計4話構成となりました。今話を含めて後3話でREDは一時完結となる予定です。
ウタ(adoさん)の歌ありきの映画だったので、文字として書くと文字数がなかなか伸びませんでした。だからこそ映画館では迫力は一入でしたが。
今話は、いつもの事ではありますが独自解釈を多分に含みます。
幸せ
ルフィとバルトロメオを救ったのは、ハートの海賊団船長であるトラファルガー・ローだった。
思わぬところに
そんな彼の背後から姿を現したのは、部下のベポだった。どうやら彼こそがウタの大ファンだったようだ。熊の見た目でありながら、全身でウタのファンをアピールしていた。
彼らが逃走していると、逃走の最中背後からが聞こえてきた。
他に手がない彼らはその声に導かれるまま男の背中を追っていく。
男、ゴードンについていった彼らがたどり着いたのはとある教会のような廃墟だった。
ライブでのやり取りで、ルフィがウタと知り合いであることを知ったゴードンは、彼らにウタが今回の計画を考えた経緯を話し始めた。
まだ彼女が父親であるシャンクス率いる赤髪海賊団の一員だったある日、このエレジアへとやってきた。当時のエレジアは素晴らしい音楽家が集う王国として栄えていた。
音楽をこよなく愛していたウタはすぐに島になじみ、一日中音楽に触れて楽しんでいた。しかしその夜。
王国のは見る影もなく滅び、その名を消してしまう。滅ぼしたのは、赤髪海賊団だった。
裏切られたウタはゴードンと二人でこの島に残っていた。
シャンクスを、海賊を憎むようになったウタだったが音楽への愛情がなくなることはなかった。そんな彼女を少しでも元気づけようと、素晴らしい音楽家にしようと音楽の知識を与え育てられていたある日。転機は突然訪れる。
海岸に流れ着いた電伝虫。それを通してウタの歌は瞬く間に世界へと広まり、彼女の歌は海賊に妨げられる人々の希望となっていった。
次第に彼女は救世主とたたえられ、相談を持ち寄られるようになる。
長年エレジアで育ち、外の世界を知らない彼女は彼らの悲鳴を聞いた。その原因が、海賊であると知った。
そして人々のを幸せを。争いのない、平和な世界を、『新時代』を創ると決心したのだった。
ウタが観客を引き連れて、動き出したのを確認したウェルテクス海賊団もまた動き出した。
「俺と日和は別行動をする。お前らは、タイミングを見計らって麦わらの一味を助けてやってくれ。」
「?そんな事しなくても、ウタを止めれば自然と解除されるんだろ?」
ゼニスの案に、サボが疑問を述べる。
実はウタワールドの解除方法も、ネズキノコを食べているであろうことも知っているのはゼニスと日和だけだった。
故に彼らは、ゼニスと日和がウタを止めて解決すると思っている。
下手に教えて不必要な混乱を招く事態にもなりかねないし、UTAのファンである彼らは必ず止めようとする。何故ならば彼らはみんな優しいから。
しかし、今止められても困る理由が2人にはあった。
「あいつらについて行けばわかる。だから頼むよ。」
サボの疑問に否定も肯定もしない事に、訝しげに思いながらも船長命令であるため素直に頷いた。
「あの五線譜は描かれている音を歌うことで拘束を解除することができる。」
そう説明して「頼んだぞ」と一言残して、ゼニスと日和はその姿を消した。
残された彼らは「ウタにバレない様に」という条件があるため、一旦観客たちに紛れ込んで隙を伺うことを選択した。
ウタが音符から生み出した乗り物に乗って進んでいくのに追随する形で、彼らも進行を開始した。
一方そのころ、ルフィの祖父であるモンキー・D・ガープ直属の部下であるもコビーが、ヘルメッポと共にウタのファンに紛れていた。
その場には、世界政府の諜報機関
一次的な協力関係を結んだ彼らは、さらなる協力者として拘束されている海賊たちを選択して行動を開始したのだった。
ウタが再び麦わらたちを追い込んだものの、逃げられてしまう。
凶暴性が暴走し始めたウタは、育ての親であるゴードンさえ拘束してしまう。
少し物思いにふけながらも、ルフィたちの捜索を再開した観客たちを追う形で一人歩き始めた彼女の背後から声がかかった。
「よっ、ウタ。久しぶりだな。」
気さくに話しかけてくる青年とその横でまるで親しい人を見るような目で見てくる少女。しかし、怪訝な視線でウタは返す。
それを分かってはいたがやはり哀しげに、青年と少女は目を伏せた。
