原作知識持ちが行かされる実力至上主義の教室   作:arc

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噂には噂を、権力者には(元)権力者を

 

 2月になってすぐに、しばらくは朝の迎えに行けないと言われた。朝はドアの前を人が通るのを確認して出るというめんどくさいことをやる羽目になった。

 

 週末には佐倉が人に聞こえないように帆波の悪い噂が流されていると耳打ちしてきた。知ってた。

 まあ佐倉が俺に最初に言うとは思ってなかったが。まだCクラスで大々的に言われてるでもなしにこういう形で伝わるあたり、Aクラスで俺には言わないように帆波が言ってて女子が佐倉を通すから直接は言ってない的な形にする独断行動だろうか。

 そうだとするならすまんな。なにかできないか、的なポーズを取りながらこの流れを静観するんだしばらくは。裏で打ち合わせは始めるけど。

 

 

 

「夜分にすいません、堀北先輩。神崎から聞いていると思いますが綾部です」

 

「ええ、そちらで全て解決してくださるのが理想です。それが無理なときはこちらの後押しをお願いします」

 

「やはり無理ですか。わかりました。それではよろしくお願いします」

 

 そりゃ明確な根拠もなしに家宅捜査まではできないよな。坂柳あるいは神室の部屋からビール発見とかセンセーショナルで面白いのに。

 速攻の解決策を思い付いたはいいがさすがに無理だったよ。すまん帆波、もう少し苦しんでてくれ。

 

 

 

 7日の月曜日、変にチラチラと視線を感じる。噂が広まってきたということかな。

 放課後、図書館で時間をつぶす。

 

 いやちょっと時間が予定よりオーバーしたな。間に合うといいんだが。

 寮側から体育館に向かうとちょうど神崎が来た。

 

「どうした神崎、こんな時間に1人で。Bクラスの動きを調査でもしてたのか?」

「……綾部か。その様子なら噂のことも聞いているな。噂の発生源の1人である橋本を問い詰めていたところだ。成果はなかったがな」

「その件だが、俺に考えがある。リスクも高いからこれ以上悪化しないならできる限りやりたくないが」

 

 そう言って考えとその場合の頼み事を告げておく。

 

「確かにリスクがあるな。だが……口の固い志願者を募っておく」

「頼んだ。本当に必要なければいいんだが」

 

 後は雑談する雰囲気にもならずに黙って帰る。時間が遅くて人通りも疎らなので話は聞かれないようにしていたぞ。

 

 

 

 11日の金曜早朝、寮のロビーのポストに手紙が入っていた。人目がないのを確認して期待せずに仕掛けておいたカメラを回収して部屋に戻る。

 まあやっぱり無理だな。映像を確認したがポストに手紙を入れる際に開く隙間からじゃ犯人特定はできませんね。

 買うことができるカメラで寮のロビーや女子フロアの廊下を監視撮影するのはバレるリスクが高過ぎたからな。機械チートがほしいぜ。

 

 仕方がないので予定通りに進めることにするか。カードを残しておきたくはあったが、まあ卒業されたらなくなるしいいか。尻尾切りで坂柳に届かないこともあり得たし。

 

 

 はい放課後、のろのろと寮に帰る途中、帆波が急いだ様子で寮へ帰るのを見かけた。さらに足を緩めて帆波達がいなくなってから寮に着くように調整する。

 

 

 

 念のための事情説明を添えて今日の深夜時間帯に計画を実行したいと神崎に送った後、元会長に想定スケジュールとその監視、状況を見ての根回しを頼むメッセージを送る。

 

 

 帆波に薄っぺらい励ましやら慰めやらのメッセージを送ったりして時間を潰していると神崎から場所と時間の指定が送られてくる。当たり前だけど女子のフロアじゃないな。残念。

 

 

 神崎のお宅拝見。他の集合メンバーは浜口、白波、網倉です。

 

「みんな、帆波のために力を貸してくれてありがとう」

 

 俺のためが一番だけど帆波のためでもあるからいいよな? 俺に力を貸してくれー。

 

 という事で協力者3人にアプリにあるA、C、Dの各クラスの掲示板にそれぞれ書き込みをしてもらう。

 Cクラスへの書き込み内容は1つを除いて原作通りだ。変わった内容? 『櫛田桔梗は中学3年時にクラスを学級崩壊させた』だ。

 Aクラスには適当に中傷っぽいことを書いてもらい、Dクラス向けには石崎伊吹が切れそうな内容を含める。石崎のロリコン扱いはかわいそうだから合宿で寝ションベンしたことにしといてやる。

 

