今回でハチノス編は終了です。
思ったよりもあっさりしてしまいましたが、何とか纏められたと思っています。
ティーチ戦から中一で投稿しているつもりでしたが、前話が連投なってしまっていて予定が狂ってしまいました…。
「報告します!たった今入った情報によりますと、四皇黒ひげ海賊団はすでに壊滅しているとのことです‼」
「なんじゃと⁉いったい誰じゃ!」
「はっ!つい先日懸賞金が付けられた、海賊『凶星のゼニス』との事です‼」
インペルダウンにマリンフォード。数々の悪行で海軍を出し抜き、瞬く間にその名を世界中へと広めた海賊ーー黒ひげ海賊団。
世界に晒した醜態を挽回するためにもティーチの首は、海軍が獲らなければならなかった。
わざわざ元帥であるサカズキが出向いたのもそのためである。それなのに…。
海軍大将の一角である黄猿は海賊に捉えられる痴態、得た情報によって漁夫の利を狙った作戦は到着した時にはすでに終わっているという醜態、その結果に浮かび上がる海賊に誘導されたのだという屈辱的な推測。
挽回するどころか、積み重なっていく醜態に怒りを抑えることができない。
その怒りを露わに、ぐつぐつと黒煙を上げながらマグマに代わっていくサカズキの右腕に、近くで報告をしていた海兵は暑さのあまりサカズキから距離を取った。
「何をもたもたしちょる!何としても奴らを捕まえるんじゃ‼」
「「「八ッ‼」」」
「船長があんなにあっさりと…。」
ほかのクルーよりも共にした時間が長いラフィットは、あまりにもあっさりと首を刎ねられたティーチの姿を呆然と眺めることしかできずにいた。
しかしトキは止まってはくれない。刻一刻と流れる時間とともに、海軍と海賊の挟み撃ちはその距離を詰めてくる。
「ラフィットさん!俺たちはどうしたらいいんだ⁉」
ティーチなき今、ティーチの右腕として、黒ひげ海賊団の参謀として信の厚いラフィットが頼られるのは自然なことだった。
部下たちの悲鳴交じりの問いに、意識を戻されたラフィットは苦渋の末、海軍の包囲網を突破する選択を取る。
それはゼニスの想定と一致していた。考えてみれば当然のことである。海賊たちの包囲網を突破したとしてそのあとは?
ウェルテクス海賊団が攻めてきた方角に黒ひげ海賊団の船はない。もともと数の上では圧倒的に多かった黒ひげ海賊団が全員乗船できるはずなどない。
部下たちを残して幹部を優先的に乗船させたとしても、そこで仲間割れが発生するのは想像に難くない。そんなことをしているうちに海軍に追い付かれては元も子もなくなってしまう。
ならば必然彼らが選ぶのは、海軍が包囲網を築いている道だった。
それを確認したゼニスは、仲間と元白ひげ海賊団の海賊たちに撤収の合図を送る。
黒ひげ海賊団に思うところのある彼らだが、文句を言うものは現れない。なぜならば事前に言い含めていたためである。
むしろここまですべてがゼニスの思惑通りに進んでいる事実に、戦慄と畏怖が見え隠れしていた。
黒ひげ海賊団の残党と海軍が戦闘を繰り広げる音を背中に受けながら、淀みのない足取りで戦場を後にしていく。しかし問屋は降ろさない。
「わしが用あるんはお前らじゃき‼待たんかい‼」
ただの殺気。しかし覇王色と遜色ない威圧感を放ちながら、怒号とともにものすごいスピードで元帥であるサカズキが距離を詰めてきていた。
動き出そうとするマルコを制してゼニスは、二人の名前を呼んだ。
「日和、アルク。」
「「ええ。」」
呼ばれた二人は少し前に出て、それぞれ迎撃に向けて動き出す。
ゼニスが相手してもよかったが、殺すことはできない。殺してしまえば海軍に動揺が走り、黒ひげ海賊団を逃がしてしまうか可能性があるためだ。
適度に痛めつけたとしても、あそこまで怒気を露わにしたサカズキが早々引くとは思えない。
そういう意味でこの場の適任はこの二人だった。
アルクェイドがサカズキを押し返す風を生み出した。そこに日和がベクトル操作することで収束した強風となってサカズキの進行を妨げる。
歩みの止まったサカズキに対して、ゼニスは声をかける。
「黄猿は島の端に置いていく。俺たちが去った後にでも回収しとけ。」
それだけ言って先に船に向けて歩いていた仲間たちを追う形で歩いて行った。
進むことが出来ず、むしろ踏ん張ることで何とか飛ばされずにその場にとどまっているサカズキは、去っていくゼニスの背中を見ていることしかできないことに苛立ちと焦燥を覚えながら、負け惜しみとは分かりながら叫び続けることしかできなかった。
一足先に海岸に到着していた元白ひげ海賊団のメンバーが何かを見て、緊張した面持ちを浮かべていた。