そこでウタはハッとする。本能が告げている。この目を瞑っている顔を、2人の寝顔を知っていると。
そして思い出したのは、夢のような。そんな、泡沫のような記憶。
「……ゼニスと日和?」
この発言に驚いたのは、声をかけた側であるゼニス達だった。
「なんで…覚えて。」
「ホントに、そうなんだ。」
どうやらウタ自身も曖昧だったようだ。ゼニスの返事を聞いて、彼らが本人だと理解したようだった。そして、ポツリポツリと語り出した。
それはかなり前のこと。
いつものように一人歌っていたウタは、ふとした時に眠ってしまったらしい。それでもウタにとって眠ることは、もう一つの世界ウタワールドに入ることを意味する。
しかしその時は何故か、ウタワールドに行くことはなかった。
まるで夢を見ているような、幽体離脱とでもいうような第三者視点で自分の姿を見下ろしていたのだ。
その視線の先では幼い自分が、誰かと楽しそうに会話している光景があった。
どうやら、自分が会話している彼らは『ゼニス』と『日和』と言うらしい。
まだ幼い3人は、いろんなことをして遊んで過ごした。
かけっこをしてみたり、かくれんぼをしたり、歌を歌ったり。不思議なことに2人はウタの歌を聞いても眠らないようだった。
それはウタ自身も。いつものように歌い疲れて眠ることなく3人が楽しげに、心いくまで歌っていた。
ゼニスが長男、ウタが長女で、日和が次女。本当の兄弟のように仲睦まじく遊びまわる三人の光景は、まるで本当の出来事のようで。
そしてウタの視線の先で、幼いウタが眠りについたのと同時にそれを眺めていたウタの視界は閉ざされ、気がつくといつもの部屋のいつものベッドに眠っていた。
その日を境に、同じような光景をたまに見るようになった。
しかしウタその光景を、自分が望み描いた幻想なのだと思っていた。いま、2人に会うまでは…。
「夢、か。なるほど、あったかも知れない未来はある意味夢とも言えるか。そう考えると、あり得る…のか?」
「ウタッ!会いたかった、ごめんね‼」
ウタの話を一通り聞いたゼニスは、何やら意味深なことを呟きながら考え込んでしまった。
そして日和は、もう我慢ならないとばかりにウタに抱きついた。
涙を目尻に浮かべながら強く抱きしめてくる日和に、ウタは戸惑いながらも、その温もりに何処か安心感を覚えていた。
まるで以前にも、こんな事があったような。そんな覚えのある心地の良い温もり。
しかしそれを打ち切ったのは、ゼニスだった。
「なあウタ。俺たちも海賊なんだ。」
海賊。それはウタが最も嫌い
その言葉に反応したウタは、日和の抱擁を力づくで振りほどいて距離をとった。
この世界では正真正銘最強であるはずのウタならば、そんな行動が必要ないはずだったのに。
「なんで……。そうだ、ねぇ二人もさ海賊やめなよ。そして私と一緒に『新時代』を創ろうよ!」
「新時代、か。いいかもな。」
「でしょ⁉なら!」
「でも、お前の創る新時代には俺たちの幸せは、ない。」
ウタの夢を肯定したゼニスに捲し立てるように詰め寄ったウタに、ゼニスは残酷に突き放す。
ルフィに引き続き、ゼニスにも断られたウタの顔に暗い影が差した。
そんなウタに追い打ちをかけるように、ゼニスは現実をたたきつける。
「夢は結局、夢でしかないんだよウタ。」
「……じゃあ、この世界に二人は要らない。」
その言葉を合図に、音符が兵士となって襲い掛かってくる。
ゼニスと日和は持ち前の戦闘力で、蹴散らしていくが文字通り無限に涌き続ける兵士に、徐々に後退を強いられていく。
「お前だって分かってんだろ!こんなのは幸せなんかじゃないことに!」
「うるさい‼」
「お前のいない世界で幸せだなんて、俺達に言えるわけないだろ‼」
ゼニスは気付いてしまったのだ。ウタの計画の結末に。
ゼニスは「ウタウタの実」の知識があった故に、気づいてしまった。
ウタワールドにいる人が現実世界で死亡してしまった場合、その人物はウタワールドでもその姿を消す。
意識の元となる肉体が無くなるのだから、ある意味当然の帰結だった。
ウタの計画はみんなをウタワールドに連れてきて、みんなの幸せを築いたら能力者であるウタが現実世界で起きたまま命を絶つ。
そうする事でみんなの幸せがある現実世界とウタワールドの扉は閉じ、みんなの幸せは永遠のものとなる、と言うものだ。
では、ウタワールドの住人の現実世界での死が直結するならば能力者であるウタ本人はその枠に囚われないのか?
