俺はヒーローに憧れない(re   作:アートレータ

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 昨日仕事をさぼっ………時間を作って執筆していたのに帰宅してみると保存されていないではないですか⁉
 昨日の夜と今日で何とか書き直し、何とか本日中の投稿に間に合いました。
 一度書いた内容だったので何とかなった感じです。




目的

 

 現実世界では、エレジアに雨が降り注いでいた。

 そんな雨の降る中、ウタはステージの上で一人座り込み、カゴいっぱいに入れた「ネズキノコ」を食していた。

 にぎわっていた会場の熱気はその面影すらない、静寂に包まれていた。

 会場でライブを楽しんでいるはずの人々は、そこかしこで深い眠りにつき目を覚ます様子は見られない。

 

 しかしその静かな島に次々と新たな足音が響き渡る。

 海軍本部元帥サカズキの命を受けた海軍の軍隊。軍艦10隻で国家クラスとされるバスターコールを大幅に上回る、30隻という大艦隊が大将黄猿と大将藤虎を先頭にエレジアへと到着したのだ。

 上陸を果たした海軍は迅速にウタを取り囲み、計画の中止を勧告したのだった。

 

 これだけの戦力を一人の女性のために、投入されたという異常事態は彼女の悪魔の実の危険性。そして今まさに進行している計画が原因だった。

 

 フェスが開催されているのは「ウタウタの実」で作り出された夢の中、仮想世界なのだ。

 能力者の歌声を聴いたものは心を奪われ、本体である肉体は睡眠状態となり、まるでみんなが同じ夢を見ているような状態に強制的に導かれる。

 

 能力者とその能力にも相性というものは存在する。

 その点、「ウタウタの実」と「ウタ」は完璧だった。彼女を知らないものでも思わず足を止めてきてしまうような、魅力的な歌声。歌に感情を完璧に乗せることができる感性。

 歌が下手ならばわざわざモニターやラジオを通してでも、聞くようなことはなかった。

 ウタに感情をこめられないようでは、ウタワールドでも彼女ほど完璧な操作は不可能だったかもしれない。

 能力者と能力が完璧な適合を見せたからこそ、今回はそれが仇となりこれほど大規模な被害となってしまったのだった。

 

 現在ウタワールドに多くの者が閉じ込められた状態で能力者であるウタが死んでしまった場合、中にいる住人は脱出の手段が完全に閉ざされてしまうこととなる。

 現在進行形でその被害は拡大し続け、彼女が力尽きるころには世界人口の7割が閉じ込められるだろうと予想された。

 さらに「ウタウタの実」には「トットムジカ」の存在もちらつき、無音状態で成り行きを見守る五老星の不安を助長していた。

 

 その渦中であるウタは自信に県や銃を向ける海軍にも全く動揺を見せず、戦いをやめて共にウタワールドで生きようと訴えるのだった。

 海軍は説得は無理と判断し、攻勢に出た。彼女の能力を警戒してイヤーマフを装着して戦闘に臨むが、ウタが一枚上を行っていた。

 

「~ウタカタララバイ♪~」

 

 ウタは眠っているいる人を操り、海軍へ反撃していく。

 彼女の心情を表すような楽曲で、ペースはどんどん彼女のものへと染まっていく。

 一般市民を傷つけることのできない海軍は、反撃を受けその耳からイヤーマフを外されていく。

 遮音のできなくなった海軍は次々とウタの能力にかかり、不利な状況へと追い込まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウタが現実世界で海軍を退けていた頃、ウタワールドでも問題が発生していた。

 ウタを気に入った天竜人のチャルロス聖が、ステージの上に足を踏み入れた。まさかの天竜人の登場に人々は嫌に体に染みついた習慣で、ひれ伏した。

 エレジアの外の知識をほとんど持たないウタは、取り成そうとするも傲慢な天竜人に通じるわけもなく、ウタの発言を一蹴して無理やり捕縛しようとする。

 

 海賊ですら相手にならないこの世界では神も同然のウタに、一護衛が太刀打ちできるはずもなく逆に一蹴されてしまう。天竜人の出現に護衛を任される海軍も姿を現すが、同じく足蹴りされる。

