書きながら相手に同情をしてしまいました。しかし、仕方がないのかなと思いながら書きました。
ゼニスに敗れ、誘われるがままウェルテクス海賊団に入って数年、長い人生の中で初めてミホークは挫折を味わった。自分よりも高みにいる人物が船長を務める船に乗ればきっと自分もさらなる高みに登れるはず。そう、思っていた。
この多少の力量差は覇気の強さと悪魔の実でカバーできる世界で、求められるのはそれを覆すだけの『力』だった。そちらの方が武装色の覇気と相性が良かったことも一因している。世界最強の剣豪の称号を持つミホークもその例に漏れず、より強い力を研鑽し続け、手に入れたのが今の『豪の剣』である。
しかしゼニスが磨いたのは『技』であった。その技はミホークをもってしてもおもわず息を呑むほど研鑽されていた。ミホークを下した彼の剣は『豪の剣』とは対を成す『柔の剣』であった。
そして彼に師事したウェルテクス海賊団もほとんどが『力』よりも『技』に趣を置く戦い方をしている。戦い方そのものをゼニスに教わったテゾーロやサボ。センスだけで戦っていたエネルもそこにゼニス直伝の技術が加わった。
しかしすでにスタイルそのものが定着しているミホークにはそれが難しかった。齢もあり、今からスタイルを変えるとなれば時間が足りず、逆にゼニスに師事する彼らはめきめきと実力を伸ばしていく現実に焦りすら感じ始めていた。
ミホークの最初の思惑とは違い、真逆ともいえる戦闘スタイルに学ぶことなどできず停滞を余儀なくされたのだ。それでも赤髪のシャンクスが片腕をなくして競い合える相手もいなかったときに比べ、自分よりも強い相手がいるこの船は覇気を磨く場としては最適で定期的に行われる決闘が彼の心を繋ぎとめていた。
それでも諦めることなどできるはずもなく、剣豪としての自負もプライドも投げ捨ててゼニスに相談を持ち掛けた。相談を受けたゼニスは真剣なまなざしで自分を見つめるミホークと視線を合わせて数秒、表情を緩めて一言だけ言葉を返した。
「最初から自分ができるものだけ選んでたら、何も始まらないぞ。」
そのあと、どこか吹っ切れた様子で再び自分の剣を追求し続けた。一度壁にぶつかったミホークは他の成長を続けるメンバーに比べて錬磨の速度は遅くとも、研鑽を続けながら少しずつなれど確かに、その実力を伸ばしていった。そしてある時、壁を切り裂いた彼はさらなるステージへと至ったのだ。
黒刀を抜き放ったミホークは正面で剣を構えるシリュウを見据えていた。
かつては大監獄インペルダウンの看守長の一角を担うほどの実力者であり、現在は黒ひげ海賊団の巨漢船長の一角としてさらに実力を磨いている正真正銘の実力者である。
その剣の腕に加え、現在は姿を消せる『スケスケの実』の能力者である。気を抜くことなど出来ようはずもない。
剣に生きる怪物同士が向かい合うその戦場は、他とは一線を引いたように張り詰めた空気となっていた。
周りでそれを見た者達は、嫌でもその実力差を感じ取ってしまった。二人の間合いに入った瞬間に真っ二つに切り裂かれる自分の姿を幻視した気がした。
そんな空間を作り上げている二人は、向かい合ったまま。先に動いたのはミホークだった。
黒刀を一閃して発生した斬撃は文字通り、地を引き裂きながら、一直線にシリュウに襲い掛かった。その斬撃はミホークにとっては力量を図るためのあいさつ代わりの斬撃であるが、その威力は山すら両断し得る絶大なものである。
シリュウはその斬撃を真正面から受け止めて、その斬撃が打ち消された。そしてその影響で舞い上がった土煙に乗じて、スケスケの実で姿を消して瞬時にミホークの背後に回り込んだ。
しかしミホークはしっかりその気配を見聞色で感じ取っており、後ろを振り向くこともなく黒刀を握ったままの右手を背中に回すことで防いで見せる。
ミホークはここで覇気を応用して、黒刀に纏う武装色を流桜へと切り替える。すると黒刀にくっついたままのシリュウの剣は、内部破壊の効果を持つ流桜の中にあるためその効果に晒され反発力が発生した。
その反発は剣を握っているシリュウへと及び、その体は宙に晒された。そこで初めて後ろを振り返ったミホークは、まだ透明のシリュウ目掛けて黒刀を横なぎに振り払った。
続けて流れるような動作で黒刀を振り上げて、そのまま振り下ろした。
シリュウはその剣を受け流し、その巨体からは想像できないような軽やかさで受けた力そのままに空中で一回転して、重力のままその剣をミホーク目掛けて振り下ろした。
その剣をしっかり見切って半身で交わしたはずのミホークの肩から血が舞った。
シリュウはスケスケの実を食してから、さほど時間を得ているわけではない。しかし彼はその力を前所有者のアブサロム以上に使いこなしていた。いや、むしろ本当の使い方がシリュウに分があったのかもしれない。
