俺はヒーローに憧れない(re   作:アートレータ

17 / 31

 他作品のキャラは出ないと言ったな……あれは嘘だ‼︎
 ………すみません、作者の好みもあって最初で最後の他作キャラです。
 しっかりした理由もあります。詳しくは後書きで!

 更にアンケートの結果も踏まえて、REDを書こうと思うのですが未だにウェルテクス海賊団の力も明らかになっていない為、数話だけで黒ひげ編を投稿したいと思います。
 その後には、REDに入っていけたらと思いますのでよろしくお願いします‼︎




14.大切なもの

 

「……ぷはっ‼︎お前、毎回コレはやらんとダメなのか‼︎」

 

 普通ならば即死ものだが、ゼニスは慣れもあってしっかりと対応している。

 即座に見聞色で頭が当たる箇所を把握。

 武装色を流桜として纏って、衝撃吸収のための空間を生成する。

 衝撃が緩和されたら武装色を解除して、跳ね返る事を許さず受け止める。

 完璧な紳士対応を見せているのだ。能力の無駄遣いも甚だしいが…。

 

 文句を言って、胸の中にいる彼女の頭を叩く。

 何度も何度も、いい音を鳴らせながら叩いた。

 しかし当の本人は反省していなかった。

 

「だって!久しぶりにゼニスに会えたのが嬉しくて‼︎」

 

「…………はぁぁぁぁぁぁぁァァァ。」

 

 そして結局はゼニスが折れる。

 そこまでがいつものお決まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、ただいま!」

 

「お帰りなさい。」

 

 少し落ち着いて、改まって帰還の報告をする彼女に日和が返す。

 他のものも言葉では返さないが、仲間の帰還を喜ばしく思っていた。

 そして彼女は気付いた。初めて見る顔が1人いる事に。

 

「貴方、新しい家族?よろしくね。私はアルクェイド。アルクェイド・ブリュンスタッド。貴方は?」

 

「私は、アインです。よろしくお願いします。えっと……アルクェイドさん。」

 

「堅苦しくなくていいよ!みんなみたいにアルクって呼んで?」

 

「えっと、アルク……さん。」

 

 少しずつ慣れていこう、そう言って笑いかけるアルクウェイドの笑顔が、あまりにも純真無垢なそれに、アインは見惚れながらも頷いた。

 

 その後、ゼニスからアルクェイドの説明が挟まれた。

 一つ、彼女は絶滅したと言われる種族の一つヴァンパイア族の生き残りである事。

 二つ、彼女はこの船でゼニスに次いで……条件さえ満たせばゼニスさえ凌ぐ強さがある事。(アルクウェイドは互角だと否定?していたが)

 三つ、アルクェイドにはある仕事を頼んでいたという事。

 

 その仕事の内容とは……

 

「それで、アルク。」

 

「うん、見つけたよ。ハチノス島。」

 

 そう、ハチノス島の捜索である。

 四皇が一角であり、ゼニスたちの標的でもある黒ひげ海賊団の拠点である島だ。

 黒ひげ討伐までの道筋は既に整っている。

 後は標的の位置の把握とそこまでの距離を考えた時間の調整。

 

 アルクウェイドには隠密での依頼をしていたが、万が一も起こりうる。

 そんな万が一が起こった場合でも逃げ切るだけの機動力と戦闘力を兼ね備えた彼女が任されていたのだ。

 そしてその任は無事果たされた。

 

「よし、これから本格的に行動を始めよう。」

 

 ゼニスからこれからの行動指針が説明された。

 初めに向かうのは白ひげの故郷「スフィンクス」。

 そこに滞在しているマルコとの接触が目的である。

 

 前に一度説明されたが、元白ひげ海賊団の協力を仰ぐためだ。

 正直、黒ひげ討伐だけならばウェルテクス海賊団だけで事足りる。それがゼニスの見解だ。

 だがそれは、正面からぶつかった場合の話でしかない。

 