 役に立たない護衛をチャルロス聖は容赦なく切り捨てる。その傲慢な姿に怒りを覚えたウタは叩きのめしてしまう。

 チャルロス聖など眼中にない様子で、負傷した護衛を治療した。

 

 天竜人に手を出したウタに動揺する観客たちだったが、彼らに向かってウタは「ここでは天竜人であってもみんな平等」と宣言したのだった。

 未だ動揺抜けぬなか、ライブを再開しようとするウタのステージ上に新たな乱流者が現れた。

 

 ウタは彼を知らないようだったが、観客たちは違っていた。

 今登場した人物は海軍大佐にして、ロッキーポート事件の英雄として名が知れ渡ったコビーだった。観客の反応で有名人だと知り驚くもそれだけだったが、彼の口から出たのは今回の作戦のカラクリだった。

 

 事実を知った観客たちは会場全体を巻き込んで混乱を引き起こした。

 ウタワールドに残りたいと考える者もいる中、現実世界に帰りたいと騒ぎだすものもあらわれた。

 そんな彼らを見たウタは、先ほどゼニスにも言われた一言がウタの脳裏に横切った。

 

 自分が創り出す世界で幸せになれないものがいる、ならばどうしたらいいのか?

 観客の裏切りにも似た反応にウタ自身も混乱し始めるが、ネズキノコの副作用である凶暴性がここにきて暴走を引き起こす。

 

「もっと楽しいことが、いっぱいあればいいんだね‼」

 

 ライブ会場をウタの力で出現した水が飲みこんでいく。飲み込まれた観客全員がぬいぐるみやお菓子など、楽しいことに姿を変化させていった。

 危険を察知したブルーノが直前でドアドアの実で出現させた空間にコビーたちを避難させ、なんとかその場を離脱していた。

 その場に残ったのは、楽しいものを生み出したウタ1人の姿だけが佇んでいた。

 

 

 

 

 

 麦わらの一味と協力関係を結んだウェルテクス海賊団の面々は、ウタワールドからの脱出方法を探るべく、エレジアの王城跡地へと足を運んでいた。

 求めるのは図書館。昔の文献から、ヒントが得られないかと考えたのだ。

 

 動物と会話ができる麦わら海賊団の船医、トニートニーチョッパーの活躍もあり無事に目的の場所へとたどり着く。

 

 何万という大量の書物が、所狭しと並べられていた。

 目的の書物を見つけるのは至難だったが、やるしか無かった。

 ウタワールドから脱出する為、そしてウタを助ける為には。

 

 気を引き締め直したら彼らは図書館の奥へと歩みを進めると、奥から石像が姿を現す。

 まさに番人とでもいうような風貌の巨大な石像。普通のものならばなすすべもなく蹂躙される光景がありありと浮かべられる。

 しかしここにいる者は一人一人が一騎当千の海賊たち、いち早く行動を開始した麦わらの一味のゾロとサンジ、ウェルテクス海賊団のサボはあっという間に出現した石像三体を駆逐して見せる。

 

 それでも奥から奥から次々と姿を現す石像たちにみんなでことに当たろうとするが、その前に役割分担がなされた。

 ここに来た本来の目的である書籍探し、それをロビンとステラが担当することに決める。

 

 他の者たちで二人と図書館を守りながら立ち回り、二人に必要な時間を稼ぐことに尽力した。ここで思わぬ苦戦を強いられたのはウェルテクス海賊団の面々だった。

 ここはウタワールド、ウタの能力の管理下にあるため悪魔の実、特に周囲に影響を及ぼすパラミシアの使用に制限がかかっていた。

 能力者の多いウェルテクス海賊団は、殲滅ではなく守護という窮屈な戦いの場で能力も制限されるという思い枷を付けられた状態での戦闘となっていた。

 

 それでもゼニスによって鍛えられた彼らは、能力を使わずとも戦うすべを心得ていた。

 覇気とゼニス直伝の格闘術で麦わらの一味には殲滅力で劣るものの、図書館の守りの面でその能力を遺憾なく発揮して見せた。

 そして遂に発見した伝承。それは本などではなく、天井画として描かれていた。

 

