俺はヒーローに憧れない(re   作:アートレータ

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 本日三話目
 この話から原作改変が激しく入ります。
 そしてもうお分かりかと思いますが、ようやくウェルテクス海賊団の面々が発覚します。

 今回は説明が多かったため、他作品ネタは入れられませんでした。


5.脅威

 

 クザンの返答を確認したゼニスは日和を呼んだ。

 

 するといつの間にか姿を消していた日和がゼニスの呼び声を待っていたかの様なタイミングで戻ってくる。そんな日和にゼニスが視線を向けると、何を言うのかを察して先に日和が口を開いた。

 

「分かってるわよ。というよりすでに呼んであるわ。そろそろ向かっているはずよ?」

 

 言って答える日和に流石という視線を向ける。その視線に対して日和は誇るでも恥ずかしがるでもなく、当然と言った視線で返した。

 

 そう日和とゼニスは他の仲間たちを迎えに呼んだのだ。ウェルテクス海賊団のクセの強い仲間たち。同時に頼りになる仲間でもある。

 

 ちょうどその時。

 

「お〜〜〜い‼︎」

 

 遠くから呼びかけるような声が聞こえてきた。そちらに視線を向けると、大きな一隻の船がこちらへと向かってきていた。そして、その船の上から大きく手を振る一人の青年が姿を現した。

 

 そして次の瞬間、まるで瞬間移動をしたかのように船は目前まで迫っていた。錨を下ろすと次々と姿を表すゼニスの仲間と思わしき者たち。

 

「よう、お前ら!久しぶりだな!迎えにきてくれてサンキューな!」

 

 気楽に船上に向かって声をかけた。すると、その声に反応した様に複数の男女が姿を表した。

 

「なに、お前のわがままに振り回されるのはいつもの事よ。」

 黒衣に身を包んで、身長ほどもする大剣を背中に背負いながら佇む男。世界最強の剣士として名高い『ジュラキュール・ミホーク』

 

「ヤーハッハッハ、全くその通りだ!」

 長い耳たぶを垂らしながら現れた、大柄な男。かつて、天海の神を名乗っていた『ゴッド・エネル』

 

「ダメですよ、二人共。本当のことを言ったら船長が傷ついてしまうでしょう?」

 スーツに身を包んだ、ダンディー風な男性。スラム街出身であり、そこをゼニスに救われた『テゾーロ』

 

「もう、貴方も言ってることは変わらないわよ!」

 テゾーロとの距離が近い妙齢の女性。テゾーロと同じくスラム出身でありゼニスに救われた1人。そしてテゾーロの妻である『ステラ』

 

「言われたい放題じゃねぇか!相変わらずだなぁ。」

 顔に傷があり、ゴーグルを首に掛けている青年。無人島で死にかけていた所をゼニスに拾われた、気が置けない仲でもある『サボ』

 

 言いたい放題の仲間達の言葉を笑い飛ばしながら、ゼニスは船へと乗り込んでいく。

 そして仲間たちにもてなされているゼニスを後ろで見守っていた日和はクスクスと笑いながらその背について船へと乗り込んでいった。

 

 未だ陸の上にいるアイン、ビンズ、クザンの三人はようやく状況を飲み込みつつあった。その上で彼等は一様に顔を青くしていた。

 彼等も一流の、超一流の猛者である。故に覇気で相手の力量もある程度把握することが出来ている。

 感じ取ったゼニスの一味のそれは、一人一人がこれまで会ってきた中でもトップクラスのものであったからだ。

 

 もし彼等と敵対してしまったのならば…。それを想像してしまった三人はあったかもしれない未来に顔を青く染めてしまったのだった。若干一名すでに敵対してしまっているが考えないようにしていた。

 

 そんな3人にゼニスは呼びかけた。

 

「おい、3人共早く乗れよ。ビンズも、近くの町のある島まで乗ってけよ。」

 

 そうしてウェルテクス海賊団一行に新メンバーのアイン、同船者ビンズ、捕虜クザンによる短い間の船旅が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、なんでアンタがここに居るの?」

 

「何を当たり前のことを。俺もこの船の一味だというだけの事。」

 

 クザンが最初に声をかけたのは、王下七武海にして世界一の剣豪と名高い鷹の目ミホークだった。

 元海軍大将と元王下七武海。それなりに顔も知っている中である。ある程度の人となりも知っている。

 そのためその一言で受けた衝撃は大きかった。

 

 クザンが知るミホークとは他人への関心が薄く、剣の道を極めることに意識を割き、誰かの下に付いたりして自由が制限されるのを嫌う。故に孤高であった。はずだった。

 

「なんで……アンタがここに居る?」

 

 そんなクザンの心境の上で出た言葉は先程と同じ言葉だった。

 ミホークはそれを理解した上で先程とは違うことを話し始めた。

 

「数年前ある海で出会った際に斬り合った。その時に誘われて俺はそれに乗った。それだけのことよ。」

 

 それを聞いたクザンは愕然とした。ゼニスは見た感じ20代前半といったところだ。そんな彼が数年前にはミホークと斬り合うだけの実力を持っていた。

 更に支配を嫌うミホークを配下に加える器量も兼ね備えて。

 

 他の面々だったそうだ。ミホークにも決して劣らないだけの強さを各々が持っている。一人一人が海賊団の船長であっても決して不思議では無い。

 そんな彼等がゼニスに服従して信頼しているのだ。

 

 恐ろしいの一言では言い表せない。それはまさに異常である。

 クザンの目に映るゼニスはまさに怪物であった。

 

「ホントに久しぶりだな〜!嬉しいな〜!元気だったか!」

 