シリュウは剣士であり必然、剣を主体とした戦い方をする。その剣も透明にしているため、ミホークはシリュウの射程をいまいち図りかねていた。
当然見聞色の覇気によって風の動きや殺気などから、どこを狙われているのかを把握して対処にあたっている。
しかしそこから回避の行動を取った際に、想定していたシリュウの剣との誤差が生じ、そのずれによって交わしたはずの剣先がミホークの肩を掠めていったのだ。
たまらずミホークはシリュウから距離をとることを強いられた。それをシリュウは追うことはせず、透明化を解いて構えなおした。しかし依然として、その刀身を見ることは叶わない。
距離を取ったミホークは斬られた個所を黒刀を持たない左手で触れ、血の付いたその手を眺めて軽く微笑んだ。
能力を併用しているとはいえ、剣技で自分がゼニス以外に傷をつけられたのは一体いつぶりか。こんな強者と戦えることに高ぶりを感じずにはいられなかった。
同時に残念に思う。その相手が研鑽できるライバルではなく、倒すべき敵である事実に。
『見えない剣』という特殊な相手ではあるが、『視えない剣』は幾度となく経験してきた。太刀筋が視えない。斬撃が視えない。動作が視えない。
そんな怪物に比べれば、なんてことはない。
これ以上長引かせる必要はない、そう考えたミホークは戦いが始まってずっと握っていた黒刀を背中に戻した。
ゼニスとの研鑽の末、豪の剣を極めたミホークだからこそたどり着いた極地。
無手で近づくミホーク。しかしその身には先ほどとはけた違いの覇気が纏われている。
言い知れぬ恐怖を感じたシリュウは一歩、無意識のうちに後退してしまうが、すぐに切り替え迎撃に動き出した。その判断はさすがというべきであるが、一歩の後退は致命的な遅れとなってしまっていたことに、彼はまだ気付かない。
剣を握るのが遅さだった。
剣の抜くのが遅さだった。
剣を振るのが遅さだった。
剣術そのものが剣を鈍くし、遅くしている。
豪の剣を極めたミホークの剣は、空間すらもその剣撃に耐えられず、超越したその力は空間そのものを切り裂いた。
いつの間にかシリュウの後ろで剣を振り下ろしていたミホークは、両の手で黒刀を握りしめ、黒刀を握る掌からは血が滴っている。
それを認識したシリュウの肩から腰まで突如、切り裂かれたような血が噴き出した。
ゼニスの時空剣と似ているが、その本質は全く別のもの。
時空剣はあくまでも能力を使うことによって時空を超えたように感じるだけだが、ミホークの剣技は正真正銘時空を超えているのだから。
しかしながら、非能力者である身でそれに匹敵する御業を成そうというのだからそれ相応の代償を必要とした。
たったの一刀で柄を握る手はこの有様。そのうえ発動には膨大な覇気を必要とするため、兆候は丸わかりで連発は困難を極める。
それでも型さえ成れば、必殺と成り得る一刀。それが豪の剣を極めたミホークが至った極地であった。
トプトプと音を鳴らしながら、瓢箪で酒を煽り顔を赤く染めながら機嫌よく正面に立つ美少女ーー日和を見ているのはバスコ・ショットである。
『大酒』の異名に相応しい酒飲みであり、その酒豪ぶりは留まるところを知らない。
手に持つ瓢箪で一気に酒を仰いだ後、口を放しひときわ大きく「プハ~。」と息を吐いた。
「お前、俺たちの仲間にならんのか?」
「なるわけないじゃない。」
「仕方ないのんな~。」
断れることは分かっていたとばかりのテンポで、日和の拒否を受け入れる。
そしてすーと音を立てながら空気をめいっぱい吸って、一気に吐き出した。
先ほどまで飲んでいた酒が弾丸のような速度で日和目掛け飛ばされた。それは魚人空手の『打ち水』のような。
しかし飛ばされたのは純水なんて生易しいものではなく、アルコールを多分に含んだ酸水。その貫通力は段違いに高い、凶悪なものだ。
しかし貫通力とは、触れてこそ本領を発揮する。逆に言えば、届かなければ純水だろうと酸水だろうと違いはない。
飛ばされた酒は日和の目の前で急停止する。そして跳ね返るようにショット向けて動き出した。
驚きながらも、酔っているとは思えない俊敏な反応と動きで両腕に武装色を纏い、そのすべてを弾き飛ばした。
「びっくりした~。悪魔の実なんのんか~?」
「レディにいきなり唾を飛ばしてくるなんて、なってないわね。」
当然それに応える義理もなく、日和はショットの言を無視して言葉を綴る。日和の言葉を聞きながらショットはさらに瓢箪の中の酒を呷る。
すると日和が見聞色で常に感じ取っていたショットの気配が増大したのを感じ取る。それだけではない。
相対しているショットの身体が、先ほどよりも一回り巨大化している。
それが、ショットが食した『トプトプの実』の効果だ。