後から到着したゼニスは、そんな彼らをかき分けて先頭へ躍り出る。
「ご苦労だった、クザン。」
海岸についた彼らが戦々恐々としている原因は、クザンの存在にだった。
「あ~ま~。『約束』だったからな。」
「そうだな。ちゃんと『約束』は守る。」
『約束』それはウェルテクス海賊団の船を降りる際に交わしたものだ。ステラのメモメモの実で半ば強制したとは言え、クザンはそれをきっちりこなして再びゼニスの前に現れた。
約束を完遂するために。
交わした約束は彼らの邪魔をしないということ。しかしあまりにも幅広いもので、クザンはこれを解除するためにゼニスの指示のもと陰から行動を起こしていた。
クザンは船を去る直前にある命令を下した。
「スフィンクスにウィーブルとマルコがいることを、海軍大将に密告しろ」と。
あえて海軍大将の誰に言えとは指定しなかった。クザンならばボルサリーノに言うだろうと確信していたためだ。
そして二人が邂逅して戦闘になる可能性。これも限りなくゼロに近いと考えた。
世界に多大な影響を与えた白ひげの自称息子で、いまだ未完の大器であるウィーブル。白ひげの右腕として知名度も高いマルコ。
二人を一網打尽にするチャンスを、みすみす見逃すわけがないためだ。
クザンの実力をよく知るボルサリーノが、戦力を削って絶好のチャンスを逃がしてまでクザンの捕縛に注力するか。答えは否だ。
ボルサリーノはゼニスの手の上で踊らされているとは知らず、クザンの情報をもとにスフィンクスへ向かい、戦闘の果てにゼニスに捕縛され、いい道具としてまんまと使われたわけだ。
そして最後の依頼として、黒ひげ海賊団との戦闘中のボルサリーノの見張りを行い、戦闘を終えたウェルテクス海賊団と合流。
約束をすべて完遂された。よって、ステラの能力は解除され、クザンは晴れて自由の身となった。
「ご苦労だった。また何かあったら頼むよ。」
「あ~…、もう勘弁願いたいんだが…。」
切実な願い。しかしゼニスがそれにこたえることはなく、クザンの横を通り過ぎて行った。
振り返ると片手をあげて手を振りながら船に乗り込んでいくゼニスの姿に、クザンはがっくりと肩を落としたのだった。
こうして新たな新星。そして元白ひげ海賊団によるけじめをかけた世紀の決戦はわずか数時間で終了を迎えた。
内容はなんとたった一人の新星が元白ひげ海賊団を率い、その者の手によって黒ひげ海賊団も海軍も操られていたという、驚愕のものであった。
海軍が内容を隠蔽しようと尽力するも、これだけの大ニュースをみすみす逃すはずがなく。
モルガンズの手によって、瞬く間に世界中へと広がっていった。
「ついに現れたか『トキトキ』の能力者が。」
「しかも覚醒しているようではないか。」
「そんなことは分かっておる。何せ、覚醒していなければ我々はその能力者すら特定できないのだからな。」
そうなのだ。未覚醒のトキトキの実は使用者を未来へ飛ばすというものであり、はたから見たら消えたように見える。
しかし姿を消す能力は他にも、「スケスケの実」や「ドアドアの実」など存在しているため、それが『トキトキの実』であると断定することが出来ないのである。
一転して覚醒すると厄介で危険極まりない能力へと変貌する。
伝承には残されているものの、近代ではその能力者が頭角を現すことはめっきり無くなっていた。
それも当然である。前能力者のトキはその能力者として数百年もあり続けたのだから。
そしてゼニスを話題に話す彼らーー五老聖の視線は世界中に広がった新聞と手配書に向かう。
「それにしても『時王』か。」
『時王』
それはゼニスの新たな異名である。「時代の王」「次世代の王」「時間の王」そんな複数の意味を込めてつけられた異名だった。
世界政府としては一海賊が『時代の王』を名乗るのを当然許容できるものではない。
『王』に相応しい御方が他にいるにも関わらず、その名を与えられる存在を決して許してはならないのだ。
『時王ゼニス 懸賞金40億2400万ベリー』
ゼニスの『凶星』異名を完全に忘れていた作者は、一から読み直して探しました。
すぐに新たな異名を付けられたわけですが。
そして『402400』というゼニスの懸賞金ですが、0=ゼ・2=二・4=スと掛けています。安直ではありますが。
カイドウとビッグマムを倒すのは果たして⁉
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仲良し(笑)船長トリオと愉快な仲間たち
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最強集団ーーウェルテクス海賊団