 

『音楽の島エレジアに封印されし『歌の魔王 トットムジカ』

 歌を愛する人々の負の感情の集合体であり

 その存在には決して触れてはならない

 

 ウタウタの実の能力者が禁忌の楽曲『Tot Musica』によって

 ウタワールドと現実世界両世界にその姿を現し

 

 現れたら最後

 トットムジカは破壊の限りを尽くし

 世界に破滅がもたらされるだろう』

 

 

 その時エレジア城全体が大きく揺れた。

 戦闘部隊の攻撃の流れ弾が、城の天井に直撃したのだ。石像を破壊していた攻撃の一撃は大きく、攻撃を受けた城は崩れ始める。

 急いで避難するにしても、城全体が崩れるのでは図書館を出たところで意味はない。

 

 そこでナミがある案を思いつく。

 

「ブリュレ!いるんでしょ?返事しなさい!」

 

 図書館にあった鏡に向かって呼びかける。

 鏡の中には「ミラミラの実」であるブリュレ隠れている。彼女を呼んで鏡世界(ミロワールド)に避難できれば難を逃れられる、そう考えた。

 しかしブリュレは麦わらの一味とは因縁のあるビッグマム海賊団の一員であり、彼らを助ける理由は存在しなかった。

 

 刻一刻と城崩壊へのカウントダウンが迫る中、鏡に向かって怒鳴り続けるナミの横にステラが並び立った。

 

「ブリュレ、開けてくれないとお兄さんの記憶消しちゃうわよ?」

 

 脅迫であった。

 ブリュレの能力の利便性を感じたステラは、ウタに捕まっていた彼女を助ける際に触って記憶にしおりを挟んでおいたのだ。

 

「やめて~!私からお兄ちゃんを取らないで~‼」

 

 泣きながら出てきたブリュレに、ステラは無言の笑みを返した。

 その光景を隣で見ていたナミはブリュレに憐みの視線を向けながら、どこかで見たことのあるような光景に一人心の中に決意した。もう少し仲間たちにやさしくしよう、と。

 

 脱出経路の確保に成功したステラとナミはそれぞれ仲間たちを呼んだ。

 しかしブリュレの説得に時間がかかってしまい、その間も石像の相手を請け負っていた彼らは若干間に合わない。そこで役立つのが、サボの「キョリキョリの実」であった。

 近くにいたゾロとサンジを抱きかかえ、距離を切り取ることで一瞬にして鏡の前に移動したサボは抱えていた二人を投げ込んで、自分も即座に飛び込んだ。

 次の瞬間、大きな音を立ててエレジア城の図書館は土の中にその姿を消したのだった。

 

 無事に脱出を果たした一行はコビーやブルーノに、ルフィやローなども含めほぼすべての戦力が結集した。

 図書館で解読できた情報をロビンが報告して、その情報に他の者たちも現在持っている情報を報告しあう。

 

 「トットムジカ」の存在、ネズキノコの服用による副作用。そしてウタの現状。

 

 それらを聞いたウェルテクス海賊団の一行は一度彼らとは別れて、今ここにはいないゼニスと日和に合流するために動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見聞色の覇気を頼りに二人のいるところにたどり着く。

 そこはエレジアを一望できる高台の上。二人の視線の先ではウタに立ち向かうルフィの姿を捉えていた。

 合流をした後すぐに先ほどの話を二人にも伝えた。しかし二人の反応は……。

 

「あぁ、知ってたよ。」

 

「………は?」

 

「知ってたんだよ。ウタウタの実も。ネズキノコの副作用も。トットムジカの存在も。」

 

「……知ってて黙ってたのかよ?」

 

「そうだ。俺たちは元から、トットムジカを呼び出すことが目的だったからな。」

 

 その言葉を聞いたサボはもう我慢ならないとばかりに、ゼニスの殴りかかった。

 サボの拳はゼニスの顔を捉えて殴り飛ばした。その勢いのままゼニスの胸ぐらをつかみ詰め寄った。

 

