原作知識持ちが行かされる実力至上主義の教室   作:arc

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本契約

 

 うーん、退学者が出てからやっぱりちょっと空気が良くないね。平田が精彩を欠いているし、不安感が薄く漂っているままだ。ポイント増える様子もないしね。教室が広くなって少し静かになったから俺は悪くないと思ってるけどね(ダブルミーニング)。

 

 そんなDクラスも少しずつ元の空気を取り戻していく。退学者は取り返しがつかないが。

 

 

 7月1日。

 クラスポイントが発表される。

 A1006

 B942

 C492

 D0

 

 うーん、Bクラスも頑張って原作より5月以降の減少量を減らしてるけどAクラスにはかなわないか。差があまり開かなくて張り切ったのかAが2だけ伸びてて草。

 そして退学者が出たからかDはいまだに0! 俺みたいに最低限のポイント確保を考えておかないとヤバイですね! 

 

 茶柱が他のクラスが先月よりポイントが伸びている理由を説明する。

 

「中間テストを乗り切った1年へのご褒美みたいなものだ。お前たちは退学者を出したことで引かれてしまったがな」

 

 空気が重くなる。退学者が出るとクラスポイントを引かれる。即ち中間テストで退学者を出してはいけなかったということだ。そしてこれからも退学者が出る度にクラスポイントが引かれる。そしてプライベートポイントが手に入らない。

 

「Dクラスはクラスポイントの内部マイナスを消しきるまでは増えないということでしょうか」

「いいや。ポイントの処理のタイミングにもよるが、次に100ポイント入手すれば100増える」

 

 堀北の質問に茶柱が返す。

 

「それからこのクラスには関係のないことだが、1年のポイント処理が遅れていることを通達しておく」

 

 疑問を持った雰囲気がそこかしこから感じるが、関係ないと判断したからか誰もそのことを質問しなかった。

 

 

 

 やっぱり龍園やってんのかねこれ。2巻終了って言ったんだからスキップさせろよ。いやイベント消えてもリアルの経過時間は変わらないが。世知辛い。

 

 放課後になり、今日中に借りた本を読みきって明日新しい本を借りよう、などと思いながら寮に帰り、服を着替えて本を広げたところでチャイムが鳴る。

 

 

 

 色々と堪えて本を閉じてドアを開ける。

 

「来ちゃった」

 

 一之瀬、そういう台詞はもっと明るく笑顔で言ってくれ。まったく嬉しくない。そもそもだ。

 

「一体なにしに来た。なぜ神崎を寄越さずにお前が来る」

「ポイント支給が止まってる件について聞きに、かな。神崎くんにはクラスの方を見てもらってるし、綾部くんみたいな人とあまり接触させたくなかったからね」

 

 俺をなんだと思ってるんだ。

 

「Bクラスは放課後までにその件の話が終わったのか? クラスでの話を人任せにしてまで急いで来る必要はあるのか?」

 

 一之瀬は答えない。なんなんだ本当に。

 

「Dクラスでは0ポイントだから関係ないという雰囲気だよ。心当たりも理由を探る気もないという感じだ。興味がないとまでは言わないが。俺がさっさと帰ってきたことからも分かるように特になにも調べていない」

 

 Dクラスと俺の把握状況(何も知らないだけ)を教えると一之瀬がBクラスでの情報を教えてきた。

 

「こっちのクラスでは誰か分からないけどAクラスでなにか変な雰囲気だったんだって」

 

 Aクラス、か。 戸塚か戸塚か戸塚あたりを狙ったのかね。他にもプライドと沸点が反比例してそうなのも多そうだが。

 と、一之瀬が真面目な顔をしながら嫌そうな雰囲気をにじませる。どうやってんだそれ。

 

「ありがとう綾部くん。あなたのアドバイスのおかげでBクラスのみんなは無事だった」

 

 そう言って頭を下げる。

 わざわざ来たのはそれか。義理堅いことで。

 でもその、感謝の態度の見本にしてもよさそうな声と姿で嫌な雰囲気伝えてくるのやめてくれ本当に。

 

「別に構わない。で、どうするんだ? Aクラスで卒業しようとするなら避けて通れない問題だ。警戒し続けるか、余計なことが出来ないように相手を叩き潰すかだ。それとも楽しい高校生活にシフトするか?」

 

 上を目指してくれないと困るんだけどな。理想は一之瀬達がAクラスで、俺の手持ちと合わせて引き上げてもらうことだ。俺個人で2000万ポイントを稼げない以上はクラス単位での協力が必要となる。

 次点でクラスの移籍が叶わないならポイントを溜め込むことだがまずは理想を目指すべきだ。

 

「私たちはAクラスでの卒業を目指すよ。それは決まってる」

 

 強い意志を込めて一之瀬が言う。安堵のため息が漏れる。これで可能性が残る。

 須藤を捨てる決断をした時点でこの道しかなかったからな。綾小路の能力がない俺ではもうDクラスをAクラスでは卒業させられない。高円寺がクラス愛に目覚める奇跡はワンチャンすらないしな。

 

 Bクラスの意志を確認できたことで俺の狙いをオープンにする。

 

「俺はどうあってもAクラスで卒業したい。だがDクラスでは無理だ、個人で2000万貯まるとも思えない。他のクラスのリーダー格は信用できない。俺が狙われて無事でいれる自信もない」

 

 龍園や坂柳、葛城の情報はすでに知っているだろう。いや葛城はリーダーで居続けれるなら信じてもいいんだけどな。坂柳に勝てないのが悪い。

 

 俺の目的と弱みを明かしたうえで、ずっと通したかった取引を突きつける。早すぎても信用はされないが、今でも持ちかけるのは早いと思っているが、夏休みの試験前には必要になる取引だ。

 

「契約だ一之瀬、俺の動きを隠せる範囲で全力でBクラスを、一之瀬達のクラスをAクラスで卒業できるように支援する。見返りに、俺がAクラスに移動できるポイントを要求する。もちろん成果給で構わないぞ。途中でのクラス移動に俺自身は意味を見出だしていない」

 

 目立ちたくもないしな。

 一之瀬は即答しない。だが断りはしないだろう。俺のクラスを見捨てるスタンスへの不快、早すぎる段階から人目を避けたがる不審、俺が裏切らないと信じきれない不信。

 それらを踏まえた上で一之瀬はクラスの為に契約するだろう。原作知識で作った張りぼての虚像だが俺を敵に回したくないだろうし、俺が目立ちたくないことを知った上で俺がクラスを裏切ったことを握っている。

 

 さあ一之瀬、俺と契約してAクラスになってよ。




最初の取引が大まかな効果を実感してからの後払いなのにやたらと安かった理由の1つ。
目的に対する財布は1つだからです。

あとキュゥべえは契約即魔法少女にできるけどコイツはAクラスにできる保証ないんだよなあ。

※ポイントでのクラス移動説明は他のクラスではすでにされている前提です。茶柱ぇ…
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