俺はヒーローに憧れない(re   作:アートレータ

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今話も独自解釈を多分に含みます。


8.資質と可能性

 

「ここまでは良いな?じゃあ最後に覇王色の覇気だ。」

 

 これに関しちゃあどいつもこいつも点で駄目だ。数百万人に一人が持つ?王の資質?

 馬鹿馬鹿しい。覇王色の覇気も万人が持っている資質の一つだ。

 

 

 今日1番の爆弾発言だった。

 だってそれは、これまでの歴史すらも覆しかねない発言であるからだ。

 覇王色の覇気とは選ばれたものだけが持つ特別な覇気であると言うのが常識、のはずだ。

 

 

 選ばれたものが持つ。間違ってはいない。

 正確には自分を選ぶかどうかだ。稀であることには違いない。

 今じゃあれだが、少し前まではうちの船も俺と今船にいないもう1人しか使えなかったからな。

 

 グランドライン前半の海にはそれこそごく稀にしか、使い手は現れない。

 だが、新世界ではどうだ?覇王色の覇気を使うやつなんてザラに存在してる。

 

 ならば、この二つの違いはなんだ?

 力量?それもあるだろう。一定の力量が無ければ、それは身に付かない。

 今回の場合の正解は力量と一緒に身につけるもの、自信だ。

 

 自分自身に対する絶対の自信。

 それこそが覇王色の覇気を使えるかどうかの違いってわけだ。

 

 新世界にある海賊は大なり小なり自信を持ってるからここまで進んできてる。

 自分は誰にも負けないほど強いのだと。

 自分はこの海を絶対に制するのだと。

 そう言う自分自身に対する絶対の自信が覇王色の覇気として形になっていると言うわけだ。

 

 だから覇王色の覇気は船の船長に発現することが多い。クルーは基本的にその自信は船長に預けるものだからだ。

 その分船長は自分自身に自信を持ち、覇王色の覇気を開眼させる。

 

 一般的な覇王色の覇気は、実力差のある相手を気絶させることに使われている。これは、俺はお前らよりも強いんだ。と言う威圧感が形を成したからこその結果だ。

 自信の延長にあるからこそ、1番使いやすいってわけだ。

 

 ごく稀に覇王色の覇気同士が激突した時には、それを纏う奴も現れる。俺は覇王色が形を成したものを心意と呼んでる。

 これは俺の方が強いと言う気持ち同士がぶつかった際に、俺の方がより強い。そう言う攻撃的な気持ちが心意として発現したからこそ起こり得るんだ。

 

 心意は使い方の幅がとんでもなく広いんだ。

 

 

「俺の刀は海をも両断できる。」

 

 徐に立ち上がったゼニスは、船から海を見下ろしてそんなことを呟いた。

 緩慢な動きで鞘から刀を抜き放ち、力なんてとても入っているように見えない構えから刀を振り下ろした。

 次の瞬間には、ゼニスの動きからはまったく想像できないような絶大な斬撃が発生して海を両断してみせたのだ。

 愕然と海を見下ろす二人を尻目にゼニスは再び腰を下ろす。

 

 

 今のは俺は自分の発言を、成し遂げると確信して刀を振るった。

 まぁその結果がこんな感じで…、思いの強さ次第で結果も変化してついてくる。

 

 途中にも言ったように、覇王色の覇気は覚えようとして簡単に覚えられるもんでも無い。自信なんてつけようとしてつくものでも無いし、ましてや他人にどうこうできるもんでもない。

 知識程度に心に留めておけ。

 

 以上で講義を終了になる訳だが、訓練は明日から始めるつもりだ。

 今日はゆっくり休んでくれ。

 

「解散!」

 

 それだけ告げたゼニスは、日和を伴って船内へと姿を消していった。

 残されたアインとビンズは、自分の中の常識が悉く崩されるような感覚にしばらく呆然としていた。

 

 しかし、それを否定しようとは思わない。

 事実それを実践しているであろう彼らはとてつもなく強い。

 それに説明していたゼニスに、実践した日和の眼は嘘を言っているような眼ではなかったように感じたから。

 ほんの2日の付き合いだが、彼らの人となりをすでに信用に足ると思い始めてしまっている。

 

