主導権争いはどうなってるか。これは次の時間で見えるか?
注意点はこんなもんか。赤組勝利でBクラス1位が理想だけどDクラスがクソ足引っ張るんだよな。体力のみが取り柄の須藤含む3人が消えてるからな。男子団体競技は絶望的だし合計点も超下がる。
原作じゃAクラスも不和やらなんやらで足引っ張ってたけど敵側になった今まとまられるとどうなるか。
堀北のプライドはどうでもいいが堀北が稼いでくる点数はどうでもよくなかった。
頭痛くなってきた。体育館行くか。
紅白に別れてさらにクラス毎に別れてみんなが座ると、3ーAの藤巻のありがたくもないアドバイスの後に学年別の組で集まることになった。
一之瀬率いるAクラスがやってくる。Dクラスの面々には複雑な感情が見える。元Aクラスを追い抜いて独走していることへの畏怖や嫉妬、船上試験で情けをかけられたおかげでポイントが残せたことへの感謝や情けなさなど。
「他のクラスと協力する試験は新鮮だね、力を合わせて頑張ろうね」
「僕も同じ気持ちだよ一之瀬さん。こちらこそよろしく」
協力姿勢を明確にする、とまではいかなくとも険悪にするつもりはないという意思表明。うん、今の一之瀬と平田の内心はどうなんだか。やめろ、こっちに微笑んで手を振るな。変に注目されるだろ。一応こっちも手を振り返す。と、
「それは話し合いをする気はないということか?」
「こっちは善意で去ろうとしてんだぜ? 俺が協力を申し出たところでお前らが信じるとは思えない。結局端から腹の探り合いになるだけだろ? だったら時間の無駄だ」
「今の一之瀬たちのクラスの独走を止めるために協力が必要だと思わないのか?」
葛城と龍園の話し声が響く。そして龍園が笑いながら答える。
「ククク。今さら俺たちが協力できると思ってるのか? それに向こうの組には3人も退学者を出して戦力不足のクラスがある。当然のように勝つさ。お前らにも使えない奴がいるようだがな」
そう笑いながらCクラスを全員連れて去っていく。表面的には協力しない姿勢か。信用する気にはならんが。しかしまだクラスを統率できてるのか。なんか今のうちに上手いことやって龍園潰せないかな。
「向こうは向こうで大変ね。Cクラスと組まされるなんて」
堀北が独り言か言葉を漏らす。それを拾って一之瀬が言う。
「そうだね、堀北さんたちも龍園くんたちには気をつけたほうがいいよ。前に私たちも迷惑を掛けられたから」
「そうね、気を付けるわ」
いやほんとに気を付けてほしいんだけどな?
A、Dクラスの協力は主に団体競技のことで、個人的な競技はそれぞれが頑張ろうと言う原作と変わらない結論だった。櫛田の前で余計な動きをしたくない。
後でタイミングを見計らって一之瀬と平田に話をしよう。平田はどの程度信じてくるのかなあ。一之瀬にはメール送っとくだけでもいいか。
別日、週に一度の2限連続のホームルームは自由に使っていいとのことで、方針を決めることになる。
須藤が能力制を推進しなくとも、堀北が原作のように能力制プラス強弱での組み合わせを提案する。やはり篠原が反対するが、赤組負けかつDクラス最下位で200ポイントマイナスされる可能性に加えて三馬鹿がいないことの不利を突きつけられては何も言えない。
綾小路に指示されて反対する軽井沢もいないからそれで何事もなく収まる。
基本方針は決まったけど推薦競技の出場者決めが原作通り難航する。女子はともかく全部出る須藤がいないからな。ああでもあいつ途中でブッチするからプライベートポイント的には助かるのかね。赤組負けるとそんな事言ってられないが。
翌日、体育の授業は大部分が体育祭に向けてだろう、自由な時間になっていた。その時間を使って出場者を決めるためのデータ取りで握力を計る。これもなんか平均な感じだな。計算した訳じゃないが。
そして借り物競争に駆り出されるやつ。こんな意味の分からない事態に置かれる奴が運いいわけないだろ!
推薦競技に出たい奴出たくない奴、それぞれの思惑が交錯するなか、
「出来た」
Dクラスの暫定的な参加表が決まった。
「今取り決めた情報は非常に重要なもので、他クラスには知られたくない部分だから、自分の番とパートナーだけをメモして残してもらえるかな。撮影等で記録は残さないようにね」
そうだね。本決まりになった時に撮影する奴がいるんだけどね。
この次のホームルームからは自主的に練習していくことになり、偵察が来たりした。案の定Cクラス以外からな。これは櫛田やってんな?
