原作知識持ちが行かされる実力至上主義の教室   作:arc

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if バッドエンド ー一之瀬帆波ー

 

 やっとあの男を排除できた。それまでの人生よりもこの1年足らずの時間の方が長く感じた。心が少し軽くなった気がする。

 でもまだだ、私がしなきゃいけないことはまだある。クラスのみんなを守って、Aクラスで──

 

 

 

 

 

 あの男と出会ったのは、入学式の日のことだった

 

 その日の行事が終わり、みんなで遊びに行こうとしていたら、声を掛けられて連絡先を交換した。その晩、電話でこの学校のシステムについての推測を聞かされ、合っていたらポイントが欲しいと言われた。

 

 翌月、ポイントを渡す為、話を聞く為に彼の部屋を訪れた。思うところはあるけれど、カッコいい男と2人きりだと少しドキドキしていた。愚かしさに吐き気がする。

 その時から私は、体を奪われ脅される日を過ごすことになった。それでもまだ、毎日呼ばれるわけではないだけ、この期間はマシだった。

 

 あの男の指示に従うのは癪だったけど、無人島での試験は楽しかった。あの男との接触も指示だしのみで、クラスのみんなと協力して過ごせるのが嬉しかった。クラスポイントでAクラスを抜いてみんな喜んでいた。

 

 そして船上試験が始まると、ううん、試験の説明が終わって全グループの情報が揃うとそう時間も置かずにDグループの優待者、それから全グループの優待者予想並びに法則が送られてきた。私たちが裏切ると少し時間を置いて全グループが裏切りで終了した。その結果発表の後からだ。

 

 ゲスな本性を明かし、私と付き合っていると言い(そんな関係じゃない)、手玉に取られた他のクラスを嘲笑った。

 そのせいで、Aクラスに上がることになる私たちも白い目で見られるようになった。この試験中の話ではなくても、同盟を結んだDクラスを盛大に裏切った形だ、当然だろう。

 この船上が最後の休息だとでも言う気だったのか、陸地に戻ってからは毎日部屋に呼ばれるようになった。ああ、地獄が酷くなる。

 

 体育祭ではDクラスと組んで赤組だった。星之宮先生が少し嫌そうにしていたのが印象的だった。あの男は自分とは別の裏切り者がDクラスに出るかもしれないと楽しそうに話していた。選手リストを渡され、それに応じてCクラスが選手を選んで来るだろうと。こちらもそれに応じた組み合わせでいったことにより、1位を取れた。だがそれもあの男が遊んでいたからだろう。団体戦を圧倒的な力で勝利に導き、個人戦を点数調整に回す。一体どれだけの能力が潜んでいたか今でも分からない。

 

 ペーパーシャッフルではあまり指示もなかった。あったのはただ一つ、あの男がつくったテストを問題に提出するだけだ。あとはAクラスとして力を合わせて挑んだ結果、Bクラスと30点以上の差を付けて勝利できた。

 

 混合合宿ではBクラスが私に仕掛けてきていた。私に対する不信を理由にAクラスとは組めないとするグループが出てきた。あんな男の恋人はそれは信用できないだろう。ただそんな戦法は女子のグループで差が付きにくくなるだけだ。坂柳さんらしくないと思ったね。まあ後で判明することになる伏線だった訳だけど、この試験は心穏やかに過ごせた。あの男がAグループ多数のグループに混ざってたと聞いて不快にさせられたけど。

 

 バレンタインデーの時期周辺に伏線回収と言わんばかりに悪評がばら撒かれた。あの男といる時間に比べれば、噂を真に受けられたとしても痛痒に感じないだろう。告発文じみた物がポストに入れられた後、あの男から犯人を特定できる動画が送られてきた。それを持っていって被害を訴えろとの指令だ。どう考えても主犯は坂柳さんだったんだろうけどね、神室さん。クラスポイントありがとう。

 

 

 

 そしてやっと好機が来た。試験のルールを確認した時に今の図が見えた。あの男の才能はあまりにも図抜けている。天才という言葉ではまるで足りないあの男の存在は他のクラスからもさぞかし目障りだろう。

 幸いあの男ほど嫌われている人間はいない、Cクラス自体の全ての批判票に加えてB、Dクラスからの全ての批判票が集まれば、Aクラスの称賛票を全て集めさせられても最悪決選投票で葬れる。 契約には非常時のポイント要求もあるけど、高を括っていたのか、Aクラスを優先できる。そのために、

 

「みんな、お願いがあるの!」

 

 

 

 

 

 

 ふう、と息が出る。全てのクラスで誰か一人でも裏切ったり間違いが発生したらあの男を排除できなかったかもしれない。

 それにしてもこうなるとポイントを無駄に使ったのが痛く感じるなぁ。まあ前提条件だったと割りきるしかないか。

 クラスを守ってAクラスで卒業する、その為には休んでられないよね。もっとがんばらなくちゃ。

 じゃあ次は──

 

 

 

 

 

 

 それからも私たちはAクラスの座を守り続けた。

 

 選抜種目試験では運を味方につけ、4勝3敗で勝ち、新学期に支給されたポイントを使って松下さんをAクラスに迎え入れた。これを見せ金代わりに、クラスを裏切ってでもAクラスで卒業したいという者への揺さぶりにした。

 さらに各クラスに裏切り者を警戒させることができるというポイントに物を言わせた戦術だ。

 

 新年度初めての特別試験は目的の為もあって勝利より下級生との交流を優先した。そもそも1位と4位で付くポイント差が50と言うのは新入生用の入門だろう。

 初期ポイントを抑える変わりにSシステムの裏を説明していることだし。それでも3位が取れたのはちょっと勉強が足りないんじゃないかな、Dクラスさん? 