 ずいぶん簡単に絆されたものだと、自重気味のしかし嬉しそうな笑みを浮かべながらそれぞれが割り振られた自室へと足を運んだのだった。

 こうして、アインにとってウェルテクス海賊団になっての1日目が終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日から覇気の修行が始まった。

 アインメインではあったが、ビンズも修行に加わりながらアインの組手相手になったりなどで貢献していた。

 基本はゼニスと日和による指導だったが、ゼニスの気まぐれでミホークやエネルも混ぜた実践訓練なども行われていた。実際は実践訓練という名の、イジメだったのだがゼニスは楽しそうに笑い転げていて止められることはなかった。

 そのため二人はゼニスの気まぐれに怯えながら、実践訓練を告げられた際には顔を真っ青に染めていたとか…。

 

 そんな、充実?した数日はあっという間に流れ、ようやく最寄りの島へ到着を果たした。

 

「数日間、本当に世話になったでござる!」

 

「いいよいいよ、親父が世話になった分を少しでも返せたんなら何よりだ。」

 

 それは違う。そう言いかけてビンズは言葉を飲み込んだ。

 お世話になったのは自分の方だ。そう言いたい。でも、それは堂々巡りになるのが目に見えている。

 この数日一緒に過ごして、ある程度ゼニスの人となりは把握できたと思う。

 

 敵対したものには一切の容赦なく切り捨てる残虐性。

 自分の信念を決して曲げない一貫性。

 恩を感じたものは決してそのままに出来ない義理堅さ。

 何よりも仲間を家族として大切にする愛情深い人だ。

 

 正直このままこの船に居座りたいと思ったことも少なからず湧いてきた。

 しかし憧れるからこそ見習いたい。自分で家族のために行きたいと決めたのだから、全力でそれを成し遂げていこう。

 決意を新たに、長いようで短いビンズのウェルテクス海賊団生活は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ次の段階だ。次は悪魔の実の能力について。」

 

 ビンズが居なくなったからこそ次の段階へと進んだ。

 覇気はともかく、能力を知らせるのはいくら信の置ける人物でも家族以外にホイホイ教えて良いものではない。

 そしてゼニスは、アインの能力に可能性を感じていた。

 

「お前は自分の能力をどれだけ把握している?」

 

「…モドモドの実は触れた物の時間を12年分若返らせることができる能力です。そして能力を発動したモノが12年前に存在しない場合は消滅させることができます。」

 

「まぁ、普通に強力な能力だな。」

 

 モドモドの実は、ゼニスを持ってしても強力と認める凶悪な能力だ。

 だが、ここ数日の模擬戦でそれを見ていたゼニスにはいくつか疑問に感じる点があった。

 

「モドモドの実を使う時は、掌を紫色のオーラで包むのはなぜだ?」

 

「それは……能力の発動条件で。」

 

「発動するタイミングは手のひらでは無く、そのオーラがふれたタイミングで発動するのは何故?モドモドの実は、なぜ12年単位なんだ?」

 

「それは…。」

 

 分からなかった。考えたこともなかった。

 でも言われてみるとそうだ。

 麦わら海賊団の剣士と戦った時のように、オーラを飛ばして遠距離で発動させた方が選択肢も増える。

 しかし基本は手のひらにオーラを纏って触れることを重視している。

 

「これはあくまで俺の見解だ。モドモドの実は『最大12年』若返らせる。使い手の技量次第で1年にも1時間にもなる。そして発動の起点がオーラだとするなら、オーラの数だけ発動数も増やせる。」

 

 それはゼニスが感じたモドモドの実の可能性。

 ゼニスのトキトキの実とは対ともなる過去に干渉する能力だ。

 故にアインの能力には違和感を感じていた。

 

「俺のトキトキの実は未来に干渉できる能力だ。元々は現在のここを起点として未来のここに移動する能力だった。」

 

 未来に干渉といえば強力な能力に感じるが、実際は場所を指定できないため使い勝手が難しかった。

 せいぜいが敵の攻撃を交わす際に、攻撃が通り過ぎた未来に跳ぶくらいだった。

 だが、練度を上げ続けて遂に覚醒させて全てが変わった。

 