櫛田と龍園の繋がりは確信できたがそれはそれとして練習は続く。適性チェックやらタイムの確認やら正しいフォームや力の入れ方やら。そのあたりをできるのが平田と堀北だったので2人がリーダーということになった。
堀北の方は櫛田の推薦があったのはお察し。リーダーなのに結果が出せなかったと貶めたいのだろう。まあ堀北の対応が多少柔らかくなってるのもあるだろうが。綾小路という多少近い理解者がいないから他者へのハードルが下がってるのかね。
体育祭に向けての練習を重ねる日々のなか、参加表の完成が近い。
え、偵察イベントとかどうしたって? 櫛田の裏切りとか俺しか察知できないし。船上試験は一之瀬達と俺のクラスで優待者全部潰したから、クラスに損害を与える裏切りとか嫌われてる堀北でもまるで脳裏を過らないんだろうな。体育祭で堀北潰しが起きても。
なんなら保身以外でCクラスに媚び売る理由のない俺にヘイト向けかねない。
んでまあ櫛田の方が悪いとか今さらだからな。まあ俺が誘ったところで2人とも付き合ってくれるか定かじゃないが。
話が逸れたがその間にリレーのアンカーが堀北に決まった。すなわち参加表の完成である。はい黒板に書き終わったので櫛田が席に戻る。櫛田を注視しましょうねー。
証拠が入手できたので、平田に2人で話したいと告げる。サッカー部の練習もあるので時間が遅くなるんだよね。疲れてるところすまんね。
「Dクラスの参加表がCクラスに流れる可能性がある」
いきなりブッこむ。いやホントは伏線というか予備知識というか、早めに知らせておきたくはあったんだけどね、船上試験で裏切った状況証拠すらなしに櫛田が怪しいとかホントに誰も信じやしないからね。
平田の行動変わって証拠撮れなくなるのも困るし。
「君がAクラスに教えるんじゃなくてかい?」
ほら、すごい疑ってやがる。こんなに直接的に言うのかよ。
「この話の後にお前の許可を取って一部だけな」
そう言って原作主人公の説明をパクってから櫛田が参加者の書かれた黒板を撮影してる場面の映像を見せる。
「そんな……櫛田さんが……それに、どうして綾部くんはこんな場面を撮影できたの?」
そりゃ疑うよな。理由がなければ彼女持ちの癖に他の女のストーカーしてるやべえ奴だ。そうでなくても俺がスパイ確定みたいな感じになる。
という事で俺に分からないんだから他の誰にも分からんだろ的に事実を混ぜた大嘘をつこう。
「春休みにいとこから聞いた話なんだけどな、通ってる中学で2月だか3月だかに1学年上のクラスが1つ学級崩壊したって言うんだよ。直後の教室はひどい惨状だったらしいぜ?」
もちろんいとこなんて(多分)いない。
「噂好きな奴だから色々探ったらしいんだが、すぐに情報封鎖されたらしくて断片的な情報しか集まらなかったらしいんだが、それでも集まった情報の中に名前があったんだよ」
──櫛田桔梗のせいでああなったって──
「あとはブログがどうだのよくわからん話しか聞けなかったそうだ」
「噂で聞いた名前と同じだから櫛田さんを疑ってたって言うのかい?」
まあこれだけじゃそりゃ弱い。
「次は入学式だか部活説明会だったかな。そいつの通ってる学校に入れ違いだけど堀北学って言うすごい先輩がいたらしいんだ。うちのクラスにも堀北っているじゃん。さすがに疑わしくなっても不思議じゃないだろ?」
部活説明会は行かなかったけどな。
「堀北への態度に違和感を覚えたことはないか? 堀北の態度の方が問題あるのはそうだけどよ」
「それは……」
俺の話す言葉だけなら微塵も信じなかっただろうが、この証拠と微かな違和感まで繋ぎあわせればそう簡単に否定できまい。
考えたくなくとも平田なら思いつくだろう。櫛田が堀北に敵意を持っていると。
これで俺に向ける余計な意識を分散できるし、俺に何かあってもこの情報が拡散されることを考えて下手なことはできなくなるだろう。なにせ平田の中ではAクラスと繋がってるからな。
「じゃあ平田、体育祭の話をしようか」