 黒ひげは思慮深く狡猾で、万が一の場合は仲間を切り捨てて逃げることも辞さないだろうと考えている。

 ウェルテクス海賊団は少数精鋭であるため、数にものを合わせた特攻もあり得る。

 そうなった場合の万が一の保険、それが元白ひげ海賊団の存在なのだ。

 

 協力を仰ぐ、何で言えば聞こえ場合が結局のところは黒ひげを効率良く狩るための()()に過ぎないのだ。

 しかしゼニスに言わせれば、それも仕方のない事なのだ。

 

 守るものが増えれば増えるほど――人は弱くなる。ゼニスもそれで痛い目を見てきたから。

 いやゼニスは元々、小さな幸せを守りたかった。しかし、そのためには何もかもが足りていなかった。

 能力も地位も知識も、幸せとはなんなのかという根本を成す理解も。

 

 幸せなんて曖昧で、漠然として普通の人ですら手に入れるのに苦労する代物。

 故に考え方を変えた。

 幸せを()()()()()()家族を守ろうと。

 家族を、船を守っていれば幸せは寄ってきてくれる。

 

 『幸せ』なんて言葉のような手に掴むことすらできないものよりも、手の届くところで幸せを()()()()()()家族を守ろうと。そう決めた。

 その為ならばいくらでも非情になろうと。そう決めた。

 だから必要以上に仲間を増やさない。大切なものを増やさない。

 自分の手が決して大きくない事を、ゼニスはとうの昔に知っているから。

 

 故に数が必要な時はこうやって周りを使う。

 その周りが今回は元白ひげ海賊団の存在だった。それだけの話。

 

「スフィンクスは今襲撃を受けている。襲撃者はウィーブル。そいつから島と島の住人を守るためにマルコは島を訪れている。」

 

「更にウェーブルを捉えるために海軍大将黄猿が向かっているはずだ。」

 

「間違いなくスフィンクスは戦場と化す。それを俺達が割って入って、島と島の住人を助けてマルコに恩を売る。」

 

「ウィーブルは討伐して、黄猿は捕獲。これが俺たちの目標だ。ウィーブルの生死は問わない。迅速に、そしてなるべく静かに始末しろ。」

 

「「「了解!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「母ーたん!母ーたん!ここが白ひげの故郷なの?」

 

「そうだよ、ウィーブル!そして今日からアンタの島になるのさ!」

 

「おでの⁉︎」

 

「そうさ!しっかり島の奴らにわからせてやりな‼︎」

 

「母ーたん!おで、かんがるよ‼︎」

 

 そしてウィーブルとバッキンはスフィンクスへと上陸した。

 また、それを阻止するためにここに留まっていたものが姿を現す。

 

「そうはさせないよい‼︎」

 

 少し離れた陸にも、別の勢力が姿を現す。

 

「ここに不死鳥マルコがいるらしいんだけど〜、本当にいるのかね〜。」

 

 少し遅れて……。

 

 

「どうやら、役者は揃っているようだねぇ〜。…ナンツッテ。イテッ!」

 

 ウェルテクス海賊団が到着したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっちまいな!ウィーブル‼︎」

 

 バッキンの号令のもと、ウィーブルの登場に逃げ惑う市民に向けて覇気を纏わせた薙刀を振り下ろさんとした時。

 

「そうはさせねぇよいッ‼︎」

 

 間一髪で間に入った、半身不死鳥と化したマルコによって塞がれた。

 バッキンは邪魔をされたことに対して癇癪を起こすが、事態はさらに深刻化する。

 ウィーブルの後ろから、ウィーブルの左肩とマルコの右腕を貫通して、一条の光線が走った。

 

「どっちもここで死ぬんだから、一緒だよね〜。」

 

 大将黄猿を先頭に、海軍の軍隊が押し寄せてきた。

 普通であれば海軍の、それも大将の登場は市民にとって喜ぶべきことであるのだが、ここスフィンクスの住民は違った。

 白ひげニューゲートは、彼が信を置いていたマルコは彼らにとって命の恩人である。マルコの登場に安堵し、彼の被弾に悲鳴を上げ足を止めてしまった。そんな彼らに向けて、

 