 跳んだ未来の場所まで変更できるようになった。

 世界の未来では無く、個の未来だけに干渉できるようになった。

 跳ぶ未来に干渉して、指定した未来までの過程を意識できるようになった。

 

 無論、弱点も存在している。

 一つ目は未来に跳ぶに当たり、動きに指向性を持たせる必要があること。

 勘違いされがちだが、トキトキの実は時間停止の能力では無い。

 

 例えば斬る。と言う結果を産むためにも幾つもの過程を経て成り立っている。

 相手を斬る意思を明確にする→距離を詰める→刀を振り上げる→刀を振り下ろす→斬る

 この一連の流れを経てやっと相手への攻撃は成る。

 

 攻撃の開始である距離を詰める段階で一歩目がなければ、斬ると言う結果に結びつく事は決してない。

 何故ならそこにはまだ無数の未来が不鮮明に存在するのだから。

 故に一歩目がなった段階で未来を決定した後に能力を発動してやっと能力が意味を成す。

 

 二つ目は自分の時間だけを早めた場合、斬る結果を生み出さない事。

 未来へ干渉しているのはあくまでも自分だけであって、そこに相手は無い。

 先ほどの例に当てはまるならば、自分だけで完結するのは刀を振り下ろす段階までである。

 斬ると言う場面には相手も干渉する必要があるのだ。

 もしそれを可能とする場合、能力の干渉対象に相手も含める必要があり能力が意味をなさなくなる。

 

 三つ目は見聞色でその未来を見られた場合、カウンターを食らう可能性がある事。

 ゼニスは見聞色の才能が無く未来視に辿り着く事はなかった。適性が感知に偏っていたため、広大な範囲を人物まで把握できるほど感知適性は高いが未来視はカラっきしだった。

 未来視出来ないゼニスは未来視をされた場合対処が困難となるのだ。

 

 そして、トキトキの実はロギアでもゾオンでも無くパラミシアの能力であるため任意の発動であること。

 ゼニスの不意をついて、或いはゼニスの視認できない速度で攻撃された場合は対処が出来ないのだ。

 

 勿論、そんな弱点をそのままにしておくゼニスではないため対策などもしっかりとしているのだが、そこは今は置いておく。

 

 そんな悪魔の実に触れてきたゼニスは、形は違えど同じく時を司る能力に誰よりも期待をしている。

 

 ゼニスに説得されたアインはこうして、覇気の修行と並行して悪魔の実の修行にも着手し始めた。

 

 今日もいつも通りアインの修行が始まろうとした時、アインが待ったをかけた。

 

「あの…先生からは家族は海賊に殺された。と聞かされていたのですが…その…。」

 

 言いづらそうに、詰まらせながらも言葉を紡いでいく。

 そんなアインの言わんとしていることは、しっかりとゼニスに伝わった。

 

「あぁ、実際はどうなったのかって?」

 

 ゼニスの先回りした言葉に、アインはコクリと頷き返す。

 

「責めるわけではありませんが、先生もとてもショックを受けていましたので…、どうして会いに来てくれなかったのかな、と…。」

 

 その言葉に隣で聞いていた日和が身を乗り出そうとする。

 彼女は誰よりもゼニスの壮絶な過去を知っている。

 それを言外に否定するような物言いについカッとなってしまう。

 が、それはゼニスによって止められる。

 

「そうだな、お前もこれからは家族なんだし話しておくか。俺の過去を…。」

 





覇王色がSAOの心意だろ?……僕分かんない。

明らかになったゼニスの能力と作者が感じたモドモドの実の可能性。原作、映画で出てきた能力でしたがこんな事が出来るのでないかな?と思ったものを今作では引用しました。

そして次話から過去編に突入します。正直、作者は過去編が嫌いです。アニメとかでも過去編は好きになれません。今があるなら、それでいいだろと思ってしまいます。
が、いざ書く身とすると必要になってくるものなんだとしみじみ思いながら書きました。
作者と同じだと言う人には申し訳ありませんが、五話ほど続きます。
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