 本当に嬉しそうに仲間たちへと声をかけるゼニス。彼らが集結するのは実に数年ぶりのこと。とある理由で、それぞれ別行動をしていた為だ。

 そして彼らはゼニスの手配書を見て、ゼニスが行動を開始する事を悟ってこうして再集結へと至った。

 そう、ゼニスの支部へ攻め込んだ理由は仲間たちへ再集結を呼びかける為だったのだ。仲間たちはしっかりとその意図を汲んでこうして集まった。

 

 しばらくの間見た目相応に無邪気に喜ぶゼニスと仲間たちの団欒の時間が流れたのだった。

 

 

 

 

 

 仲間との挨拶もあらかた済ませたゼニスは一つ目の要件に入る。

 

「それじゃあ、クザン。アンタをここに呼んだわけだが…アンタには約束をしてもらう。」

 

「約束?」

 

「そう、約束だ。約束とは何か。相手に対して取り決めを決めること?違う。」

 

 そこまで言ってニヤリと笑う。そして後ろでは控えていたステラを手招きしてこちらに来るように指示を出す。

 それだけで他の面々はゼニスが何をしようとしているのかを把握する。

 呼ばれた本人であるステラももちろん理解した上で一つ肩をすくねて、ゼニスのそばへと歩み始めた。

 

「約束とは、誓約と誓約で相手を束縛する。って意味なんだよ。書いた字の如しだろ?」

 

 何やら不穏な空気になってきたのを察して、クザンは冷や汗を流しながら言葉の続きを待つ。

 ゼニスは隣まできたステラの方を叩きながらその言葉を続けた。

 

「ステラは『メモメモの実』の記憶人間だ。俺と同じく世にも珍しい、世界にも干渉できる能力だ。」

 

 記憶。それは、その持ち主を構成するのに必要不可欠な存在だ。

 例えば言葉を忘れて仕舞えば、会話は不可能になり。

 例えば大切な人を忘れてしまったのならば、その人は他人に代わってしまい。

 例えば戦いを忘れてしまったのならば、戦場で無防備を晒して殺されてしまう。

 

 行動から情動まで、全てにかかるモノが記憶である。

 

 ゼニスはそこからメモメモの実の説明を始める。

一つ…触れたモノの記憶を保存、編集、削除出来る。

二つ…保存した記憶は能力者の年齢分貯まることが出来て、それを他のモノに編集で付け加えることが出来る。

三つ…読み取った記憶の間に『栞』を挟む事で、挟んだ部分からの記憶は遠隔でも編集、削除出来る。

 以上のことが大まかな内容だった。

 

 つまりクザンは触れられなければ、記憶を弄られることもない。一瞬そう考えるもそれは不可能であるとすぐに諦める。

 何故ならば目の前にいる化け物共を一斉に敵に回すことと同義であるからだ。

 そうなって仕舞えば、自分が敗れて死んでしまうことも想像に固くない。

 

 ならばクザンはソレをしかないのだ。

 それが唯一の生き残る道であった。

 

 ゼニスは説明を意図的に飛ばした部分があった。

 初めにチラリと溢したが、ステラの能力は世界にも干渉することが出来る。

 つまり星の記憶からクザンの記憶を消して仕舞えば、クザンの存在すら消すことが出来るのだ。

 

 しかし、対象の人物が長く生きているほど、対象の人物の知名度が高いほど星の記憶は膨大なものとなり膨大な量の作業となる。

 一度で消し切れない場合、世界に不条理が生まれてしまう。

 生まれた記憶はある。今を生きている。だのに、ここまで育った記憶はない。

 果たしてそれは本当に生きているのか。

 そんな事が起こってしまうのだ。

 

 以前一度だけ、使った事があった。

 相手は30半ばの天竜人。天竜人はマリージョアにいる事が基本で、知名度など全くと言っていいほどない。

 そんな人物を消すのになんと、丸2日かかったのだ。

 

 50手前で、元大将として知名度も高いクザンを消すのに果たしてどれだけの時間が掛かるのか。

 消し切る前にステラが力尽きるかもしれない、そんなリスキーな事はゼニスとしてもしたくは無かった。

 

 しかし態々そんなことまで話す必要はないため、話はしない。

 本当の最終手段として隠しておく手札の一つなのだから。

 

 そんなわけで約束の内容だが、『ウェルテクス海賊団の邪魔をしない』である。

 一見簡単そうな内容だが、実はとても難しいのだ。

 どんな行動が、『邪魔』に該当してしまうのかを的確に判断して行動しなければ、意図しない場面で破ってしまうかもしれない。

 更に、ここに居るメンバーだけがウェルテクス海賊団のメンバーとも限らない。これだけの強者が集まった船だ。

 他のクルーがいてそいつも怪物だとするならば、別行動していても不思議てはないのだ。思わぬところで敵対してしまうかもしれない。

 そんな行動は確実に制約に反してしまう1発アウトだ。そんな約束だ。

 

 しかし、先程も言ったようにクザンに断るという選択肢は残されていなかった。

 

 





 ウェルテクス海賊団はみんな怪物ですね。
 原作剣技最強のミホーク。
 個人的に最強ゴロゴロの実所持者エネル。
 この二人が同じ船にいるだけで、既に敵なしの気がしますが…勿論テゾーロとサボも魔改造されています。それは後ほど。
 そしてそれらを従えるゼニス。………みんな逃げて!

 と言うことで、原作ではシャーロット・プリンが持っていたメモメモの実を魔改造して生存ステラが食しています。
 メモメモの実は原作で見た時から可能性を感じていました。
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