そんな訳はない。何故なら、死亡した時点で能力者の肉体から悪魔の実は解き放たれる。
悪魔の実の能力者であるうちは、二つの世界を自由に行き来できるかもしれない。しかし能力者でなくなった時は、そうでは無いのだ。
つまり、ウタワールドと現実世界の隔離はウタの二つの世界での消滅を意味するのだ。
「絶対に、1人にはしないから!」
そう言い残して日和はゼニスの手を引いてその場を後にした。
その場に残されたウタは、ゼニスの最後の言葉を頭の中で繰り返しながら俯いていた。
みんなを幸せにする為に、今の計画が生まれた。
みんなが幸せな未来を望むから、自分がそれを創りたいと思った。
なのにゼニスはウタの考える世界に、幸せはないと言った。
だとするならば自分は、どうすべきなのだろうか…。
時を同じくして、ウタが観客たちから距離をとったのを確認したウェルテクス海賊団の面々も行動を開始した。
近くの観客たちの記憶を弄って、自分たちが抜けたことに違和感を持たれないようにした後、集団を抜けて拘束されている麦わらの一味の元へと足を運んだ。
「助けてほしいか?」
面識のある彼らはウェルテクス海賊団の登場に警戒しながらも、何もできずにいた。
「何が目的だ?」
「さぁな、俺たちも船長命令なんでな、お前たちに手を貸してやれって。」
サボの発言により一層警戒を深めた。麦わらの一味もゼニスの恐ろしさを知っている。
そんなゼニスがわざわざ自分たちの手を借りるとは、いったいどんな了見なのか。
険悪な雰囲気が満ちるこの場に、さらなる乱入者が姿を現した。
海軍の英雄コビーとCP-9ブルーノだった。要件は同じく彼らの救出。
コビーの人手は少しでも多いほうがいいという発言に、渋々ながら頷いた麦わらの一味とウェルテクス海賊団、海軍とサイファーポールという奇妙な同盟がここに成立した。
果たしてゼニスの目的は⁉︎
彼は一体、ウタの味方なのか、はたまた敵か⁉︎
今更になって悪魔の実の説明が、ゼニスとサボしかない事に気付いた今日この頃。今話から1人ずつ改めて紹介していきます。
日和『ベクベクの実』
あらゆるベクトルを変換することができる。範囲は自分を中心に半径1メートル。その範囲に入ったものは、運動量・熱量・電気量に留まらず、低周波や放射線など五感で認識できないものも知覚・変換できる。
覚醒することで、あらかじめ設定した条件に限り、無意識下での変換も可能となった。
ただし、あらかじめ設定した変換以外の、任意で発動する場合は全て知覚・計算した上での変換を行う為脳への負担が途轍もなく大きく、能力を使う際は武装色で脳を保護している。
また相手が覇気使いの場合、日和も覇気を能力に併用しなければならなく、相手の覇気が自身を上回っていた場合は一部もしくは全く変換できない。
カイドウとビッグマムを倒すのは果たして⁉
-
仲良し(笑)船長トリオと愉快な仲間たち
-
最強集団ーーウェルテクス海賊団