「海賊に肩入れするものは、市民であっても敵だというのが新元帥のお言葉でねぇ〜。悪く思わんでくれよ〜。」

 

 指先に光が収束し、それが光速で放たれる。

 黄猿の狙いに気付いたマルコだったが、流石に光速で放たれたそれに後出しで追いつけるわけもなく。

 マルコの横を通り過ぎ、大量の犠牲が出るかと思われた瞬間。

 光がまるで、鏡で反射されたかのように市民の前で曲がり空へと消えていった。

 

「フゥ〜〜。なんとか、間に合ったな。」

 

 そこには一人の男が立っていた。手には一本の美しい刀を持ち、着流しを纏った姿。その姿に、黄猿は見覚えがあった。

 つい先日、ゼファーとの死闘の際に割り込んできて参戦した海賊。

 

「ウェルテクス海賊団、ゼニス。」

 

 マルコは、初めての邂逅ではあるがなぜか安心感を抱いていた。同時に先程彼が行ったことを理解して驚嘆していた。

 白ひげ海賊には双剣の名手ビスタが居たが、彼でもできないであろう超高等技術を目の当たりにしたのだ。

 直前までウィーブルと黄猿に意識を回していたとはいえ、覇気すら感知できないほどの距離にいたはずの人物が突然現れ、そして黄猿の光線を反射させたのだ。

 

 刀の身体と光線に対する入れ方。入れた刀の角度。刀を持つ手の力加減。黄猿の光線に込められた覇気の把握と同等量の覇気を纏うセンス。

 どれか一つにミリ単位の誤りがあれば、あの反射は起こり得ない。

 超速で割り込んだ上に、そんな超高等技術を完璧に成し遂げた彼にマルコは年甲斐もなく興奮を覚えた。

 

 ゼニスの登場に少しの静寂が訪れた後。

 他のウェルテクス海賊団も到着した。

 

「さて、それじゃ。予定通り行こうか。余計な被害を増やされると困るから……ッ!」

 

 放たれた覇王色の覇気。攻撃に纏わせるのとは全くの別物。相手を気絶させることに特化させたそれは、濃密な殺意を含んで一瞬で広がった。

 海軍の精鋭を辿った軍隊は、黄猿を除いて一掃された。

 しかし逆に、完璧にコントロールされたそれはよりゼニスの側にいたスフィンクスの市民への被害は一切存在しなかった。

 

 黄猿が受けたのはこれで二度目。一度目の覇気を受けた時も戦慄を禁じ得なかった。

 だが、今回は前回の比ではない。何せ中将も含めて気絶してしまったのだから。

 目の前にある男が怪物に見える。足がすくむ。今すぐに逃げろと本能が嘆く。

 しかし大将としての責が、大将としてのプライドがそれを拒む。

 

 そんな黄猿を見ていたゼニスは、ついに視線を切った。次いで向かう視線の先にはウィーブルとバッキンの姿。

 視線はそちらに向けたまま、現場に来て決めた指針について指示を出す。

 

「黄猿はエネル、お前がやれ。テゾーロとステラは海軍の記憶を改竄した上で、本部に帰らせろ。サボとアルク、日和で市民を避難させてやれ。アインはマルコの治療だ。ミホーク、ウィーブルの相手はお前に任せる。」

 

「「「了解ッ!」」」

 

「…あの!ウィーブルの相手を、私にやらせてもらえませんか?」

 

 一人だけ、否を唱える者がいた。

 





 と、言うことで他作品から登場したキャラは『月姫よりアルクウェイド』が参戦しました。

 理由の一つは、ゼニスを強くしすぎた為です。
 そのため、ゼニスと競い合える存在が必要だったのです。いずれ、2人の戦いもかけたらいいなと思います。

 二つ目は、ルナーリア族を抜いても後二種類の登場していない種族がいるためです。小人族や巨人族、魚人に人魚。ミンク族なんて言う獣人。
 王道とも言える種族がいるのにヴァンパイアは居ないなぁと思い、登場してもらいました。

 他に他作キャラの登場予定はないので、今回だけお許しください!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。