「お前!自分が何言ってるかわかってんのか⁉お前もなのか、日和!」

 

 その言葉に日和は肯定を返した。信じられないとふらつく足取りで二人から距離を取った。

 踵を返してルフィが戦うほうへ走りだそうとしたサボの手をつかんだのは、テゾーロだった。そしてアインが尋ねる。何か理由があるのではないか、と。

 それに答えようとする日和を手で制したゼニス語りだした。

 

「さっきネズキノコの影響でウタが暴走していると言ってたな?それは違うんだ。」

「お前らも言ったな?トットムジカは負の感情の集合体だと。その存在はウタウタの実の能力者を介してその姿を現すのだと。」

「ならば逆にトットムジカは能力者が「Tot Musica」を歌うまで待つしかないのか?違ったんだよ。」

「集まった負の感情は「Tot Musica」を介して能力者にも流れていく。能力者は次第に負の感情を増幅させていき、次第にトットムジカを呼び出すことへの抵抗を失っていく。」

「ネズキノコはそれに拍車をかけたに過ぎないんだ。いや、今回の計画も含めて、トットムジカの影響だったのかもな。」

 

 もし本当にゼニスの言が事実だとするならば、驚愕の事実に驚き固まる彼らに日和が言葉をつづけた。

 

「そして問題は、黙っていてもいずれはトットムジカは呼び出されてしまうということ。」

「解決する方法はただ一つ。」

 

「それって…」

 

 そこまで話を聞いていたアインは、二人の考えた作戦の結末にたどり着く。

 不意を突いて出た言葉を聞いた日和は頷きを一つ返して言葉をつづけた。

 

「一度完全顕現したトットムジカを呼び覚まし、その存在を消滅させること。」

 

「そうすることで溜まっていた負の感情は消散し、トットムジカはまた永い眠りにつく。」

 

 そう締めくくったゼニスは視線をルフィ、いやウタへと向けた。

 トットムジカを倒さない限り、今回の計画を防いだとしてもウタに自由などなかった。

 

 歌を愛しているはずのウタが、歌に苦しめられるという事実に。それを解消するために秘密裏に日和と二人で今回の作戦を計画したのだ。

 目的はただ一つ、ウタを助けること。

 

 目的を共有したウェルテクス海賊団は、こうして目的完遂のために行動を開始する。

 




『ウタカタララバイ』
 幸せになりたいという切実な願い、人々を幸せにしなきゃという重圧、計画にあたっての罪悪感。
 溜まりあふれ出した負の感情が狂気となって、もう一つの人格を作り出してしまった。

「ひとりぼっちには……」
「見返りなんて……」
 エレジアで孤独に生きてきたウタが、電伝虫を通して、歌を通してつながりそれを手放したくはないという切実な願いを感じる。

「ねぇなにがいけないの?……」
 自分はただみんなの願いをかなえるために、みんなを幸せにするために行動しているのだから、みんなが否定するわけはない。
 それでも自分の中の善性は否定しているような気がして、聞かずにはいられなかった。

「わたしがやらなきゃ……」
 新時代を築くことに決心するも、本心では正しくないことに気付いていて本当は誰かに気付いて止めてほしいと願っていたのかもしれない。



エネル『ゴロゴロの実』
 原作では最大2億ボルトまでしか操れなかったが、今作では修行を重ねて3億ボルトまで操ることが可能となった。
 また太鼓を二つ同時に雷として操ることもできるようになった。
 
 覇気も武装色を使えるようになり、覇王色も未だ纏うことはできないが発現させている。見聞色は索敵への適性が高く、索敵範囲は船のなかでも一・二位を争うが未来視はできていない。
 微弱な雷を脳に流し続け強化した身体能力での肉弾戦と落雷をメインとした遠距離戦。オールラウンダーとして活躍している。

カイドウとビッグマムを倒すのは果たして⁉

  • 仲良し(笑)船長トリオと愉快な仲間たち
  • 最強集団ーーウェルテクス海賊団
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