 

 無人島サバイバル試験でも上位は狙わなかった。下位グループ候補になりそうな所に半減とポイントを集めておくぐらいだった。まあ妨害してきたらクラスポイントが減って引き上げられる人数が減っちゃうよと揺さぶりは忘れないけど。

 高円寺くんの単独2位は中々驚いたね。あの男には見劣りするけどなかなかやるよね、彼。坂柳さんと龍園くんも上位を狙ってたみたいなんだけど3年生は強かったってことかな。

 それと1年生から退学が出ちゃったんだ、残念だよね。仲良くしてた子もいるのに。

 

 夏休みが短くなったのは気にかかるけど、切り替えてこ、ここからが重要だからね。みんなの為に頑張らないと。

 

 

 

 

 

 

 9月、生徒会長の除名と生徒会総選挙があった。私が新生徒会長です。うん、私が起こしたんだけど、時期的な問題で迷惑を掛けたなってちょっと反省してる。

 ある程度はポイントで守れるけど無駄に退学の危機を増やされたくはないよね。だから退場してもらっちゃった。

 Aクラス行きを約束してた相手の数に比べて枠ががどう考えても足りる訳ないんだって。そもそも本当に少しでも数を引き上げたいならある程度の保険は残すにしても次々とAクラスに引き上げてプライベートポイントを増やすよね。それに2000万ポイントでの移動を本当は撤廃させたがってたし。

 なーんて事を虚実入り混ぜてベッドでおしゃべりしたら南雲先輩、再起不能の重症になったって。可哀想だよね。約束されてない人への約束を勝手に増やしちゃってごめんなさい。でも今回の件で退学者がいっぱい出たから満足でしょ? 出席日数はもちろんポイントで買えるけど、買う度に必要なポイントが増えていくから学年中から搾り取った南雲先輩でも足りなくなるんだよね。だから早めに仕掛けたんだけど。

 なずな先輩にすごく嫌われちゃったのは残念だな。私の置かれた状況は分かってくれなかったけど、可愛がってもらってたからなぁ。

 

 満場一致特別試験? 退学者を出してまでクラスポイントを無理に追う必要ないよね? 松下さんを犠牲にすることも考えたけど、裏切ってこっちに付いた人を切り捨てるのはイメージよくないしね。

 

 体育祭はクラスポイントの配分を見て決めたことはたったの1つ、Bクラスの上に立つ、これだけだ。

 あらかじめ担任の星之宮先生に確認を取った上で、体育祭前日の夜にクラスの男子の部屋に彼を呼び出して話をする。あなたにこの話を持ちかけるのはこれが最後、松下さんと違って少しポイントに不自由するかもしれないけど、私たちのクラスに来る? ってね。勿論更にクラス移動する際には退学してもらうのが条件だけどね。私たちを裏切るのは許さないよ、橋本くん。

 いきなり当日にクラスから1人減ったBクラスには混乱の色が見られる。さすがに坂柳さんの統率力でも乱れてくるなぁ。各クラスをからかいに行ったけど、暴力を背景にまとめてる龍園くんのクラスが一番手強かった。42人対37、8人でチームワークバッチリなうちとじゃどこも分が悪かったみたいだけど。

 

 

 

 もう後は本当に消化試合みたいなものだった。あの男に仕込まれた対応策は忌々しくも役立っている。盤外戦術を防いでしまえば加点方式では人数差による優位で勝ち、そうでない試験で負けるとしても、かつての船上試験ほど差が付くこともない。

 

 そう、だから、これは当たり前の結果だ。

 途中退場した例外はいたけれど、生徒会長を務めた者として当然Aクラスで私は卒業する。

 卒業式を終えて私は教室に帰ってきた。これまでずっと堪えてきた涙が溢れてくる。

 

 

 

 ──私は、これからいったいなにをやっていけばいいんだろう?──




同学年は体を使って誑し込んでない。やってないけどこの一之瀬なら理事長誑し込めるかもしれない。

ハッピーエンド離脱者
堀北学率いた3年Aクラス
南雲雅がいた3年Aクラス(朝比奈なずなを除く)
松下千秋、橋本正義 Aクラスの面々を見て後味悪いながらもハッピーエンド

バッドエンドの虜
退学者
Aクラス以外での卒業者(報酬に興味がなかった、または競争に満足した者を除く)
茶柱佐枝 綾部とかいう規格外で夢見た始末
南雲雅 生徒会長からの除名という屈辱+再起不能の怪我
朝比奈なずな 南雲の退学自体は確定したが猶予があるために譲られたポイントを卒業まで持ち(目減りするが)現金化、それを使って南雲の面倒を見る
3年Aクラス(途中加入を除く) (表面的にはさておき)見も心もズタボロになっていく一之瀬を見続けて、何も出来ない自分達を悔やんで
一之瀬帆波 言わずもがな。綾部に弄ばれて男子に体を売って、そこまでしたクラスメイトが自分の為に悲しんでいることにすら気付けない状態。本来何の為にこの高校に来たかすらもはやあやふや
綾部清正 無限に苦しんでるけど何の救いにもならないゴミカス

ハッピーエンドとバッドエンドの狭間
星之宮知恵 念願のAクラスだけどクラスの教え子がほぼ全員悲惨な状態。さあどっちに受け取る?



3年時に解禁される情報によってはハッピーエンド者が増えたりバッドエンド者が減るかもしれない。
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