酒を飲めば飲むほど、その体は大きくなり、比例して力や速度さらには覇気までもが巨大化していくという単純明快な能力。しかし単純ゆえにその効果は絶大だった。
この能力の凶悪なところは、二乗三乗していくのではなく、プラスで増加していくため元の能力に依存しないことにある。その体型故に速度は決して早くなく、覇気も新世界の猛者に比べ多くはないショット。
対して、その酒豪ぶりは新世界含め世界有数の強さである彼には、これ以上ないほどに適した能力だった。
しかし日和にはその強化も意味を成さない。なぜなら……。
その手に握る二丁の銃で、強化された俊敏を生かして四方八方から攻撃していく。
さらに弾丸一発一発には同じく強化された覇気で武装されており、武器防具や生半可な覇気では貫通されてしまうほどの威力を持つ代物となっていた。
しかしその弾丸はただの一発として、日和に届くことはない。ベクベクの実は、あらゆるもののベクトルを操作する。
操作には対象物のベクトルを計算し、さらには変換後のベクトルも割り出さなければならないため、相当量の計算が要求される。
その上バリバリの実とは違い、効果の作用には相手の攻撃に込められた覇気を上回っている必要がある。
そのためベクトル換算のほかにも、見聞色で攻撃に込められた覇気を見極め、それ以上の覇気を込めるという手間を要してようやくこの実は効果を発揮する。
ショットのトプトプの実とは真逆ともいえる、複雑極まりないその実を日和は完璧に使いこなしていた。長く共にしてきたこの悪魔の実で操れないものなどすでに、この世界には存在していないといっても過言ではなかった。
銃弾のベクトルを操作するなど、赤子の手をひねるよりもたやすいことである。
どれだけ攻撃を重ねても一向に日和に届くことない現実に狼狽しながらも、それでも攻撃の手を緩めることはなかった。
しかし遂に、その手に握る銃に込められた銃弾が底をつく。カチカチと空になった銃の引き金を数度引いたのを確認した日和が、今度は自分から動き出す。
それに本能的に恐怖したショットは、両手を組んで力の限り地面を叩きつける。
その巨体相応の膂力を兼ね備えたショットが、トプトプの実で強化された拳は絶大な威力を持つものとなっている。地面は大きく陥没し、周囲一帯を砂埃が包み込む。
その中でも、砂埃が自分に届かないようにベクトル操作している日和の周囲は視界も良好である。
この環境を作りだした本人であるショットは砂埃の中に紛れ込み、俊敏に移動して日和の背後を取った。
強化された武装色で黒く変色させた腕を日和目掛けて振り下ろした。果たしてその拳は、日和に届いた。否、日和が受け入れた。
振り下ろされた腕を体を傾けることで皮一枚で躱し、その腕に日和はトンと触れた。瞬間、ショットの血管という血管から血が噴き出して、その巨体は真っ赤に染まりながら、その場にゆっくりと倒れ伏した。
日和がショットに触れた瞬間、彼の中に流れる血流のベクトルが変換され、逆流を起こした。本来送り出すはずの心臓に流れこんだ血によって、送り出すポンプと逆流した血によって血管が詰まり破裂を起こしたのだった。
結局、指一本すら日和に届くことなく、バスコ・ショットは地に沈んでいった。そして当然のように、日和の身体には返り血の一滴すら掛かってはいなかった。
ミホークは原作ですでに完成している一人だと思っています。なので追加要素は一つだけにしました。シリュウの戦い方は某アニメのエ〇スカリ〇ー‼が元ネタです。
四皇以上の実力者を想定する日和と、まったくの未知数であるバスコショットを戦わせたらこうなってしまった。なんでこの組み合わせにしたかって?
それは……消去法さッ!
バスコショットファンの皆々様、申し訳ありません。悪魔の実も主要武器も戦闘スタイルもわからないバスコショットの戦闘シーンは書けませんでした。
そして続けて申し訳ありません!マルコの戦闘シーンをカットする事としました。
理由はウェルテクス海賊団の一味ではないため、下手な魔改造ができない事。そして既に彼がチートだからです。
作者的には原作最強の実はゴロゴロなのですが、最もチートな存在はマルコだと思っています。
ロギア並の再生能力に、不死鳥の炎によるパラミシア並のバフ。しかし本質は世界でも極めて稀少な飛行能力を持った幻獣種のゾオン系。
チートオブチートの極みだと個人的に思っており、手の加え用がないため今回はカットする事としました!ご了承ください!
カイドウとビッグマムを倒すのは果たして⁉
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仲良し(笑)船長トリオと愉快な仲間たち
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最強集団ーーウェルテクス海賊団