「よし、後は俺が明日の夕方頃に掲示板の噂に気づいたからBクラスに報復した、みたいなタイミングで書き込みをする。ないとは思うがもし書き込みの実行犯だと追及されて重い処分を匂わせられたら遠慮なく俺が首謀者だと言ってくれ」

 

 

 

 翌日の夕方、書き込みをする前に元会長に確認を取る。単に伝えなかっただけかとも思ったが、櫛田は南雲に接触しなかった模様。

 それもそうか。イキった生徒会長が元会長に掌で転がされただけみたいにしか見えないよな、あれは。不正疑惑連盟で(勝手に)結んでやろうと思ったんだが。

 という訳で書き込みます。

 

『坂柳有栖は坂柳理事長の娘』『坂柳有栖は権力者の庇護のもとに一之瀬帆波に攻撃をしかけている』『南雲生徒会長は生徒会入り志望の女生徒から秘密を聞き出してそれを人に教える』『坂柳有栖は南雲生徒会長と手を結んだ』

 

 このあたりがメインの情報だ。噂の元を辿って厳罰に処す? 神崎がBクラスの数人というところまでは調べてるぞ、俺1人と複数人の交換か? 厳罰を匂わされてまで坂柳を庇うか? 

 坂柳が挙げられると南雲のことをバラさない保証もない、そもそもこんな情報を書き込むやつが証拠を持っていないという確証も持てないだろう、どの程度追及できる? 

 そもそも南雲が気づく前に終わらせたいけどな。

 

 他にも書き込んだので一部抜粋。

 

『神室真澄はビールを万引きした弱味を握られて坂柳に従っている』『橋本正義は無人島で龍園にリーダーを知らせた』『鬼頭隼は鬼の手の持ち主』

 

 後は書き込み役の3人に昨日と同じ時間帯にさらなる報復に見えるように適当に書き込んでもらう。

 

 

 

 15日、実力テストの日だ。一之瀬は休んで2日目、噂も昨日の時点で1年の間にはえらい広まりようだった。山内がいない分クラスでは相対的に穏やかだったと言えるが。

 

 10時過ぎに綾小路と同じやり方で部屋に入れさせる。なんかえらい待ち時間長かった気がするんだが? 

 今はもうしんどそうに見えないので明日には学校に行けるだろう。メンタル面を除けば。一応マスクはつけさせられた。

 

「俺とAクラスの一部が動いた。おそらく明日には噂の吹聴は禁止されるようになるはずだ。学校に来い」

「ど、どういうこと?」

 

 噂を広げて学校側が手を出す必要があるようにして、かつ裏から事態を収拾してもらう手筈も整えたことを教えてやる。

 

「そんな危険なこと……」

「危険を犯したからには結果を出さないといけない」

「でも、私は……」

「万引きか?」

 

 ぴく、と帆波が反応する。

 

「どうして?」

 

 知ってるのか、と聞きたいのだろう。原作知識です。

 

「噂のなかで薬物は明らかに違うだろう、依存症の様子はまるでない。援交もないな、そんなことやってたら女子に告白されたくらいであんなにうろたえない。暴力沙汰を起こしたなんてのがあってもお前なら正当防衛かそれに準ずる理由だろう、そこまで気に病むこととも思えない。後は消去法だ」

 

 そっか、と帆波はこぼす。

 解答が先で過程をでっち上げただけだぞ。

 

「こんな私がリーダーで、いいのかな……」

「それを聞くのは俺じゃなくて、お前のクラスの仲間だろう」

 

 もちろん坂柳では断固ない。

 

「ただ、俺はお前がリーダーでなければAクラスで卒業するための選択肢として別の手段を選んでいたし、お前に犯罪歴があってもなくてもお前を選んだことは間違ってないと思っている」

 

 だから折れるな一之瀬、俺のためにお前の奮起が必要なんだ。

 

 

 

 

 

 そして翌日の昼休み、帆波が登校したAクラスに坂柳が乗り込んできたことを確認した時点で連絡を入れる。

 神室がいないけど不仲になったか逆にメンタルやられてダウンしたのかな? 

 

 さておき、一段落したところで元会長が桐山と教師を引き連れて事態の収拾に取りかかる。

 南雲? 噂の当事者の1人だしどこからか話を聞き付けた(開始前から知っていた訳だが)元会長が迅速に介入した結果、この件についての捜査権限はなくなったよ。

 これで先代に一枚も二枚も劣る生徒会長だと評判になるね。桐山もここでガッツを見せればいいんだが桐山だし無理だろうな。

 

 あとはクラス内投票がないだろうことを確認して最後の特別試験を終えれば1年は終了か。組み合わせにもよるがこれもやれることがないんだよな。

 学年末試験? 退学にならない程度にはできるから気にしてないぞ。

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